塔の上のカミーユ~幽囚の王子は亜人の国で愛される~

蕾白

文字の大きさ
上 下
25 / 60
第二部

13

しおりを挟む
 寝室に入るとすぐにアレクは荒々しい手つきで自分の衣服を脱ぎ捨てた。
 寝台の上にいるカミーユも慌ててナイトドレスを脱いだ。
 隣合わせに身を寄せ合うと、乾いた素肌が触れ合う感触が心地良くて、カミーユは思わずアレクの首筋に顔を埋めた。
「……カミーユ? 怖いの?」
「違う……こうしてると嬉しいから。ドキドキしているのがわたしだけじゃないってわかる。温かいし……」
 人肌の温かささえろくに知ることのなかったカミーユは、こんな些細なことで心臓が早鐘を打つ。けれど、そうすることでアレクの肌から伝わってくる鼓動も同じくらいの速度だと気づいて、どうしようもなく幸せな気持ちになった。
「そうか。君の方からいっぱい触ってもいいからね?」
 そう言われても……。
 カミーユには身体の中の情動を自覚しているとはいえ、どうすればいいのかわからない。そっとアレクの頬に手を伸ばして、唇を重ねた。
 触れるのが精一杯なキスをアレクが上書きしてくる。舌を絡める深いものに。そして、胸を撫でていた手が探し当てた小さな突起を指で抓む。ジンとしたむず痒いような痛いような感覚にカミーユは戸惑った。
「あ……ああ……。どうして……っ……」
 男の乳首など赤子に授乳させるわけでもないから、何も意味がないと思っていた。なのに弄られているうちに熱を帯びた下半身が更に昂ぶってくる。
 隠そうにもアレクの足がカミーユの足の間にあるから逃げられない。
「ここ、感じるんだ。カミーユはどこもかしこも敏感で可愛いな……こっちも可愛がってあげるから」
 片手でカミーユの中心を握ると、乳首を手と唇で愛撫し始めた。同時に与えられる刺激に、カミーユはどうしようもなく翻弄されていた。
 燭台の淡い灯りとはいえ、自分の姿はアレクに見られている。
「やっ……いっぺんには……ああっ、だめ……おかしくなるから……」
「僕しか見てないんだから、大丈夫だよ」
「やだ……わたしだけは……いや」
 自分一人がふしだらに悶えるのなど、見られたくない。なのに、アレクの手の中ではち切れそうなそこは、カミーユの羞恥などお構いなしに反応している。
「僕だって充分おかしくなってるよ」
 アレクがカミーユの乳首に軽く歯を立てて舌で転がす。
「ああ……だめ……だめ……もう許して……」
 甘い痺れがジンと走って、カミーユは逃れられない感覚に首を横に振りながら喘いだ。同時にアレクの指で促すように先端を弄られて高みに追い上げられて、とうとうカミーユは精を放ってしまった。
「……許してって言ったのに……」
 カミーユは顔を覗き込んできたアレクにそう呟くのが精一杯だった。
「可愛いかったよ。……君が感じてるのを見てるだけで僕までイキそうだった。でも、今夜はここを使わせてくれる?」
 一瞬の浮遊感の後で力が抜けた脚を大きく割り広げられた。
 カミーユの放ったもので濡れた指がその奥に挿し入れられる。自分でも触れたことがない内側をアレクが暴いていく。
 使う? 何をするつもり?
 戸惑っていたら指が深くまで潜り込んできた。
「あっ……」
「痛い? ホントに無理なら言って」
 圧迫感と自分の内が拓かれていく感覚に、一瞬だけ身が竦んだ。けれど、アレクが心配そうな眼差しを向けていることに気づいて、首を横に振った。
「……びっくりしただけ。ここを使うって……?」
「あー……ごめん。そこからだったのか。ここに僕を迎え入れてほしいんだ」
 全部、ということは身体の隅々までアレクに好きにしてもらうことだとはぼんやり理解していた。女性なら男性を受け入れることができるのも知っていた。
 カミーユはやっと納得して頷いた。
「……わかった。アレクのしたいようにしていい」
「カミーユ……何か僕の方が心配になってきた」
「どうして? 強引にされてもわたしは構わないけど、ちゃんと教えてくれたじゃないか」
「いや、そういうとこだよ。本当に僕で大丈夫なの?」
「アレク以外の者がこんなことをしたら初手で蹴り飛ばしてるよ」
 アレクが小さく吹きだした。
「もう。そういうとこは男前なんだから。好きだなあ」
 そう言ってカミーユの上に被さってきた。カミーユはアレクを迎え入れるように両手を彼の背中に回した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

顔も知らない番のアルファよ、オメガの前に跪け!

小池 月
BL
 男性オメガの「本田ルカ」は中学三年のときにアルファにうなじを噛まれた。性的暴行はされていなかったが、通り魔的犯行により知らない相手と番になってしまった。  それからルカは、孤独な発情期を耐えて過ごすことになる。  ルカは十九歳でオメガモデルにスカウトされる。順調にモデルとして活動する中、仕事で出会った俳優の男性アルファ「神宮寺蓮」がルカの番相手と判明する。  ルカは蓮が許せないがオメガの本能は蓮を欲する。そんな相反する思いに悩むルカ。そのルカの苦しみを理解してくれていた周囲の裏切りが発覚し、ルカは誰を信じていいのか混乱してーー。 ★バース性に苦しみながら前を向くルカと、ルカに惹かれることで変わっていく蓮のオメガバースBL★ 性描写のある話には※印をつけます。第12回BL大賞に参加作品です。読んでいただけたら嬉しいです。応援よろしくお願いします(^^♪ 11月27日完結しました✨✨ ありがとうございました☆

生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。 貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。 毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。 この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。 その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。 その瞬間に思い出したんだ。 僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。

うちの前に落ちてたかわいい男の子を拾ってみました。 【完結】

まつも☆きらら
BL
ある日、弟の海斗とマンションの前にダンボールに入れられ放置されていた傷だらけの美少年『瑞希』を拾った優斗。『1ヵ月だけ置いて』と言われ一緒に暮らし始めるが、どこか危うい雰囲気を漂わせた瑞希に翻弄される海斗と優斗。自分のことは何も聞かないでと言われるが、瑞希のことが気になって仕方ない2人は休みの日に瑞希の後を尾けることに。そこで見たのは、中年の男から金を受け取る瑞希の姿だった・・・・。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

ブラッドフォード卿のお気に召すままに~~腹黒宰相は異世界転移のモブを溺愛する~~

ゆうきぼし/優輝星
BL
異世界転移BL。浄化のため召喚された異世界人は二人だった。腹黒宰相と呼ばれるブラッドフォード卿は、モブ扱いのイブキを手元に置く。それは自分の手駒の一つとして利用するためだった。だが、イブキの可愛さと優しさに触れ溺愛していく。しかもイブキには何やら不思議なチカラがあるようで……。 *マークはR回。(後半になります) ・ご都合主義のなーろっぱです。 ・攻めは頭の回転が速い魔力強の超人ですがちょっぴりダメンズなところあり。そんな彼の癒しとなるのが受けです。癖のありそうな脇役あり。どうぞよろしくお願いします。 腹黒宰相×獣医の卵(モフモフ癒やし手) ・イラストは青城硝子先生です。

異世界でエルフに転生したら狙われている件

紅音
BL
とある男子校の生徒会副会長である立華 白蓮(タチバナ ハクレン)は、異世界でアルフレイドという名のエルフとして精霊たちと共にのどかに暮らしていた。 ある日、夜の森の中に入ったアルフレイドは、人食い魔獣に襲われている人を助けようとするのだが…………。 クールでイケメンな半獣勇者と美人でちょっと天然なエルフの青年がおりなす、優しくて深い愛と感動がぎゅーっと詰まった異世界ファンタジーBLです。 ※第一部は完結いたしました。ただいま第二部絶賛更新中です。

処理中です...