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制服に着替えて自宅に戻ったのは八時を回っていた。送っていくと言い張るアキラを森さんが羽交い締めにしてくれたので何とか解放された。
さっき森さんが持って来た書類をこれから読むんじゃないのか。仕事しろよ社会人。
どうせスマホに入ってる連絡先も自宅もわかってるんだからいいじゃん。もう首輪着けられたような気分だというのに。
玄関の扉を閉めたところで、スマホにメッセージが入ってきた。
『このまま逃げられると思うなよ。逃げたら直電するからな』
想像して震え上がった。朱皇アキラからの音声通話。絶対無理。
……脅しですか。音声はやめて欲しい。
電話が脅しの材料になる相手ってきっと僕くらいだろう。既読無視してたら本当に電話してきそうな気がして、わかりました、とだけ返信した。
ただ、皮肉なことに疲れているのに頭は妙にスッキリしていて、その晩は勉強が捗った。身体の欲求が満たされたせいだと思うと複雑だけれど。
……付き合うって……何するんだろ。エロいこと以外ない気がする……。
嫌なら本気で逃げれば……と言われそうだけど、向こうが容赦してくれるとは思えない。会ってしまえば彼の声で反応して身体がいうことをきかなくなるだろう。まるで彼に捕まるのを望んでいるかのように逆らえない。
彼に……彼の声に誘われたらきっとそのまま流されてしまう。
ふと自分の身体から慣れないシトラス系の匂いがしてどきりとした。彼の部屋で借りたボディソープの匂いだ。彼と同じ匂いを纏っていると思っただけで、頬が熱くなった。
あの声で囁かれて、長い指で触れられて……。
いやいや、おかしいだろ。あんなことされたのに、何でドキドキしてるんだ。
恥ずかしいことをさんざんされたし、強引に振り回されたけど嫌悪感はなかった。
今まで画面越しにしか見たことのなかった人が自分に直接触れていることにビジュアル的に頭がついていかなかったけど、聞き慣れた彼の声に包まれると本気で抵抗できなくなった。
今まで自分の恋愛傾向をあまり深く考えたことがなかったけど……彼の声に欲情するのなら男が恋愛対象なんだろうか。それなら、恋愛を前提にしたお付き合い、というのは本当の恋愛になるんだろうか。
「……声だけで好きになるって……あるのかな」
問題集と違って正解の所在がわからないその疑問は、すぐには解けそうになかった。
その夜、夢とも幻聴ともつかない感じの状態で、僕を呼ぶ声を聴いた。いや正確には呼ばれていたのは僕じゃない。
『ユイ。この先も認めてもらえなかったらいっそ二人で逃げようか。男同士でも関係ない。伴侶になってほしいのはユイだけだ』
……周りが許してくれないから駆け落ちする?
『帰ってきたらお前に一番に会いに行くから、どうか待っていてほしい』
その声は朱皇アキラの声とそっくりで、けれど少し落ち着いた歳格好に思えた。その人も、ユイ、という人を好きだったんだろうか。
そして「ユイ」は、その人を好きだったんだろうか。けれどそう呼ばれるたびに僕の心の中に冷たくて寒々しい感覚が広がっていく。これは「ユイ」の気持ちだろうか。
この人は「ユイ」にとって何だったんだろう。
次の日、学校に行く身支度をしようとして、ふとスマホを見ると朱皇アキラからのメッセージが入っていた。
『おはよう。エンマコオロギのハニー。今日は仕事だ』
そして続けてもう一言。
『昨夜もユイの夢を見た。ちゃんと人間だった。コオロギじゃなかった。それに、やっぱりお前に似てた』
思わず吹き出しそうになった。
どうやら彼はコオロギ説に全力で乗っかってくれるつもりらしい。それでも夢で見る「ユイ」という人物と僕が同一人物だと思っている。
いやでも、ないよな。ユイって珍しい名前じゃないけど女の子に多い。前世ってことならかなり過去の人ってことになるから、男の子にユイって名前は珍しいんじゃないのかな。
僕が変な夢見たのも、きっとアキラの話に引きずられたせいだと思う。暗示的な?
『どうしても僕が前世の元カノと思いたいんですか?』
僕がそう返すと、すぐに返答が来た。
『違う。ユイは男だ』
回答が速い。スマホ使ってていい状況なんだろうかと思ったら、どうやら今、森さんが運転する車で移動中なのだとか。
『……それじゃ夢の中では朱皇さんがユイさんの彼女だったんですか?』
『いや、俺も男だった』
……つまり彼の夢の中にでてくる「ユイ」って男で、前世、同性同士で付き合っていたってこと?
僕が見た夢の中で「ユイ」と呼びかけてきたのは男性だった。男同士だから反対されていて駆け落ちまで考えていた。声がアキラに似ていた。
僕は彼の夢のことは聞いていたけど、その時点では同性同士だったとは知らなかったはずなのに。
……あれ? ってことは僕の夢ってアキラの見た夢と整合性が……。あれ?
本当に前世なんてあるんだろうか。……っていやいや。あの人に感化されすぎておかしな夢を見ただけだ。そういうことにしておこう。
とにかく学校に行く時間だから、と返事をして僕はスマホをポケットに突っ込んだ。
試験が終わった直後ということもあって、教室は少しリラックスした様子だった。けれど、試験が終われば何があるか、もちろん採点された答案が続々と返ってくるのだ。
大斗は今日ものんびりと話しかけてきた。
「今回の数学は出来たと思うんだよね」
「前回は名前を書き忘れて注意されたんじゃなかったっけ」
「大丈夫、今回はしっかり書いたから」
書き忘れていたのが大斗一人だったので事なきを得たのだけれど、受験本番だったらどうするんだと先生に注意されていた。
「そう言えば裕唯、昨日帰りどこかに寄ってた? 何か違う方向に歩いてるのを見たから」
「ああ、ちょっとスーパーに寄ろうと思って」
大斗の家は僕の家と同じ町内だ。多分バスから降りてスーパーの方向に歩いていたのを見られたんだろう。
「ならいいけど、夜道とか気をつけたほうがいいよ。裕唯は可愛いから」
「可愛いとかありえないって。まあ気をつけるよ」
っていうか、昨日朱皇アキラに連行された時はまだ真っ昼間だった。夜道だけがヤバいとは限らない。昼間でも出る時は出るんだよ不審人物は。
理由は可愛いじゃなく下半身事情だったんだけど。
「可愛いって。俺の父……っ、そうじゃなくて、俺はそう思ってるから」
あ、今言いかけたな。
僕は聞かなかったことにして好きにすれば、と答えた。大斗の父が何者なのか、僕は知らないことになっているから。
僕の両親は僕が赤ん坊の時に離婚した。母さんが向こうの義両親と上手く行かなかったのが主な原因らしい。
何でも結婚前は何も言わなかったのに、父さんが家業を継いだら仕事を辞めて支えろだのと急に干渉してきてブチ切れたのだとか。
以来母さんは一人で僕を育てながら仕事を続けてきた。
その母さんが最近時々気合いを入れた服装で出かけることがある。
友人に会いに行くとは言っているけれど、何となく僕は気づいていた。きっと好きな人ができたんだと。
けれど、どうやら僕の受験が終わるまではと気を遣っているらしい。うっかり相手の人と電話でそんなことを話しているのを聞いてしまった。
別にそこまで気にしなくていいのに、と思ったけれど、同時に気遣いしてくれるいい人なんだと安心している自分がいた。
実は、その人が大斗の父親。大斗の母親は五年程前に病気で亡くなったらしい。
大斗が僕に何かと構うのは、僕のことを父親から聞かされているからじゃないだろうか。
将来家族になるんだから、とか無理に仲良くしようと気を回さなくてもいいのに。そんなことしなくても僕は母さんの再婚に反対したりしない。
ただ、何も相談されないから頼りにされていないような寂しさはある。大斗はきっと再婚話を聞かされているのに、僕はまだ何も知らないことになっている。まあ、大斗は柔道で推薦がほぼ決まってるらしいから、これから受験する僕とは立場が違うけど。
『まだ学校? 迎えに行こうか』
帰り支度をしていると、そんなメッセージが入っていた。仕事ではなかったっけ? もう終わったの? っていうか、俳優の勤務時間ってどうなってるのか僕も知らない。
さすがに学校前に朱皇アキラが待ち構えていたら騒ぎどころではない。やめて欲しい。
もう学校を出るところなので迎えは要らないと返すと、すぐに返事がきた。
『話があるから、帰ったら俺の部屋に来てくれ』
話? ホントに話だけか?
どうしようと迷っていたら更にもう一つ。
『森もいるから』
それなら大丈夫か。あの人も朱皇アキラと同じく昨日が初対面だけど、信頼度が違う。
いきなり下半身触ってきた相手と比べたら大概の人は真面目に見える。
それに、あの人がいるのなら話の内容はちゃんとしたことだろうって気がする。
「裕唯、帰りに本屋行かない?」
了承と返信を打ったとたんに大斗が話しかけてきた。
「……ごめん。用事があるから。悪いけど」
「用事って?」
何故そこで踏み込んでくるのか。今までそんなこと聞かれたことはない。ええい、困った時はコオロギ様に丸投げしてしまおう。
僕はそう決意して大斗に向き直る。
「詳しくは言えない。前世がコオロギだった者にとって重要なことなんだ。キリギリスだったお前にこれ以上話すことはできないんだ。すまない」
「え??」
一気にまくしたてると、ぽかんとしている大斗を置いて僕はバス停に走り出した。
ごめん、大斗。あの人待たせたら容赦なく直電してきそうだから、そっちの方が僕は怖いんだ。
さっき森さんが持って来た書類をこれから読むんじゃないのか。仕事しろよ社会人。
どうせスマホに入ってる連絡先も自宅もわかってるんだからいいじゃん。もう首輪着けられたような気分だというのに。
玄関の扉を閉めたところで、スマホにメッセージが入ってきた。
『このまま逃げられると思うなよ。逃げたら直電するからな』
想像して震え上がった。朱皇アキラからの音声通話。絶対無理。
……脅しですか。音声はやめて欲しい。
電話が脅しの材料になる相手ってきっと僕くらいだろう。既読無視してたら本当に電話してきそうな気がして、わかりました、とだけ返信した。
ただ、皮肉なことに疲れているのに頭は妙にスッキリしていて、その晩は勉強が捗った。身体の欲求が満たされたせいだと思うと複雑だけれど。
……付き合うって……何するんだろ。エロいこと以外ない気がする……。
嫌なら本気で逃げれば……と言われそうだけど、向こうが容赦してくれるとは思えない。会ってしまえば彼の声で反応して身体がいうことをきかなくなるだろう。まるで彼に捕まるのを望んでいるかのように逆らえない。
彼に……彼の声に誘われたらきっとそのまま流されてしまう。
ふと自分の身体から慣れないシトラス系の匂いがしてどきりとした。彼の部屋で借りたボディソープの匂いだ。彼と同じ匂いを纏っていると思っただけで、頬が熱くなった。
あの声で囁かれて、長い指で触れられて……。
いやいや、おかしいだろ。あんなことされたのに、何でドキドキしてるんだ。
恥ずかしいことをさんざんされたし、強引に振り回されたけど嫌悪感はなかった。
今まで画面越しにしか見たことのなかった人が自分に直接触れていることにビジュアル的に頭がついていかなかったけど、聞き慣れた彼の声に包まれると本気で抵抗できなくなった。
今まで自分の恋愛傾向をあまり深く考えたことがなかったけど……彼の声に欲情するのなら男が恋愛対象なんだろうか。それなら、恋愛を前提にしたお付き合い、というのは本当の恋愛になるんだろうか。
「……声だけで好きになるって……あるのかな」
問題集と違って正解の所在がわからないその疑問は、すぐには解けそうになかった。
その夜、夢とも幻聴ともつかない感じの状態で、僕を呼ぶ声を聴いた。いや正確には呼ばれていたのは僕じゃない。
『ユイ。この先も認めてもらえなかったらいっそ二人で逃げようか。男同士でも関係ない。伴侶になってほしいのはユイだけだ』
……周りが許してくれないから駆け落ちする?
『帰ってきたらお前に一番に会いに行くから、どうか待っていてほしい』
その声は朱皇アキラの声とそっくりで、けれど少し落ち着いた歳格好に思えた。その人も、ユイ、という人を好きだったんだろうか。
そして「ユイ」は、その人を好きだったんだろうか。けれどそう呼ばれるたびに僕の心の中に冷たくて寒々しい感覚が広がっていく。これは「ユイ」の気持ちだろうか。
この人は「ユイ」にとって何だったんだろう。
次の日、学校に行く身支度をしようとして、ふとスマホを見ると朱皇アキラからのメッセージが入っていた。
『おはよう。エンマコオロギのハニー。今日は仕事だ』
そして続けてもう一言。
『昨夜もユイの夢を見た。ちゃんと人間だった。コオロギじゃなかった。それに、やっぱりお前に似てた』
思わず吹き出しそうになった。
どうやら彼はコオロギ説に全力で乗っかってくれるつもりらしい。それでも夢で見る「ユイ」という人物と僕が同一人物だと思っている。
いやでも、ないよな。ユイって珍しい名前じゃないけど女の子に多い。前世ってことならかなり過去の人ってことになるから、男の子にユイって名前は珍しいんじゃないのかな。
僕が変な夢見たのも、きっとアキラの話に引きずられたせいだと思う。暗示的な?
『どうしても僕が前世の元カノと思いたいんですか?』
僕がそう返すと、すぐに返答が来た。
『違う。ユイは男だ』
回答が速い。スマホ使ってていい状況なんだろうかと思ったら、どうやら今、森さんが運転する車で移動中なのだとか。
『……それじゃ夢の中では朱皇さんがユイさんの彼女だったんですか?』
『いや、俺も男だった』
……つまり彼の夢の中にでてくる「ユイ」って男で、前世、同性同士で付き合っていたってこと?
僕が見た夢の中で「ユイ」と呼びかけてきたのは男性だった。男同士だから反対されていて駆け落ちまで考えていた。声がアキラに似ていた。
僕は彼の夢のことは聞いていたけど、その時点では同性同士だったとは知らなかったはずなのに。
……あれ? ってことは僕の夢ってアキラの見た夢と整合性が……。あれ?
本当に前世なんてあるんだろうか。……っていやいや。あの人に感化されすぎておかしな夢を見ただけだ。そういうことにしておこう。
とにかく学校に行く時間だから、と返事をして僕はスマホをポケットに突っ込んだ。
試験が終わった直後ということもあって、教室は少しリラックスした様子だった。けれど、試験が終われば何があるか、もちろん採点された答案が続々と返ってくるのだ。
大斗は今日ものんびりと話しかけてきた。
「今回の数学は出来たと思うんだよね」
「前回は名前を書き忘れて注意されたんじゃなかったっけ」
「大丈夫、今回はしっかり書いたから」
書き忘れていたのが大斗一人だったので事なきを得たのだけれど、受験本番だったらどうするんだと先生に注意されていた。
「そう言えば裕唯、昨日帰りどこかに寄ってた? 何か違う方向に歩いてるのを見たから」
「ああ、ちょっとスーパーに寄ろうと思って」
大斗の家は僕の家と同じ町内だ。多分バスから降りてスーパーの方向に歩いていたのを見られたんだろう。
「ならいいけど、夜道とか気をつけたほうがいいよ。裕唯は可愛いから」
「可愛いとかありえないって。まあ気をつけるよ」
っていうか、昨日朱皇アキラに連行された時はまだ真っ昼間だった。夜道だけがヤバいとは限らない。昼間でも出る時は出るんだよ不審人物は。
理由は可愛いじゃなく下半身事情だったんだけど。
「可愛いって。俺の父……っ、そうじゃなくて、俺はそう思ってるから」
あ、今言いかけたな。
僕は聞かなかったことにして好きにすれば、と答えた。大斗の父が何者なのか、僕は知らないことになっているから。
僕の両親は僕が赤ん坊の時に離婚した。母さんが向こうの義両親と上手く行かなかったのが主な原因らしい。
何でも結婚前は何も言わなかったのに、父さんが家業を継いだら仕事を辞めて支えろだのと急に干渉してきてブチ切れたのだとか。
以来母さんは一人で僕を育てながら仕事を続けてきた。
その母さんが最近時々気合いを入れた服装で出かけることがある。
友人に会いに行くとは言っているけれど、何となく僕は気づいていた。きっと好きな人ができたんだと。
けれど、どうやら僕の受験が終わるまではと気を遣っているらしい。うっかり相手の人と電話でそんなことを話しているのを聞いてしまった。
別にそこまで気にしなくていいのに、と思ったけれど、同時に気遣いしてくれるいい人なんだと安心している自分がいた。
実は、その人が大斗の父親。大斗の母親は五年程前に病気で亡くなったらしい。
大斗が僕に何かと構うのは、僕のことを父親から聞かされているからじゃないだろうか。
将来家族になるんだから、とか無理に仲良くしようと気を回さなくてもいいのに。そんなことしなくても僕は母さんの再婚に反対したりしない。
ただ、何も相談されないから頼りにされていないような寂しさはある。大斗はきっと再婚話を聞かされているのに、僕はまだ何も知らないことになっている。まあ、大斗は柔道で推薦がほぼ決まってるらしいから、これから受験する僕とは立場が違うけど。
『まだ学校? 迎えに行こうか』
帰り支度をしていると、そんなメッセージが入っていた。仕事ではなかったっけ? もう終わったの? っていうか、俳優の勤務時間ってどうなってるのか僕も知らない。
さすがに学校前に朱皇アキラが待ち構えていたら騒ぎどころではない。やめて欲しい。
もう学校を出るところなので迎えは要らないと返すと、すぐに返事がきた。
『話があるから、帰ったら俺の部屋に来てくれ』
話? ホントに話だけか?
どうしようと迷っていたら更にもう一つ。
『森もいるから』
それなら大丈夫か。あの人も朱皇アキラと同じく昨日が初対面だけど、信頼度が違う。
いきなり下半身触ってきた相手と比べたら大概の人は真面目に見える。
それに、あの人がいるのなら話の内容はちゃんとしたことだろうって気がする。
「裕唯、帰りに本屋行かない?」
了承と返信を打ったとたんに大斗が話しかけてきた。
「……ごめん。用事があるから。悪いけど」
「用事って?」
何故そこで踏み込んでくるのか。今までそんなこと聞かれたことはない。ええい、困った時はコオロギ様に丸投げしてしまおう。
僕はそう決意して大斗に向き直る。
「詳しくは言えない。前世がコオロギだった者にとって重要なことなんだ。キリギリスだったお前にこれ以上話すことはできないんだ。すまない」
「え??」
一気にまくしたてると、ぽかんとしている大斗を置いて僕はバス停に走り出した。
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