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第四章『輝宗の死』
伊達政宗、輝宗を殺すのは伊達じゃない その肆捌
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ホースティーの奥の手は高速移動ではなく、瞬間移動の可能性が高い。果たして、本当にそうなのだろうか。
腕を組むと、床に目を向けた。「成実。その話し、あとでくわしくきかせてくれ」
「わかりました」
「んじゃ、会議をするから着いてこい」
成実がうなずいたのを確認してから、部屋を出て廊下を進んだ。そして、ホースティー達がいる部屋を知らないことに気付いた。
「ホースティー達のいる部屋はどこだ?」
その言葉を聞いた成実は、微笑しながら前に出た。「ご案内します」
「すまんな」
「いえ」
恥ずかしい! 非常に恥ずかしい! あんなに格好付けて部屋を出たのに、ホースティー達のいる部屋を知らなかったとは! もっと早く気づけよ、俺......。
成実の向かうところへ着いていくと、ホースティーと景頼、小十郎が雑談を交えていた。
「よう、ホースティー」
俺がホースティーの名を口にすると、当の本人は不敵な笑みを浮かべた。「やあ、君も回復したんですね」
「相打ちとは、上には上がいるもんだぜ」
手を差し出して握手を求めるが、ホースティーはそれを無視して話し始めた。
「昔から神界では人間を下に見る風潮があった。実際に人間は下等生物なんだがね、何か勘違いしていないかい?」
「神がすごいのか?」
「当然だよ」
「人間が死んでから神になった例もある。アーティネスもそうだろ?」
「彼女からは人間らしさは感じられない。それもそのはず、人柱にされたから神になったのがアーティネスなんだ。人間を恨んで当然」
「人間保守派の神もいると聞いたんだが?」
「まったく、どこからの情報でしょうね。......人間を尊重するべきだという思想を持った神なら複数存在します。確かに、人間には神よりも優れた面はある。けれど、人間なんてのは他人の運命を決められない。神は一人の人間の人生など、指一本も使わずに狂わすことが出来る!」
「人の人生を狂わせて何になるってんだ」
「ハハハ、ただ楽しいだけだよ? 人間を操り、人間の人生をぶち壊し、人間の人格をも破壊する。これは我々からしたら遊びに過ぎないんだ! そう、暇つぶしだよ」
狂ってやがる! こいつは、いや神はほとんどが狂っている。こいつらは狂信者だ。人の人生を滅茶苦茶にして、それが遊びでした、じゃ許されねぇんだよ。
「テメェ、その考えを改めない限りは人間から崇拝されることはねーぞ!」
「人間からの崇拝があれば、さらに強くなれる」ホースティーは自分の手の平に目をやった。「ただ、下等生物に崇拝を乞うくらいなら、修行した方がマシですよ」
神の考え方は理解不能だ。理解することは永遠に出来ないだろう。
俺は床に腰を下ろし、畳に目を落とした。「同盟会議を開始する。両者間、つまり俺達政宗陣営とアマテラス陣営の間で、正式な同盟を結びたい。どうするかと言うと、相手に提示した条件を、ちゃんと飲み込めるか否かを決める会議だ」
俺はアマテラス側に同盟を結ぶに際して様々な条件を提示している。一方でアマテラス側も、こちらに条件を提示。
お互いがその条件に納得することが出来るか、提示された条件を飲み込めるか決めるための会議となる。
ホースティーは俺達が提示した条件に目を通す。「『条件その19.神は俺達人間を見下さないこと。』というような、この条件には納得するのは無理だよ」
こいつマジでうぜぇ。舐めてんのか? そこを納得してもらわないと対等な同盟にはならんだろーが。
「では、俺達もあなた方神を見下すこととしても良いですね?」
「君達は神を敬い、我々は君達を見下す。これが理想となります」
話しが通じない......。こいつは馬鹿なのか。これは通訳が一人くらい必須だぞ。外国人じゃあるまいし、通訳はいないとは思うが。
「小十郎!」
「どうしましたか、若様?」
「アマテラス殿を呼んでこい」
「承知しました」
小十郎は部屋を飛び出してアマテラスを呼びに行った。
ホースティーは下唇を噛み千切った。「なぜアマテラス様を呼ぶのだ!」
「アマテラス殿は対等な同盟を望んでおられる。あなたの一存で話しは決められません!」
「アマテラス様が下等生物と対等な同盟を結ぶことを望むわけがない!」
「これは事実です」
俺がホースティーを睨むと、奴は目を鋭く尖らせた。「力でねじ伏せてやる!」
その言葉に反応した俺は、防御壁を前方に展開した。ホースティーは力を暴走させ、重力を同心円状に広げた。同心円状の中にいた俺は重力の増加で立てなくなり、そのすきにホースティーに馬乗りにされた。
「ガアアアァァーーー!」
「死ねぇ、政宗ぇ!」
俺はホースティーに首を絞められた。背中に乗られていることもあってお腹が押さえられ、まともに息が吸えない。このままじゃ窒息──!
「ホースティー!」アマテラスが小十郎とともに部屋に乗り込んできた。「何やってやがんだっ!」
アマテラスに頭を床に叩きつけられたホースティーは、身動きが取れなくなっていた。それでもアマテラスはホースティーの頭を床に押さえつけた。最終的にはホースティーの頭は床にめり込んで、階下と貫通することとなる。
腕を組むと、床に目を向けた。「成実。その話し、あとでくわしくきかせてくれ」
「わかりました」
「んじゃ、会議をするから着いてこい」
成実がうなずいたのを確認してから、部屋を出て廊下を進んだ。そして、ホースティー達がいる部屋を知らないことに気付いた。
「ホースティー達のいる部屋はどこだ?」
その言葉を聞いた成実は、微笑しながら前に出た。「ご案内します」
「すまんな」
「いえ」
恥ずかしい! 非常に恥ずかしい! あんなに格好付けて部屋を出たのに、ホースティー達のいる部屋を知らなかったとは! もっと早く気づけよ、俺......。
成実の向かうところへ着いていくと、ホースティーと景頼、小十郎が雑談を交えていた。
「よう、ホースティー」
俺がホースティーの名を口にすると、当の本人は不敵な笑みを浮かべた。「やあ、君も回復したんですね」
「相打ちとは、上には上がいるもんだぜ」
手を差し出して握手を求めるが、ホースティーはそれを無視して話し始めた。
「昔から神界では人間を下に見る風潮があった。実際に人間は下等生物なんだがね、何か勘違いしていないかい?」
「神がすごいのか?」
「当然だよ」
「人間が死んでから神になった例もある。アーティネスもそうだろ?」
「彼女からは人間らしさは感じられない。それもそのはず、人柱にされたから神になったのがアーティネスなんだ。人間を恨んで当然」
「人間保守派の神もいると聞いたんだが?」
「まったく、どこからの情報でしょうね。......人間を尊重するべきだという思想を持った神なら複数存在します。確かに、人間には神よりも優れた面はある。けれど、人間なんてのは他人の運命を決められない。神は一人の人間の人生など、指一本も使わずに狂わすことが出来る!」
「人の人生を狂わせて何になるってんだ」
「ハハハ、ただ楽しいだけだよ? 人間を操り、人間の人生をぶち壊し、人間の人格をも破壊する。これは我々からしたら遊びに過ぎないんだ! そう、暇つぶしだよ」
狂ってやがる! こいつは、いや神はほとんどが狂っている。こいつらは狂信者だ。人の人生を滅茶苦茶にして、それが遊びでした、じゃ許されねぇんだよ。
「テメェ、その考えを改めない限りは人間から崇拝されることはねーぞ!」
「人間からの崇拝があれば、さらに強くなれる」ホースティーは自分の手の平に目をやった。「ただ、下等生物に崇拝を乞うくらいなら、修行した方がマシですよ」
神の考え方は理解不能だ。理解することは永遠に出来ないだろう。
俺は床に腰を下ろし、畳に目を落とした。「同盟会議を開始する。両者間、つまり俺達政宗陣営とアマテラス陣営の間で、正式な同盟を結びたい。どうするかと言うと、相手に提示した条件を、ちゃんと飲み込めるか否かを決める会議だ」
俺はアマテラス側に同盟を結ぶに際して様々な条件を提示している。一方でアマテラス側も、こちらに条件を提示。
お互いがその条件に納得することが出来るか、提示された条件を飲み込めるか決めるための会議となる。
ホースティーは俺達が提示した条件に目を通す。「『条件その19.神は俺達人間を見下さないこと。』というような、この条件には納得するのは無理だよ」
こいつマジでうぜぇ。舐めてんのか? そこを納得してもらわないと対等な同盟にはならんだろーが。
「では、俺達もあなた方神を見下すこととしても良いですね?」
「君達は神を敬い、我々は君達を見下す。これが理想となります」
話しが通じない......。こいつは馬鹿なのか。これは通訳が一人くらい必須だぞ。外国人じゃあるまいし、通訳はいないとは思うが。
「小十郎!」
「どうしましたか、若様?」
「アマテラス殿を呼んでこい」
「承知しました」
小十郎は部屋を飛び出してアマテラスを呼びに行った。
ホースティーは下唇を噛み千切った。「なぜアマテラス様を呼ぶのだ!」
「アマテラス殿は対等な同盟を望んでおられる。あなたの一存で話しは決められません!」
「アマテラス様が下等生物と対等な同盟を結ぶことを望むわけがない!」
「これは事実です」
俺がホースティーを睨むと、奴は目を鋭く尖らせた。「力でねじ伏せてやる!」
その言葉に反応した俺は、防御壁を前方に展開した。ホースティーは力を暴走させ、重力を同心円状に広げた。同心円状の中にいた俺は重力の増加で立てなくなり、そのすきにホースティーに馬乗りにされた。
「ガアアアァァーーー!」
「死ねぇ、政宗ぇ!」
俺はホースティーに首を絞められた。背中に乗られていることもあってお腹が押さえられ、まともに息が吸えない。このままじゃ窒息──!
「ホースティー!」アマテラスが小十郎とともに部屋に乗り込んできた。「何やってやがんだっ!」
アマテラスに頭を床に叩きつけられたホースティーは、身動きが取れなくなっていた。それでもアマテラスはホースティーの頭を床に押さえつけた。最終的にはホースティーの頭は床にめり込んで、階下と貫通することとなる。
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