めちゃくちゃ強い100歳

めかぶ

文字の大きさ
上 下
6 / 11

第6話『巨大兵器襲来。ワシは死にたい』

しおりを挟む
ズゥゥゥーーン。

ズゥゥゥーーン。

ズゥゥゥーーン。

地は揺れ、建物は崩壊し、人々が逃げ惑う。

7月21日。土曜日。学校は夏休みに突入し、皆それぞれが一夏の思い出を作ろうと意気込んでいた。
更に、この日は毎年恒例の花火大会当日。街中が張り切ってこの日のために準備を行ってきた。

しかし、その日に奴は現れた。

『こちら中継の河合桃です!アカ市で突如出現した“超巨大兵器”は、たった今、サタ市に到達したもようです!』

謎の超巨大兵器“モスタンク2000”。体長約600メートル、超ヘビー級兵器、マンモス型の移動式ロボットである。外側を金属の鎧で固めており、鼻部分に巨大レーザービーム砲、顔と横腹部分に多数のキャノン砲、他にも多数の武器が装備されている。

ズゥゥゥーーン。

ズゥゥゥーーン。

ズゥゥゥーーン。

ガラガラガラガラ…。

一歩一歩、ビルや建物を破壊しながら前進し続ける。

「うわぁぁぁぁ!!!」

「早く逃げろぉ!!」

「誰かぁ!私の、私の息子を助けてくださぁい!!誰かぁぁ!」

街はかつてないほどの被害を受け、人々が恐怖と絶望の淵に立たされていた。
そんな中、その街に建つあるビルの屋上から、前進し続ける巨大兵器を眺める者が…。

「お兄ぃ、今日の花火大会、チューシになっちゃうのかなぁ?」

「んな、バカなこと言ってんなリア。ぜってぇ花火上がらせてやっから心配すんな」

「んー、でもあんなおっきなゾウさん出てきちゃったら、お祭りどころじゃなくなっちゃうでしょぉ?」

「花火がある限り、花火は上がる。お祭り会場だって被害にはあっちゃいねぇんだからよぉ」

ある2人兄妹だ。6歳の妹リアと、23歳の兄カルロス。リアは近くの小学校に通っている小学生で、カルロスはある秘密組織のエージェントとして戦う兵士。
リアは小さなハーフツインに、花柄のワンピース。お目々がパッチリのキュートな顔立ちだ。対する兄のカルロスは、黒いTシャツにカモフラージュ柄のズボン。無造作に跳ねた黒髪に鋭い眼力、さらに黒いローブを羽織っており基本的に暗めの格好をしている。大きなガトリングガンを肩にかけ、腰には手榴弾。懐には数種類のピストルを備え、巨大兵器モスタンク2000に負けず劣らずの重装備だ。

「リア。お兄ぃがお仕事から戻ってくるまで、絶対ここから離れるなよ?いいな?」

「うん。分かった!」

「よーし、いい子だ」

リアの頭を優しく撫で、カルロスは巨大兵器へと視線を移した。

「さぁて、仕事にかかるか…」

カルロスの目つきが変わった。
ベルトについた機械をいじり、姿勢を少し落とす。すると、腰の方から小型のジェット噴射機が現れ、一気に高圧ガスが発射された。
シュゴォォォ!!と物凄い音を立て、カルロスはビルから巨大兵器の方へ真っ直ぐ飛び去っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


シュゴォォォ!!

ジェットでカルロスが巨大兵器の正面まで飛んできた。

「こちらカルロス。いま敵の正面に到着した」

『こちらC1。了解した。遅かったなカルロス!もうやられたかと思って、天に手ぇ合わせちまったよ~』

サポーターのC1だ。
基地本部にて敵のデータを分析し、無線を使ってカルロスのサポート役に徹する立場にある。
見た目は若干小太り気味だが、常に着ている白衣が博士っぽく、丸いメガネをかけている。一見、頼り無さそうにも見えるが、実力は本物だ。

「おい冗談はよせ。俺がこんな所でくたばる奴だとでも思ってんのかぁ?」

『俺としてはくたばってくれた方が、仕事も減るし、楽なんだけどよぉ』

「よーし、戻ったらテメェのケツ穴に花火ぶち込んでやっから覚悟しとけぇ!」

『はっはっは、それは勘弁だ!まっ、いつものノリはここまでにして…。奴の弱点は頭頂部のガラス部分だ。そこがおそらく操縦席になってるはずだ』

「そこを狙うんだな?」

『ああ。いっちょ、ぶちかませぇ!!』

「了解した!!」

シュゴォォォォォォ………。

ゴオォォォォォォォン!!!!!

カルロスのジェットが勢いを増し、一気に巨大兵器の頭上へと上昇する。
ある程度上昇し、下を向くと、確かに兵器の頭頂部にガラス部分があった。

「あそこだな…」

ガラスが少々暗いため、中の様子は見えない。操縦者は人間か、はたまたエイリアンの類か、外からでは確認できない。そこでカルロスは、肩に下げたガトリングガンを手に取り、操縦席であろう場所に銃口を向けた。

「第1段階、開始」

ズダダダダダダダダダダダダダッ!!!!!

ガトリングガンの銃口がぐるぐると回転し、大量の銃弾が撃ち込まれる。
全弾ガラスに命中するが、思った以上に頑丈で、割れた様子もヒビが入った様子もない。

「こいつで穴を開けれないとはな…」

『どうやら、防弾は過去最高に固いかもしれないな』

すると、巨大兵器のキャノン砲と、4つのミサイルが一気に発射された。

ドォォン!ドォォン!ドォォン!

ボシュゥゥゥゥ……ボゴォォォォォォン!!!!!

スドォォォォォン!!!!

ミサイルにより街の至る所が爆発、キャノン砲が命中した建物や道路は崩壊した。

「おいおいマジか。無駄口叩いてらんねぇーな!」

『カルロス。FB弾に変更だ。攻撃部分を変える』

「了解」

ガトリングガンの手持ち部分に4種類のスイッチがあり、FBと表記されたスイッチがOFFになっている。

「FB弾、起動」

それをONに変更し、ガトリングガン内部から弾の装填音が聞こえる。

「さぁ、第2段階だ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


その頃、地上では。

1人の女性がずっと叫んでいた。

「誰かぁぁ!!私の息子を助けてくださぁい!!車の中に閉じ込められているんです!!誰かぁぁ!!」

車が走行中、飛んできた瓦礫に潰されてしまい、母親はなんとか自力で出てきたものの、後部座席に座っていた4歳の息子は自力で脱出することが出来ず、閉じ込められてしまっていた。

しかし、巨大兵器が一歩一歩こちらに近づいてくるため、周辺には誰もいなくなっていた。

「誰かぁぁぁぁ!!!」

ズゥゥゥーーン!!

「はっ…!?」

もう直ぐそこまで近づいてきている。
もうダメなのか、と諦めかけた。
その時…。

ズゥンッ!

「息子さんはどこですかぃ?」

ギルじいが何処からともなく飛んできた。
母親はギルじいを見るなり目を大きく開き、すぐに正気に戻った。

「こ、ここです!この車の中です!」

母親の直ぐ側にある潰れた車。ギルじいはその中を覗く。すると、確かに子供が乗っているのが見えた。瓦礫で扉が歪み、屋根に押し潰されかけてるため、自ら出てこれないようだ。

「大丈夫じゃ。お爺ちゃんがいま出してやるからのぉ」

ギルじいは中の子供に優しく微笑み、瓦礫に手を伸ばした。

ガコォ!

大きな瓦礫を片手で持ち上げ、車の屋根をバキッと外した。
すると、子供の姿が現れたため抱き抱えて母親の元へ。

「はっ!リュウくん!リュウくん!良かった…、本当に良かった…!」

「…ママ…?ぼく…つよいから…だいじょおぶだよ…?」

息子は弱りながらもニコッと笑い、母親を元気づけた。
そこに救急隊員が駆けつけ、息子は一旦保護された。

「ありがとうございます!長命スギルさん!」

一人の救急隊員がギルじいに頭を下げる。
ギルじいはチラッと振り返った。

「ワシは単なる老いぼれ。助かったのはあの子自身の生きようとする信念のおかげじゃ。ほれ、さっさと行け。あの子の手当てが先じゃろがい」

「は、はぁい!!」

救急隊員はもう一度頭を下げ、急いで走っていった。
その後ろ姿を見送り、ギルじいは巨大兵器へと視線を移した。

「はぁ…。なんじゃいコリャ。デカすぎじゃろ。…まぁええ。ワシを殺せるほどの力はあるんじゃろぅのぉ?」

ギルじいは眉を尖らせた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ルナール古書店の秘密

志波 連
キャラ文芸
両親を事故で亡くした松本聡志は、海のきれいな田舎町に住む祖母の家へとやってきた。  その事故によって顔に酷い傷痕が残ってしまった聡志に友人はいない。  それでもこの町にいるしかないと知っている聡志は、可愛がってくれる祖母を悲しませないために、毎日を懸命に生きていこうと努力していた。  そして、この町に来て五年目の夏、聡志は海の家で人生初のバイトに挑戦した。  先輩たちに無視されつつも、休むことなく頑張る聡志は、海岸への階段にある「ルナール古書店」の店主や、バイト先である「海の家」の店長らとかかわっていくうちに、自分が何ものだったのかを知ることになるのだった。  表紙は写真ACより引用しています

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

パーフェクトアンドロイド

ことは
キャラ文芸
アンドロイドが通うレアリティ学園。この学園の生徒たちは、インフィニティブレイン社の実験的試みによって開発されたアンドロイドだ。 だが俺、伏木真人(ふしぎまひと)は、この学園のアンドロイドたちとは決定的に違う。 俺はインフィニティブレイン社との契約で、モニターとしてこの学園に入学した。他の生徒たちを観察し、定期的に校長に報告することになっている。 レアリティ学園の新入生は100名。 そのうちアンドロイドは99名。 つまり俺は、生身の人間だ。 ▶︎credit 表紙イラスト おーい

後宮の裏絵師〜しんねりの美術師〜

逢汲彼方
キャラ文芸
【女絵師×理系官吏が、後宮に隠された謎を解く!】  姫棋(キキ)は、小さな頃から絵師になることを夢みてきた。彼女は絵さえ描けるなら、たとえ後宮だろうと地獄だろうとどこへだって行くし、友人も恋人もいらないと、ずっとそう思って生きてきた。  だが人生とは、まったくもって何が起こるか分からないものである。  夏后国の後宮へ来たことで、姫棋の運命は百八十度変わってしまったのだった。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

伊藤さんと善鬼ちゃん~最強の黒少女は何故弟子を取ったのか~

寛村シイ夫
キャラ文芸
実在の剣豪・伊藤一刀斎と弟子の小野善鬼、神子上典膳をモチーフにしたラノベ風小説。 最強の一人と称される黒ずくめの少女・伊藤さんと、その弟子で野生児のような天才拳士・善鬼ちゃん。 テーマは二人の師弟愛と、強さというものの価値観。 お互いがお互いの強さを認め合うからこその愛情と、心のすれ違い。 現実の日本から分岐した異世界日ノ本。剣術ではない拳術を至上の存在とした世界を舞台に、ハードな拳術バトル。そんなシリアスな世界を、コミカルな日常でお送りします。 【普通の文庫本小説1冊分の長さです】

処理中です...