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第三章『家督相続』
伊達政宗、信長救出は伊達じゃない その拾弐
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俺の命令で、景頼は去った。さあ、どうやって死ねばいいか。いっそのこと、小十郎と同じ死に方をしよう。俺は近くにあった槍をつかんだ。するとその時、また意識が神界に連れて行かれた。
「あーてぃねす......」
「名坂横久。随分と酷い精神状態ですね」
アーティネスがいた。
「おれをしんかいによんで、どうするきだ?」
「あなたは死のうとした」
「いままでらくなみちしか、あるいてこなかったんだ。だから──」
「だから死ぬ? ふざけているんですか? 死ぬなんて、ただ逃げるだけの意味しか持ちませんよ。あなたはまた、楽な道を進もうとしています。死んで何になるんですか? そんなの、現実逃避でしかありません」
「げ......ん......じ......つ......と......う......ひ......」
「あなたが茨の道を進みたいのであれば、神辺勉を生き返らせなさい」
「どうやって......?」
「ヘルリャフカの体は不死の力を持っている。ヘルリャフカの心臓と、神辺勉の心臓を取り替えるのです。取り替える方法は、ヘルリャフカの弱体化が絶対条件」
「こじゅうろうは、ふっかつするのか?」
「復活は出来ます。ヘルリャフカの心臓を剥き出しにしてから、神の使者の力で、神辺勉の心臓と取り替えてください。必ず、復活することでしょう」
「なら、へるりゃふかをたおす」
「良いでしょう。まずはその精神状態を治します」
アーティネスが神の力で俺の精神状態を治した。
「ありがとう、アーティネス」
「ええ、私は元は人間なのである程度は融通が利きますからね」
「今度こそ、ヘルリャフカを倒してくる」
「頑張ってください。神界から、応援しています」
「わかった」
アーティネスは俺の意識を伊達政宗の体に戻した。
ヘルリャフカを攻略することが出来れば、小十郎は生き返る。ヘルリャフカが牛丸を苗床にしているから、そこは腹をくくるしかない。牛丸には悪いが、倒させてもらうぞ。
アーティネスが俺の意識を伊達政宗本体に返した後に、レイカーがアーティネスの部屋に入ってきた。
「やあ、アーティネス。牛丸の遺体を有効活用したようだね」
「何の話しですか?」
「フフフ。アーティネスは牛丸の遺体をヘルリャフカの苗床とし、名坂君の精神に異常を来させた。それから、神辺君をも殺し、精神異常を最高潮にさせる。そして、死のうとした名坂君を、アーティネスが助けて正しい道へと誘導する。
実際はアーティネスが名坂君を間違った道へと誘導してから、優しく正規の道に誘導したってわけさ。まさに、マッチポンプだね」
「そんなことをして、私に何かメリットでもあるの?」
「アーティネスが名坂君の心の支えになったんだ。以後、名坂君はアーティネスの言うことを素直に受け入れるようになる。名坂君は今日を境に、アーティネスの手駒になったんだよ。いやぁ、素晴らしい手口だ。えげつないね」
「昔から言うでしょう? 神と悪魔は、紙一重なんですよ」
「ハハハ。これからが見物だ。面白くなってきたな」
アーティネスとレイカーは、笑った。外道極まる笑い方をした。アーティネスの思い描く通りに、俺は動いていた。手駒になった。そんなことにも気付かなかった俺は、尚もアーティネスの駒として使われ続けることとなる。
はてさて。ヘルリャフカを倒して小十郎を復活させることを決意した俺は、元気を取り戻して景頼と成実に合流した。
「若様!」景頼は涙目になって、俺の顔をじっくりと見た。「顔色が良くなりましたね」
「ああ、元気が戻ったんだ」
「それは何よりで」
「それより、ヘルリャフカを倒すために会議をするぞ。愛姫も呼ぶんだ」
「わ、わかりました」
小十郎がいないから、今回の会議では成実も参加することとなった。愛姫も合流し、いつもの部屋で話し合いが繰り広げられた。
成実は、初めての会議で緊張しながらも挙手をした。「若様、発言よろしいでしょうか?」
「かまわない」
「小十郎殿を生き返らせるためにヘルリャフカを倒すことはわかりましたし、仁和殿の作戦を応用すれば勝算もありましょう。ですが、ヘルリャフカの弱体化が一番の問題ですよね?」
「そうだ。弱体化は難しいぞ」
「悪魔は実体がないとも耳にします」
「その通りだ」
「それならば、苗床の手足を切り落とせば弱体化に繫がるのではないですか?」
「ん、まあそうだけど、切り落とすのも困難なんだよね。そもそも、苗床は鎧で覆われているから」
「あ、鎧のことが頭から抜け落ちていました。申し訳ございません」
「ああ、それは良いんだけど......」
ヘルリャフカって不死の力があるんだろ? それなら、倒しようがないよなぁ。けど、アーティネスによると不死の力は心臓に宿っているらしい。不死の力ごと小十郎の心臓に替えるから、それなら不死のヘルリャフカでも死ぬか? くわしくはわからないが、心臓を取り替えるのがヘルリャフカを倒す唯一の手だということか。
そうしたら、小十郎も不死になるんじゃないか? ん? そこのところは、また後日にでもアーティネスに尋ねてみるか。
「あーてぃねす......」
「名坂横久。随分と酷い精神状態ですね」
アーティネスがいた。
「おれをしんかいによんで、どうするきだ?」
「あなたは死のうとした」
「いままでらくなみちしか、あるいてこなかったんだ。だから──」
「だから死ぬ? ふざけているんですか? 死ぬなんて、ただ逃げるだけの意味しか持ちませんよ。あなたはまた、楽な道を進もうとしています。死んで何になるんですか? そんなの、現実逃避でしかありません」
「げ......ん......じ......つ......と......う......ひ......」
「あなたが茨の道を進みたいのであれば、神辺勉を生き返らせなさい」
「どうやって......?」
「ヘルリャフカの体は不死の力を持っている。ヘルリャフカの心臓と、神辺勉の心臓を取り替えるのです。取り替える方法は、ヘルリャフカの弱体化が絶対条件」
「こじゅうろうは、ふっかつするのか?」
「復活は出来ます。ヘルリャフカの心臓を剥き出しにしてから、神の使者の力で、神辺勉の心臓と取り替えてください。必ず、復活することでしょう」
「なら、へるりゃふかをたおす」
「良いでしょう。まずはその精神状態を治します」
アーティネスが神の力で俺の精神状態を治した。
「ありがとう、アーティネス」
「ええ、私は元は人間なのである程度は融通が利きますからね」
「今度こそ、ヘルリャフカを倒してくる」
「頑張ってください。神界から、応援しています」
「わかった」
アーティネスは俺の意識を伊達政宗の体に戻した。
ヘルリャフカを攻略することが出来れば、小十郎は生き返る。ヘルリャフカが牛丸を苗床にしているから、そこは腹をくくるしかない。牛丸には悪いが、倒させてもらうぞ。
アーティネスが俺の意識を伊達政宗本体に返した後に、レイカーがアーティネスの部屋に入ってきた。
「やあ、アーティネス。牛丸の遺体を有効活用したようだね」
「何の話しですか?」
「フフフ。アーティネスは牛丸の遺体をヘルリャフカの苗床とし、名坂君の精神に異常を来させた。それから、神辺君をも殺し、精神異常を最高潮にさせる。そして、死のうとした名坂君を、アーティネスが助けて正しい道へと誘導する。
実際はアーティネスが名坂君を間違った道へと誘導してから、優しく正規の道に誘導したってわけさ。まさに、マッチポンプだね」
「そんなことをして、私に何かメリットでもあるの?」
「アーティネスが名坂君の心の支えになったんだ。以後、名坂君はアーティネスの言うことを素直に受け入れるようになる。名坂君は今日を境に、アーティネスの手駒になったんだよ。いやぁ、素晴らしい手口だ。えげつないね」
「昔から言うでしょう? 神と悪魔は、紙一重なんですよ」
「ハハハ。これからが見物だ。面白くなってきたな」
アーティネスとレイカーは、笑った。外道極まる笑い方をした。アーティネスの思い描く通りに、俺は動いていた。手駒になった。そんなことにも気付かなかった俺は、尚もアーティネスの駒として使われ続けることとなる。
はてさて。ヘルリャフカを倒して小十郎を復活させることを決意した俺は、元気を取り戻して景頼と成実に合流した。
「若様!」景頼は涙目になって、俺の顔をじっくりと見た。「顔色が良くなりましたね」
「ああ、元気が戻ったんだ」
「それは何よりで」
「それより、ヘルリャフカを倒すために会議をするぞ。愛姫も呼ぶんだ」
「わ、わかりました」
小十郎がいないから、今回の会議では成実も参加することとなった。愛姫も合流し、いつもの部屋で話し合いが繰り広げられた。
成実は、初めての会議で緊張しながらも挙手をした。「若様、発言よろしいでしょうか?」
「かまわない」
「小十郎殿を生き返らせるためにヘルリャフカを倒すことはわかりましたし、仁和殿の作戦を応用すれば勝算もありましょう。ですが、ヘルリャフカの弱体化が一番の問題ですよね?」
「そうだ。弱体化は難しいぞ」
「悪魔は実体がないとも耳にします」
「その通りだ」
「それならば、苗床の手足を切り落とせば弱体化に繫がるのではないですか?」
「ん、まあそうだけど、切り落とすのも困難なんだよね。そもそも、苗床は鎧で覆われているから」
「あ、鎧のことが頭から抜け落ちていました。申し訳ございません」
「ああ、それは良いんだけど......」
ヘルリャフカって不死の力があるんだろ? それなら、倒しようがないよなぁ。けど、アーティネスによると不死の力は心臓に宿っているらしい。不死の力ごと小十郎の心臓に替えるから、それなら不死のヘルリャフカでも死ぬか? くわしくはわからないが、心臓を取り替えるのがヘルリャフカを倒す唯一の手だということか。
そうしたら、小十郎も不死になるんじゃないか? ん? そこのところは、また後日にでもアーティネスに尋ねてみるか。
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