空から来ましたが、僕は天使ではありません！

6．僕のステータス、高すぎ？【後篇】

「……異世界からこの世界に送られた……？　神様に？」
　コンラットは超絶大雑把な説明に首を傾げた。
「他にはそういう人いないんですか？」
「いや、たしか、古い書物に『まろうど』という伝承がある。この世界のことを何一つ知らない迷い子のような人物。貴重な力を持ちこの世界に益をもたらした、とも言われるが、実在した人物かどうかは知らない」
「まろうど……？」
　突然現れて益をもたらす……それってラノベとかでよくある異世界チートってやつでは？　何かの専門職だったのならまだしも、僕にはそんな持ち合わせはないのだけど。
　ってことは僕より前に神様がやらかしてアフターサービスでこっちに来た人がいたんだろうか……。うわあ、同情を禁じ得ない。

「すまないが、君の能力を鑑定してもいいだろうか？　もちろん拒んでもいい」
　コンラットは躊躇いがちにそう問いかけてきた。
「鑑定……？　能力とかを調べるんですか？　何にもないと思いますからいいですけど」
「……あっさり言うな。大概の人は嫌がるぞ？」
　え？　嫌がるようなこと言ってたの？　でも、手の内見られるのは確かに人によっては嫌がるかもしれない。でも、信用してもらいたいからここで断る理由はないよね。
「たしかに、プライバシーの侵害に敏感な人は一定数いますからね」
「ぷらい？　まあいい、それじゃ手を出して」
　言われるまま手のひらを差し出すと、コンラットの長い指がそこに何かの図形を描いた。
「偽りなき姿を見せよ、【鑑定】」
　その言葉と同時に手のひらの上にゲームのステータス画面のような文字が浮かび上がってきた。ただし、日本語で。
　……異世界言語対応ではなかったらしい。

早島玲音
魔法属性、光、水。
【漢検二級】【英検準二級】【会計簿記三級】
【神々の庇護】【鉄壁の聖者】
【絶対防御】【鑑定】【治癒】【魔法・毒・呪い無効】【物理攻撃無効】【浄化・解呪】
【攻撃全反射（十倍返し）】
悪意ある攻撃はボーナスとしてさらに二倍返し。
【翻訳】【肉体強化】
以降さらに追加予定。COMING SOON！！　今後のバージョンアップに乞うご期待。

　意味がわからない……なんじゃこれは……。っていうか、漢検ってスキルなのか？　バージョンアップって何？　COMING SOONじゃないだろ。
　突っ込み所満載すぎて、玲音は混乱した。
　絶対防御、まずこれが垂直落下しても無事だった理由だろうか。ドラゴンは巻き添えになってダメージ受けたけど、僕は防御のおかげで助かった……とか？
　ええと……攻撃反射十倍返しって、やられた分は十倍で返す、さらに悪意があったらその二倍……二十倍？　そんなの過剰防衛では？　非人道的すぎない？
　しかも物理攻撃魔法無効って……攻撃が一切効かないんじゃないか。
　こんなのゲームのラスボスに来たら苦情殺到ってスキルだよ。
　えーと、これどうすればいいんだろう。正直に申告したらますます怪しまれそう。
　というか、これ、この人は読めるのかな？
　玲音はそう思いながら、途方に暮れたような顔をしている魔法伯コンラットの顔をそろそろと見上げた。