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1 勇者パーティからの追放
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調合師。
その名の通り、薬草や鉱石、時には魔獣の素材などを組み合わせ、様々な製法を持って薬やポーションと呼ばれる物を作る者を指す。
私の師匠は調合師だった。
緩いクソじ……おじいさんだったけど、多分、腕前は相当だったんじゃないだろうか。
なんてったって、治癒者が匙を投げた重傷者すら師匠の回復薬で全快したくらいだ。
腕前だけはいいのは間違いない。うん、腕前だけ、は。
そして、私もその師匠から様々な知識を授かっただけあって、そこそこの腕前であると自負している。
日本人なら『私なんてまだまだです』と言うべき所なんだろうが、そんな謙遜は師匠と暮らす1日目で砂と消えた。
この世界で謙遜なんて何の役にもたちはしない。私は学んだ。
そして、独り立ちしてギルドを目指す最中──初めて出会った人物が、冒頭の『勇者』だったのだ。
『もしもし、生きてますか?』
『ぅ、……ぐ、』
『あ。生きてる。なら治験に御協力お願いしますね』
山奥にひっそりと佇んでいた師匠の小屋から、ギルドのある街──カリラへ向かう山道。
傷だらけでぶっ倒れる少年を発見し、親切心で治療を施したのがきっかけだ。
………今思えば、そのまま放置しておけばよかったかもしれない。
治験と称した人助けは見事に成功し、取れかけてた腕はくっつき、潰れていた内蔵も元通り。うん、さすが私だ。
治癒者でもなかなか治せないだろう傷だったけど……この人はどうしたんだろう。そんなにここ、危険な魔物が出る山だったっけ?
そんなことを考えているうちに、少年は意識を取り戻したらしい。
視線を感じてそちらを向くと、キラキラとした綺麗な青と目があった。
おお、少年、君イケメンだね。
金髪蒼眼の、歳は15~16くらいだろうか。日本で言うところの中~高校生くらいか。若いなぁ。
若さというのは財産だ。社会人になるとあっという間に歳をとるんだもの。ああ、高校生に戻りたい……。
なんて考えていると、がしっ!と勢いよく手を掴まれて。
「なんて素晴らしい調合なんだ……!頼む、俺とパーティを組んでくれ!!」
「……………………はぁ」
それが、私と勇者の出会いだった。
※※※
あの頃は可愛かったのになぁ、なんて目の前でふんぞり返る勇者を冷めた目で見つめる。
出会いから数年経ち、少年から青年へと成長を遂げた勇者は、かつての幼さや純粋さの見る影もなかった。
ゆく先々で勇者と持て囃され、数々の美女をパーティに迎えていく最中、彼は変わってしまった。
その度に「天狗になっては行けない」「節度をもて」と口うるさく忠告をしてきたが……どうやらそれも逆効果だったようだ。
「ナギ、確かにお前の調合は素晴らしい。何度も助けられてきた。……が!今の俺には頼りになる仲間がたくさんいる!お前のような『地味な調合師』等勇者のパーティには必要ない!」
ビシィ!と指された指を、そのまま天に向けて折り曲げる。
「あたたたたっ!」
「人を指さささない」
「うっ、うるさい!そういう口煩い所も気に入らないんだ!」
ばっ!と手を振り払い、変な方向に曲がった指を抑える勇者。
涙目になってますよ、大丈夫?
「お可愛そう……わたくしが治してさしあげますね」
そんな勇者の指を、細くしなやかな指が絡めとる。
治癒者のアイリーだ。
白い聖職者のような服装をした、ふわふわとした亜麻色の髪の乙女。
巨乳である。
「ああ、アイリー……ありがとう。……どうだ、ナギ。もうお前がいなくても、俺には傷を優しく癒してくれる優秀な治癒者がいる!」
「勇者様……」
その治癒者、私が作った聖属性増長のポーション愛飲してますが。
「それに、頼もしい仲間もいる!俺と共に戦ってくれる、剣闘士のマナだ!マナは強い。もうお前の体力増長ポーションも必要ない」
「勇者にはアタシがいれば十分でしょ!」
ふふん!と胸を貼るのは獣人族──ネコ科の少女だ。名前はマナ。
胸元の開いた服に短いスカート。防御力?何それ美味しいの?と言わんばかりの服装だ。
燃えるような赤髪はショートカットで、そこから覗く猫耳はかわいい。
巨乳だ。
その子、私の作った身体強化ポーション毎日飲んでますよ。
「あら、勇者ったら。私のことは無視なの?」
「そんなわけないだろ。今説明しようと思ってたところだ」
わちゃわちゃと戯れるにゃんこと勇者だったが、背後から勇者の首に腕を絡める美女が1人。我がパーティ最後の1人、ラルラだ。
豊かな翡翠の髪は長く、深いスリットの入ったドレスは彼女のスタイルの良さを強調する。
そのスタイルと美貌もさることながら、彼女が1番特徴的なのは、その尖った耳だろう。
そう、ラルラはエルフなのだ。
そして巨乳だ。
「ラルラの魔力量は凄まじい。攻撃も防御もお手の物だ。ラルラがいれば、お前のポーションは必要ないからな!」
「当然よ。エルフとこんな小娘を一緒にしないで欲しいわ?」
その魔力量、私が作った魔力増長ポーションを毎晩飲んでるからなんですが。
「どうだ!!」とふんぞり返る勇者とその御一行に、私は「………はぁ」という単語を繰り返すしか出来なかった。
その名の通り、薬草や鉱石、時には魔獣の素材などを組み合わせ、様々な製法を持って薬やポーションと呼ばれる物を作る者を指す。
私の師匠は調合師だった。
緩いクソじ……おじいさんだったけど、多分、腕前は相当だったんじゃないだろうか。
なんてったって、治癒者が匙を投げた重傷者すら師匠の回復薬で全快したくらいだ。
腕前だけはいいのは間違いない。うん、腕前だけ、は。
そして、私もその師匠から様々な知識を授かっただけあって、そこそこの腕前であると自負している。
日本人なら『私なんてまだまだです』と言うべき所なんだろうが、そんな謙遜は師匠と暮らす1日目で砂と消えた。
この世界で謙遜なんて何の役にもたちはしない。私は学んだ。
そして、独り立ちしてギルドを目指す最中──初めて出会った人物が、冒頭の『勇者』だったのだ。
『もしもし、生きてますか?』
『ぅ、……ぐ、』
『あ。生きてる。なら治験に御協力お願いしますね』
山奥にひっそりと佇んでいた師匠の小屋から、ギルドのある街──カリラへ向かう山道。
傷だらけでぶっ倒れる少年を発見し、親切心で治療を施したのがきっかけだ。
………今思えば、そのまま放置しておけばよかったかもしれない。
治験と称した人助けは見事に成功し、取れかけてた腕はくっつき、潰れていた内蔵も元通り。うん、さすが私だ。
治癒者でもなかなか治せないだろう傷だったけど……この人はどうしたんだろう。そんなにここ、危険な魔物が出る山だったっけ?
そんなことを考えているうちに、少年は意識を取り戻したらしい。
視線を感じてそちらを向くと、キラキラとした綺麗な青と目があった。
おお、少年、君イケメンだね。
金髪蒼眼の、歳は15~16くらいだろうか。日本で言うところの中~高校生くらいか。若いなぁ。
若さというのは財産だ。社会人になるとあっという間に歳をとるんだもの。ああ、高校生に戻りたい……。
なんて考えていると、がしっ!と勢いよく手を掴まれて。
「なんて素晴らしい調合なんだ……!頼む、俺とパーティを組んでくれ!!」
「……………………はぁ」
それが、私と勇者の出会いだった。
※※※
あの頃は可愛かったのになぁ、なんて目の前でふんぞり返る勇者を冷めた目で見つめる。
出会いから数年経ち、少年から青年へと成長を遂げた勇者は、かつての幼さや純粋さの見る影もなかった。
ゆく先々で勇者と持て囃され、数々の美女をパーティに迎えていく最中、彼は変わってしまった。
その度に「天狗になっては行けない」「節度をもて」と口うるさく忠告をしてきたが……どうやらそれも逆効果だったようだ。
「ナギ、確かにお前の調合は素晴らしい。何度も助けられてきた。……が!今の俺には頼りになる仲間がたくさんいる!お前のような『地味な調合師』等勇者のパーティには必要ない!」
ビシィ!と指された指を、そのまま天に向けて折り曲げる。
「あたたたたっ!」
「人を指さささない」
「うっ、うるさい!そういう口煩い所も気に入らないんだ!」
ばっ!と手を振り払い、変な方向に曲がった指を抑える勇者。
涙目になってますよ、大丈夫?
「お可愛そう……わたくしが治してさしあげますね」
そんな勇者の指を、細くしなやかな指が絡めとる。
治癒者のアイリーだ。
白い聖職者のような服装をした、ふわふわとした亜麻色の髪の乙女。
巨乳である。
「ああ、アイリー……ありがとう。……どうだ、ナギ。もうお前がいなくても、俺には傷を優しく癒してくれる優秀な治癒者がいる!」
「勇者様……」
その治癒者、私が作った聖属性増長のポーション愛飲してますが。
「それに、頼もしい仲間もいる!俺と共に戦ってくれる、剣闘士のマナだ!マナは強い。もうお前の体力増長ポーションも必要ない」
「勇者にはアタシがいれば十分でしょ!」
ふふん!と胸を貼るのは獣人族──ネコ科の少女だ。名前はマナ。
胸元の開いた服に短いスカート。防御力?何それ美味しいの?と言わんばかりの服装だ。
燃えるような赤髪はショートカットで、そこから覗く猫耳はかわいい。
巨乳だ。
その子、私の作った身体強化ポーション毎日飲んでますよ。
「あら、勇者ったら。私のことは無視なの?」
「そんなわけないだろ。今説明しようと思ってたところだ」
わちゃわちゃと戯れるにゃんこと勇者だったが、背後から勇者の首に腕を絡める美女が1人。我がパーティ最後の1人、ラルラだ。
豊かな翡翠の髪は長く、深いスリットの入ったドレスは彼女のスタイルの良さを強調する。
そのスタイルと美貌もさることながら、彼女が1番特徴的なのは、その尖った耳だろう。
そう、ラルラはエルフなのだ。
そして巨乳だ。
「ラルラの魔力量は凄まじい。攻撃も防御もお手の物だ。ラルラがいれば、お前のポーションは必要ないからな!」
「当然よ。エルフとこんな小娘を一緒にしないで欲しいわ?」
その魔力量、私が作った魔力増長ポーションを毎晩飲んでるからなんですが。
「どうだ!!」とふんぞり返る勇者とその御一行に、私は「………はぁ」という単語を繰り返すしか出来なかった。
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