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第四章『輝宗の死』
伊達政宗、輝宗を殺すのは伊達じゃない その拾参
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ワトスンは枯れるまで涙を流した後で、警察をライヘンバッハの滝に呼んだ。警察は崖や岩棚などを調査した後に、ジェームズ・モリアーティとシャーロック・ホームズ二人が死亡したとして発表。捜査を終了させた。
「もっと捜査してください!」
ホームズが死亡したと知ったワトスンは、警察に訴えたがこれ以上の成果が得られないと言われて諦めるしかなかった。
ワトスンはホームズの遺書を確認し、ベーカー街221Bの一室の引き出しからモリアーティ一味の犯罪の証拠を見つける。ホームズの最後の意志を引き継ぎ、ワトスンはモリアーティ一味を有罪にするべく尽力する。
モリアーティ一味の証拠はホームズがまとめただけあって、決定的なものしかなかった。そのお陰でモリアーティ一味のほとんどは有罪となった。だが、組織の中心部と思われるセバスチャン・モランやフォン・ヘルダーを有罪にするには至らなかった。ワトスンはホームズの願いを叶えることは出来ず、絶望した。
また、モリアーティ教授と同名の兄であるジェームズ・モリアーティ大佐は弟モリアーティ教授の名誉回復するために投書をしたりした。
裁判終了から数日後、ワトスンはホームズが事務所として使っていた部屋で探偵をすることを決めた。
まず手始めに、ホームズが扱ってきた事件での推理法を真似した。それがうまくいかなかったのは言うまでもないが、それでも数個の事件を解決に導くことが出来た。これでワトスンはホームズの意志を継げたのだと判断し、医療に専念をした。
マイクロフトが示した住所にホームズが着くと、周囲を見回しながら中へと足を踏み入れた。
「誰だ?」
「シャーロック・ホームズ。マイクロフト・ホームズの弟だ」
ホームズはその人物に、マイクロフトのサインを手渡す。
「シャーロック・ホームズ。ロンドンの名探偵。マイクロフトさんの弟君か。君の噂を聞かない日はないよ」
「えー、あなたの名前は何ですか?」
「ギデオン・キルク。マイクロフトさんの非公式の部下だよ」
ホームズはキルクを信じ、今までのことを細かく説明した。キルクは何度か目を大きく開き、状況を無理矢理納得する。
「つまり、シャーロック・ホームズは死んだことになるということかい?」
「そうなる」
「では私に、君の逃亡を手助けしろ、ということか」
「うん」
「わかった。マイクロフトさんのためだ」
キルクはホームズを逃がすために力を尽くす。ホームズとキルクがともに向かったのは、フランスのパリである。キルクいわく、パリが一番安全らしい。ホームズは怪しむも、キルクを信じてパリへ足を運ぶ。
パリ郊外にある汚らしい家に入ると、電気が点いた。そこには、紳士的な男性が立っていた。
「久しいね、ホームズ」
「る、ルパン!」
ホームズは後ずさりをした。目の前には、モリアーティに次ぐホームズの宿敵アルセーヌ・ルパンがいた。
「まあ待て。キルクから事情は聞いた。私がかくまってやる」
キルクはルパンに金で雇われた者だった。無論、マイクロフトはそのことを知らない。
ルパンから金を貰ったキルクは、笑顔で家を去った。
「大変だったそうだね。話しを聞こう」
「まさか君と協力する時が来るとはね......」
「フハハハハ。そこまでやっかむな」
ホームズは渋々椅子に座り、くわしく話した。ルパンは腕を組んで、ホームズの話しに耳を傾けた。
説明を聞き終えたルパンは、力を抜いて天井を見た。「そうか。ロンドンのモリアーティを倒したか」
「残念か?」
「いや、私はモリアーティは好かん」
「同じ犯罪者なのに、か?」
「私とモリアーティとでは犯罪者のタイプが違う。一線を画しているんだよ」
「確かに、タイプは違うな。僕と君も違うタイプだ」
「いや、そうでもない。私達は同じ親日家だ。私は日本が大好きだし、柔道を心得た。君もバリツを心得ているだろ?」
「ああ。バリツは日本武術だ。僕も日本は大好きだね。日本人だと聖武天皇を好んでいる」
二人とも、日本には愛着がある。ルパンに至っては、日本のことを『古いふるい神秘の国』と呼称している。ホームズも、ワトスンに聖武天皇の話しをしたり日本武術であるバリツを心得たりと案外親日家である。
「私は以前、日本に行ってきたよ。楽しい国だった。日本の名探偵と言われていた明智小五郎と戦った。その時はアルセーヌ・ルパンとは名乗らず黄金仮面と名乗ったが結局は見破られた。あれでいて明智もかなり手強かった」
「明智小五郎? 聞いたこともない探偵だが、ルパンがそこまで言うのなら凄腕の探偵なんだね」
「日本の国宝を狙ったが明智君に取り返された。日本の大鳥不二子さんという美しい女性に恋をしたが、ギリギリで明智君に奪われたよ」
「まさかその明智君とやらは、僕より優れた探偵じゃないか? 僕はルパンにてこずったんだがね」
ホームズは明智小五郎という名探偵の存在を知り、自分の名探偵としての地位が揺るがされるのではないかと心配した。その頃、明智小五郎は日本で新たな事件の解決に着手していた。
「もっと捜査してください!」
ホームズが死亡したと知ったワトスンは、警察に訴えたがこれ以上の成果が得られないと言われて諦めるしかなかった。
ワトスンはホームズの遺書を確認し、ベーカー街221Bの一室の引き出しからモリアーティ一味の犯罪の証拠を見つける。ホームズの最後の意志を引き継ぎ、ワトスンはモリアーティ一味を有罪にするべく尽力する。
モリアーティ一味の証拠はホームズがまとめただけあって、決定的なものしかなかった。そのお陰でモリアーティ一味のほとんどは有罪となった。だが、組織の中心部と思われるセバスチャン・モランやフォン・ヘルダーを有罪にするには至らなかった。ワトスンはホームズの願いを叶えることは出来ず、絶望した。
また、モリアーティ教授と同名の兄であるジェームズ・モリアーティ大佐は弟モリアーティ教授の名誉回復するために投書をしたりした。
裁判終了から数日後、ワトスンはホームズが事務所として使っていた部屋で探偵をすることを決めた。
まず手始めに、ホームズが扱ってきた事件での推理法を真似した。それがうまくいかなかったのは言うまでもないが、それでも数個の事件を解決に導くことが出来た。これでワトスンはホームズの意志を継げたのだと判断し、医療に専念をした。
マイクロフトが示した住所にホームズが着くと、周囲を見回しながら中へと足を踏み入れた。
「誰だ?」
「シャーロック・ホームズ。マイクロフト・ホームズの弟だ」
ホームズはその人物に、マイクロフトのサインを手渡す。
「シャーロック・ホームズ。ロンドンの名探偵。マイクロフトさんの弟君か。君の噂を聞かない日はないよ」
「えー、あなたの名前は何ですか?」
「ギデオン・キルク。マイクロフトさんの非公式の部下だよ」
ホームズはキルクを信じ、今までのことを細かく説明した。キルクは何度か目を大きく開き、状況を無理矢理納得する。
「つまり、シャーロック・ホームズは死んだことになるということかい?」
「そうなる」
「では私に、君の逃亡を手助けしろ、ということか」
「うん」
「わかった。マイクロフトさんのためだ」
キルクはホームズを逃がすために力を尽くす。ホームズとキルクがともに向かったのは、フランスのパリである。キルクいわく、パリが一番安全らしい。ホームズは怪しむも、キルクを信じてパリへ足を運ぶ。
パリ郊外にある汚らしい家に入ると、電気が点いた。そこには、紳士的な男性が立っていた。
「久しいね、ホームズ」
「る、ルパン!」
ホームズは後ずさりをした。目の前には、モリアーティに次ぐホームズの宿敵アルセーヌ・ルパンがいた。
「まあ待て。キルクから事情は聞いた。私がかくまってやる」
キルクはルパンに金で雇われた者だった。無論、マイクロフトはそのことを知らない。
ルパンから金を貰ったキルクは、笑顔で家を去った。
「大変だったそうだね。話しを聞こう」
「まさか君と協力する時が来るとはね......」
「フハハハハ。そこまでやっかむな」
ホームズは渋々椅子に座り、くわしく話した。ルパンは腕を組んで、ホームズの話しに耳を傾けた。
説明を聞き終えたルパンは、力を抜いて天井を見た。「そうか。ロンドンのモリアーティを倒したか」
「残念か?」
「いや、私はモリアーティは好かん」
「同じ犯罪者なのに、か?」
「私とモリアーティとでは犯罪者のタイプが違う。一線を画しているんだよ」
「確かに、タイプは違うな。僕と君も違うタイプだ」
「いや、そうでもない。私達は同じ親日家だ。私は日本が大好きだし、柔道を心得た。君もバリツを心得ているだろ?」
「ああ。バリツは日本武術だ。僕も日本は大好きだね。日本人だと聖武天皇を好んでいる」
二人とも、日本には愛着がある。ルパンに至っては、日本のことを『古いふるい神秘の国』と呼称している。ホームズも、ワトスンに聖武天皇の話しをしたり日本武術であるバリツを心得たりと案外親日家である。
「私は以前、日本に行ってきたよ。楽しい国だった。日本の名探偵と言われていた明智小五郎と戦った。その時はアルセーヌ・ルパンとは名乗らず黄金仮面と名乗ったが結局は見破られた。あれでいて明智もかなり手強かった」
「明智小五郎? 聞いたこともない探偵だが、ルパンがそこまで言うのなら凄腕の探偵なんだね」
「日本の国宝を狙ったが明智君に取り返された。日本の大鳥不二子さんという美しい女性に恋をしたが、ギリギリで明智君に奪われたよ」
「まさかその明智君とやらは、僕より優れた探偵じゃないか? 僕はルパンにてこずったんだがね」
ホームズは明智小五郎という名探偵の存在を知り、自分の名探偵としての地位が揺るがされるのではないかと心配した。その頃、明智小五郎は日本で新たな事件の解決に着手していた。
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