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第四章『輝宗の死』
伊達政宗、輝宗を殺すのは伊達じゃない その伍零
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アマテラスは、俺の視点で小説のようなものを書いていた。その理由、当然気になる。俺は元気よく返事をした。
「気になるに決まってんだろーーー!」
「そんなもんなのか?」
「まあなっ!」
「良かろう」アマテラスは紙の束を回収した。「我がこれを書こうと思った経緯を話していこうじゃないか」
俺が殺されてアーティネスに出会った日、アマテラスは自分の部屋でその様子を確認していた。
アーティネスは俺を見た。「目覚めましたか?」
今でもこの時のことは記憶に残っている。俺はあの時、非常に動揺していた。
「誰だ!」
「私は人柱の一柱である女神・アーティネスです」
「女神? なら、なんで黒衣を?」
「人柱は皆、この黒衣を着衣する決まりがありますから」
「人柱?」
「人柱は人間界では生け贄ですが、私達の場合は『人間界でいう人柱』が転生して君臨した神のようなものです。俗に『犠牲神』とも呼称されます」
「なるほど。で、人柱の女神がいるところに、俺。......つまり、俺って死んだ?」
「はい」
「かなり淡泊な反応だな......」
「ええ」
「死んだことは受け入れる。でも、人柱の女神が俺に用があるのか?」
「人柱は生け贄の辛さがわかります。『死』は辛い。あなたも、随分と辛い死因ですよ? ですから、死んでからは好きなことをやれるようなアフターケアをあなたに提供しようと思って、閻魔大王に無理言って私の部屋に招きました」
「辛い死因?」
「あなたは、殺されたのです!」
「俺の死因は? 犯人は誰なんだ?」
「そうですね」アーティネスは顎に手を当てた。「死因と犯人を当てることが出来たら、あなたに転生の権利を与えましょう」
「転生?」
「輪廻転生です。あなたは新たに人生をやり直せます」
「それって、偉人とかにも転生出来たりする?」
「はい。偉人にも転生は可能です。しかし、転生は生まれた時からスタートなので、偉人になれるかはあなた次第でしょう」
「なら、俺は伊達政宗に転生したい」
「いいでしょう。死因と犯人を当ててみなさい。質問は受け付けます」
「ちなみに、転生後は前世の記憶あります?」
「記憶を維持した状態での転生も出来ますが、そうしますか?」
「もちろん! ......そういえば、転生にペナルティってあるのか?」
「死因と犯人、そのどちらかを間違えたら即地獄行きになるように閻魔大王に働きかけます」
この時すでに、アマテラスは俺に目を付けていたようだ。その理由を尋ねると、アーティネスは普通は試練などを与えることはないらしく、俺はアーティネスによって見込まれたのだという。
俺に何かを見いだしたアマテラスは、下界での俺の様子を観察して事細かく紙に書いていった。
「素晴らしいぞ!」アマテラスは俺の行動を見ていた。「記憶が戻ったと思ったら、自分で目を刺した! あの行動力と実行力は賞賛に値する」
俺は伊達政宗に転生するが、九歳まで記憶は戻らなかった。だから、自分が正しい伊達政宗としての道を辿るべく、急いで刀で目を刺してみた。滅茶苦茶痛かったことを記憶しているが、お陰様で今でも隻眼である。
アマテラスは俺の観察を毎日の楽しみとするようになった。そしてついに、元服を迎えた。それからの俺は輝宗に気に入られようといろいろな活躍をしてみせた。
それからの俺はどんどん力を付けていき、仲間の協力もあって、ついにはヘルリャフカ討伐することに成功した。
「我でも封印することが精一杯だった、あのヘルリャフカをあっさりと討伐してしまうのは......。ますます有望株じゃないか!」
その時、アマテラスの頭の中でとある考えがよぎった。それは、他の神にも俺の素晴らしさを説きたい、というものだ。俺がヘルリャフカを倒したことは神界に広く知れ渡っていたが、どのように強くなったのかなどまでは知られていない。
俺の素晴らしさは成長過程にあると思ったアマテラスは、観察日記として書いていたものを使って小説風に書き直した。それが、さっきの分厚い紙の束だ。
「なるほど」話しを聞き終わった俺は、何度かうなずく。「つまり、俺の伝記本を書きたかったわけか?」
「ああ。他の神の思考まで読めるのは我しかいないし、お前の伝記を書くのは我がうってつけであろう?」
「それは構わないが、ということはアマテラスは俺達の味方だってことか?」
「うむ、そういうことになる」
俺はガッツポーズをした。「よっしゃっ!」
「だが、あまり手助けはしないぞ。ピンチに助けるくらいだ」
「それでも助かるよ」
強力な仲間を得た。アマテラスは俺の歴史知識以上のチートになってしまう。これで一安心、同盟を結ぶことにしよう。
「ホースティーに拒まれたんだが、ここに同盟を結びに際しての条件が書かれている」
「読もうか」
アマテラスは俺が提示する条件を読んでいき、笑みを浮かべた。「この程度の条件なら飲んでやる」
「マジか! サンキュー! で、アマテラスが提示する条件は何だ?」
「それは伝記本を書かせてもらうために──」
「あのぅ」成実は気になったようにこちらを覗いてきた。「転生ってなんでしょうか?」
「気になるに決まってんだろーーー!」
「そんなもんなのか?」
「まあなっ!」
「良かろう」アマテラスは紙の束を回収した。「我がこれを書こうと思った経緯を話していこうじゃないか」
俺が殺されてアーティネスに出会った日、アマテラスは自分の部屋でその様子を確認していた。
アーティネスは俺を見た。「目覚めましたか?」
今でもこの時のことは記憶に残っている。俺はあの時、非常に動揺していた。
「誰だ!」
「私は人柱の一柱である女神・アーティネスです」
「女神? なら、なんで黒衣を?」
「人柱は皆、この黒衣を着衣する決まりがありますから」
「人柱?」
「人柱は人間界では生け贄ですが、私達の場合は『人間界でいう人柱』が転生して君臨した神のようなものです。俗に『犠牲神』とも呼称されます」
「なるほど。で、人柱の女神がいるところに、俺。......つまり、俺って死んだ?」
「はい」
「かなり淡泊な反応だな......」
「ええ」
「死んだことは受け入れる。でも、人柱の女神が俺に用があるのか?」
「人柱は生け贄の辛さがわかります。『死』は辛い。あなたも、随分と辛い死因ですよ? ですから、死んでからは好きなことをやれるようなアフターケアをあなたに提供しようと思って、閻魔大王に無理言って私の部屋に招きました」
「辛い死因?」
「あなたは、殺されたのです!」
「俺の死因は? 犯人は誰なんだ?」
「そうですね」アーティネスは顎に手を当てた。「死因と犯人を当てることが出来たら、あなたに転生の権利を与えましょう」
「転生?」
「輪廻転生です。あなたは新たに人生をやり直せます」
「それって、偉人とかにも転生出来たりする?」
「はい。偉人にも転生は可能です。しかし、転生は生まれた時からスタートなので、偉人になれるかはあなた次第でしょう」
「なら、俺は伊達政宗に転生したい」
「いいでしょう。死因と犯人を当ててみなさい。質問は受け付けます」
「ちなみに、転生後は前世の記憶あります?」
「記憶を維持した状態での転生も出来ますが、そうしますか?」
「もちろん! ......そういえば、転生にペナルティってあるのか?」
「死因と犯人、そのどちらかを間違えたら即地獄行きになるように閻魔大王に働きかけます」
この時すでに、アマテラスは俺に目を付けていたようだ。その理由を尋ねると、アーティネスは普通は試練などを与えることはないらしく、俺はアーティネスによって見込まれたのだという。
俺に何かを見いだしたアマテラスは、下界での俺の様子を観察して事細かく紙に書いていった。
「素晴らしいぞ!」アマテラスは俺の行動を見ていた。「記憶が戻ったと思ったら、自分で目を刺した! あの行動力と実行力は賞賛に値する」
俺は伊達政宗に転生するが、九歳まで記憶は戻らなかった。だから、自分が正しい伊達政宗としての道を辿るべく、急いで刀で目を刺してみた。滅茶苦茶痛かったことを記憶しているが、お陰様で今でも隻眼である。
アマテラスは俺の観察を毎日の楽しみとするようになった。そしてついに、元服を迎えた。それからの俺は輝宗に気に入られようといろいろな活躍をしてみせた。
それからの俺はどんどん力を付けていき、仲間の協力もあって、ついにはヘルリャフカ討伐することに成功した。
「我でも封印することが精一杯だった、あのヘルリャフカをあっさりと討伐してしまうのは......。ますます有望株じゃないか!」
その時、アマテラスの頭の中でとある考えがよぎった。それは、他の神にも俺の素晴らしさを説きたい、というものだ。俺がヘルリャフカを倒したことは神界に広く知れ渡っていたが、どのように強くなったのかなどまでは知られていない。
俺の素晴らしさは成長過程にあると思ったアマテラスは、観察日記として書いていたものを使って小説風に書き直した。それが、さっきの分厚い紙の束だ。
「なるほど」話しを聞き終わった俺は、何度かうなずく。「つまり、俺の伝記本を書きたかったわけか?」
「ああ。他の神の思考まで読めるのは我しかいないし、お前の伝記を書くのは我がうってつけであろう?」
「それは構わないが、ということはアマテラスは俺達の味方だってことか?」
「うむ、そういうことになる」
俺はガッツポーズをした。「よっしゃっ!」
「だが、あまり手助けはしないぞ。ピンチに助けるくらいだ」
「それでも助かるよ」
強力な仲間を得た。アマテラスは俺の歴史知識以上のチートになってしまう。これで一安心、同盟を結ぶことにしよう。
「ホースティーに拒まれたんだが、ここに同盟を結びに際しての条件が書かれている」
「読もうか」
アマテラスは俺が提示する条件を読んでいき、笑みを浮かべた。「この程度の条件なら飲んでやる」
「マジか! サンキュー! で、アマテラスが提示する条件は何だ?」
「それは伝記本を書かせてもらうために──」
「あのぅ」成実は気になったようにこちらを覗いてきた。「転生ってなんでしょうか?」
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