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第8話 埋まらない亀裂
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私とディルスは、カミディオン国王がキリトと話すのを確認してから地に降り立つ。さすがにこちらにまで手は回らないようなのだわ。
どんな風に言い逃れをするのかと思って静観したかったのだけれど、やはりそうも行かない。
私達の方に向かってくる令嬢が見えたけれど、それは私が大嫌いな女だ。仕方ないけれど、げんなりしてしまう。
「ディルス様……先程の話は本当なのですか?」
今はキリトの、その前はディルスの婚約者だった女だ。
彼女の顔からは失望の気持ちが見て取れる、けれどそちらは加害者の国だ。そのような表情をされても、私は申し訳ないとは思わない。
寧ろこうなりたくなかったのなら、しっかりと手綱を握っていれば良かったのに。
そういう気持ちと、昔のディルスの婚約者だったという事の嫉妬心が抑えられず、ついもやもやしてしまう。
「残念ながら本当です。あなたを巻き込んでしまいましたが、これも僕とエルマを守る為。許してくれとは言いません」
毅然として言うディルスに対して、メリオラは首を横に振る。
「いいえ、婚姻前にキリト様のこのような本性を知られて良かったです。私ずっと悩んでおりましたの。ディルス様と婚約解消され、離れてしまい、本当にこれで良いのかと」
潤んだ瞳でディルスを見るこの様子が何とも神経を逆なでする。
あなたもディルスを追い出すのに一役買った人ですけど?? 何故あなただけ被害者面するのかしら。
(それに視線は私を見る事なくディルスにしか向いていない。だから尚更腹立つわ)
あたかも居ない様に扱われるのは腹立つわ。
彼女はまだディルスが好きなのだろうか、それとも自分だけでも助かりたいと願っているからの行動なのか。
キリトという泥船と共に一緒に沈めばいいのに。
「ディルス様。私達の婚約は解消されましたけれど、友人としてまた話すことは出来ませんか。このままもう二度とお会いする事も出来なくなりそうで、不安なのです」
庇護欲をそそる様にわざと弱者のように振る舞って、取り入る様に言っているのは見え見えよ、ムカムカ。
そんなメリオラの思惑に様子に気づいているのかいないのか、ディルスが私の腰に手を回してくる。
そんな行動にドキッとしながら、嬉しさがこみ上げた。
(そうね、ディルスはあんな女よりも私をきちんと大切に思ってくれてるものね)
自信を取り戻し、私からも寄り添う。親密な様を見せつけてやるんだから。
メリオラが私を恨みがましそうに睨んできたが、すぐに目を伏せ、表情を隠す。
上手くやらないとあなたの本性も皆の前で暴露してしまうわよ。
あなたを守る様な人はいない。皆キリトの事でかかりきりなんだもの。
「メリオラ嬢……いや、リッテル侯爵令嬢。僕達の関係はもう他人同様に遠いものだ。僕から話すことは何もない、あなたはあなたの責務を果たしてくれ。キリトとね」
突き放すように言うディルスの顔は笑顔であった。
その表情は心からすっきりとしたものだ。
あぁ、ディルスはこの女もきちんと恨んでいる。
そんなディルスの人間らしい負の感情が愛おしい。こうして中身が見えないと時々心配だもの。
共感も出来ない程の遠くに行ってしまいそうで。
「そんな私は何もしていないのに……」
自身の行く末を案じ、メリオラは泣き始めた。
そんな弱くて王太子妃になるつもりだったの? あぁ違ったわね、キリトが言っていたもの。
「何もしていないのと、何も知らないは違うのよ。あなたはキリトが私に無理に迫るのを知っていて止めなかったでしょ? この茶番はあなたが止めなかったから起きたのもある。ねぇ側室候補さん?」
キリトは言っていた。私が正妃になれば、メリオラを側室にすると。それはメリオラも承知の上だと。
「そんな話は知りません。私はキリト様の正式な婚約者で王太子妃教育も受けてました、側室なんてなるわけがありません」
「そうですか。では改めてリッテル侯爵令嬢。教えてください。あなたは本当に何も知らなかったのでしょうか。あなたは僕よりもキリトが良いと話し、僕と結婚するのは嫌だと拒んだ。それも一つの原因となり、僕はレグリスに行く事になった。この話は本当ですかね? お聞かせください」
決して大きな声ではないのだが、近くにいた者にはばっちりと聞こえる声量だ。周囲にざわめきが生まれる。
「そんな根も葉もない虚言はおやめ下さい、ディルス様」
「失礼、キリトがリッテル侯爵令嬢も同意の上だと話をしていましたから。他の皆も知ってるものかと思ってこの場で話をさせてもらいました」
悪びれもせずにディルスがそういうと、周囲からは困惑の、声が上がる。
それはそうだ。
カミディオン国民には、私の我儘のせいでディルスがレグリスに婿入りしたという話がされているもの。
それがまさかカミディオンが進んでディルスを差し出したとは、夢にも思っていないはず。
ひそひそと聞こえる言葉にメリオラは顔を赤くしている。
「僕を捨てたあなたが側室候補なんて言われるとは。まぁ、キリトを選んだリッテル侯爵令嬢の責任として受け入れてください。婚約者が義姉に想いを寄せるなんて、あり得ませんが、元々兄の婚約者すらも盗るような男。予兆はあったでしょう」
「もうやめて下さい!」
赤から青に顔色を変えたメリオラは、まるで知らない人でも見るかのような目でディルスを見つめていた。
「何故このような酷い事を言うのですか?! わざわざそんな言い方をするなんて、意地悪です、見損ないました!」
このような煽るような話し方を元婚約者にぶつけるなんて、余程の鬱憤だったのか。
「それは仕方ないです、報復の為にわざと言っているのですから。どうです? 王太子妃教育が一気に無駄になるような感覚は。まぁ僕もあなたに裏切られて王太子教育も無駄になったのでおあいこですけれど。それでも愛する人に会えた事だけは幸運ですが」
愛おし気に、といった様子で私の髪にキスを落としてくれる。
そんな愛情溢れる行動に私も冷静さを取り戻せたわ。
一呼吸置いた後、メリオラもようやっと表情を取り繕う。
「そのような虚言ばかりを口にして、ディルス様はレグリスにて余程辛い目に合い、そして洗脳されてしまったのですね。お可哀想に。エルマ王女、優しく穏やかであったディルス様に何を吹き込んだのですか? 彼がここまで壊れるなんて」
全てを私のせいにし、悪女としようとしているのね。こうも他責思考とは、キリトとメリオラは似た者同士だわ。間違いない。
「本当にそんな事を思っている? あなた方が三年前に蒔いた種が、キリト様のせいで芽吹いただけよ。恨むなら三年前のあなた方の決断を恨みなさい」
「私とキリト様はディルス様がこの国を去ってから力を合わせてきました。より良い国を作ろう、ディルス様に心配をかけないよう強い国にしようと努力を続け、周辺国の方からも認められるまでになりました。なので、そのような嘘でカミディオンの評判を下げようとするのはおやめ下さい。この侮辱を雪ぐために然るべき償いを要求しますからね」
まだ婚約者の身分と言えど、王太子妃教育を受けているメリオラの発言は軽視できるものではない。
ましてやこのような人の目のあるところの話だ。しっかりと潰して置かないと。
「償い、ですか。それは僕がしてもらいたいものです。目の前で実の弟に妻を口説かれるとは思いませんでしたよ。しかも王妃として受け入れると言われるなんて、リッテル侯爵令嬢も可哀想だとは思うのですが」
「そのような嘘はお止めくださいと何度も申してるではないですか」
「嘘ではないからこうして苦言を呈しに来たのです。証拠も先程聞いたでしょう。リッテル侯爵令嬢も受け入れたと聞いたから、共犯なのでしょう?」
「そんな話は知りません」
「では何故こんな契約書がなされたのでしょうか」
ディルスが見せたのは極秘の契約書だ。
いつの間にそんなものを?
「内容は仮にエルマがカミディオンに嫁いで来る事になったら、というものですね。長年王太子妃教育を受けてきたあなたに対しての慰労金や、側室という地位を与えて安寧に暮らせる事の保証が書かれている。僕とエルマは離婚もしてないのに随分と早い算段だよね」
メリオラの顔色は最早白に近い。
「エルマ様を手に入れたいと思うものは多いけれど、キリトがまさか本気とは思わなかったよ。あいつは僕から地位とこの国と婚約者を奪ったのに、妻まで奪おうというのだね」
優しい口調で語りかけるディルスだが、その目は笑っていない。
どんな風に言い逃れをするのかと思って静観したかったのだけれど、やはりそうも行かない。
私達の方に向かってくる令嬢が見えたけれど、それは私が大嫌いな女だ。仕方ないけれど、げんなりしてしまう。
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今はキリトの、その前はディルスの婚約者だった女だ。
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毅然として言うディルスに対して、メリオラは首を横に振る。
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あなたもディルスを追い出すのに一役買った人ですけど?? 何故あなただけ被害者面するのかしら。
(それに視線は私を見る事なくディルスにしか向いていない。だから尚更腹立つわ)
あたかも居ない様に扱われるのは腹立つわ。
彼女はまだディルスが好きなのだろうか、それとも自分だけでも助かりたいと願っているからの行動なのか。
キリトという泥船と共に一緒に沈めばいいのに。
「ディルス様。私達の婚約は解消されましたけれど、友人としてまた話すことは出来ませんか。このままもう二度とお会いする事も出来なくなりそうで、不安なのです」
庇護欲をそそる様にわざと弱者のように振る舞って、取り入る様に言っているのは見え見えよ、ムカムカ。
そんなメリオラの思惑に様子に気づいているのかいないのか、ディルスが私の腰に手を回してくる。
そんな行動にドキッとしながら、嬉しさがこみ上げた。
(そうね、ディルスはあんな女よりも私をきちんと大切に思ってくれてるものね)
自信を取り戻し、私からも寄り添う。親密な様を見せつけてやるんだから。
メリオラが私を恨みがましそうに睨んできたが、すぐに目を伏せ、表情を隠す。
上手くやらないとあなたの本性も皆の前で暴露してしまうわよ。
あなたを守る様な人はいない。皆キリトの事でかかりきりなんだもの。
「メリオラ嬢……いや、リッテル侯爵令嬢。僕達の関係はもう他人同様に遠いものだ。僕から話すことは何もない、あなたはあなたの責務を果たしてくれ。キリトとね」
突き放すように言うディルスの顔は笑顔であった。
その表情は心からすっきりとしたものだ。
あぁ、ディルスはこの女もきちんと恨んでいる。
そんなディルスの人間らしい負の感情が愛おしい。こうして中身が見えないと時々心配だもの。
共感も出来ない程の遠くに行ってしまいそうで。
「そんな私は何もしていないのに……」
自身の行く末を案じ、メリオラは泣き始めた。
そんな弱くて王太子妃になるつもりだったの? あぁ違ったわね、キリトが言っていたもの。
「何もしていないのと、何も知らないは違うのよ。あなたはキリトが私に無理に迫るのを知っていて止めなかったでしょ? この茶番はあなたが止めなかったから起きたのもある。ねぇ側室候補さん?」
キリトは言っていた。私が正妃になれば、メリオラを側室にすると。それはメリオラも承知の上だと。
「そんな話は知りません。私はキリト様の正式な婚約者で王太子妃教育も受けてました、側室なんてなるわけがありません」
「そうですか。では改めてリッテル侯爵令嬢。教えてください。あなたは本当に何も知らなかったのでしょうか。あなたは僕よりもキリトが良いと話し、僕と結婚するのは嫌だと拒んだ。それも一つの原因となり、僕はレグリスに行く事になった。この話は本当ですかね? お聞かせください」
決して大きな声ではないのだが、近くにいた者にはばっちりと聞こえる声量だ。周囲にざわめきが生まれる。
「そんな根も葉もない虚言はおやめ下さい、ディルス様」
「失礼、キリトがリッテル侯爵令嬢も同意の上だと話をしていましたから。他の皆も知ってるものかと思ってこの場で話をさせてもらいました」
悪びれもせずにディルスがそういうと、周囲からは困惑の、声が上がる。
それはそうだ。
カミディオン国民には、私の我儘のせいでディルスがレグリスに婿入りしたという話がされているもの。
それがまさかカミディオンが進んでディルスを差し出したとは、夢にも思っていないはず。
ひそひそと聞こえる言葉にメリオラは顔を赤くしている。
「僕を捨てたあなたが側室候補なんて言われるとは。まぁ、キリトを選んだリッテル侯爵令嬢の責任として受け入れてください。婚約者が義姉に想いを寄せるなんて、あり得ませんが、元々兄の婚約者すらも盗るような男。予兆はあったでしょう」
「もうやめて下さい!」
赤から青に顔色を変えたメリオラは、まるで知らない人でも見るかのような目でディルスを見つめていた。
「何故このような酷い事を言うのですか?! わざわざそんな言い方をするなんて、意地悪です、見損ないました!」
このような煽るような話し方を元婚約者にぶつけるなんて、余程の鬱憤だったのか。
「それは仕方ないです、報復の為にわざと言っているのですから。どうです? 王太子妃教育が一気に無駄になるような感覚は。まぁ僕もあなたに裏切られて王太子教育も無駄になったのでおあいこですけれど。それでも愛する人に会えた事だけは幸運ですが」
愛おし気に、といった様子で私の髪にキスを落としてくれる。
そんな愛情溢れる行動に私も冷静さを取り戻せたわ。
一呼吸置いた後、メリオラもようやっと表情を取り繕う。
「そのような虚言ばかりを口にして、ディルス様はレグリスにて余程辛い目に合い、そして洗脳されてしまったのですね。お可哀想に。エルマ王女、優しく穏やかであったディルス様に何を吹き込んだのですか? 彼がここまで壊れるなんて」
全てを私のせいにし、悪女としようとしているのね。こうも他責思考とは、キリトとメリオラは似た者同士だわ。間違いない。
「本当にそんな事を思っている? あなた方が三年前に蒔いた種が、キリト様のせいで芽吹いただけよ。恨むなら三年前のあなた方の決断を恨みなさい」
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ましてやこのような人の目のあるところの話だ。しっかりと潰して置かないと。
「償い、ですか。それは僕がしてもらいたいものです。目の前で実の弟に妻を口説かれるとは思いませんでしたよ。しかも王妃として受け入れると言われるなんて、リッテル侯爵令嬢も可哀想だとは思うのですが」
「そのような嘘はお止めくださいと何度も申してるではないですか」
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「そんな話は知りません」
「では何故こんな契約書がなされたのでしょうか」
ディルスが見せたのは極秘の契約書だ。
いつの間にそんなものを?
「内容は仮にエルマがカミディオンに嫁いで来る事になったら、というものですね。長年王太子妃教育を受けてきたあなたに対しての慰労金や、側室という地位を与えて安寧に暮らせる事の保証が書かれている。僕とエルマは離婚もしてないのに随分と早い算段だよね」
メリオラの顔色は最早白に近い。
「エルマ様を手に入れたいと思うものは多いけれど、キリトがまさか本気とは思わなかったよ。あいつは僕から地位とこの国と婚約者を奪ったのに、妻まで奪おうというのだね」
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