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第五章『奥州の覇者』
伊達政宗、隻眼の覇者は伊達じゃない その拾参
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いろいろあったが江渡弥平を倒すために戦の準備を始めた未来人衆(に加えて、その他の数人)。俺は死んだことになっているので目立つことは出来ず、かといって戦に参加しないわけにもいかない。なので米沢城にいる家臣の統率は小十郎と石川昭光、米沢城の守りは鬼庭良直とクロークを筆頭とする鉄壁の兵士達に任せた。
残る成実や景頼、真壁、夜行隊、未来人衆は俺の指示の元で戦に向かうこととなった。夜行隊は舞鶴をはじめとして、俺が生きていると知る者はいない。
「総員、位置に着いてください!」仁和は歯を食いしばった。「私達の元上司と決着を付けるため、江渡弥平を実質的トップとする歴史改変計画の実行者達をこれから倒します! 己の体がボロボロになろうと、最後の最後まで我々が勝つと信じてください! 今こそ、政宗殿への恩返しをする時です!」
「「行くぞーーー!」」
「「うおおおおぉぉぉーーーー!!」」
仁和にしては珍しく、声を荒げていた。それほどまでに江渡弥平を憎んでいたということだ。まあ無理もない。用済みとなって江渡弥平に捨てられた歴史改変計画の元人員の寄せ集めが未来人衆だからな。
俺も負けてはいられない。帯刀すると夜行隊が来る前に台に飛び乗り、未来人衆を見下ろした。
「我々が負けることはない! また、君達を捨てるなんてことは俺はしない! 思う存分に力を振るい、君達を捨てた江渡弥平に鉄槌を下そう! 神は我々の味方である!」
「「若旦那あああぁぁーーーー!」」
「行くぞ! 江渡弥平達に君達を捨てたことを後悔させるんだ!」
未来人衆の士気が上がったところで、成実と景頼と合流した。
「ってかさ、景頼も歴史改変計画の元人員だったよな?」
「はい、そうですが」
「未来人衆にいる知り合いと会って、もうちょっと士気を上げて来てくれ」
「わかりました」
景頼は駆け足で未来人衆の元へ行き、知り合いと話して士気を上げるために頑張ってくれた。
「さて成実。お前には見掛け倒しの毒ガスが溜められた容器を何個か渡そう」
「ということは、あの臭かったものが入っているということですか!?」
「そういうことになる」
「む、無理です! あんな臭いものは持ちたくないですよ!」
「だけど、戦況を見極めるのは成実が一番うまい。ここぞという時に敵陣にこの容器を投げ込んでほしいんだ。出来れば、敵本陣に毒ガスを投げ込んで撹乱させてくれ」
「......若様の頼みとあらば、やるしかないですね。この伊達成実、命を賭けてでも成功させましょう」
「ああ、信頼しているよ」
仁和には秘密だが、俺の狙いは江渡弥平と鐵凌牙と御影要だ。さっきも言ったが、鐵凌牙と御影要の二人は名前がうらやましい。もしどちらかがいたら殴り飛ばしてやるぜ。
「師匠! 僕はどうすれば良いでしょうか?」
「ん、真壁か。お前に出来ることは少ないし、隊の中心で守ってもらった方が良いだろう。非戦闘要員は守ると決めているからな」
「誰が非戦闘要員ですか!!」
「そう怒るな。真壁の力で敵を一掃出来るとも思えないから、仕方ないだろ。お前だって自覚はあるんじゃないか?」
「自覚はしていますが、改めて言われると......」
「ま、褒美は期待しろよ。お前は俺達に鐵と御影の情報をくれたからな」
「褒美はいらないので、僕に戦い方を教えてくださいよ」
「戦い方か。褒美の代わりならば鍛えるくらいはしてやる。この戦が終わったら俺の元に来い」
「良いんですか!? ありがとうございます!」
「よし、じゃあ用意してある馬から気に入った奴を選んでまたがっておけ」
「了解しました」
こうしている間に夜行隊の準備も出来て、江渡弥平がいると思われる場所へと向かうために米沢城を出発した。
一方その頃、米沢城内が大騒ぎとなっていたのは言うまでもない。政宗を殺した(と思われている)鼬鼠殺しへの復讐など二の次で、誰を伊達氏の当主とするべきか真剣な会議が開かれた。
義姫率いる小次郎派は、政宗の実弟である小次郎を当主として推していた。対して伊達氏の家臣団率いる昭光派は、伊達氏筆頭石川氏の昭光を伊達氏の当主として押している。他にも成実を当主として推す動きまであった。
義姫は熱弁する。「亡き輝宗や政宗の血を真っ直ぐ引き継いだ小次郎こそ、伊達氏の当主として相応しい。昭光殿や成実殿も伊達の血を引いているが、枝分かれしている家では様にならん」
「しかし、成実殿や昭光殿が伊達の血を引いているのも事実。まだ幼い小次郎殿に当主を任せるより、有能な成実殿か昭光殿を当主とする方が適任でしょう」
「成実殿は若様から気に入られておる。一門としても当主としての能力としても申し分ない。成実殿が当主となるべきだ」
「何を言うか。一門筆頭の昭光殿が当主となるのが当然だろうに」
「昭光殿が一門筆頭の石川氏と言えど、能力を鑑みれば成実殿一択だ!」
「争いは何も生まん。普通に考えれば若様の弟である小次郎殿こそが次の当主となるべきお方」
「ご冗談を。幼い小次郎殿に当主が務まるとお考えで?」
と、このように会議は白熱した。政宗が生きているとも知らずに。
残る成実や景頼、真壁、夜行隊、未来人衆は俺の指示の元で戦に向かうこととなった。夜行隊は舞鶴をはじめとして、俺が生きていると知る者はいない。
「総員、位置に着いてください!」仁和は歯を食いしばった。「私達の元上司と決着を付けるため、江渡弥平を実質的トップとする歴史改変計画の実行者達をこれから倒します! 己の体がボロボロになろうと、最後の最後まで我々が勝つと信じてください! 今こそ、政宗殿への恩返しをする時です!」
「「行くぞーーー!」」
「「うおおおおぉぉぉーーーー!!」」
仁和にしては珍しく、声を荒げていた。それほどまでに江渡弥平を憎んでいたということだ。まあ無理もない。用済みとなって江渡弥平に捨てられた歴史改変計画の元人員の寄せ集めが未来人衆だからな。
俺も負けてはいられない。帯刀すると夜行隊が来る前に台に飛び乗り、未来人衆を見下ろした。
「我々が負けることはない! また、君達を捨てるなんてことは俺はしない! 思う存分に力を振るい、君達を捨てた江渡弥平に鉄槌を下そう! 神は我々の味方である!」
「「若旦那あああぁぁーーーー!」」
「行くぞ! 江渡弥平達に君達を捨てたことを後悔させるんだ!」
未来人衆の士気が上がったところで、成実と景頼と合流した。
「ってかさ、景頼も歴史改変計画の元人員だったよな?」
「はい、そうですが」
「未来人衆にいる知り合いと会って、もうちょっと士気を上げて来てくれ」
「わかりました」
景頼は駆け足で未来人衆の元へ行き、知り合いと話して士気を上げるために頑張ってくれた。
「さて成実。お前には見掛け倒しの毒ガスが溜められた容器を何個か渡そう」
「ということは、あの臭かったものが入っているということですか!?」
「そういうことになる」
「む、無理です! あんな臭いものは持ちたくないですよ!」
「だけど、戦況を見極めるのは成実が一番うまい。ここぞという時に敵陣にこの容器を投げ込んでほしいんだ。出来れば、敵本陣に毒ガスを投げ込んで撹乱させてくれ」
「......若様の頼みとあらば、やるしかないですね。この伊達成実、命を賭けてでも成功させましょう」
「ああ、信頼しているよ」
仁和には秘密だが、俺の狙いは江渡弥平と鐵凌牙と御影要だ。さっきも言ったが、鐵凌牙と御影要の二人は名前がうらやましい。もしどちらかがいたら殴り飛ばしてやるぜ。
「師匠! 僕はどうすれば良いでしょうか?」
「ん、真壁か。お前に出来ることは少ないし、隊の中心で守ってもらった方が良いだろう。非戦闘要員は守ると決めているからな」
「誰が非戦闘要員ですか!!」
「そう怒るな。真壁の力で敵を一掃出来るとも思えないから、仕方ないだろ。お前だって自覚はあるんじゃないか?」
「自覚はしていますが、改めて言われると......」
「ま、褒美は期待しろよ。お前は俺達に鐵と御影の情報をくれたからな」
「褒美はいらないので、僕に戦い方を教えてくださいよ」
「戦い方か。褒美の代わりならば鍛えるくらいはしてやる。この戦が終わったら俺の元に来い」
「良いんですか!? ありがとうございます!」
「よし、じゃあ用意してある馬から気に入った奴を選んでまたがっておけ」
「了解しました」
こうしている間に夜行隊の準備も出来て、江渡弥平がいると思われる場所へと向かうために米沢城を出発した。
一方その頃、米沢城内が大騒ぎとなっていたのは言うまでもない。政宗を殺した(と思われている)鼬鼠殺しへの復讐など二の次で、誰を伊達氏の当主とするべきか真剣な会議が開かれた。
義姫率いる小次郎派は、政宗の実弟である小次郎を当主として推していた。対して伊達氏の家臣団率いる昭光派は、伊達氏筆頭石川氏の昭光を伊達氏の当主として押している。他にも成実を当主として推す動きまであった。
義姫は熱弁する。「亡き輝宗や政宗の血を真っ直ぐ引き継いだ小次郎こそ、伊達氏の当主として相応しい。昭光殿や成実殿も伊達の血を引いているが、枝分かれしている家では様にならん」
「しかし、成実殿や昭光殿が伊達の血を引いているのも事実。まだ幼い小次郎殿に当主を任せるより、有能な成実殿か昭光殿を当主とする方が適任でしょう」
「成実殿は若様から気に入られておる。一門としても当主としての能力としても申し分ない。成実殿が当主となるべきだ」
「何を言うか。一門筆頭の昭光殿が当主となるのが当然だろうに」
「昭光殿が一門筆頭の石川氏と言えど、能力を鑑みれば成実殿一択だ!」
「争いは何も生まん。普通に考えれば若様の弟である小次郎殿こそが次の当主となるべきお方」
「ご冗談を。幼い小次郎殿に当主が務まるとお考えで?」
と、このように会議は白熱した。政宗が生きているとも知らずに。
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