めちゃくちゃ強い100歳

めかぶ

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第7話『花火。ワシは死にたい』

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シュゴォォォ…。

ジェットで飛行しながら、カルロスがガトリングガンを構える。

『次の攻撃部分はガラス部分より少し後ろのほうだ。高温の熱エネルギーを発生させるFB弾であれば、おそらく奴の鉄にしっかり撃ち込めるはず』

「了解!第2段階、開始」

ズダダダダダダダダダダダッ!!!!

ボコォォン!!!

FB弾が巨大兵器の鎧を貫き、人一人分が入れる穴が空いた。
続けてカルロスは小型強力爆弾を取り出し、スイッチを入れる。

「これで道を開く」

手に持った爆弾を勢いよく穴の中へ投げ込み、5秒後…。

ボォォォォン!!!

穴の中で爆弾が爆発。
小型でありながらも、強力な特殊爆弾は建物に穴を空けるほどの威力がある。そのため内部の壁も破壊し、中の通路に通じる風穴を開けた。

『どうだ?』

「成功。これで内部に侵入できる」

『入ってすぐ扉があるはずだ。おそらくその扉を破れば操縦席、更にはそのロボットの操縦者がいるはずだ。どんな奴か。どこでそんな物を作ったのか。どうやって街に出現させたのか。それらを全て聞き出すために生け捕りで頼む』

「い、生け捕りぃ!?はあ!?殺せねぇのか!??めんどくさっ!」

『上からの命令だ。仕方ねぇだろ』

「はぁ…。分かった。死なない程度に殺してやるよ」

そう言ってカルロスは穴に入り、通路の床に着地した。

スタッ。

「よし、侵入かん…りょう…」

顔を上げるとカルロスは既に囲まれていた。体格は大きく、全身を銀色のアーマーで纏う大勢の兵士が、約100人ほど待ち構えていた。

「テをアゲろ」

銃を向けられ、カルロスはその場で手を上げる。

「ナニモノだ?」

「ん~…。悪いけどそれ、聞きたいのは俺のほうだな」

「ナニィ?」

ババババババババババババババッ!!!!!!!

「っ!!??」

カルロスは両手にアサルトライフルを持ち、回転しながら一気に連射。あまりの早技に敵は対応しきれず、次々に倒れていく。

「半分は減ったか」

ライフルの弾が切れ、扉とは逆側に手榴弾を投げ込んだ。

ボゴォォォォォォン!!!!

手榴弾が爆発し、敵がこちらに攻撃出来ない瞬間を利用して、扉側に向けてガトリングガンを発射。

ズダダダダダダダダダダダッ!!!!

敵を倒しながら扉にガトリングガンを打ち込んでいく。

ズダダダダダダダダダダダッ!!!!

「マ、マずイ!」

ズカァァァァン!!!

とうとう扉に穴が空き、操縦席に繋がった。周りにいた100人近くの兵士も、気づけば5人しか立っていないような状況に。

「残念だったな。鍛え方が違うんだよ、お前らと」

ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!

5発全てを命中させ、敵の兵士は全滅。カルロスは右手に持った小型銃をしまい、扉のほうへ歩いていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


その頃、地上では。

キャノン砲が次々に撃ち込まれ、至る所のビルが崩壊。そのため、ギルじいはビルの下敷きになりかけている人々を救うことに手を回し、巨大兵器への攻撃が出来ないでいた。

「…これは想定外だったわい。被害があまりにも広すぎる」

ビルが倒れきる前に下にいる人々を出来る限りの速度で運び出し、安全な場所に移す。しかし、その作業をしてる間に次のビルが倒れ始め、急いでそのビル側に移動。再び同じ作業に取り掛かる。この救出作業の繰り返しだ。

すると、巨大兵器の鼻がとうとう動き出した。

ゥゥゥゥイィィィィィン。

長い鼻が前方に伸び、狙いを定める。
その鼻の先は、ちょうどこの日に開催する予定の花火大会の会場付近。
すると、鼻の先が光り始めた。

キュゥゥゥイィィィィ…。

物凄いチャージ音が鳴り、光がどんどん増していく。
そして…。

チュドォォォォォォォォォォン!!!!!!!!

勢いよくレーザービームが放たれた。
ビームは真っ直ぐ花火大会の会場へ。

ドォゴォォォォォォォォン!!!!

会場のど真ん中に直撃し、お祭り会場は大爆発。更に爆発が大きすぎるあまり、少し離れた場所にあった花火に引火。結果、とてつもない爆発が起こり、爆風で辺り一面は吹き飛び、更に火の海と化した。

その光景をカルロスの妹リアは、ビルの屋上から見ていた。

「……」

衝撃のあまり言葉が出ず、ただ眺めるしか出来ない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


その頃操縦席では、操縦者がキャノン砲の操作を行っていた。
何百個と並んだボタン、大量のレバーにハンドル、もはや何が書かれてるのか理解不能なデータがズラリと表示されている。

「これは完全に地球を抑えたな!地球は俺たちのもんだぜ、いえぇぇぇぇぇい!!!!」

だいぶハイテンションな操縦者だ。それに、右5本、左5本、計10本の触手で兵器を操作しており、如何にもな宇宙人。

「それに偶然にも大量の花火があったから、上手いこと爆発をデカくしてくれたぜ、ゲハハハハハハハハハハ!!!!」

どうやら置いてある花火に気づき、意図的にその周辺を狙ってレーザービームを放ったようだ。
宇宙人は再び鼻を動かすため、レバーに触手を伸ばす。

「さぁ、さぁ、さぁ、次なるターゲットはどこにしよぉ~かなぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~」

すると、宇宙人はニヤッと笑い、操作を止めた。

「よぉ~し、ここにしよぉ~~」

狙いを決め、ビームを放とうとボタンを押しかけた、その時…!

カチャ。

「そこまでだ」

宇宙人の頭に銃口を当てられた。
操縦席に侵入したカルロスだ。

「ぉぉお?侵入者かぁぁ~~。モスタンクの操作に興奮しすぎて気づかなかったぜぇぇ!ゲハハハハハハハ!」

「なんでもいい。この街の楽しみを壊したお前を、俺はぜってぇに許さねぇ。分かったか?」

「へへへ…、俺の能力を見くびるんじゃあ、」

パァン!

「…ね、ぇ…よ…」

頭に銃を撃ち込まれ、宇宙人はその場で崩れ落ちた。
その音に、C1が驚く。

『お、ぉおい!カルロス!殺したんじゃねぇだろうな!?』

「心配するな。麻酔銃だ。…不本意だが」

『そうか…、良かった』

「…まぁ、これでとりあえず、ミッション成功だ」

と、その時!

ビィー!ビィー!ビィー!

操縦席に警告音が鳴り響いた。

「な、なんだ!?」

『カルロス!何の音だ!?』

「分からない…」

カルロスはキョロキョロと見回し、ある一つの画面が目に入った。
外の風景とその隣にチャージメーター。そして、僅か10秒のカウント。

「まさか、レーザービーム…」

宇宙人が倒れる瞬間に一本の触手でボタンを押していたようだ。
チャージが始まった以上、もう操縦で止めることは出来ない。
それに、狙った先には避難中の人々が歩いているのが見える。

まずい…。大勢が、死ぬ!

カルロスは心の中でそう悟った。

「仕方ねぇ!せめて操縦席の破壊でチャージが止まるか試す!」

ガトリングガンを構え、一気に乱射。
しかし、操縦席が壊れただけであって、特にチャージに変化はない。
残りカウント5秒。

「このままだと、はっ!」

カルロスが画面を見ると、真っ直ぐ行った先にある建物の屋上に、ギルじいがいるのが見えた。

「奴は、まさか…!」

カルロスは急いで宇宙人を掴み、破壊せずに残していた『脱出』と書かれたボタンを押した。その瞬間…。

バシュウゥゥゥゥゥ!!!

勢いよく座席が飛び上がり、ガラスを突き破って外に飛び出した。
すると、

1



チュドォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!

真っ直ぐギルじいが待ち構えている方向へ、レーザービームが放たれた。
ギルじいは右手を構え、ビームが目の前に来た瞬間を狙って…!

パチィィィィィィン!!!!

平手打ちを繰り出した。
すると、ビームはクルンッと180度回転し、そのまま巨大兵器へ。

ドォゴォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!!!!

モスタンクの顔部分が思いっきり大爆発。さらにギルじいの平手打ちの威力も加わり、巨大兵器はまるごと空に押し飛ばされ、そのまま大気圏を超えて宇宙までめちゃくちゃぶっ飛んで行った。

「………。え?………終わりかいな?」

ギルじいは困り顔でため息をついた。

カルロスは脱出した座席に捕まり、そのままパラシュートが開いて地上へ。
操縦者の宇宙人もしっかり確保し、ミッションは成功した。
しかし、街に大きな被害が出てしまったことが、カルロスの胸を締め付けた。

「これだけの被害が出て、何人が死んだのかもまだ分からない。これでも最小限に抑えきった方なのかもしれねぇが、…少し心残りだ」

カルロスは俯き、ため息をつく。
そして、ギルじいの顔が浮かんだ。

「めちゃくちゃ強い100歳…。長命スギル…。今回の件も何をどうしたのかイマイチ分からねぇが、アレだけ巨大なロボットを空の彼方まで飛ばしやがった…。やはり奴は…要注意人物だな」

カルロスの額から、汗がツゥ~と流れた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


その夜。

カルロスは妹のリアを隣街の静かな公園に連れて行った。
手には手持ち花火を持ち、2人だけではしゃいでいる。

「お兄ぃ!これすごいよぉ!いっぱいの色があるぅ!!」

「おお!ホントだ!すげぇなぁ!」

色の変わる手持ち花火を2人で眺めていると、しばらく2人はパチパチと燃える花火に目を奪われる。
すると、カルロスがリアの頭を撫で始めた。

「ごめんなぁリア。お兄ぃ、大っきな花火、見せてやれなかったな」

「…ううん。お兄ぃ、みんなのためにがんばってくれたじゃん!だからリア、全然がまんできるよ!」

リアが首を横に降ってニコッと笑った。
その笑顔を見て、カルロスも思わず笑みが溢れる。

「そっか!…優しいな、リアは!」

リアは少し照れくさそうに微笑んだ。


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