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第三章『家督相続』
伊達政宗、弱みを握るのは伊達じゃない その参
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虎哉、小十郎、景頼、成実、愛姫、仁和、二階堂、忠義、八巻、東野、権次、兼三、真壁、俺の総勢十四名が部屋に集結した。
その内虎哉、真壁を抜いた十二名は伊達家にとって重要な人物達だ。
十四名で話し合い、これからの方針を決める。輝宗が怒った理由を突き止める。弱みを握りたい。俺は優位に立つために、輝宗の秘密を掴む。
仁和は歯を剥き出しにして、笑った。「お屋形様を本丸御殿から連れ出し、本丸御殿をじっくりと調べてみては?」
「連れ出す」俺は口を曲げた。「父上を連れ出すにしても、不自然な連れ出し方なら怪しまれる。そこのところはどうなんだ?」
「そうですね......。怪しまれずに連れ出すには、それなりの理由が必要となってくるでしょう」
「だから、その理由をどうするんだ? 仁和が無計画なわけがないだろ?」
「計画は狂うことがあります。計画を狂わせないためには、無計画が一番です」
「揚げ足取るんじゃねぇ。計画はあるのか?」
「一応ありますよ」
「どんな計画なんだ?」
「爆発を起こしましょう。それをお屋形様に報告し、本丸御殿から連れ出せば良いのです」
「爆発? どこをどうやって爆発するのだ?」
「政宗殿はお忘れですか? 私は理系を得意とする軍配士だということを」
「おお、頼りになるぞ仁和!」
「方法は至って簡単です。お屋形様にとって一番大切な場所を場所させます。爆発の方法は、まあ火力が高い方が尚良いでしょう。鍛治屋の権次と兼三にも手伝わせます」
「それは良い」
こんなに人数集めたのに、仁和の一つの案だけで会議が終わってしまった。まずい。これはどうすれば良いんだ!?
何か考えろ。話しを繋げろ、俺。会議を長引かせるためには......他にも案を話してみて、爆発が失敗しても支障が無いようにすれば良いか。
「よし。他にも予備の案を話し合おう」
仁和は手を挙げた。
「何か案か?」
「はい。米沢城を、私の部下達に襲わせてお屋形様を本丸御殿から出させます。部下達の脱出経路も確保することが前提条件です」
また仁和のせいで話し合いが終了した。優秀な軍配士も、邪魔に思えてくる時があるんだな。優秀過ぎるのも、罪だぜ。
あの後、何とか俺の機転で会議を一時間以上進行させた。会議を終わらせると、未来人衆全員も俺達に合流して、まずは脱出経路の確保を行った。そうして、今に至るわけである。
今は米沢城を数百人で大移動し、脱出経路をいろいろ議論した。
「おい、あそこは脱出経路に使えるんじゃないか」
「駄目駄目。あそこは見張りが厳しい」
「なら、あそこは?」
「見通しが良すぎる」
「あそこは?」
「難所だよ。足場が悪いからすぐに捕まる」
未来人衆は、上記のような会話を続けた。現状、脱出経路は見つかっていない。仁和の第二の案はお蔵入りとなりそうだ。新しく、第二の案を考えた方が良い。
が、仁和は諦めていなかった。懸命に脱出経路を思案していた。諦めが悪い、とも捉えることが出来る。だが、俺はそうは思わなかった。ここは未来の名軍配士に騙されることにしてみた。
「お前ら! あと少しだ。仁和が頑張っているんだ。仁和が手を止めるまで、俺達は死ぬ気で脱出経路を探すぞ!」
「「はっ! 了解しました!」」
こうして馬車馬のように働かせるように仕向けると、仁和は奥へ奥へと進んでいった。ちょうど良い。話したいことがあったのだ。仁和を追いかけた。
「おい、仁和!」
「政宗殿、どうなされましたか?」
「話しがある。江渡弥平が未来の物や技術をこの時代に定着させようと動き回っているようだな」
「政宗殿は地獄耳ですか? なぜ知っているのです?」
「誘拐されている時に、仁和達の行動を見ていたんだ」
「そういうことですか。ハァ、わかりました。話します」
「そうしてくれ」
「江渡弥平、私の元ボスです。江渡弥平はおそらく、もうすでに新たな部下を手に入れているはずです。そして、未来からの物資をこの時代に持ち込んでいます。
小十郎殿から聞きましたが、安土城に未来の馬の足跡があったのですよね? 江渡弥平は10割方、未来の馬などを戦国大名に売りつけています。それを放置していれば、いずれ各戦国大名は力を増して、技術も発達。一つの戦ですら、今までより数倍の死者数を出すことになります。最悪の場合は、技術の発達で第三次世界大戦も起きます」
「食い止める方法はないのか?」
「探せばあるのかもしれませんが、今のところは皆無。江渡弥平を倒す以外に方法はないでしょう」
「江渡弥平の居場所はわかるか?」
「残念ながら......」
歴史を変えるな、とアーティネスに命じられた。すぐにでも江渡弥平を倒さないといけない。
「江渡弥平がそのようなことをする目的は? 何か明確な目的とかはないのか?」
「私では見当が付きません。お役に立てず、申し訳ございません。ですが、江渡弥平を倒すためなら全力を尽くさせてもらいます」
「ありがたい」
仁和に協力してもらって、せめて第三次世界大戦は免れたい。あとで要相談だ。
その内虎哉、真壁を抜いた十二名は伊達家にとって重要な人物達だ。
十四名で話し合い、これからの方針を決める。輝宗が怒った理由を突き止める。弱みを握りたい。俺は優位に立つために、輝宗の秘密を掴む。
仁和は歯を剥き出しにして、笑った。「お屋形様を本丸御殿から連れ出し、本丸御殿をじっくりと調べてみては?」
「連れ出す」俺は口を曲げた。「父上を連れ出すにしても、不自然な連れ出し方なら怪しまれる。そこのところはどうなんだ?」
「そうですね......。怪しまれずに連れ出すには、それなりの理由が必要となってくるでしょう」
「だから、その理由をどうするんだ? 仁和が無計画なわけがないだろ?」
「計画は狂うことがあります。計画を狂わせないためには、無計画が一番です」
「揚げ足取るんじゃねぇ。計画はあるのか?」
「一応ありますよ」
「どんな計画なんだ?」
「爆発を起こしましょう。それをお屋形様に報告し、本丸御殿から連れ出せば良いのです」
「爆発? どこをどうやって爆発するのだ?」
「政宗殿はお忘れですか? 私は理系を得意とする軍配士だということを」
「おお、頼りになるぞ仁和!」
「方法は至って簡単です。お屋形様にとって一番大切な場所を場所させます。爆発の方法は、まあ火力が高い方が尚良いでしょう。鍛治屋の権次と兼三にも手伝わせます」
「それは良い」
こんなに人数集めたのに、仁和の一つの案だけで会議が終わってしまった。まずい。これはどうすれば良いんだ!?
何か考えろ。話しを繋げろ、俺。会議を長引かせるためには......他にも案を話してみて、爆発が失敗しても支障が無いようにすれば良いか。
「よし。他にも予備の案を話し合おう」
仁和は手を挙げた。
「何か案か?」
「はい。米沢城を、私の部下達に襲わせてお屋形様を本丸御殿から出させます。部下達の脱出経路も確保することが前提条件です」
また仁和のせいで話し合いが終了した。優秀な軍配士も、邪魔に思えてくる時があるんだな。優秀過ぎるのも、罪だぜ。
あの後、何とか俺の機転で会議を一時間以上進行させた。会議を終わらせると、未来人衆全員も俺達に合流して、まずは脱出経路の確保を行った。そうして、今に至るわけである。
今は米沢城を数百人で大移動し、脱出経路をいろいろ議論した。
「おい、あそこは脱出経路に使えるんじゃないか」
「駄目駄目。あそこは見張りが厳しい」
「なら、あそこは?」
「見通しが良すぎる」
「あそこは?」
「難所だよ。足場が悪いからすぐに捕まる」
未来人衆は、上記のような会話を続けた。現状、脱出経路は見つかっていない。仁和の第二の案はお蔵入りとなりそうだ。新しく、第二の案を考えた方が良い。
が、仁和は諦めていなかった。懸命に脱出経路を思案していた。諦めが悪い、とも捉えることが出来る。だが、俺はそうは思わなかった。ここは未来の名軍配士に騙されることにしてみた。
「お前ら! あと少しだ。仁和が頑張っているんだ。仁和が手を止めるまで、俺達は死ぬ気で脱出経路を探すぞ!」
「「はっ! 了解しました!」」
こうして馬車馬のように働かせるように仕向けると、仁和は奥へ奥へと進んでいった。ちょうど良い。話したいことがあったのだ。仁和を追いかけた。
「おい、仁和!」
「政宗殿、どうなされましたか?」
「話しがある。江渡弥平が未来の物や技術をこの時代に定着させようと動き回っているようだな」
「政宗殿は地獄耳ですか? なぜ知っているのです?」
「誘拐されている時に、仁和達の行動を見ていたんだ」
「そういうことですか。ハァ、わかりました。話します」
「そうしてくれ」
「江渡弥平、私の元ボスです。江渡弥平はおそらく、もうすでに新たな部下を手に入れているはずです。そして、未来からの物資をこの時代に持ち込んでいます。
小十郎殿から聞きましたが、安土城に未来の馬の足跡があったのですよね? 江渡弥平は10割方、未来の馬などを戦国大名に売りつけています。それを放置していれば、いずれ各戦国大名は力を増して、技術も発達。一つの戦ですら、今までより数倍の死者数を出すことになります。最悪の場合は、技術の発達で第三次世界大戦も起きます」
「食い止める方法はないのか?」
「探せばあるのかもしれませんが、今のところは皆無。江渡弥平を倒す以外に方法はないでしょう」
「江渡弥平の居場所はわかるか?」
「残念ながら......」
歴史を変えるな、とアーティネスに命じられた。すぐにでも江渡弥平を倒さないといけない。
「江渡弥平がそのようなことをする目的は? 何か明確な目的とかはないのか?」
「私では見当が付きません。お役に立てず、申し訳ございません。ですが、江渡弥平を倒すためなら全力を尽くさせてもらいます」
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