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第四章『輝宗の死』
伊達政宗、悪運の強さは伊達じゃない その弐
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伊達輝宗公、初七日。俺は膝を付いて、涙を流す演技をした。
「父上......。私は父上の意志を継ぎます! そして、二本松城を攻め落とします!」
俺は涙ぐみながら──芝居なわけだが──立ち上がった。燭台切と諸刃刃親光を腰にぶら下げ、はるか彼方の二本松城があるであろう方向を指差した。
「向かうのだ、二本松城へ! 亡き父上の恨みを晴らすべく!」
演技を終えると、俺はウルトラウィークに飛び乗った。「よろしくな、ウルトラウィーク。──二本松城へ進めぇ! 我を先頭に続くのだ!」
「「おおおぉぉーーー!!」」
馬を駆け、義継の二本松城へ向かった。俺はあの城を攻めるしかない。急いで向かおう。死ぬのは御免なんだ。
それにしても、二代目諸刃刃親光を権次と兼三は数日ほどで完成させた。それを今は小十郎が装備しているわけだが、権次と兼三の腕には感心だ。あんな凄腕の鍛冶屋は、捜しても早々には見つからない。良い掘り出し物を発見したもんだな。
権次も兼三も、元々は伊達氏に仕える一人だった。火縄銃の強化版を作る作業で権次は貢献してくれたから、俺お抱えの鍛冶屋に出世した。
兼三は、成実が刀作りを密かに依頼したことが切っ掛けで名前を知った者だ。兼三は成実が見込んだことのある腕であり、直ぐさまお抱えの鍛冶屋にさせた。
今考えてみると、偶然見つけた原石だ。磨けばまだまだ光るぞ。
おっと、今はそんなことに頭を使う余裕はない。二本松城へ攻め、かつ、俺は命を落とさないようにしなくては。城より先に伊達氏の当主の命が落ちてしまったら、笑い話では終わらない。それは出来るだけ避けたい。
そんなことなどを頭の中で考えながら馬を走らせた。ただただ突っ走る。風を切るような勢いで前進した。
日が沈んできて辺りが暗くなると、寝泊まりをして野宿をするための場所を探した。大軍がすっぽりと収まる空きスペースに配置させ、その中から一部の兵を見張りに駆り出した。
「いいな? 見張りは交代制だ。半刻(一時間)ごとに交代をして、朝まで見張りを続けるように。以上だ」
「「はっ!」」
元いた場所に戻るが、座り心地が悪い。周囲を見回しながら手頃な樹木を見極めた。その木に登ると、寝転がれる位置を確認した。大丈夫な位置を発見すると、そこに横になる。これが案外、ハンモックのようで気持ち良いのだ。
前世の学生時、授業を抜け出して校庭に生える木に登っていた。今思うと我ながらバカな奴だけど、その時の経験が功を奏した。前世の経験が役立つ時もあるのだと思いつつ、俺は寝心地の最高な木の上で重くなったまぶたを閉じた。深い眠りに就いたのだ。
だが、俺の睡眠は叫び声によって破られた。急に起こされれば気分が良くない。何の叫び声なのかと顔を覗かせると、クマが襲ってきたようだ。
「あんなクマのために俺が起こされたのか。俺の睡眠時間を削りやがって......ぶっ殺す!」
まずは手に馴染んでいる燭台切を鞘から抜き取り、両手で握る。木から飛び降りると、クマに近づいた。
小十郎は俺の服を掴んで、進行方向とは逆に引っ張る。「若様、それ以上近づくのは危険です! 隊を避難させましょう!」
「そういうわけにもいかねぇ。俺を起こした罪は重い。断罪だ! 皆、離れろ!」
俺の声に応じて、周囲にいた奴らが離れていく。俺は燭台切を振り下ろし、クマの左手を両断した。
「ハッ! 下等生物らしいじゃないか。俺様を起こした罪は重いぜ」
実際に俺が起きたのは誰かの叫び声なんだが、それはクマが原因だ。犯人探しをするよりクマを殺してスカッとしたい。だから、クマを攻撃している。
次は右手を斬り掛かったが、踏み込みが甘かった。瞬時に防御壁を展開して、クマの攻撃を防いだ。
諸刃刃親光を取り出し、燭台切を鞘に収める。それから、クマの脳天に一撃を食らわせた。
「ガォー、とか叫んでみろよ!」
頭を攻撃してから、一瞬すきが出来た。そこを突いて、骨を避けるようにして心臓を貫いた。
「討伐完了」
俺は刀を鞘に入れてから、クマに近寄って顔を見る。クマを生で見るのは初めてだな。思ったよりは弱いんだ。クマって言っても、ライオンには勝てなさそうだし。肉がうまそうだ。今夜はご馳走だ。
「誰か、こいつを解体して肉塊に出来る奴はいるか?」
「なら」仁和が挙手をして、前に出てきた。「私の出番ですね」
「仁和、お前解体とかも出来るってことかよ」
「一応、解体は得意です」
「んじゃ、こいつを解体して今晩の飯にでもしてくれよ」
「今晩の食事は用意されていますよ? わざわざ解体して食べる必要はありますか?」
「倒したからには食べたいだろ。もし食べなかったら、こいつは何のために死んだんだよ」
「それもそうですね。急いで解体しましょう」
「おいしい部位はたっぷりと切り出しておけよ。食ってもまずいんじゃ意味がない」
「わかっております」
仁和はどこからか料理包丁を出して握ると、クマを解体していった。北海道のアイヌ民族が神として崇める神様を殺しちまったな。アイヌ民族と交友するのは歴史上はまだまだ先だが、一度会ってみたいよな。
まあ、人を襲ったクマはアイヌ民族も狩っているようだけど。
アイヌ民族になぜか思いを馳せていると、いつの間にか仁和は解体を終わらせていた。
「父上......。私は父上の意志を継ぎます! そして、二本松城を攻め落とします!」
俺は涙ぐみながら──芝居なわけだが──立ち上がった。燭台切と諸刃刃親光を腰にぶら下げ、はるか彼方の二本松城があるであろう方向を指差した。
「向かうのだ、二本松城へ! 亡き父上の恨みを晴らすべく!」
演技を終えると、俺はウルトラウィークに飛び乗った。「よろしくな、ウルトラウィーク。──二本松城へ進めぇ! 我を先頭に続くのだ!」
「「おおおぉぉーーー!!」」
馬を駆け、義継の二本松城へ向かった。俺はあの城を攻めるしかない。急いで向かおう。死ぬのは御免なんだ。
それにしても、二代目諸刃刃親光を権次と兼三は数日ほどで完成させた。それを今は小十郎が装備しているわけだが、権次と兼三の腕には感心だ。あんな凄腕の鍛冶屋は、捜しても早々には見つからない。良い掘り出し物を発見したもんだな。
権次も兼三も、元々は伊達氏に仕える一人だった。火縄銃の強化版を作る作業で権次は貢献してくれたから、俺お抱えの鍛冶屋に出世した。
兼三は、成実が刀作りを密かに依頼したことが切っ掛けで名前を知った者だ。兼三は成実が見込んだことのある腕であり、直ぐさまお抱えの鍛冶屋にさせた。
今考えてみると、偶然見つけた原石だ。磨けばまだまだ光るぞ。
おっと、今はそんなことに頭を使う余裕はない。二本松城へ攻め、かつ、俺は命を落とさないようにしなくては。城より先に伊達氏の当主の命が落ちてしまったら、笑い話では終わらない。それは出来るだけ避けたい。
そんなことなどを頭の中で考えながら馬を走らせた。ただただ突っ走る。風を切るような勢いで前進した。
日が沈んできて辺りが暗くなると、寝泊まりをして野宿をするための場所を探した。大軍がすっぽりと収まる空きスペースに配置させ、その中から一部の兵を見張りに駆り出した。
「いいな? 見張りは交代制だ。半刻(一時間)ごとに交代をして、朝まで見張りを続けるように。以上だ」
「「はっ!」」
元いた場所に戻るが、座り心地が悪い。周囲を見回しながら手頃な樹木を見極めた。その木に登ると、寝転がれる位置を確認した。大丈夫な位置を発見すると、そこに横になる。これが案外、ハンモックのようで気持ち良いのだ。
前世の学生時、授業を抜け出して校庭に生える木に登っていた。今思うと我ながらバカな奴だけど、その時の経験が功を奏した。前世の経験が役立つ時もあるのだと思いつつ、俺は寝心地の最高な木の上で重くなったまぶたを閉じた。深い眠りに就いたのだ。
だが、俺の睡眠は叫び声によって破られた。急に起こされれば気分が良くない。何の叫び声なのかと顔を覗かせると、クマが襲ってきたようだ。
「あんなクマのために俺が起こされたのか。俺の睡眠時間を削りやがって......ぶっ殺す!」
まずは手に馴染んでいる燭台切を鞘から抜き取り、両手で握る。木から飛び降りると、クマに近づいた。
小十郎は俺の服を掴んで、進行方向とは逆に引っ張る。「若様、それ以上近づくのは危険です! 隊を避難させましょう!」
「そういうわけにもいかねぇ。俺を起こした罪は重い。断罪だ! 皆、離れろ!」
俺の声に応じて、周囲にいた奴らが離れていく。俺は燭台切を振り下ろし、クマの左手を両断した。
「ハッ! 下等生物らしいじゃないか。俺様を起こした罪は重いぜ」
実際に俺が起きたのは誰かの叫び声なんだが、それはクマが原因だ。犯人探しをするよりクマを殺してスカッとしたい。だから、クマを攻撃している。
次は右手を斬り掛かったが、踏み込みが甘かった。瞬時に防御壁を展開して、クマの攻撃を防いだ。
諸刃刃親光を取り出し、燭台切を鞘に収める。それから、クマの脳天に一撃を食らわせた。
「ガォー、とか叫んでみろよ!」
頭を攻撃してから、一瞬すきが出来た。そこを突いて、骨を避けるようにして心臓を貫いた。
「討伐完了」
俺は刀を鞘に入れてから、クマに近寄って顔を見る。クマを生で見るのは初めてだな。思ったよりは弱いんだ。クマって言っても、ライオンには勝てなさそうだし。肉がうまそうだ。今夜はご馳走だ。
「誰か、こいつを解体して肉塊に出来る奴はいるか?」
「なら」仁和が挙手をして、前に出てきた。「私の出番ですね」
「仁和、お前解体とかも出来るってことかよ」
「一応、解体は得意です」
「んじゃ、こいつを解体して今晩の飯にでもしてくれよ」
「今晩の食事は用意されていますよ? わざわざ解体して食べる必要はありますか?」
「倒したからには食べたいだろ。もし食べなかったら、こいつは何のために死んだんだよ」
「それもそうですね。急いで解体しましょう」
「おいしい部位はたっぷりと切り出しておけよ。食ってもまずいんじゃ意味がない」
「わかっております」
仁和はどこからか料理包丁を出して握ると、クマを解体していった。北海道のアイヌ民族が神として崇める神様を殺しちまったな。アイヌ民族と交友するのは歴史上はまだまだ先だが、一度会ってみたいよな。
まあ、人を襲ったクマはアイヌ民族も狩っているようだけど。
アイヌ民族になぜか思いを馳せていると、いつの間にか仁和は解体を終わらせていた。
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