87 / 245
第三章『家督相続』
伊達政宗、脱出するのは伊達じゃない その肆
しおりを挟む
第三次世界大戦が起こったとする。世界大戦が起これば起こるほど化学兵器等々の技術が発達。日本政府は、その技術の発達が目的とも考えられる。
技術の発達......。実際にそういう目的かどうかは知らんが、そんな動機で歴史をひん曲げようとしているなら許せないな。
小十郎は景頼に視線を送る。「何を話しているのですか?」
「小十郎殿、今話していたのは今回の若様誘拐の実行犯についてです」
「実行犯?」
「江渡弥平。こう言ったらわかりますか?」
「歴史改変計画の実行をしたチームの総司令官、ですか」
「そうです。私や仁和殿、未来人衆の元ボスです」
「その江渡弥平が、また躍動しているとなると非常にまずいですね」
「ええ。江渡弥平が実行犯か、または実行犯を操っている可能性は高いでしょう」
仁和は地図を事細かに確かめ、俺を見つけるために努力した。しかし、どこにも俺を見いだすことは叶わず、自力で脱出することを俺は余儀なくされたのであった。
間接を自ら破壊した俺は、床に倒れた。それを見た誘拐犯は、俺の体を起こさせた。
「テメェ、何してんだ? あ? 間接が壊れてるな」
「ぐあぁー!」
「自分で間接をねじ曲げたのか......。バカなことをしやがって。そんなんで縄から脱しようと思ったってところか。本当にこいつが独眼竜と呼ばれる奴なのか?」
「そうだ。俺は......ガハッ! 独眼竜・伊達政宗だ」
「そうか。そいつは良かった。で、間接破壊をしちまったお前はめでたく動けなくなった。こっちとしても好都合だ」
間接破壊なんてしなければ良かった。行動不能になっちゃったら、手も足も出ない。失策!
仁和の編み出した様々な技も、今は準備が足りない。これでは俺の攻撃手段も少ない。攻撃出来ても、こいつら誘拐犯を一掃するのは難しいだろう。
防御手段も欲しくなってくる。どんな攻撃も防ぐ防御方法を、間接壊れて行動不能になっている今のうちに考え出して実行に移さないといけない。
どんな攻撃をも防ぎきる方法を考え出そう。体技を防ぐのなら、クッションとかで攻撃を他に流せば良い。ただ、火縄銃とか、銃火器の攻撃を完全に防ぐことが出来る防御方法は存在しうるのか?
いや、やるしかない。防御壁を体近くに展開するとして、やっぱり化学とかの知識がないと成功は無理か。仁和が俺に教えてくれた化学。記憶を辿って死ぬ気で思い出さないと......。
攻撃を包み込んで受け止めるか、跳ね返すか。滅茶苦茶硬い防御壁を展開するとして、滅茶苦茶硬い物質の場合は生成までに時間を要する。時間が掛かるなら、防御壁を展開する前に俺本体がやられちまう。どうしたものか。
柔らかい物質を瞬間的に硬くするとして、それにもある程度は時間が掛かっちまう。防御壁。どんな攻撃も防ぎきる防御壁。
ただ、防御壁と言ってもかなり難しい。相手の動きを封じるのか可能か? 動きを封じるにしても、防御壁の仕組みを応用する必要がある。さあ、どうする......!?
もうなるようになるしかない。縄を本気で引き千切って、人工間接を急遽取り付けて、速攻だ。
「ゴラアァー!」
間接が壊れた状態の本気で、何とか縄を引き千切る。人工間接を急いで作り、すぐに取り付ける。ここまでに一秒ちょい。
動きはぎこちないが、実行犯数人を気絶させられる力はある。
右脚の人工間接を壊す勢いで脚を振りかざすと、左脚で踏み込み、このまま蹴り飛ばす。
右脚人工間接が壊れた。残り二人。
右腕人工間接を壊す勢いでパンチを繰り出し、最後に残った一人に頭を突き出す!
「よぉし」
誘拐実行犯殲滅完了。出入り口はどこだ。
扉を開き、少し顔を覗かせた。そして、絶望。扉の先に伸びていた廊下には誘拐犯がたくさんいた。覗いたことはバレてはいないが、ここから逃げ出すには完璧な防御壁を必要とする。
間接が壊れている今、こいつら全員の攻撃を防ぎつつ殲滅するのは不可能。防御壁を展開しなくてはな。
その前に、急いで作った人工間接と丁寧に作った人工間接を取り替えた。
「これで素早くは動けないが、何とか動ける」
防御壁。今はこれが目標だ。コンクリート!? 鉄!? ダイヤモンド!?
ダイヤモンド? あ、仁和が何か言っていた。世界一硬い物質は、ダイヤモンドと似た物質と聞いた。名前は確か......ウルツァイト窒化ホウ素。火山の残留物(?)から得られる物質だったな。ウルツァイト窒化ホウ素が得られるメカニズムを仁和から教えてもらえば良かった。仁和の化学知識も捨てたもんじゃない。もし脱出出来たら、今まで以上に重宝しよう。そうしよう。
ウルツァイト窒化ホウ素を生成。それには仕組みを知るのが必須。どんな攻撃も防ぎきる防御壁は作れるのか。
アーティネスに頼むか。
『おーい、神様、アーティネス様ー!』
『名坂横久。私に頼ろうとは、あまりしないでください』
『チッ! アーティネス、最近は融通が利かなくなったな』
『私達神様には陰口は無理ですよ?』
『聞こえてんのか!!』
こうして、一瞬見えた一筋の光りは絶たれた。
技術の発達......。実際にそういう目的かどうかは知らんが、そんな動機で歴史をひん曲げようとしているなら許せないな。
小十郎は景頼に視線を送る。「何を話しているのですか?」
「小十郎殿、今話していたのは今回の若様誘拐の実行犯についてです」
「実行犯?」
「江渡弥平。こう言ったらわかりますか?」
「歴史改変計画の実行をしたチームの総司令官、ですか」
「そうです。私や仁和殿、未来人衆の元ボスです」
「その江渡弥平が、また躍動しているとなると非常にまずいですね」
「ええ。江渡弥平が実行犯か、または実行犯を操っている可能性は高いでしょう」
仁和は地図を事細かに確かめ、俺を見つけるために努力した。しかし、どこにも俺を見いだすことは叶わず、自力で脱出することを俺は余儀なくされたのであった。
間接を自ら破壊した俺は、床に倒れた。それを見た誘拐犯は、俺の体を起こさせた。
「テメェ、何してんだ? あ? 間接が壊れてるな」
「ぐあぁー!」
「自分で間接をねじ曲げたのか......。バカなことをしやがって。そんなんで縄から脱しようと思ったってところか。本当にこいつが独眼竜と呼ばれる奴なのか?」
「そうだ。俺は......ガハッ! 独眼竜・伊達政宗だ」
「そうか。そいつは良かった。で、間接破壊をしちまったお前はめでたく動けなくなった。こっちとしても好都合だ」
間接破壊なんてしなければ良かった。行動不能になっちゃったら、手も足も出ない。失策!
仁和の編み出した様々な技も、今は準備が足りない。これでは俺の攻撃手段も少ない。攻撃出来ても、こいつら誘拐犯を一掃するのは難しいだろう。
防御手段も欲しくなってくる。どんな攻撃も防ぐ防御方法を、間接壊れて行動不能になっている今のうちに考え出して実行に移さないといけない。
どんな攻撃をも防ぎきる方法を考え出そう。体技を防ぐのなら、クッションとかで攻撃を他に流せば良い。ただ、火縄銃とか、銃火器の攻撃を完全に防ぐことが出来る防御方法は存在しうるのか?
いや、やるしかない。防御壁を体近くに展開するとして、やっぱり化学とかの知識がないと成功は無理か。仁和が俺に教えてくれた化学。記憶を辿って死ぬ気で思い出さないと......。
攻撃を包み込んで受け止めるか、跳ね返すか。滅茶苦茶硬い防御壁を展開するとして、滅茶苦茶硬い物質の場合は生成までに時間を要する。時間が掛かるなら、防御壁を展開する前に俺本体がやられちまう。どうしたものか。
柔らかい物質を瞬間的に硬くするとして、それにもある程度は時間が掛かっちまう。防御壁。どんな攻撃も防ぎきる防御壁。
ただ、防御壁と言ってもかなり難しい。相手の動きを封じるのか可能か? 動きを封じるにしても、防御壁の仕組みを応用する必要がある。さあ、どうする......!?
もうなるようになるしかない。縄を本気で引き千切って、人工間接を急遽取り付けて、速攻だ。
「ゴラアァー!」
間接が壊れた状態の本気で、何とか縄を引き千切る。人工間接を急いで作り、すぐに取り付ける。ここまでに一秒ちょい。
動きはぎこちないが、実行犯数人を気絶させられる力はある。
右脚の人工間接を壊す勢いで脚を振りかざすと、左脚で踏み込み、このまま蹴り飛ばす。
右脚人工間接が壊れた。残り二人。
右腕人工間接を壊す勢いでパンチを繰り出し、最後に残った一人に頭を突き出す!
「よぉし」
誘拐実行犯殲滅完了。出入り口はどこだ。
扉を開き、少し顔を覗かせた。そして、絶望。扉の先に伸びていた廊下には誘拐犯がたくさんいた。覗いたことはバレてはいないが、ここから逃げ出すには完璧な防御壁を必要とする。
間接が壊れている今、こいつら全員の攻撃を防ぎつつ殲滅するのは不可能。防御壁を展開しなくてはな。
その前に、急いで作った人工間接と丁寧に作った人工間接を取り替えた。
「これで素早くは動けないが、何とか動ける」
防御壁。今はこれが目標だ。コンクリート!? 鉄!? ダイヤモンド!?
ダイヤモンド? あ、仁和が何か言っていた。世界一硬い物質は、ダイヤモンドと似た物質と聞いた。名前は確か......ウルツァイト窒化ホウ素。火山の残留物(?)から得られる物質だったな。ウルツァイト窒化ホウ素が得られるメカニズムを仁和から教えてもらえば良かった。仁和の化学知識も捨てたもんじゃない。もし脱出出来たら、今まで以上に重宝しよう。そうしよう。
ウルツァイト窒化ホウ素を生成。それには仕組みを知るのが必須。どんな攻撃も防ぎきる防御壁は作れるのか。
アーティネスに頼むか。
『おーい、神様、アーティネス様ー!』
『名坂横久。私に頼ろうとは、あまりしないでください』
『チッ! アーティネス、最近は融通が利かなくなったな』
『私達神様には陰口は無理ですよ?』
『聞こえてんのか!!』
こうして、一瞬見えた一筋の光りは絶たれた。
0
お気に入りに追加
124
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

大日本帝国、アラスカを購入して無双する
雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。
大日本帝国VS全世界、ここに開幕!
※架空の日本史・世界史です。
※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。
※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。
【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部
山本 双六
歴史・時代
たくさんの人が亡くなった太平洋戦争。では、もし日本が勝てば原爆が落とされず、何万人の人が助かったかもしれないそう思い執筆しました。(一部史実と異なることがあるためご了承ください)初投稿ということで俊也さんの『re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ』を参考にさせて頂きました。
これからどうかよろしくお願い致します!
ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。
織田信長IF… 天下統一再び!!
華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。
この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。
主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。
※この物語はフィクションです。

if 大坂夏の陣 〜勝ってはならぬ闘い〜
かまぼこのもと
歴史・時代
1615年5月。
徳川家康の天下統一は最終局面に入っていた。
堅固な大坂城を無力化させ、内部崩壊を煽り、ほぼ勝利を手中に入れる……
豊臣家に味方する者はいない。
西国無双と呼ばれた立花宗茂も徳川家康の配下となった。
しかし、ほんの少しの違いにより戦局は全く違うものとなっていくのであった。
全5話……と思ってましたが、終わりそうにないので10話ほどになりそうなので、マルチバース豊臣家と別に連載することにしました。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
故郷、甲賀で騒動を起こし、国を追われるようにして出奔した
若き日の滝川一益と滝川義太夫、
尾張に流れ着いた二人は織田信長に会い、織田家の一員として
天下布武の一役を担う。二人をとりまく織田家の人々のそれぞれの思惑が
からみ、紆余曲折しながらも一益がたどり着く先はどこなのか。
架空戦記 隻眼龍将伝
常陸之介寛浩☆第4回歴史時代小説読者賞
歴史・時代
第四回歴史・時代劇小説大賞エントリー
♦♦♦
あと20年早く生まれてきたら、天下を制する戦いをしていただろうとする奥州覇者、伊達政宗。
そんな伊達政宗に時代と言う風が大きく見方をする時間軸の世界。
この物語は語り継がれし歴史とは大きく変わった物語。
伊達家御抱え忍者・黒脛巾組の暗躍により私たちの知る歴史とは大きくかけ離れた物語が繰り広げられていた。
異時間軸戦国物語、if戦記が今ここに始まる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この物語は、作者が連載中の「天寿を全うしたら美少女閻魔大王に異世界に転生を薦められました~戦国時代から宇宙へ~」のように、異能力・オーバーテクノロジーなどは登場しません。
異世界転生者、異次元転生者・閻魔ちゃん・神・宇宙人も登場しません。
作者は時代劇が好き、歴史が好き、伊達政宗が好き、そんなレベルでしかなく忠実に歴史にあった物語を書けるほどの知識を持ってはおりません。
戦国時代を舞台にした物語としてお楽しみください。
ご希望の登場人物がいれば感想に書いていただければ登場を考えたいと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる