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ホームズの論文
番外編 探偵学大全
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ホームズは生きている時から自分の探偵学を一冊の本にまとめたいと言っていました。ホームズの探偵学を一冊にまとめた、この『探偵学大全』の序説を、ホームズ研究者である水野雅士さんが『ホームズ探偵学序説』として書き上げています。
第一章はホームズの推理法、第二章は『バスカヴィル家の犬』を犬の視点から描いたパロディになっています。ホームズの推理法について、『探偵学大全』の未発表原稿が見つかった、という設定をもとに書いているので非常に楽しめます。
ホームズの捜査方法については、『ホームズの概要』の章の『ホームズの捜査方法』の頁で触れているので、ご参照までに。また、前頁でホームズが、観察と分析に習練した人を騙すことは出来ない、と断言した『生命の書』について触れています。未読の方はそちらも合わせて読んでください。
【情報収集】
ホームズの情報収集について、『ホームズの捜査方法』の頁で新聞だと話したので、別の情報収集の方法に触れましょう。
兄であるマイクロフトは政府の政策全般の調整をしている役人です。そのため、短編『ブルース・パティントン設計書』ではロンドンに潜入していたスパイの住所を知ることが出来ました。
シンウェル・ジョンソンはホームズの情報屋となり、短編『高名の依頼者』でも活躍しました。
長編『恐怖の谷』では、モリアーティ教授の配下の一人であるポーロックが情報をホームズに提供しています。ポーロックがホームズに協力する理由について、ホームズは『ポーロックだっていくらかは良心を持っているのだろうし、それに僕から人しれず十ポンド札を送ってやったりして、よろしくおだてておいたのが利いて、一、二度いい情報をくれたこともある。』と言っています。
【推理法】
ホームズの推理法については前述したように『ホームズの捜査方法』の頁に書かれてあります。また、捜査には自ら書いた論文を役立てています。その論文の内容については、『ホームズの論文』の章で書いています(本頁も『ホームズの論文』の章の一つです)。
短編『オレンジの種五つ』では、ホームズは理想の推理家について『一つの事実をちゃんと提示された場合、その事実から、そこにいたるまでのすべてのできごとを、のこる隈なく推知するばかりでなく、その事実につづいておこるべき、すべての結果をもよく演繹するものだ。』と述べていました。つまり、『一がわかれば十までわかる』ということだと思います。
本田翔さんはホームズの推理の正体について、広義の『勘』だとしています。どういうことかと言うと、ホームズは細かい部分をよく観察しています。ホームズは観察によって証拠などを見つけていて、その観察は本田さんいわく『察知の本能』、つまり広義の勘となります。
その勘によって見つけ出した証拠をホームズが持つ知識などで推理へと発展させていく、ということです。
また、ホームズの推理は事件だけに発揮されているわけではないことは周知の事実です。ホームズはその並外れた推理を、ワトスンを驚かせるために使います。
短編『黄いろい顔』でパイプから持ち主の特徴を推理した部分や、短編『青いガーネット』で帽子から持ち主の特徴を推理した部分は圧巻です。また、ドイルも気に入っていたホームズの推理部分があります。それが、短編『ボール箱』の冒頭でホームズがワトスンの思考を推理した部分です。
ホームズがワトスンの思考を推理した方法は以下に記しました。
ヘンリー・ウォード・ビーチャーの絵に目を向けて、ワトスンは考え深げな顔付きになります。ホームズはワトスンがビーチャーの経歴について思い出していたと考えます。そしてワトスンがビーチャーについて考える時は南北戦争時代を思い出す、ということをホームズは知っていました。
ワトスンはそれからビーチャーの絵から目を離します。そこでホームズは、ワトスンの思考が南北戦争に向けられたのだと推測をします。それからワトスンは古傷を触ったりしていて、ワトスンが戦争は愚かだと考えるようになったという答えに、ホームズは辿り着きました。
【知識】
前述したような推理は、ホームズの知識があってこそ成り立つものです。『ボール箱』の推理にしても、ビーチャーが誰なのか、どんな経歴の持ち主なのかを知っていないといけません。ビーチャーが誰かわからなければ、ホームズはあんな推理は出来ません。推理力、観察力、知識力がそろってこそホームズは相手の職業などを見抜けるのです。
ベーカー街221Bの部屋には、百科辞典や人名辞典、地名辞典、年鑑、過去の犯罪資料、ホームズ自ら作って整理したスクラップ・ブックなどが置かれています。『(実在しない)アメリカ百科辞典』、ホームズが様々な人物の要点だけを記して整理した人名辞典、『ホイッティカー年鑑』などです。
スタンフォード青年はホームズのことを、『歩く事件簿』だと言っています。
ホームズは化学実験から体得した知識や、書物などによって得た知識などがあります。書物などは様々な辞典以外に、『樹木崇拝の起源』『英国の鳥類』『カタラス詩集』『神聖戦争』『諸民族の法』『15世紀後半の僧院の記録』『ポケット版ペトラルカ詩集』などの本を読んでいます。その本の内容について、シャーロキアンは様々な研究を行っています。
ベアリング・グールドは『樹木崇拝の起源』について、呪術的な信仰が一般的だった頃は、世界中のどこでも樹木は崇拝の対象になっていたと言っています。
ホームズはシェイクスピアの作品やゲーテの言葉を引用したりしていますし、膨大な知識力と推理力、観察力が探偵に欠かせないと『探偵学大全』にて説いていたという想像をしてしまいますね。
第一章はホームズの推理法、第二章は『バスカヴィル家の犬』を犬の視点から描いたパロディになっています。ホームズの推理法について、『探偵学大全』の未発表原稿が見つかった、という設定をもとに書いているので非常に楽しめます。
ホームズの捜査方法については、『ホームズの概要』の章の『ホームズの捜査方法』の頁で触れているので、ご参照までに。また、前頁でホームズが、観察と分析に習練した人を騙すことは出来ない、と断言した『生命の書』について触れています。未読の方はそちらも合わせて読んでください。
【情報収集】
ホームズの情報収集について、『ホームズの捜査方法』の頁で新聞だと話したので、別の情報収集の方法に触れましょう。
兄であるマイクロフトは政府の政策全般の調整をしている役人です。そのため、短編『ブルース・パティントン設計書』ではロンドンに潜入していたスパイの住所を知ることが出来ました。
シンウェル・ジョンソンはホームズの情報屋となり、短編『高名の依頼者』でも活躍しました。
長編『恐怖の谷』では、モリアーティ教授の配下の一人であるポーロックが情報をホームズに提供しています。ポーロックがホームズに協力する理由について、ホームズは『ポーロックだっていくらかは良心を持っているのだろうし、それに僕から人しれず十ポンド札を送ってやったりして、よろしくおだてておいたのが利いて、一、二度いい情報をくれたこともある。』と言っています。
【推理法】
ホームズの推理法については前述したように『ホームズの捜査方法』の頁に書かれてあります。また、捜査には自ら書いた論文を役立てています。その論文の内容については、『ホームズの論文』の章で書いています(本頁も『ホームズの論文』の章の一つです)。
短編『オレンジの種五つ』では、ホームズは理想の推理家について『一つの事実をちゃんと提示された場合、その事実から、そこにいたるまでのすべてのできごとを、のこる隈なく推知するばかりでなく、その事実につづいておこるべき、すべての結果をもよく演繹するものだ。』と述べていました。つまり、『一がわかれば十までわかる』ということだと思います。
本田翔さんはホームズの推理の正体について、広義の『勘』だとしています。どういうことかと言うと、ホームズは細かい部分をよく観察しています。ホームズは観察によって証拠などを見つけていて、その観察は本田さんいわく『察知の本能』、つまり広義の勘となります。
その勘によって見つけ出した証拠をホームズが持つ知識などで推理へと発展させていく、ということです。
また、ホームズの推理は事件だけに発揮されているわけではないことは周知の事実です。ホームズはその並外れた推理を、ワトスンを驚かせるために使います。
短編『黄いろい顔』でパイプから持ち主の特徴を推理した部分や、短編『青いガーネット』で帽子から持ち主の特徴を推理した部分は圧巻です。また、ドイルも気に入っていたホームズの推理部分があります。それが、短編『ボール箱』の冒頭でホームズがワトスンの思考を推理した部分です。
ホームズがワトスンの思考を推理した方法は以下に記しました。
ヘンリー・ウォード・ビーチャーの絵に目を向けて、ワトスンは考え深げな顔付きになります。ホームズはワトスンがビーチャーの経歴について思い出していたと考えます。そしてワトスンがビーチャーについて考える時は南北戦争時代を思い出す、ということをホームズは知っていました。
ワトスンはそれからビーチャーの絵から目を離します。そこでホームズは、ワトスンの思考が南北戦争に向けられたのだと推測をします。それからワトスンは古傷を触ったりしていて、ワトスンが戦争は愚かだと考えるようになったという答えに、ホームズは辿り着きました。
【知識】
前述したような推理は、ホームズの知識があってこそ成り立つものです。『ボール箱』の推理にしても、ビーチャーが誰なのか、どんな経歴の持ち主なのかを知っていないといけません。ビーチャーが誰かわからなければ、ホームズはあんな推理は出来ません。推理力、観察力、知識力がそろってこそホームズは相手の職業などを見抜けるのです。
ベーカー街221Bの部屋には、百科辞典や人名辞典、地名辞典、年鑑、過去の犯罪資料、ホームズ自ら作って整理したスクラップ・ブックなどが置かれています。『(実在しない)アメリカ百科辞典』、ホームズが様々な人物の要点だけを記して整理した人名辞典、『ホイッティカー年鑑』などです。
スタンフォード青年はホームズのことを、『歩く事件簿』だと言っています。
ホームズは化学実験から体得した知識や、書物などによって得た知識などがあります。書物などは様々な辞典以外に、『樹木崇拝の起源』『英国の鳥類』『カタラス詩集』『神聖戦争』『諸民族の法』『15世紀後半の僧院の記録』『ポケット版ペトラルカ詩集』などの本を読んでいます。その本の内容について、シャーロキアンは様々な研究を行っています。
ベアリング・グールドは『樹木崇拝の起源』について、呪術的な信仰が一般的だった頃は、世界中のどこでも樹木は崇拝の対象になっていたと言っています。
ホームズはシェイクスピアの作品やゲーテの言葉を引用したりしていますし、膨大な知識力と推理力、観察力が探偵に欠かせないと『探偵学大全』にて説いていたという想像をしてしまいますね。
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