上 下
23 / 38

22

しおりを挟む
 翌朝、サシャとジュールは昨日の礼拝堂まで瞬間移動で戻ってきた。

 王宮内部に幻術の仕掛けを施すために。

 王宮の一角にある礼拝堂からは中央宮殿はさほど遠くない。王族が行事のたびに礼拝に訪れるためだ。

「王宮の中にも小さい礼拝堂がある。毎日の礼拝はそっちでやってるから、頻繁じゃないけどね」

 幻術で姿が見えないようにしてから、堂々と王宮の中を歩いてはいるものの、声までは消せないので会話は周囲を見ながらの小声だった

 庭を横切りながらジュールは溜め息をついた。美しく線対称に整えられた庭園は、見る影もない。明らかに色がちぐはぐな花が適当に植えられて、枯れたまま放置されている木もある。掃除も行き届いていない。



 朝食の時、宿の主人から聞いた話だと、王宮の使用人や官僚は大公の強引な政策や身内びいきの横槍に疲れていて、優秀な者から次々と辞めてしまっているらしい。

 幽霊が出るという噂と前後して、もうじきティエリー王子が王都に攻め込んでくるという話もある。戦場になるかもしれない場所にはいられないと、王宮を去る者が後を絶たないという。



 本来なら使用人が忙しく朝の準備をしている時間だというのに、王宮は静まり返っている。

「もしかして姿を消さなくてもよかったかも」

 思わずジュールがそう口にするほどあっさりと二人は王族の住居区画に入ることができた。王の寝室の扉を前にして、サシャが問いかけてくる。

「中にいるようですよ? 来たついでに一発殴ってきますか?」

「嫌だね。美しくないものをぶん殴ったら手が汚れる」

 ジュールはそう返して幻術を仕掛けていく。大公をぶん殴るのは自分ではなくこの先この国を担うティエリーたちの役目だ。

 術者によってやり方は違うのかもしれないが、ジュールの場合幻術を覚え込ませた媒体を置いて、発動条件を設定する。

 短時間の幻術なら小石でいいが、長期間や繰り返しともなると金属を使う。幸い王宮内は金属でできた燭台や金箔をあしらった調度などに事欠かない。

 仕掛けを終えてさあ帰ろうかと思った途端に、中からベルの音がした。

 どうやら大公が使用人を呼んでいるらしい。本来なら部屋の隅か隣の間に控えているはずなのに、しつこく音がしているところを見ると誰も現れていないようだ。

 怒鳴り声が聞こえてくるが、誰も側にいないことに気づいたらしく、何かを放り投げるような音が響いた。

 聞き取れたのは朝食はまだか、という言葉だった。

 久しぶりに聞いた叔父の声がそんな内容では、まったく感動はなかった。

「やれやれ。かんしゃくを起こして物に当たってるようですね」

「息子が人質に取られているわりには食欲があるようだね」

 大公からすれば、軍を率いて反大公派の逆賊を捕らえるくらい誰でもできる簡単な仕事だと思っていたのだろう。だから息子に手柄を与えようとスーリに派遣したのだ。

 それで大々的に反逆者を捕らえて自分の権力を誇示しようと思っていたのに、馬鹿息子は街に火をかけて街全体の反感を呼んでしまった。さらには周辺の領主たちもスーリの事態を見て大公への不信が高まっている。

 それに、スーリから追われて王都に戻された国軍の兵士たちから事情を聞いて、国軍の士気も下がっているはずだ。誰だって罪のない人々の家に火をつけろと命じられたくはない。

 無能な自分の取り巻きに内政を任せたのだから政策もことごとく上手くいってない。

 大公が苛立っているのは間違いない。

 いや、苛立っているのではない。怯えているんだ。

 ジュールはそう思った。

 元々大公は小心者で、あれこれ不満を口にしても絶対勝てる相手にしか喧嘩を売らない人だった。

「できれば内乱には持ち込みたくないんだけどな」

 同国人同士で戦うことになれば、国としての損害や人的被害も大きい。しかも戦わされるのは命じられれば逆らえない末端の兵士たちだ。

 ジュールはそう呟いて、ふと目の前を横切った人物に気づいた。

「……今の、アンベールだ」

「え?」

 行方をくらましていた元宰相アンベール・バタイユ。彼は王宮近くにいると思っていた。

 王宮の中も人が入れ替わっているとはいえ、彼が堂々とお仕着せを着て使用人に混ざっているとは。

 ……王宮の警備、穴だらけじゃないか。



「アンベール。こんな所にいたのか」

 声をかけると、相手はびくりと顔を上げて周囲を見回した。ああそうか、幻術をかけたままだからこちらが見えないんだ、と気づいた。

「このまま真っ直ぐ歩いて、人のいないところで話そう」

 そう告げると、彼は目線をどこにやっていいのか困っている様子で歩き出した。

 建物の陰になる場所でジュールが幻術を解くと、二人を見たアンベールは驚いたように目を瞠った。

「あなたがた……どうやってここに。ああ、そうか魔法使いでしたね。あなた方も幻術を使うんだ」

「ここで何をするつもりなのか、教えてもらえないかな? ギャスパルは近いうちに名乗りを上げる。あなたの企みが彼の未来を妨げるものではないのならいいのだけれど」

 他の元臣下たちと違うのはアンベールは大公を倒すことだけが目的だ。その後誰が王座に就こうが関係ないと考えている節がある。

 ……つまりは仇討ちがしたいだけ。手段を選ばなくなったら、大公と同じじゃないか。

「……私はただあの方のために大公を倒したいだけです。できることならあの男にも火刑の苦しみを思い知らせたい。もしくは死んだ方がマシなくらいの屈辱を」

 アンベールは少し疲れたようにそう呟いた。

「あなた方はそれができる力がありながら、殿下に仕える訳ではないと言った。なのにどうしてこんな所にいるんですか。私にもしあなた方のような力があれば……」

 その続きは聞かなくてもわかったのだろう。サシャが穏やかに告げた。

「大公を殺すのに魔法を使えば簡単かもしれませんけど、それでは新しい王は魔法頼りで何もできないと思われてしまうのではありませんか? 人々から見たら魔法も禁呪も似たようなものです。ジュールは王子殿下にそのような悪い印象を与えたくなかったのですよ」

 アンベールは平民上がりの官僚から、フェルナンが宰相に抜擢した。セブランのように貴族の後ろ盾もなければ、ラザール将軍のように彼自身が何かの力を持っている訳ではない。その不甲斐なさからティエリーたちと距離を取っていたのかもしれない。

 それでも仲間を集めてスーリに国軍をおびき出した手腕は彼の本領だ。その才能を復讐だけで使い潰して欲しくないとジュールは思った。

 そもそも、僕は火刑って言ってもほとんど覚えてないから気にしなくていいのに。

「……アンベール。僕たちは王子殿下に仕えることはしないけど、味方はするつもりだ。ただ、前面に出ることは避けたい。だから協力してもらえないかな?」

 他の元臣下には打ち明けたけれど、アンベールはまだジュールがフェルナンだということを知らない。

「協力ですか?」

「そう。僕たちは『レオナールの小部屋』を調べに行く。大公を追い落とすための情報が手に入ったら、裏付けを頼みたい」

 サシャがその言葉に戸惑ったのがわかった。アンベールも顔色を変える。

 それもそのはず、『レオナールの小部屋』というのはこの王宮のどこかにある隠し部屋の隠語だ。まことしやかに存在は噂されていても、誰もその部屋の場所を知らない。

 それは王冠が伝える秘密の一つであり、国王にしか知らされないのだ。

 代々国王が日記や私的なものを保管している場所であり、表沙汰にできない内容の文書も置かれている。

「……あなた方は何者なのですか。賢者とはいえあの部屋を調べられるはずがない」

 ジュールはそれを聞いてふっと微笑んだ。

「あいかわらず君は頭が堅い。砂漠の石頭トカゲといい勝負だ」

 はっきりとアンベールが表情を変えた。驚きのあまり何も言えない様子でジュールを凝視する。

 それからよろよろと膝をついてジュールの顔を見上げる。その目に崇拝するような熱を感じてジュールは後ずさりしたくなった。

 そうだった。アンベールは『フェルナン王大好き四天王』の一人だった。

「……まさか。あなた様は……」

「長話はできないから、詳しいことは後で話そう。若駒亭という宿屋に泊まっているから」

 久しぶりに見た熱烈崇拝気味のアンベールの目線に耐えかねて、ジュールはそう言ってサシャに宿へ瞬間移動するように目配せした。



 アンベールに石頭トカゲというあだ名をつけたのはフェルナン王だった。図鑑で砂漠地方で騎獣として使われるというオオトカゲが頭でっかちで堅そうだったのを見て、時々頑なになるアンベールを揶揄してそう呼んだ。

 けれど、本人は意味が通じているのかいないのか、嬉しそうにこう言った。

『陛下直々にいただいた名前ですから、大事にしたいと思います』

 皮肉のつもりだったフェルナンは拍子抜けして、以来アンベールに新たなあだ名をくれてやるのをやめた。叱ってもからかっても何をやっても相手の喜悦になってしまうのではこちらの方が疲れる。



「……聞きしに勝る崇拝ぶりですね。あなたが最後まで打ち明けなかった理由がわかった気がします」

 宿の部屋に戻ると、サシャは困惑した様子でそう言った。とりあえず、アンベールが訪ねてくることを宿の主人には伝えておいた。

「それで、『レオナールの小部屋』というのは何なのですか?」

「端的に言うと、王が一人になりたいときの部屋。五代前の王がこっそり作ったとか。誰にも邪魔されたくない時間が欲しかったらしい」

「……はあ」

 サシャと暢気に二人で暮らしているうちに、王族として育ったフェルナンの今までの暮らしは普通ではなかったことに気づかされた。

 王宮では絶えず誰かが側にいた。使用人や侍従、侍女や護衛兵。着替えや入浴ですらそうだった。息苦しく思うことがあってもそれを気にしていたら生活できないだろう。

 フェルナンから数えて五代前の国王レオナールは王子時代に軍で名をはせた奔放な人物だった。王宮の暮らしに馴染めなかった。それでお籠もりしたい国王のための部屋を作った。

 その存在は噂になっていても、誰も見つけ出すことはできない。王がその部屋に入るところを見た人もいない。

「あなたは入ったことがあるんですか?」

「あるよ」

「……処刑されるまえにそこに逃げ込めばよかったのでは?」

「いや、流石に籠城できるような設備はないよ。長期間籠もって仕事をさぼらないようにするためか、長居はできない仕掛けになってた」

 それに大公も王族なのだから部屋の存在はいくらか知っている。だからあの時はあの部屋を選択肢には入れなかった。

「……その部屋には何があるんです?」

「卑猥な裸婦画の蒐集から、王の女性遍歴武勇伝、あげくには王妃や周りに対する愚痴記録……国王も人間だって確信できる品揃えだよ。初めて入ったのは即位直後の十八歳かそこらのころだったから、いろいろ衝撃的だった。ティエリーにはもうちょっと大人になってから入るのを薦めたいね」

「まったく。教育上よろしくありませんね」

「ただ、そこにお祖父様の日記があったんだ。全部読んだわけではないけど、お祖父様は几帳面な人で、毎日日記をつけていた。女性とのあれこれも。大公の過去の言動もおそらく残っているはずだから、いいネタはありそうな気がする」

 先々代国王だったフェルナンの祖父。書き物をするのが好きだったらしく、執務の片手間で辞書を自ら編纂するような人だった。

 日記も内容がとても細かくて、当時のフェルナンはすぐに飽きてしまった。

 今になってそれが必要になるとは思いもせず。

「祖父の末の妹がエリア王国に嫁いでいた。僕が生まれた頃にはすでに亡くなったとは聞いていたけれど、子供を一人残している。それがエリア国王となって、子供が三人いたはずだ。末の王子の名前がたしか、ユリアーン……だったような気がする。それを確かめたい」

「まさか……この身体はあなたの親族だったのですか?」

「そうでなかったら、あの地下通路の扉が簡単に開くはずがないんだ」

 王族の血に反応する魔法装置が仕掛けられている扉。ジュールはサシャの魔法で壊してもらおうと目論んでいた。なのに、触れたらあっさりと開いてしまった。

 エリア王国は何度も政略結婚が行われていたから、傍系王族に近い存在だった。

 おそらくユリアーンは国から逃げる途中で従者とも離れてしまったのだろう。たった一人移民団に混ざってこの国を目指して来たのに、病で亡くなってしまった。

 その遺体がまさか、通りがかったサシャの手に渡るとはどういう巡り合わせなのか。

「だから、ちゃんと確かめてから、いつかエリア王国も訪ねてみたい」

 今は他国の版図になってしまったユリアーンの祖国。

「そうですね。お礼を伝えるためにも行きましょう」

 サシャはそう言ってジュールの額に口づけをくれた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

銀の森の蛇神と今宵も眠れぬ眠り姫

哀木ストリーム
BL
小さな国に、ある日降りかかった厄災。 誰もが悪夢に包まれると諦めた矢先、年若い魔法使いがその身を犠牲にして、国を守った。 彼は、死に直面する大きな魔法を使った瞬間に、神の使いである白蛇に守られ二十年もの間、深い眠りに付く。 そして二十年が過ぎ、目を覚ますと王子は自分より年上になっていて、隣国の王女と婚約していた。恋人さえ結婚している。 そんな彼を大人になった王子は押し倒す。 「俺に女の抱き方教えてよ」 抗うことも、受け止めることもできない。 それでも、守ると決めた王子だから。 今宵も私は、王子に身体を差し出す。 満月が落ちてきそうな夜、淡い光で照らされた、細くしなやかで美しいその身体に、ねっとりと捲きつくと、蛇は言う。 『あの時の様な厄災がまた来る。その身を捧げたならば、この国を、――王子を助けてやろう』 ユグラ国第一王子 アレイスター=フラメル(愛称:サフォー)(28) × 見習い魔術師 シアン = ハルネス(22)

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

空から来ましたが、僕は天使ではありません!

蕾白
BL
早島玲音(はやしま・れね)は神様側のうっかりミスで事故死したことにされてしまった。 お詫びに残った寿命の分異世界で幸せになってね、と言われ転生するも、そこはドラゴン対勇者(?)のバトル最中の戦場で……。 彼を気に入ってサポートしてくれたのはフェルセン魔法伯コンラット。彼は実は不遇の身で祖国を捨てて一念発起する仲間を求めていた。コンラットの押しに負けて同行することにしたものの、コンラットの出自や玲音が神様からのアフターサービスでもらったスキルのせいで、道中は騒動続きに。 彼の幸せ転生ライフは訪れるのか? コメディベースの冒険ファンタジーです。 玲音視点のときは「玲音」表記、コンラット視点のときは「レネ」になってますが同一人物です。 2023/11/25 コンラットからのレネ(玲音)の呼び方にブレがあったので数カ所訂正しました。申し訳ありません。

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

傷だらけの僕は空をみる

猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。 生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。 諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。 身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。 ハッピーエンドです。 若干の胸くそが出てきます。 ちょっと痛い表現出てくるかもです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

処理中です...