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「……何があっても、僕はサシャの側にいる。だから、ヤケになるなよ」
サシャはジュールの言葉にかつて母から似たような事を言われたと思い出した。
『サシャはきっとすごい人になれるよ。いつか大人になったら苛めた奴らが後悔するような立派な人になるよ。だから一時の怒りに我を忘れてはだめよ』
「あなたはどこまでご存じなのですか?」
ベッドの上で細い身体を組み敷いて、サシャは問いかけた。
……ここまでしても、この人を捕らえられたとは思えない。
ジュールは自分の事は「ただの見かけだけのハリボテの王」だと言う。卑下や謙遜ではなく客観的な事実を述べるような口調で。
ただの見かけだけの人が、十八歳で一国の王になって怯むことも浮かれることもなく淡々と政治を行えるだろうか。しかも彼自身には王座に執着など欠片もなく、甥が成人したら王位を譲るつもりだったのだ。凡人や欲にまみれた人間にできることではない。
サシャの問いにジュールはふわりと笑った。
「さあね。けど、サシャは時々僕以外の人間はどうでもいい、って顔をするから。僕がいなくなったら人間辞めちゃいそうだ」
「そうですね。五年前あなたを救い出せなかったら、そうなっていたかもしれません」
「……さらっと肯定するか? どんだけ僕のこと好きなんだ?」
サシャはその問いに正しい答えが出来る気がしなかった。
「次にあなたが死ぬ時がきたら、一緒に逝きたいと望むくらいでしょうか」
「うわー……重すぎるな……。死なないように頑張るよ」
ジュールもあの術はもう彼に使えないことを知っている。
「そうしてください」
そう言ってサシャはジュールの唇にキスで触れる。今も変わらず彼の魂は美しい光を湛えている。サシャにとって顔も年齢も違う姿であることはどうでも良かった。
この美しい魂に自分の側にいて欲しいだけ。
そっとジュールの衣服に手をかける。けれど、その手がどうしても先に進まない。
ほんの少し手を動かせば、その肌に触れることができる。そうして、その奥底まで自分の情欲を……。なのに。
それを望んでいいのだろうか。彼の美しい魂に自分は……触れてもいいのだろうか。
自分と同じ色の瞳がこちらをじっと見上げていた。
「甘やかしてくれって言ったの、そっちだろう? 僕が本当は何歳だと思ってる? 遠慮しなくていい」
彼は口元に笑みすら浮かべている。きっと強引に寝室に連れ込んだ時、彼はサシャが何を望んでいるかもわかっていたのだ。なのに、逃げようとはしなかった。
「ジュール……。いいのですか?」
「嫌なら最初にキスされた時点でぶん殴ってる。十歳の子供に舌入れてくるとかとんでもない奴だとは思ったけど」
ジュールは決意したように身を起こして、衣服を脱ぎ始めた。
肌を伝い落ちる長い銀色の髪が明るい陽光に煌めいている。白く華奢な身体はいくら太らせようと食べさせても結局平均より細いままだ。
きめの細かい肌が露わになる様にサシャは息を呑んで動けなかった。
フェルナン王とは似ても似つかない姿なのに、その魂を宿したことでジュールもまた美しく成長した。まるで冬の雪原に降り注ぐ陽光のように。
「……サシャ。欲しいものはちゃんと言わないと。何が欲しい?」
ジュールはそう言って両手をサシャの頬に当てて口づける。誘うようにこちらをこじ開けて忍び込んで来る舌は熱くて、サシャの理性を溶かしてしまう。
サシャは恐る恐るその背中に手を回して、触れた素肌を愛おしく撫でた。
「……あなたが全部欲しいです。その魂も存在も……全て」
「いい子だ」
ジュールが髪を撫でて子供をあやすような口調で囁いた。
自分には過ぎた望みだから、口にしなかった欲。もしそうしてしまったらこの美しい魂を傷つけて汚してしまわないかと思っていた。
……だって、「すごい人」にはまだなれていないから……。
* * *
魔力というのは、人によってちがう。サシャの魔力は全属性で人並み以上強いけれど、突出しているのは闇魔法だ。重力操作や空間操作を得意にしている。人の欲望を具現化させる方向の魔法が多いために、悪魔との相性がいい。
ジュールの魔力は光魔法に特化している。光魔法は闇魔法と対で、それを打ち消すことができる。反発し合うというより混ざり合うことで無効化される感覚だろうか。
そのせいかサシャに触れられるとするりと溶け合うような感覚に襲われる。
思わせぶりにベッドにまで連れ込んでおいて、手を出さない様子にじれったくなって、ジュールは自分から誘惑しようと試みた。強引かと思えば最後の瀬戸際で迷っているあたりが、サシャもまだ若いのだと可愛らしく思えてきた。
自分からするとまったく色香はなかったが、これでも頑張ったつもりだった。
……サシャは手のかからない子供のようだ。自分のわがままを口にしたら嫌われると怖がっているような。
『……サシャ。欲しいものはちゃんと言わないと』
男同士の行為のことは知っていたけれど、今までしたい望んだことはなかった。誰かにそうしたいともそうされたいとも思った事はない。恋愛事には総じて淡泊だったし、行事や仕事以外で人とつきあうことはあまりなかった。
だから、わかっているつもりだったが、経験は全くなかった。
目の前でサシャが衣服を脱ぎ捨てるのをぼんやり見ながら、魔法使いって身体を鍛えるんだな、と思うほど彼は均整の取れた筋肉質の肉体を持っている。浅黒い肌の表面には幼少時に受けたらしい傷がうっすらとまだ残っている。
額にも大きな引き攣ったような古傷があるが、これも誰かに暴行されたんだろうか。今までそれを訊ねたことはなかった。
「……前から訊こうと思ってたけど、その傷は?」
「ああ。これは幼い頃のものらしくて。私はおぼえてないんです。母は転んで怪我をしたんだと言っていました」
サシャはそう言いながらジュールを再びベッドに押し倒す。
「あなたの気持ちがいい場所を教えて下さい」
「……そんなの、初めてだからわからない」
そう答えるとサシャが目を瞬かせた。
「本当に初めてなんですか? 誰とも?」
自分は今まで恋をしたことも、誰かとつきあったこともない。そんな余裕なかったのだ。もしかして、サシャはそれを信じ切れてなかったのかもしれない。
確かに口説かれたことはあるけど、身体を許したことはない。
「今まで言わなかったっけ?」
サシャはそれを聞いて、ジュールに覆い被さってきて唇を重ねる。吐息さえも捕らえるような口づけはいつもより激しくて、堪えきれなくなってジュールが思わずサシャの腕を掴むまで終わらなかった。
「……嬉しいです。あなたの初めてになれて」
あちこちに口づけながら、手のひらを胸元や大腿の内側に滑らせる。柔らかい部分を揉むようにされるとじわじわと身体が熱を帯びる。
こんな触られ方したことがない。
今までサシャに身体を触れられたことはあるけれど、こんな情欲を煽るような感じではなかった。ジュールが反応するたびに、そこを執拗に触れられて、きつく目を伏せていたら涙がこぼれそうなくらい昂ぶっていた。
「あ……そこ……」
胸のわずかに色づいた部分を舌で転がされると、くすぐったいような堪えきれない感覚に身体が反応する。甘い痺れが背中を這い上がってくる。
「ここが好きですか?」
「わからない……そこ……ゾクゾクするから……」
脚の間にサシャの脚が忍び込んで来て、素肌が触れあう感触だけでさらに熱が上がる。誰かとこうして肌を重ねるのは初めてで、どうしたらいいのかわからない。
「サシャ……やだ……身体が……ああっ」
この身体はまだ幼い分敏感だ。与えられた刺激が頭を痺れさせる。吐息も乱れて自分の漏らす声が甘えた喘ぎにしか聞こえない。
幼い中心は触れられていないのにきつく張り詰めてしまっている。そこにサシャの手が触れる。
「……ああ、可哀想に。ここも可愛がって差し上げますね」
乳首への愛撫も続いているのに、更に中心を扱かれてジュールは悲鳴を上げそうになる。
だめだ、この身体どこを触られてもおかしくなる。
「待って……そんなの……両方は……ああっ……」
頭の中が灼き切れたように未成熟な身体は追い詰められてあっけなく達してしまった。
息を整えている間、サシャが自分の手のひらを見つめているのに気づいた。
「サシャ……?」
「いえ、ジュールも大人の身体になっていると思うと、手を洗うのがもったいないなと」
「感動するとこじゃないから。さっさと洗って。見なくていいから」
何が楽しくて人が放ったものを愛おしげに眺めているんだ。と思っていたらサシャはあろうことかその手に口を付けている。
「やめろ。何してるんだ」
「美味しいですよ」
サシャはにこやかに微笑んでいる。
「嘘吐け」
羞恥でいたたまれなくなったジュールが背を向けると、背後から囁かれた。
「本当ですよ。あんなに可愛らしいあなたがくださったものですから」
耳を揺らす声にさっきまでの甘い痺れが蘇る。サシャの手が腰から密やかな谷間をなぞってきた。
「ジュール。私をあなたの中に迎え入れて下さいますか?」
サシャはそこで繋がるつもりなのか、とぼんやりジュールは思った。その時指がジュールの最奥に挿し入れられた。
「っ……痛っ……」
慣れない感覚に身体が強ばりそうになる。緩やかに押し広げるように深く入り込んできた指に耐えながら、ジュールはサシャの顔を背中越しに見た。ジュールの反応に不安になっているのか、じっとこちらを見つめている。
そんな心配そうな顔しなくていいのに。こっちは前から覚悟だけはしていたのに。
だからジュールは強気に笑いかけた。
「来れば? おもてなしは期待しないでほしいけど」
……何しろこちらは初心者なんだから。
サシャはジュールの言葉にかつて母から似たような事を言われたと思い出した。
『サシャはきっとすごい人になれるよ。いつか大人になったら苛めた奴らが後悔するような立派な人になるよ。だから一時の怒りに我を忘れてはだめよ』
「あなたはどこまでご存じなのですか?」
ベッドの上で細い身体を組み敷いて、サシャは問いかけた。
……ここまでしても、この人を捕らえられたとは思えない。
ジュールは自分の事は「ただの見かけだけのハリボテの王」だと言う。卑下や謙遜ではなく客観的な事実を述べるような口調で。
ただの見かけだけの人が、十八歳で一国の王になって怯むことも浮かれることもなく淡々と政治を行えるだろうか。しかも彼自身には王座に執着など欠片もなく、甥が成人したら王位を譲るつもりだったのだ。凡人や欲にまみれた人間にできることではない。
サシャの問いにジュールはふわりと笑った。
「さあね。けど、サシャは時々僕以外の人間はどうでもいい、って顔をするから。僕がいなくなったら人間辞めちゃいそうだ」
「そうですね。五年前あなたを救い出せなかったら、そうなっていたかもしれません」
「……さらっと肯定するか? どんだけ僕のこと好きなんだ?」
サシャはその問いに正しい答えが出来る気がしなかった。
「次にあなたが死ぬ時がきたら、一緒に逝きたいと望むくらいでしょうか」
「うわー……重すぎるな……。死なないように頑張るよ」
ジュールもあの術はもう彼に使えないことを知っている。
「そうしてください」
そう言ってサシャはジュールの唇にキスで触れる。今も変わらず彼の魂は美しい光を湛えている。サシャにとって顔も年齢も違う姿であることはどうでも良かった。
この美しい魂に自分の側にいて欲しいだけ。
そっとジュールの衣服に手をかける。けれど、その手がどうしても先に進まない。
ほんの少し手を動かせば、その肌に触れることができる。そうして、その奥底まで自分の情欲を……。なのに。
それを望んでいいのだろうか。彼の美しい魂に自分は……触れてもいいのだろうか。
自分と同じ色の瞳がこちらをじっと見上げていた。
「甘やかしてくれって言ったの、そっちだろう? 僕が本当は何歳だと思ってる? 遠慮しなくていい」
彼は口元に笑みすら浮かべている。きっと強引に寝室に連れ込んだ時、彼はサシャが何を望んでいるかもわかっていたのだ。なのに、逃げようとはしなかった。
「ジュール……。いいのですか?」
「嫌なら最初にキスされた時点でぶん殴ってる。十歳の子供に舌入れてくるとかとんでもない奴だとは思ったけど」
ジュールは決意したように身を起こして、衣服を脱ぎ始めた。
肌を伝い落ちる長い銀色の髪が明るい陽光に煌めいている。白く華奢な身体はいくら太らせようと食べさせても結局平均より細いままだ。
きめの細かい肌が露わになる様にサシャは息を呑んで動けなかった。
フェルナン王とは似ても似つかない姿なのに、その魂を宿したことでジュールもまた美しく成長した。まるで冬の雪原に降り注ぐ陽光のように。
「……サシャ。欲しいものはちゃんと言わないと。何が欲しい?」
ジュールはそう言って両手をサシャの頬に当てて口づける。誘うようにこちらをこじ開けて忍び込んで来る舌は熱くて、サシャの理性を溶かしてしまう。
サシャは恐る恐るその背中に手を回して、触れた素肌を愛おしく撫でた。
「……あなたが全部欲しいです。その魂も存在も……全て」
「いい子だ」
ジュールが髪を撫でて子供をあやすような口調で囁いた。
自分には過ぎた望みだから、口にしなかった欲。もしそうしてしまったらこの美しい魂を傷つけて汚してしまわないかと思っていた。
……だって、「すごい人」にはまだなれていないから……。
* * *
魔力というのは、人によってちがう。サシャの魔力は全属性で人並み以上強いけれど、突出しているのは闇魔法だ。重力操作や空間操作を得意にしている。人の欲望を具現化させる方向の魔法が多いために、悪魔との相性がいい。
ジュールの魔力は光魔法に特化している。光魔法は闇魔法と対で、それを打ち消すことができる。反発し合うというより混ざり合うことで無効化される感覚だろうか。
そのせいかサシャに触れられるとするりと溶け合うような感覚に襲われる。
思わせぶりにベッドにまで連れ込んでおいて、手を出さない様子にじれったくなって、ジュールは自分から誘惑しようと試みた。強引かと思えば最後の瀬戸際で迷っているあたりが、サシャもまだ若いのだと可愛らしく思えてきた。
自分からするとまったく色香はなかったが、これでも頑張ったつもりだった。
……サシャは手のかからない子供のようだ。自分のわがままを口にしたら嫌われると怖がっているような。
『……サシャ。欲しいものはちゃんと言わないと』
男同士の行為のことは知っていたけれど、今までしたい望んだことはなかった。誰かにそうしたいともそうされたいとも思った事はない。恋愛事には総じて淡泊だったし、行事や仕事以外で人とつきあうことはあまりなかった。
だから、わかっているつもりだったが、経験は全くなかった。
目の前でサシャが衣服を脱ぎ捨てるのをぼんやり見ながら、魔法使いって身体を鍛えるんだな、と思うほど彼は均整の取れた筋肉質の肉体を持っている。浅黒い肌の表面には幼少時に受けたらしい傷がうっすらとまだ残っている。
額にも大きな引き攣ったような古傷があるが、これも誰かに暴行されたんだろうか。今までそれを訊ねたことはなかった。
「……前から訊こうと思ってたけど、その傷は?」
「ああ。これは幼い頃のものらしくて。私はおぼえてないんです。母は転んで怪我をしたんだと言っていました」
サシャはそう言いながらジュールを再びベッドに押し倒す。
「あなたの気持ちがいい場所を教えて下さい」
「……そんなの、初めてだからわからない」
そう答えるとサシャが目を瞬かせた。
「本当に初めてなんですか? 誰とも?」
自分は今まで恋をしたことも、誰かとつきあったこともない。そんな余裕なかったのだ。もしかして、サシャはそれを信じ切れてなかったのかもしれない。
確かに口説かれたことはあるけど、身体を許したことはない。
「今まで言わなかったっけ?」
サシャはそれを聞いて、ジュールに覆い被さってきて唇を重ねる。吐息さえも捕らえるような口づけはいつもより激しくて、堪えきれなくなってジュールが思わずサシャの腕を掴むまで終わらなかった。
「……嬉しいです。あなたの初めてになれて」
あちこちに口づけながら、手のひらを胸元や大腿の内側に滑らせる。柔らかい部分を揉むようにされるとじわじわと身体が熱を帯びる。
こんな触られ方したことがない。
今までサシャに身体を触れられたことはあるけれど、こんな情欲を煽るような感じではなかった。ジュールが反応するたびに、そこを執拗に触れられて、きつく目を伏せていたら涙がこぼれそうなくらい昂ぶっていた。
「あ……そこ……」
胸のわずかに色づいた部分を舌で転がされると、くすぐったいような堪えきれない感覚に身体が反応する。甘い痺れが背中を這い上がってくる。
「ここが好きですか?」
「わからない……そこ……ゾクゾクするから……」
脚の間にサシャの脚が忍び込んで来て、素肌が触れあう感触だけでさらに熱が上がる。誰かとこうして肌を重ねるのは初めてで、どうしたらいいのかわからない。
「サシャ……やだ……身体が……ああっ」
この身体はまだ幼い分敏感だ。与えられた刺激が頭を痺れさせる。吐息も乱れて自分の漏らす声が甘えた喘ぎにしか聞こえない。
幼い中心は触れられていないのにきつく張り詰めてしまっている。そこにサシャの手が触れる。
「……ああ、可哀想に。ここも可愛がって差し上げますね」
乳首への愛撫も続いているのに、更に中心を扱かれてジュールは悲鳴を上げそうになる。
だめだ、この身体どこを触られてもおかしくなる。
「待って……そんなの……両方は……ああっ……」
頭の中が灼き切れたように未成熟な身体は追い詰められてあっけなく達してしまった。
息を整えている間、サシャが自分の手のひらを見つめているのに気づいた。
「サシャ……?」
「いえ、ジュールも大人の身体になっていると思うと、手を洗うのがもったいないなと」
「感動するとこじゃないから。さっさと洗って。見なくていいから」
何が楽しくて人が放ったものを愛おしげに眺めているんだ。と思っていたらサシャはあろうことかその手に口を付けている。
「やめろ。何してるんだ」
「美味しいですよ」
サシャはにこやかに微笑んでいる。
「嘘吐け」
羞恥でいたたまれなくなったジュールが背を向けると、背後から囁かれた。
「本当ですよ。あんなに可愛らしいあなたがくださったものですから」
耳を揺らす声にさっきまでの甘い痺れが蘇る。サシャの手が腰から密やかな谷間をなぞってきた。
「ジュール。私をあなたの中に迎え入れて下さいますか?」
サシャはそこで繋がるつもりなのか、とぼんやりジュールは思った。その時指がジュールの最奥に挿し入れられた。
「っ……痛っ……」
慣れない感覚に身体が強ばりそうになる。緩やかに押し広げるように深く入り込んできた指に耐えながら、ジュールはサシャの顔を背中越しに見た。ジュールの反応に不安になっているのか、じっとこちらを見つめている。
そんな心配そうな顔しなくていいのに。こっちは前から覚悟だけはしていたのに。
だからジュールは強気に笑いかけた。
「来れば? おもてなしは期待しないでほしいけど」
……何しろこちらは初心者なんだから。
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