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稲穂祭と予言者 その参
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「二人とも、やめたまえ」
「でも、先輩...」
「まあまあ。しかし、優先すべきは予言者さ」
「予言者...あれはマグレじゃないっすか?」
「マグレで二つを当てるとは、運勢が良すぎるな」
「実際、占いなんて相手が言って欲しそうなことを言えばいいんすよ。占い師は所詮その程度っす」
「バッカ、高田! なかなか探してもいない先輩の唯一の友達を貶(けな)すな!」
「ほお? 新島は私を貶しているようだが」
「あ、いやっ? 違います。えっと、そうっ! これは、あれだ...仲がいい奴のフォロー...」
「私と新島はそんなに仲が良かったか?」
「えっと...同じ部活じゃありませんか?」
「まあいい」
「それより、ナミちゃん。あそこで人が集まってるね」
「また事故か!」
「そうみたいだな」
車が横転していた。まさか、立てつづけにこんなことが起こるとは。
軽音楽部のライブが盛り上がり、耳に音楽が響く。そして、その傍(かたわ)らで車が奏でる衝突の騒音が空中に漂い続けていた。
「あそこ、行ってみようっす!」
「ああ。私も同意見だ。三鷹ちゃんと新島はどうだ」
「俺も行きたい!」
「わ、私も」
「一致だ。行こう」
四人は人が密集していた場所に向かった。そこの前の道路では車が一台ひっくり返っていた。
「七不思議、起こったな」
「なあ、高田。他にポストには何か入ってなかったのか?」
「もちろん。新島が気になっていそうなものは入ってないよ」
「そうか」
「何かわかったのか?」
「まだ、全然わからない。何で事故が平成十八年の稲穂祭の三日間に集中したかなんて、わかるわけがない」
「意図的にやろうと思っても、方法なんてないもんな」
「ああ。まったくその通りだ」
車から人が降りてきた。運転席側からで、乗っているのはその男が一人だけのようだ。その男は急いでポケットからスマホを取りだして、電話をかけた。
「すみません。事故を起こしてしまって...」
「保険に入っていますので、安心してください。そちらの現在地を教えていただければレッカー移動をしますが、どうしますか?」
「お願いします」
「では、現在地を教えてください」
「えっと──千葉県八坂市の...。あの、そこの生徒さん。この学校名は?」
野次馬の一人が「八坂中学校だよ」と答えた。運転手はすかさずに電話相手に話した。
「千葉県八坂市の八坂中学校の前の大通りだけど、わかりますか?」
「わかりました。では、レッカー移動をさせていただきます」
「はい」
運転手は電話を切った。その頃には職員が駆けつけて、野次馬の生徒を払っていた。その波に乗って、四人はその場を離れた。
「新島!」
「高田か...何だよ」
「何だよ、じゃねーよ! それより、この稲穂祭...」
「七不思議の一番目が実行されてるよ」
「じゃなくて、予言者わかったよ」
「は?」
「誰だと思う?」
「誰だよ」
「事故を起こした本人だ」
「だったら、電柱が倒れていたのはどうやってするんだよ」
「手紙にはある事件としか書いてなかった」
「だったら、事故を予想していた紙切れは?」
「そうだな...」
「やっぱり、駄目じゃねーか」
「う~ん?」
高田は腕を組んでいた。新島はため息をついた。
「誰が何のために予言しているのか、わからないとだめね」
「部長...」
「まあ、まあ。さあて、三鷹ちゃん! 次はどこ行こっか? ほら、高田も新島も。予言者を探すより、楽しむよ!」
土方は三鷹と肩を組んで先に歩いて行った。
「新島、どうする?」
「ちょっと、俺は部室に戻っていたいが」
「じゃあ、俺も」
「先輩と三鷹先輩の二人で楽しんでもらおう」
「そうだな」
二人は土方に話して部室の鍵をもらった。それから、急いで部室に向かった。
「でも、先輩...」
「まあまあ。しかし、優先すべきは予言者さ」
「予言者...あれはマグレじゃないっすか?」
「マグレで二つを当てるとは、運勢が良すぎるな」
「実際、占いなんて相手が言って欲しそうなことを言えばいいんすよ。占い師は所詮その程度っす」
「バッカ、高田! なかなか探してもいない先輩の唯一の友達を貶(けな)すな!」
「ほお? 新島は私を貶しているようだが」
「あ、いやっ? 違います。えっと、そうっ! これは、あれだ...仲がいい奴のフォロー...」
「私と新島はそんなに仲が良かったか?」
「えっと...同じ部活じゃありませんか?」
「まあいい」
「それより、ナミちゃん。あそこで人が集まってるね」
「また事故か!」
「そうみたいだな」
車が横転していた。まさか、立てつづけにこんなことが起こるとは。
軽音楽部のライブが盛り上がり、耳に音楽が響く。そして、その傍(かたわ)らで車が奏でる衝突の騒音が空中に漂い続けていた。
「あそこ、行ってみようっす!」
「ああ。私も同意見だ。三鷹ちゃんと新島はどうだ」
「俺も行きたい!」
「わ、私も」
「一致だ。行こう」
四人は人が密集していた場所に向かった。そこの前の道路では車が一台ひっくり返っていた。
「七不思議、起こったな」
「なあ、高田。他にポストには何か入ってなかったのか?」
「もちろん。新島が気になっていそうなものは入ってないよ」
「そうか」
「何かわかったのか?」
「まだ、全然わからない。何で事故が平成十八年の稲穂祭の三日間に集中したかなんて、わかるわけがない」
「意図的にやろうと思っても、方法なんてないもんな」
「ああ。まったくその通りだ」
車から人が降りてきた。運転席側からで、乗っているのはその男が一人だけのようだ。その男は急いでポケットからスマホを取りだして、電話をかけた。
「すみません。事故を起こしてしまって...」
「保険に入っていますので、安心してください。そちらの現在地を教えていただければレッカー移動をしますが、どうしますか?」
「お願いします」
「では、現在地を教えてください」
「えっと──千葉県八坂市の...。あの、そこの生徒さん。この学校名は?」
野次馬の一人が「八坂中学校だよ」と答えた。運転手はすかさずに電話相手に話した。
「千葉県八坂市の八坂中学校の前の大通りだけど、わかりますか?」
「わかりました。では、レッカー移動をさせていただきます」
「はい」
運転手は電話を切った。その頃には職員が駆けつけて、野次馬の生徒を払っていた。その波に乗って、四人はその場を離れた。
「新島!」
「高田か...何だよ」
「何だよ、じゃねーよ! それより、この稲穂祭...」
「七不思議の一番目が実行されてるよ」
「じゃなくて、予言者わかったよ」
「は?」
「誰だと思う?」
「誰だよ」
「事故を起こした本人だ」
「だったら、電柱が倒れていたのはどうやってするんだよ」
「手紙にはある事件としか書いてなかった」
「だったら、事故を予想していた紙切れは?」
「そうだな...」
「やっぱり、駄目じゃねーか」
「う~ん?」
高田は腕を組んでいた。新島はため息をついた。
「誰が何のために予言しているのか、わからないとだめね」
「部長...」
「まあ、まあ。さあて、三鷹ちゃん! 次はどこ行こっか? ほら、高田も新島も。予言者を探すより、楽しむよ!」
土方は三鷹と肩を組んで先に歩いて行った。
「新島、どうする?」
「ちょっと、俺は部室に戻っていたいが」
「じゃあ、俺も」
「先輩と三鷹先輩の二人で楽しんでもらおう」
「そうだな」
二人は土方に話して部室の鍵をもらった。それから、急いで部室に向かった。
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