隻眼の覇者・伊達政宗転生~殺された歴史教師は伊達政宗に転生し、天下統一を志す~

髙橋朔也

文字の大きさ
上 下
120 / 245
第四章『輝宗の死』

伊達政宗、輝宗を殺すのは伊達じゃない その拾捌

しおりを挟む
 その場に立ち尽くした警察だったが、それでも日本を守る機関だ。階段を駆け下りて、ルパン一味を追いかけるのであった。
 ルパンとホームズは窓から飛び降りた後に、外壁の突起をうまく利用しながら地上に着地。警察達からの視界から離れるように美術館から逃走を図った。それを見ていた怪人二十面相は天井を伝って、これまた追跡を始めた。
 怪人二十面相と警察が追いかけていることにいち早く気付いたホームズは、立ち止まって振り返る。
「どうしたんだ、ホームズ!」
「僕が怪人二十面相の足めを、ルパンは警察の足留めを頼むぞ!」
「共闘か、良いだろう」
 ルパンも振り返ってホームズを追い抜かし、警察官の中へ飛び込んでいった。そして、煙幕えんまくだんを放った。
 ホームズは怪人二十面相を見ながら後退し、杖を握る。「来い、二番煎じ!」
「良いだろう」
 怪人二十面相はホームズに向かって走り出した。ホームズは杖をたくみに使い、怪人二十面相の攻撃を防ぎながら距離を取っていった。すると、怪人二十面相が一気に間合いを詰めて仕掛ける。
 ホームズは杖を刀のように持ち替えた。「こうだ!」
「ホぉームズ!」
 怪人二十面相も棒きれを掴み、チャンバラがしばし続いた。怪人二十面相はキリがないと悟り、強行手段に出た。
「ルパン一味はここだぁ───!!!」
 耳が痛くなるほど、怪人二十面相は大きな声で叫んだ。それにより、数人の警官が駆けつけてきた。そこには、明智の姿もあったのだ。
「怪人二十面相とルパン!」明智はスーツのしわを直す。「追い詰められています! 逃げ場はありません! 大人しく捕まってください!」
 杖を後ろに振りかぶったホームズは、左足を前に出して右手で杖を前方に放つ。明智目掛けて飛んできたそれを、明智は寸前で受け止めた。
「何の真似だ!」
「日本の名探偵。君が明智小五郎なる者なのだろう?」
「いかにも。君はルパンではなく、その配下か?」
「今はそんな状態だ。だが、君よりは優れているさ。探偵としても、としても!」
 その言葉を聞いた明智は、周囲の警官を蹴り飛ばす。「怪人二十面相、戻ってこい。貴様の役目は終わりだ。死ななくて良かったな」
「やはりか、君こそが怪人二十面相なんだね?」
 明智は怪人二十面相から道具をあずかる。「僕が怪人二十面相。こいつは身代わりだ。君達の言った通り、こいつら身代わりが死ぬことで怪人二十面相は警官から逃げられる。本物は死なない」
「貴様は探偵をやっている内に泥棒がしたくなった。だから怪人二十面相という人物を作り出したんだろう。ブルーダイヤモンドが盗めたのは、君が怪人二十面相だからだ。君が盗んだとは誰も思わないから、容疑者から外れたんだ」
「正解だ、ホームズ君。怪人二十面相が捕まらないのは、僕が逃がしたりしているからなんだ」
「君は探偵として失格だ。ルパンが褒めるほどの変装術を使えるのは、君が探偵であり泥棒であるから......」
「そういうことだ。怪人二十面相の正体は明智小五郎! ただ、後々に後継こうけい者を決めるつもりだ。つまり、僕は初代怪人二十面相と言うべきだね」
 二代目怪人二十面相の名は遠藤えんどう平吉へいきち。後に彼は愉快ゆかい犯となってしまい、明智小五郎はこれには少々驚くことになってしまった。
「ああ、そうかい。では、僕は捕まりたくないので失礼するよ」
「行かせないよ!」
 明智、もとい怪人二十面相はホームズを取っ捕まえて気を失わせた。そして、二人はマンホールの中に隠れた。それにより、明智がルパン一味に捕まった、ということで警察は捜査を進めることになった。

 ルパンは警察をけむに巻いてから、ホームズを呼んだ。だが、ホームズは来ない。
「まさか、二十面相に捕まったのか!?」
 頭をかかえたルパンは、ホームズを救い出すために高層の建物の前に立った。
「あれはどこにあったかな?」
 ポケットから強力な吸盤きゅうばんを取り出し、外壁に吸盤を貼り付けながら建物を上った。頂上に到着すると、望遠鏡で怪人二十面相とホームズの位置を確かめる。
 明智がホームズを車に乗せている場面を発見し、ルパンも怪人二十面相の正体が明智だと見抜いた。体から重いものを抜き去り、建物の屋根を飛んで移動。走る車の屋根に飛び乗った。
「明智君。聞こえているか?」
「やあ、ルパン。もう気付かれたか」
「二番煎じの怪盗は貴様だったのか!」
「何か悪いか? 僕は作り上げたんだ。怪盗アルセーヌ・ルパンと肩を並べる日本の怪盗をね」
「なぁに、技術だったら私の方が上手うわてだ」
「黄金仮面と名乗って日本で泥棒をしていた時、大先輩だからと逃がしてやった恩を忘れたか?」
「貴様は人を殺している。替え玉の件だ。私は仮にも義賊ぎぞく。殺人は行わない。そういう点では、詰めが甘い」
 ルパンはマントを脱ぎ、マントで車のフロントガラスをおおった。明智は前が見えなくなり、車のコントロールを失って建物に正面衝突しょうとつした。そのすきに、ルパンはホームズを救い出した。明智は激怒する。
「この車、高かったんだ! わざわざ盗まずに購入した代物なのに!」
 ルパンは考える。明智と警察の手から逃れてホームズをイギリスに帰すには、自分達を死んだように偽装しなければいけない。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

いや、婿を選べって言われても。むしろ俺が立候補したいんだが。

SHO
歴史・時代
時は戦国末期。小田原北条氏が豊臣秀吉に敗れ、新たに徳川家康が関八州へ国替えとなった頃のお話。 伊豆国の離れ小島に、弥五郎という一人の身寄りのない少年がおりました。その少年は名刀ばかりを打つ事で有名な刀匠に拾われ、弟子として厳しく、それは厳しく、途轍もなく厳しく育てられました。 そんな少年も齢十五になりまして、師匠より独立するよう言い渡され、島を追い出されてしまいます。 さて、この先の少年の運命やいかに? 剣術、そして恋が融合した痛快エンタメ時代劇、今開幕にございます! *この作品に出てくる人物は、一部実在した人物やエピソードをモチーフにしていますが、モチーフにしているだけで史実とは異なります。空想時代活劇ですから! *この作品はノベルアップ+様に掲載中の、「いや、婿を選定しろって言われても。だが断る!」を改題、改稿を経たものです。

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

旧式戦艦はつせ

古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

if 大坂夏の陣 〜勝ってはならぬ闘い〜

かまぼこのもと
歴史・時代
1615年5月。 徳川家康の天下統一は最終局面に入っていた。 堅固な大坂城を無力化させ、内部崩壊を煽り、ほぼ勝利を手中に入れる…… 豊臣家に味方する者はいない。 西国無双と呼ばれた立花宗茂も徳川家康の配下となった。 しかし、ほんの少しの違いにより戦局は全く違うものとなっていくのであった。 全5話……と思ってましたが、終わりそうにないので10話ほどになりそうなので、マルチバース豊臣家と別に連載することにしました。

小沢機動部隊

ypaaaaaaa
歴史・時代
1941年4月10日に世界初の本格的な機動部隊である第1航空艦隊の司令長官が任命された。 名は小沢治三郎。 年功序列で任命予定だった南雲忠一中将は”自分には不適任”として望んで第2艦隊司令長官に就いた。 ただ時局は引き返すことが出来ないほど悪化しており、小沢は戦いに身を投じていくことになる。 毎度同じようにこんなことがあったらなという願望を書き綴ったものです。 楽しんで頂ければ幸いです!

処理中です...