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10.最強の盾と最強の矛【前篇】
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異世界に放り込まれた玲音が最初に出会った第一村人(?)は、コンラットと名乗った。
正確には第一村人は勇者のようなそうじゃないような人物だったのだが、まともな会話じゃなかったからノーカウントにしたい、と玲音は無意識で排除していた。
しかも魔法伯という格好いい称号持ち。つまり魔法使いってことだろうとテンションが上がった玲音だったが、話しているうちに違和感がこみ上げてきた。
何だかやたら子供扱いされている。どうやら玲音を十歳ちょっとくらいだと思っているようだ。
……またか。ここでも子供扱いされるのか。
玲音は以前から平均より小柄で童顔寄りだったので、中学生に間違えられることは多かった。
こっちに来る時、あの神様は馴染める外見に変えてくれるって言ってたけど、感覚的に背の高さや身体の大きさは変わっていない気がする。
……せっかくサービスしてくれるって言ってたんだから、身長も伸ばして欲しいってお願いしとくんだった。最低でもあと二十センチは欲しかった……。
けど、せっかく誰も自分を知らない場所に来たのだから、黙り込んでないで言いたいことは言わなくては、と玲音は抗議した。
そうしたら予想外のことを言われてしまった。
「それじゃ、君の秘密を見たんだから、私を【鑑定】してごらん?」
そう言われて、この人の魔法とかスキルを聞かされていなかったと気づいた。
たしか、たいていの人は他人に見せたがらないって言ってたのにいいのかな。それに自分にも鑑定のスキルはあったけれど……。
玲音はそう思いながら自分より一回り大きなコンラットの手を取った。見よう見まねで呪文を唱えてみる。
コンラット・ルカス・ファン・フェルセン
魔法士、剣士
魔法属性、火、水、土、風
【回避、防御無効化付与】【攻撃必中付与】
【鑑定】【範囲攻撃】【複合魔法】【収納】【空間転移】
浮かび上がった文字を読み取って、玲音はまず、その文字の意味がわかることに驚いた。
さすが翻訳スキル……つまり自分が知りたいことは翻訳できるってことだろうか。
玲音のスキルが日本語だったのは、玲音には翻訳する必要がなかったかららしい。
コンラットのスキルはシンプルに攻撃特化型だった。
……味方には攻撃上げ支援、敵の防御は無効化? そして範囲攻撃。
それに魔法属性が四つ。デバフも付与しつつ相手の弱点を潰して攻撃してくるとしたらかなりえげつない。
「……もしかして、ものすごく強い魔法使いなんですか?」
「いやいや、ご覧の通り私には防御スキルが全然ない。そうなると相手の攻撃を受けたら即終了だよ。いわば君と真逆だ」
「え?」
たしかに防御上げのスキルは全くない。これは致命的な弱点になる。
「全然防御できないわけじゃない。今身につけている服には一応防御効果がある。ただし、敵の間合いに入ったら物理攻撃であっさりやられるだろう。それに、魔法が強すぎて味方まで巻き添えにしてしまう。だから今までは敵陣に瞬間移動して範囲魔法で全滅させていたんだ」
RPGでも魔法使いは後衛で離れた場所から攻撃するイメージが強いのに、この人は前衛アタッカーらしい。
つまり、防御がないから、やられる前にやれ、っていう感じ? その上魔法の攻撃力が強すぎるから、自ら敵につっこんで?
もしかして人質取られたりしていたから、やけっぱち起こしてたんじゃないの?
かなり危なっかしい戦法に思えて、玲音はどう答えていいのかわからなくなった。
「……それはそれで……すごいですね」
玲音と真逆。確かにそうかもしれない。
玲音のスキルが本当にあのとおりなら、玲音は攻撃を受けてもダメージを負うことはない。けれどいくら安全圏にいても自分から攻撃する手段はない。これだと囲まれたら身動き取れなくなるから詰みそうな気がする。
この人は絶大な攻撃力があって広範囲に魔法を使えても味方を巻き添えにしないために、防御力がないのに敵陣に突っ込んで自らを危険に晒す手段しかなかった。そんなことを繰り返していたらいずれ誘い込まれて攻撃を受ければ命に関わる。
どっちも万能じゃないってことだよね。攻撃と防御両方持ってる方がいい気がする。
「君のスキルを聞いて思いついたんだ。たとえば範囲魔法は味方が近くにいたら使えないけど、君なら側にいても巻き込まれて怪我することもないからバンバン使える。攻撃されても君の後ろに隠れたら大丈夫だし」
コンラットはそう言って笑う。
つまり盾役? 彼は防御能力が高くないから盾役が必要で、強力な範囲魔法を使っても僕なら巻き添えにならないから……? 確かに真逆なんだから組み合わせれば最強ということになる。
理屈の上では、だけど。
「レネ」
彼はそっと玲音の手を握ると両手でおし包むようにして顔を覗き込んでくる。
真剣な眼差しに玲音は戸惑った。
何このシチュエーション。この人は一体何がしたいの? っていうか近すぎる。イケメンの接近は心臓に悪い。
「あの……」
「だから君を口説いてるんだ。君が生活に慣れるまででいいから一緒にいてくれないだろうか?」
正確には第一村人は勇者のようなそうじゃないような人物だったのだが、まともな会話じゃなかったからノーカウントにしたい、と玲音は無意識で排除していた。
しかも魔法伯という格好いい称号持ち。つまり魔法使いってことだろうとテンションが上がった玲音だったが、話しているうちに違和感がこみ上げてきた。
何だかやたら子供扱いされている。どうやら玲音を十歳ちょっとくらいだと思っているようだ。
……またか。ここでも子供扱いされるのか。
玲音は以前から平均より小柄で童顔寄りだったので、中学生に間違えられることは多かった。
こっちに来る時、あの神様は馴染める外見に変えてくれるって言ってたけど、感覚的に背の高さや身体の大きさは変わっていない気がする。
……せっかくサービスしてくれるって言ってたんだから、身長も伸ばして欲しいってお願いしとくんだった。最低でもあと二十センチは欲しかった……。
けど、せっかく誰も自分を知らない場所に来たのだから、黙り込んでないで言いたいことは言わなくては、と玲音は抗議した。
そうしたら予想外のことを言われてしまった。
「それじゃ、君の秘密を見たんだから、私を【鑑定】してごらん?」
そう言われて、この人の魔法とかスキルを聞かされていなかったと気づいた。
たしか、たいていの人は他人に見せたがらないって言ってたのにいいのかな。それに自分にも鑑定のスキルはあったけれど……。
玲音はそう思いながら自分より一回り大きなコンラットの手を取った。見よう見まねで呪文を唱えてみる。
コンラット・ルカス・ファン・フェルセン
魔法士、剣士
魔法属性、火、水、土、風
【回避、防御無効化付与】【攻撃必中付与】
【鑑定】【範囲攻撃】【複合魔法】【収納】【空間転移】
浮かび上がった文字を読み取って、玲音はまず、その文字の意味がわかることに驚いた。
さすが翻訳スキル……つまり自分が知りたいことは翻訳できるってことだろうか。
玲音のスキルが日本語だったのは、玲音には翻訳する必要がなかったかららしい。
コンラットのスキルはシンプルに攻撃特化型だった。
……味方には攻撃上げ支援、敵の防御は無効化? そして範囲攻撃。
それに魔法属性が四つ。デバフも付与しつつ相手の弱点を潰して攻撃してくるとしたらかなりえげつない。
「……もしかして、ものすごく強い魔法使いなんですか?」
「いやいや、ご覧の通り私には防御スキルが全然ない。そうなると相手の攻撃を受けたら即終了だよ。いわば君と真逆だ」
「え?」
たしかに防御上げのスキルは全くない。これは致命的な弱点になる。
「全然防御できないわけじゃない。今身につけている服には一応防御効果がある。ただし、敵の間合いに入ったら物理攻撃であっさりやられるだろう。それに、魔法が強すぎて味方まで巻き添えにしてしまう。だから今までは敵陣に瞬間移動して範囲魔法で全滅させていたんだ」
RPGでも魔法使いは後衛で離れた場所から攻撃するイメージが強いのに、この人は前衛アタッカーらしい。
つまり、防御がないから、やられる前にやれ、っていう感じ? その上魔法の攻撃力が強すぎるから、自ら敵につっこんで?
もしかして人質取られたりしていたから、やけっぱち起こしてたんじゃないの?
かなり危なっかしい戦法に思えて、玲音はどう答えていいのかわからなくなった。
「……それはそれで……すごいですね」
玲音と真逆。確かにそうかもしれない。
玲音のスキルが本当にあのとおりなら、玲音は攻撃を受けてもダメージを負うことはない。けれどいくら安全圏にいても自分から攻撃する手段はない。これだと囲まれたら身動き取れなくなるから詰みそうな気がする。
この人は絶大な攻撃力があって広範囲に魔法を使えても味方を巻き添えにしないために、防御力がないのに敵陣に突っ込んで自らを危険に晒す手段しかなかった。そんなことを繰り返していたらいずれ誘い込まれて攻撃を受ければ命に関わる。
どっちも万能じゃないってことだよね。攻撃と防御両方持ってる方がいい気がする。
「君のスキルを聞いて思いついたんだ。たとえば範囲魔法は味方が近くにいたら使えないけど、君なら側にいても巻き込まれて怪我することもないからバンバン使える。攻撃されても君の後ろに隠れたら大丈夫だし」
コンラットはそう言って笑う。
つまり盾役? 彼は防御能力が高くないから盾役が必要で、強力な範囲魔法を使っても僕なら巻き添えにならないから……? 確かに真逆なんだから組み合わせれば最強ということになる。
理屈の上では、だけど。
「レネ」
彼はそっと玲音の手を握ると両手でおし包むようにして顔を覗き込んでくる。
真剣な眼差しに玲音は戸惑った。
何このシチュエーション。この人は一体何がしたいの? っていうか近すぎる。イケメンの接近は心臓に悪い。
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