奇び雑貨店 【Glace】

「別れよっか」

三ヶ嶋栄路18歳。大学1年生初めての夏、早くも終了のお知らせ。

大学入学と同時に俺は生まれ変わった──はずだった。
イメチェンして、サークルに入り、念願の彼女もできて、順風満帆の大学生活を謳歌していたのに、夏休み目前にしてそれは脆くも崩れ去ることとなった。

一体なんで、どうして、こうなった?

あるはずだった明るい未来が見事に砕け散り、目の前が真っ白になった──そんな時に、俺は出会ったんだ。

「なんだここ……雑貨店か ? 名前は……あー、なんて読むんだこれ? ぐ、ぐれいす……?」
「──グラースね。氷って意味のフランス語なの」

不思議な雑貨店と、その店の店主に。

奇(くし)び雑貨店 【Glace [グラース]】。ここは、精霊がいる雑貨店だった──。

これは、どこか奇妙な雑貨店と迷える大学生の間で起こる、ちょっぴり不思議なひと夏の物語。
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