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第四章『輝宗の死』
伊達政宗、輝宗を殺すのは伊達じゃない その伍弐
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ホースティーの処置が終わり、俺は部屋に入って布団を敷いた。
「そういえば」布団に潜りながら、ふと思い出したことがある。「四天王はモーティマー、ホースティー、ガルフ、あと一人は誰だ?」
名前を聞いていない四天王が一人いたことを思い出したのは良いとして、なぜ名乗らなかったのか。これは調べてみる必要があるな。明日にでもアマテラスに聞いてみよう。
ま、今日は寝るだけだけどな!
起床すると、布団を片付ける。そして、服を着替えた。廊下に出てみると、かなり騒がしかった。
俺は小十郎を呼び止めた。「何があったんだ?」
「畠山殿がご隠居様に、若様との取りなしを依頼したようです」
「畠山......。義継のことか?」
「さようです」
「なるほど。それで騒がしかったのか」
「ご隠居様が若様を呼んでいましたよ」
「わかった。すぐに向かおう」
義継の処遇を輝宗と話し合うことになるだろう。ここまでは計画通りだ。
輝宗の元へ向かうと、険しい顔付きをしていた。
「父上、参りました」
「政宗よ。話しは聞いているな?」
「畠山義継殿が父上に取りなしを依頼した、と聞いております」
「ちゃんと聞いているようだ。義継の処遇について、これからじっくりと話し合いたい」
「承知しました」
床に腰を下ろし、口を堅く結ぶ。俺が思い描くような行く末に輝宗を誘導する。それにはまず、話し合いの主導権を握る必要がある。
「政宗は義継をどうしようと考えている?」
「兵力を削ぎ落とし、我々に刃向かえないようにいたすのが懸命かと」
「確かに、奴らに戦力がなくなれば刃向かうことは出来なくなるな」
「はい」
「そうするには、どうすれば良いと思う?」
「財産を没収して多くの兵を養えなくすれば、泣く泣く自ら兵力を削ぐのではないですか?」
「ふむ。そうすることも可能だな。他には何かないか?」
「領地没収も視野に入れるべきかと思われます」
輝宗は何度かうなずいた。このままいくと、俺の考えが採用されることだろう。
「では、正式に領地没収と義継に伝えてみようか」
「それが良いでしょう」
よし、完璧だ。義継はこの領地没収を飲み込むはずだし、嫌なほど思い描いた通りにことが進む。あとはその時を待つばかり。
「政宗は帰っていろ。我が義継に伝えておく」
「わかりました」
一度頭を下げ、部屋から出た。廊下には少しばかり風が吹いていた。もうこんな季節だというのに、妙に肌寒い。腕をさすりながら、部屋へ帰る。
中途で仁和を見つけた。「おい、仁和!」
「これはこれは若様。私に何かご用でしょうか?」
「ご用だ。義継が取りなしの依頼を父上にしたのを知っているか?」
「今朝知りました」
「計画通りになっている。首尾は上々だよ」
「ならば、これからも計画通りに進めてください」
「わかっている」
仁和は書類を持ちながら廊下の奥へ消えていった。
昨日はホームズからバリツを教わったし、いざとなれば大丈夫だ。仁和の計画がご破算になることはないし、義継が領地没収を飲み込むまで不動だな。
部屋に戻り、棚から本を取り出す。ホームズの活躍をワトスンが記したものだ。
──数日後。
今日の日のために、鉄砲隊の技能を向上させてきた。この一日のために入念な準備もしている。失敗は許されない。
まずは城を開けて、俺は外出をした。城下町へ、久方振りに足を運んだのだ。
まさか俺が政宗だとは気付かず、城下町を満喫した。城下町にはこのようなうまい食べ物があるのかと感動した。城下町も捨てたものではない。これからも城下町を訪れて、食べ物を買っていくことにしよう。
本日は義継が領地没収を受け入れて、命を取らなかったお礼を言うために輝宗の元へ来ている。それが計画の最終段階だ。あとは義継を信じるしかない。
食べ物を堪能してから城へ帰ると、何やら騒がしい。計画はうまくいっているようだな。
一番騒々しい場所へ行くと、義継が輝宗を掴んで、それを成実が食い止めようとしている。成実もうまくやっているな。
懐から拳銃を取り出し、火薬と鉛玉を詰め込む。そして、前に出た。
「父上を離すんだ!」
銃口は義継と輝宗に向いている。成実に目で合図をすると、鉄砲隊が駆けつけた。
「政宗ぇ!」
「鉄砲隊、放て!」
鉄砲隊は弾丸を撃ち、義継と輝宗に命中する。倒れた両者に近づいた俺は、義継にとどめを刺した。それからまた弾を詰めると、輝宗のこめかみに当てる。
「父上。死んでください」
「ま、政宗!」
発砲音が響く。輝宗は驚愕した顔で俺を見てから、バタリと地面に倒れた。
拳銃を放り投げると、腕を組む。
「クハハハハハッ! 父上は死んだ! これならは俺が伊達氏の主となる! クハハハハハッ!」
全て完璧に計画は遂行された。俺は笑い狂った。目の前には二人の死体がある。
「この死体を直ちに処分するのだ!」
「しかし、ご隠居様の遺体ですよ!?」
「構わんよ。その死体は用済みだ。中身には誰も入っちゃいない」
俺は人混みをかき分けながら、城内へ進んだ。これで俺は自由が手に入ったわけだ。伊達氏の力を奥州、いや、天下へ轟かせてやる!
「そういえば」布団に潜りながら、ふと思い出したことがある。「四天王はモーティマー、ホースティー、ガルフ、あと一人は誰だ?」
名前を聞いていない四天王が一人いたことを思い出したのは良いとして、なぜ名乗らなかったのか。これは調べてみる必要があるな。明日にでもアマテラスに聞いてみよう。
ま、今日は寝るだけだけどな!
起床すると、布団を片付ける。そして、服を着替えた。廊下に出てみると、かなり騒がしかった。
俺は小十郎を呼び止めた。「何があったんだ?」
「畠山殿がご隠居様に、若様との取りなしを依頼したようです」
「畠山......。義継のことか?」
「さようです」
「なるほど。それで騒がしかったのか」
「ご隠居様が若様を呼んでいましたよ」
「わかった。すぐに向かおう」
義継の処遇を輝宗と話し合うことになるだろう。ここまでは計画通りだ。
輝宗の元へ向かうと、険しい顔付きをしていた。
「父上、参りました」
「政宗よ。話しは聞いているな?」
「畠山義継殿が父上に取りなしを依頼した、と聞いております」
「ちゃんと聞いているようだ。義継の処遇について、これからじっくりと話し合いたい」
「承知しました」
床に腰を下ろし、口を堅く結ぶ。俺が思い描くような行く末に輝宗を誘導する。それにはまず、話し合いの主導権を握る必要がある。
「政宗は義継をどうしようと考えている?」
「兵力を削ぎ落とし、我々に刃向かえないようにいたすのが懸命かと」
「確かに、奴らに戦力がなくなれば刃向かうことは出来なくなるな」
「はい」
「そうするには、どうすれば良いと思う?」
「財産を没収して多くの兵を養えなくすれば、泣く泣く自ら兵力を削ぐのではないですか?」
「ふむ。そうすることも可能だな。他には何かないか?」
「領地没収も視野に入れるべきかと思われます」
輝宗は何度かうなずいた。このままいくと、俺の考えが採用されることだろう。
「では、正式に領地没収と義継に伝えてみようか」
「それが良いでしょう」
よし、完璧だ。義継はこの領地没収を飲み込むはずだし、嫌なほど思い描いた通りにことが進む。あとはその時を待つばかり。
「政宗は帰っていろ。我が義継に伝えておく」
「わかりました」
一度頭を下げ、部屋から出た。廊下には少しばかり風が吹いていた。もうこんな季節だというのに、妙に肌寒い。腕をさすりながら、部屋へ帰る。
中途で仁和を見つけた。「おい、仁和!」
「これはこれは若様。私に何かご用でしょうか?」
「ご用だ。義継が取りなしの依頼を父上にしたのを知っているか?」
「今朝知りました」
「計画通りになっている。首尾は上々だよ」
「ならば、これからも計画通りに進めてください」
「わかっている」
仁和は書類を持ちながら廊下の奥へ消えていった。
昨日はホームズからバリツを教わったし、いざとなれば大丈夫だ。仁和の計画がご破算になることはないし、義継が領地没収を飲み込むまで不動だな。
部屋に戻り、棚から本を取り出す。ホームズの活躍をワトスンが記したものだ。
──数日後。
今日の日のために、鉄砲隊の技能を向上させてきた。この一日のために入念な準備もしている。失敗は許されない。
まずは城を開けて、俺は外出をした。城下町へ、久方振りに足を運んだのだ。
まさか俺が政宗だとは気付かず、城下町を満喫した。城下町にはこのようなうまい食べ物があるのかと感動した。城下町も捨てたものではない。これからも城下町を訪れて、食べ物を買っていくことにしよう。
本日は義継が領地没収を受け入れて、命を取らなかったお礼を言うために輝宗の元へ来ている。それが計画の最終段階だ。あとは義継を信じるしかない。
食べ物を堪能してから城へ帰ると、何やら騒がしい。計画はうまくいっているようだな。
一番騒々しい場所へ行くと、義継が輝宗を掴んで、それを成実が食い止めようとしている。成実もうまくやっているな。
懐から拳銃を取り出し、火薬と鉛玉を詰め込む。そして、前に出た。
「父上を離すんだ!」
銃口は義継と輝宗に向いている。成実に目で合図をすると、鉄砲隊が駆けつけた。
「政宗ぇ!」
「鉄砲隊、放て!」
鉄砲隊は弾丸を撃ち、義継と輝宗に命中する。倒れた両者に近づいた俺は、義継にとどめを刺した。それからまた弾を詰めると、輝宗のこめかみに当てる。
「父上。死んでください」
「ま、政宗!」
発砲音が響く。輝宗は驚愕した顔で俺を見てから、バタリと地面に倒れた。
拳銃を放り投げると、腕を組む。
「クハハハハハッ! 父上は死んだ! これならは俺が伊達氏の主となる! クハハハハハッ!」
全て完璧に計画は遂行された。俺は笑い狂った。目の前には二人の死体がある。
「この死体を直ちに処分するのだ!」
「しかし、ご隠居様の遺体ですよ!?」
「構わんよ。その死体は用済みだ。中身には誰も入っちゃいない」
俺は人混みをかき分けながら、城内へ進んだ。これで俺は自由が手に入ったわけだ。伊達氏の力を奥州、いや、天下へ轟かせてやる!
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