隻眼の覇者・伊達政宗転生~殺された歴史教師は伊達政宗に転生し、天下統一を志す~

髙橋朔也

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第三章『家督相続』

伊達政宗、脱出するのは伊達じゃない その肆

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 第三次世界大戦が起こったとする。世界大戦が起これば起こるほど化学兵器等々の技術が発達。日本政府は、その技術の発達が目的とも考えられる。
 技術の発達......。実際にそういう目的かどうかは知らんが、そんな動機で歴史をひん曲げようとしているなら許せないな。
 小十郎は景頼に視線を送る。「何を話しているのですか?」
「小十郎殿、今話していたのは今回の若様誘拐の実行犯についてです」
「実行犯?」
「江渡弥平。こう言ったらわかりますか?」
「歴史改変計画の実行をしたチームの総司令官、ですか」
「そうです。私や仁和殿、未来人衆の元ボスです」
「その江渡弥平が、また躍動やくどうしているとなると非常にまずいですね」
「ええ。江渡弥平が実行犯か、または実行犯を操っている可能性は高いでしょう」
 仁和は地図を事細かに確かめ、俺を見つけるために努力した。しかし、どこにも俺を見いだすことは叶わず、自力で脱出することを俺は余儀なくされたのであった。

 間接を自ら破壊した俺は、床に倒れた。それを見た誘拐犯は、俺の体を起こさせた。
「テメェ、何してんだ? あ? 間接が壊れてるな」
「ぐあぁー!」
「自分で間接をねじ曲げたのか......。バカなことをしやがって。そんなんで縄から脱しようと思ったってところか。本当にこいつが独眼竜と呼ばれる奴なのか?」
「そうだ。俺は......ガハッ! 独眼竜・伊達政宗だ」
「そうか。そいつは良かった。で、間接破壊をしちまったお前はめでたく動けなくなった。こっちとしても好都合だ」
 間接破壊なんてしなければ良かった。行動不能になっちゃったら、手も足も出ない。失策!
 仁和の編み出した様々な技も、今は準備が足りない。これでは俺の攻撃手段も少ない。攻撃出来ても、こいつら誘拐犯を一掃するのは難しいだろう。
 防御手段も欲しくなってくる。どんな攻撃も防ぐ防御方法を、間接壊れて行動不能になっている今のうちに考え出して実行に移さないといけない。
 どんな攻撃をも防ぎきる方法を考え出そう。体技を防ぐのなら、クッションとかで攻撃を他に流せば良い。ただ、火縄銃とか、銃火器の攻撃を完全に防ぐことが出来る防御方法は存在しうるのか?
 いや、やるしかない。防御壁を体近くに展開するとして、やっぱり化学とかの知識がないと成功は無理か。仁和が俺に教えてくれた化学。記憶を辿って死ぬ気で思い出さないと......。
 攻撃を包み込んで受け止めるか、跳ね返すか。滅茶苦茶硬い防御壁を展開するとして、滅茶苦茶硬い物質の場合は生成までに時間を要する。時間が掛かるなら、防御壁を展開する前に俺本体がやられちまう。どうしたものか。
 柔らかい物質を瞬間的に硬くするとして、それにもある程度は時間が掛かっちまう。防御壁。どんな攻撃も防ぎきる防御壁。
 ただ、防御壁と言ってもかなり難しい。相手の動きを封じるのか可能か? 動きを封じるにしても、防御壁の仕組みを応用する必要がある。さあ、どうする......!?
 もうなるようになるしかない。縄を本気で引き千切って、人工間接を急遽取り付けて、速攻だ。
「ゴラアァー!」
 間接が壊れた状態の本気で、何とか縄を引き千切る。人工間接を急いで作り、すぐに取り付ける。ここまでに一秒ちょい。
 動きはぎこちないが、実行犯数人を気絶させられる力はある。
 右脚の人工間接を壊す勢いで脚を振りかざすと、左脚で踏み込み、このまま蹴り飛ばす。
 右脚人工間接が壊れた。残り二人。
 右腕人工間接を壊す勢いでパンチを繰り出し、最後に残った一人に頭を突き出す!
「よぉし」
 誘拐実行犯殲滅せんめつ完了。出入り口はどこだ。
 扉を開き、少し顔を覗かせた。そして、絶望。扉の先に伸びていた廊下には誘拐犯がたくさんいた。覗いたことはバレてはいないが、ここから逃げ出すには完璧な防御壁を必要とする。
 間接が壊れている今、こいつら全員の攻撃を防ぎつつ殲滅するのは不可能。防御壁を展開しなくてはな。
 その前に、急いで作った人工間接と丁寧に作った人工間接を取り替えた。
「これで素早くは動けないが、何とか動ける」
 防御壁。今はこれが目標だ。コンクリート!? 鉄!? ダイヤモンド!?
 ダイヤモンド? あ、仁和が何か言っていた。世界一硬い物質は、ダイヤモンドと似た物質と聞いた。名前は確か......ウルツァイト窒化ちっかホウ。火山の残留物(?)から得られる物質だったな。ウルツァイト窒化ホウ素が得られるメカニズムを仁和から教えてもらえば良かった。仁和の化学知識も捨てたもんじゃない。もし脱出出来たら、今まで以上に重宝しよう。そうしよう。
 ウルツァイト窒化ホウ素を生成。それには仕組みを知るのが必須。どんな攻撃も防ぎきる防御壁は作れるのか。
 アーティネスに頼むか。
『おーい、神様、アーティネス様ー!』
『名坂横久。私に頼ろうとは、あまりしないでください』
『チッ! アーティネス、最近は融通が利かなくなったな』
『私達神様には陰口は無理ですよ?』
『聞こえてんのか!!』
 こうして、一瞬見えた一筋の光りは絶たれた。
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