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第四章『輝宗の死』
伊達政宗、輝宗を殺すのは伊達じゃない その参肆
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「おまっ......ブハハハハ」小十郎は口を押さえて笑い出した。「ウルトラウィークって。ブハハハハハハハハ」
「そんは笑うことはないだろ」
俺は恥ずかしくなって顔を下に向けた。ネーミングセンスとかの問題じゃないウルトラウィークという名前は、小十郎には元ネタがわかったようだ。
恥ずかしくなった俺はきびすを返して、部屋に向かった。負けた原因。それはなんだ。答えに直結するであろう収獲も手に入れている。あとは俺の頭の回転が重要になってくるぞ!
収獲は二つ。一つは戦場に残された屍は敵方より味方の方が多い。敵方がわざわざ屍を回収するわけもなく、戦場に残された屍の数が死者数と考えても間違いはないだろう。
もう一つの収獲は仁和からの情報だ。味方一人一人の力なら、敵方より強かったようだ。それで敵方に負けかかっていたのなら、敵方の方がこちら側より兵力が多いのだと推理することが可能になる。ただ、俺にはちゃんと敵方は十万人だと聞いた。それが土壇場でもう十万人ほど増える可能性は低い、というかあり得ない。
が、俺に報告した者が嘘の報告をした可能性までは否めない。俺に敵方の人数を報告した者の素性を洗ってみる必要があるな。
「小十郎! 小十郎はいるか!」
俺が部屋から顔を出して小十郎を呼ぶと、笑顔で駆けつけてきた。「怒って帰ったかと思ったら、急に呼び出されるとはな。何の用だ?」
「まずは中に入ってくれ」
小十郎を部屋に入れて、扉を閉めた。
「ハハハ。戦国時代に来てからかなり経つけど、未だに小十郎って呼ばれるのには慣れないな。名坂は若様って呼ばれるのには慣れたか?」
「慣れると思うか?」
「それもそうか」
「ただ、神辺がいて助かったよ。前世での自分の名前を何十年も呼ばれていないと、忘れてしまうか前世の自分の名前に愛着がなくなるからな。仲間ってのか案外良いもんだ」
「だな」
俺は小十郎と話している最中で、自分のやるべきことを思い出して真面目な顔付きになる。
「ん? にらめっこか?」
「バカヤロー! これのどこがにらめっこなんだ!? 真面目な顔付きにしか見えないだろ!」
「そうか?」
「そうだ。──それより、調べてほしいことがあるんだ」
「それが僕への用だね!」
「まあな。さて。こいつについて調べてくれ」
俺は報告をした者の情報が記されたファイルを渡した。小十郎なら調べるのは得意だし、うってつけだろう。
「任せてくれ。期限はどれくらいになる?」
「一週間の内に調べ上げてくれればそれで良い。頑張ってくれ」
「一週間って......簡単に言うなよ。調べ上げるのはかなり大変なんだよ」
「そうだな。そうだよな。一週間だ」
「性格悪いなぁ」
小十郎は片手にファイル、もう片方の手を頭の後ろに回し、頭を掻きながら部屋を出ていった。
あとは何をしようか。報告をした者が嘘を言っていた可能性の他に、俺は敵方の人数が追加された可能性について調べてみよう。
重い腰を上げて部屋を出ると、またもや騒がしいことに気付いた。次に騒ぎを起こすとしたら、成実が起き上がったのではないだろうか。
「成実か!?」
俺の声に反応し、人混みをかき分けて成実が姿を現した。「若様!」
「成実! 起きたか! 痛い部分はないか?」
「ありません。私は無事でございます」
「それは良かった!」
俺は成実の両肩に手を置いた。これでも成実とは血は繫がっている。成実は血の繋がりがある人物の中でもかなり信頼出来るのだ。
「若様。私に手伝える仕事はあるでしょうか? 病み上がりのような状態ではありますが、それでも手伝える仕事でしたら喜んで引き受けましょう!」
「い、良いのか!?」
「はい。構いません」
「じゃあ、手伝ってほしい仕事があるんだ。ちょうど良い。着いてきてくれ」
「承知しました」
成実に頼めば、床に伏していたばかりの身だとしても早く作業を終えることが出来るはずだ。成実とは何て心強い!
俺の部屋に成実を招待し、作業を分担して円滑に進めた。そして作業が終わり、敵方の軍に追加された兵士はいないことを突き止めた。となると報告をした者が嘘を言っていたことになる。犯人は明白になったわけだ。
小十郎の作業はどの程度進んだのか確認するために部屋を訪ねた。当然作業は途中だ。期限は一週間だからそんなに急がなくても良いわけだが。
一週間が経過したその日だった。小十郎が報告をした者の素性を調べ上げた。そして、素性はちゃんとしていた。嘘を言うようには見えなかった。
そうして行き詰まった。頭を抱えてうなっていると、仁和がそれを見かねて二十一世紀の歴史本を手渡してくれた。
「その本に答えが書かれていることでしょう」
「答えが?」
「はい」
俺はその本を最初のページから読んでいき、とある記述を見つけ出した。その本に書かれていることが全て本当のことならば、今回劣勢だった理由がちゃんとわかる。
「謎は全て解けた!」
俺はそう叫ぶと同時に、仁和は俺よりも早く真相に辿り着いていたことを知った。仁和は敵だったら恐怖を覚えるくらいの参謀だ。
「そんは笑うことはないだろ」
俺は恥ずかしくなって顔を下に向けた。ネーミングセンスとかの問題じゃないウルトラウィークという名前は、小十郎には元ネタがわかったようだ。
恥ずかしくなった俺はきびすを返して、部屋に向かった。負けた原因。それはなんだ。答えに直結するであろう収獲も手に入れている。あとは俺の頭の回転が重要になってくるぞ!
収獲は二つ。一つは戦場に残された屍は敵方より味方の方が多い。敵方がわざわざ屍を回収するわけもなく、戦場に残された屍の数が死者数と考えても間違いはないだろう。
もう一つの収獲は仁和からの情報だ。味方一人一人の力なら、敵方より強かったようだ。それで敵方に負けかかっていたのなら、敵方の方がこちら側より兵力が多いのだと推理することが可能になる。ただ、俺にはちゃんと敵方は十万人だと聞いた。それが土壇場でもう十万人ほど増える可能性は低い、というかあり得ない。
が、俺に報告した者が嘘の報告をした可能性までは否めない。俺に敵方の人数を報告した者の素性を洗ってみる必要があるな。
「小十郎! 小十郎はいるか!」
俺が部屋から顔を出して小十郎を呼ぶと、笑顔で駆けつけてきた。「怒って帰ったかと思ったら、急に呼び出されるとはな。何の用だ?」
「まずは中に入ってくれ」
小十郎を部屋に入れて、扉を閉めた。
「ハハハ。戦国時代に来てからかなり経つけど、未だに小十郎って呼ばれるのには慣れないな。名坂は若様って呼ばれるのには慣れたか?」
「慣れると思うか?」
「それもそうか」
「ただ、神辺がいて助かったよ。前世での自分の名前を何十年も呼ばれていないと、忘れてしまうか前世の自分の名前に愛着がなくなるからな。仲間ってのか案外良いもんだ」
「だな」
俺は小十郎と話している最中で、自分のやるべきことを思い出して真面目な顔付きになる。
「ん? にらめっこか?」
「バカヤロー! これのどこがにらめっこなんだ!? 真面目な顔付きにしか見えないだろ!」
「そうか?」
「そうだ。──それより、調べてほしいことがあるんだ」
「それが僕への用だね!」
「まあな。さて。こいつについて調べてくれ」
俺は報告をした者の情報が記されたファイルを渡した。小十郎なら調べるのは得意だし、うってつけだろう。
「任せてくれ。期限はどれくらいになる?」
「一週間の内に調べ上げてくれればそれで良い。頑張ってくれ」
「一週間って......簡単に言うなよ。調べ上げるのはかなり大変なんだよ」
「そうだな。そうだよな。一週間だ」
「性格悪いなぁ」
小十郎は片手にファイル、もう片方の手を頭の後ろに回し、頭を掻きながら部屋を出ていった。
あとは何をしようか。報告をした者が嘘を言っていた可能性の他に、俺は敵方の人数が追加された可能性について調べてみよう。
重い腰を上げて部屋を出ると、またもや騒がしいことに気付いた。次に騒ぎを起こすとしたら、成実が起き上がったのではないだろうか。
「成実か!?」
俺の声に反応し、人混みをかき分けて成実が姿を現した。「若様!」
「成実! 起きたか! 痛い部分はないか?」
「ありません。私は無事でございます」
「それは良かった!」
俺は成実の両肩に手を置いた。これでも成実とは血は繫がっている。成実は血の繋がりがある人物の中でもかなり信頼出来るのだ。
「若様。私に手伝える仕事はあるでしょうか? 病み上がりのような状態ではありますが、それでも手伝える仕事でしたら喜んで引き受けましょう!」
「い、良いのか!?」
「はい。構いません」
「じゃあ、手伝ってほしい仕事があるんだ。ちょうど良い。着いてきてくれ」
「承知しました」
成実に頼めば、床に伏していたばかりの身だとしても早く作業を終えることが出来るはずだ。成実とは何て心強い!
俺の部屋に成実を招待し、作業を分担して円滑に進めた。そして作業が終わり、敵方の軍に追加された兵士はいないことを突き止めた。となると報告をした者が嘘を言っていたことになる。犯人は明白になったわけだ。
小十郎の作業はどの程度進んだのか確認するために部屋を訪ねた。当然作業は途中だ。期限は一週間だからそんなに急がなくても良いわけだが。
一週間が経過したその日だった。小十郎が報告をした者の素性を調べ上げた。そして、素性はちゃんとしていた。嘘を言うようには見えなかった。
そうして行き詰まった。頭を抱えてうなっていると、仁和がそれを見かねて二十一世紀の歴史本を手渡してくれた。
「その本に答えが書かれていることでしょう」
「答えが?」
「はい」
俺はその本を最初のページから読んでいき、とある記述を見つけ出した。その本に書かれていることが全て本当のことならば、今回劣勢だった理由がちゃんとわかる。
「謎は全て解けた!」
俺はそう叫ぶと同時に、仁和は俺よりも早く真相に辿り着いていたことを知った。仁和は敵だったら恐怖を覚えるくらいの参謀だ。
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