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第一章『初陣へ』
伊達政宗、援軍要請は伊達じゃない その壱
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敵を数十人ほど斬ってから、また後方に戻った。出来れば、敵でも死んで欲しくはないが戦国の世には仕方ない。
「皆の者よ! いいか? 他が命より、我が命を最優先にしろ! 絶対に生きて帰還するぞ!」
全員は腕を上に上げて声を張り上げた。俺は腰を下ろした。
「景頼! 来い!」
「どうしましたか、若様」
「言った通り、予言の書『予言未来書 一之巻』を持ってきたか?」
「もちろん、持ってきました」
景頼から予言の書を受け取り、パラパラとめくった。やはり、伊達政宗の初陣の際には蘆名氏の援軍が来ている。俺が援軍を送るように頼んだ書状は、すでに蘆名に届いているはずだ。蘆名に援軍を送らせる期日は二日後に設定した。あと二日の間は、絶対優勢でなくてはならない。
「景頼。予言の書は、なくさないように大切に持っていろ。戦の最中でも、必ず落としたりはするなよ!」
「は、わかりました」
「よし。次は私と小十郎だけで前方に向かう。小十郎、準備をしておけ!」
「わかりました」
「鉄砲隊も前進させる。援護を、景頼に任せる」
「この屋代景頼、任されました!」
「成実は軍を率いて、我より前方を攻めよ!」
「この伊達成実、承りました」
「よし。他の者は引き続き周囲を警戒しろ。油断はするなよ。いいか!」
「「は、わかりました!」」
再度、馬にまたがった。
「小十郎! 準備はどうだ?」
「出来ています!」
「前方へ進む!」
「はい!」
馬を走らせて前方に進んだ。足軽もかなり苦戦している。騎馬隊は刀を片手で扱っている。
「神辺。援軍まで持ちこたえるわけだが、攻めないわけではない。敵方の本陣に突っ込もう!」
「マジかよ、名坂!」
「安心しろ。馬上で扱えるように改造した火縄銃を携帯してきた。それに、成実軍を前方に向かわせるようにしたから有利に戦を進められるはずだ」
馬を走らせていると、後方より報が流れてきた。景頼、成実のいる陣が相馬氏に攻め入られたらしい。何やってんだ、あの馬鹿どもめ!
馬の方向を後方にし、また走らせた。相馬氏に後ろから攻め入られていた。成実軍がリードして反撃をしていたが、そもそも史実にこのようなことがあったか不思議だ。
ひとまず倒した後で伏兵に注意しながら輝宗本陣と合流。相馬氏の奇襲について説明した。
「相馬氏の奇襲とな......。政宗。援軍はまだなのか」
「二日後にてございます」
「二日後か。それまで持ちこたえる」
「景頼は現在、鉄砲隊を援護・指揮して敵方に突っ込んでいます」
「そうか、よしよし」
輝宗は笑みを浮かべていた。やはり輝宗はかなりの策士家だ。それに、東北の戦国武将にしては珍しく中央の動きを見ながら、という慎重さ。輝宗は政宗に比べたらあまりすごくはないかもしれないが、もしかしたら輝宗に転生した方が天下統一は楽だったかもしれないな。
「では、父上。私達は先に食事を取ります」
「うむ。わかった」
飯を急いでかっこみ、また万全の準備をする。戦ではゆっくり飯を食ったら死ぬぞ! いや、マジだ。
その夜のこと、輝宗により夜襲作戦が実行された。政宗・成実軍が進軍し、後ろから小十郎・景頼軍で挟み打ちだ。しかし、先に輝宗の本陣を相馬氏に攻められたようで、別動隊の俺らは本陣までものすごい勢いで戻った。
はてさて。翌々日の朝にはなった。だが、援軍が来る気配はなかった。どういうことかと首を傾げていた。蘆名氏が援軍を送らないとなると、かなり困ったことにはなる。どうしようか。なぜ援軍が来ないのか! まっまく意味のわからないものだ。
「若様!」
「小十郎か。どうした?」
「蘆名からの書状が届きました!」
「誠か! して、内容は?」
「援軍要請の書状に対し、非常に無礼な内容だというお怒りの書状でございます」
「なんと! 蘆名が先の書状を無礼と? 援軍はどうなるか?」
「それが、実現のしようがないかと思われます」
「何!? 実現が無理だと!」
「さようでございます」
援軍が来ない。これはまずい。伊達政宗の初陣を勝利に飾ることは無理ということになる。となると、歴史が大きく変わるから、奥州すら統一出来ないかもしれない。
「小十郎! 何とかしようがないのか?」
「これは謝罪の書状を書き、直ちに送らなくてはいけないでしょう......」
「また書状を? 何日かかると思っている!」
「忍者を起用し、直ぐさま送ってはどうでしょう?」
「足りん! まだ足りん! 蘆名に謝罪の書状を送るにしても、援軍が来るのはまだ先だ。どうすれば良いのか!」
「これはもう、援軍無しに戦って勝利するしかないです」
「うむ。悲しきかな、それしかない! 皆にその旨を伝えよ!」
「承知しました」
こうして、蘆名の援軍という望みは絶たれた。我々伊達家は、何としてでも勝たねばなるまい。
今思えば、かなり無礼極まる書状だったな。図に乗った書き方だったことも認める。無礼でも歴史は早々変わるわけがないと過信した俺が間違っていたのは火を見るように明らかである。この場を借りて、謝罪しようと思う。申し訳ございませんでした......。
「皆の者よ! いいか? 他が命より、我が命を最優先にしろ! 絶対に生きて帰還するぞ!」
全員は腕を上に上げて声を張り上げた。俺は腰を下ろした。
「景頼! 来い!」
「どうしましたか、若様」
「言った通り、予言の書『予言未来書 一之巻』を持ってきたか?」
「もちろん、持ってきました」
景頼から予言の書を受け取り、パラパラとめくった。やはり、伊達政宗の初陣の際には蘆名氏の援軍が来ている。俺が援軍を送るように頼んだ書状は、すでに蘆名に届いているはずだ。蘆名に援軍を送らせる期日は二日後に設定した。あと二日の間は、絶対優勢でなくてはならない。
「景頼。予言の書は、なくさないように大切に持っていろ。戦の最中でも、必ず落としたりはするなよ!」
「は、わかりました」
「よし。次は私と小十郎だけで前方に向かう。小十郎、準備をしておけ!」
「わかりました」
「鉄砲隊も前進させる。援護を、景頼に任せる」
「この屋代景頼、任されました!」
「成実は軍を率いて、我より前方を攻めよ!」
「この伊達成実、承りました」
「よし。他の者は引き続き周囲を警戒しろ。油断はするなよ。いいか!」
「「は、わかりました!」」
再度、馬にまたがった。
「小十郎! 準備はどうだ?」
「出来ています!」
「前方へ進む!」
「はい!」
馬を走らせて前方に進んだ。足軽もかなり苦戦している。騎馬隊は刀を片手で扱っている。
「神辺。援軍まで持ちこたえるわけだが、攻めないわけではない。敵方の本陣に突っ込もう!」
「マジかよ、名坂!」
「安心しろ。馬上で扱えるように改造した火縄銃を携帯してきた。それに、成実軍を前方に向かわせるようにしたから有利に戦を進められるはずだ」
馬を走らせていると、後方より報が流れてきた。景頼、成実のいる陣が相馬氏に攻め入られたらしい。何やってんだ、あの馬鹿どもめ!
馬の方向を後方にし、また走らせた。相馬氏に後ろから攻め入られていた。成実軍がリードして反撃をしていたが、そもそも史実にこのようなことがあったか不思議だ。
ひとまず倒した後で伏兵に注意しながら輝宗本陣と合流。相馬氏の奇襲について説明した。
「相馬氏の奇襲とな......。政宗。援軍はまだなのか」
「二日後にてございます」
「二日後か。それまで持ちこたえる」
「景頼は現在、鉄砲隊を援護・指揮して敵方に突っ込んでいます」
「そうか、よしよし」
輝宗は笑みを浮かべていた。やはり輝宗はかなりの策士家だ。それに、東北の戦国武将にしては珍しく中央の動きを見ながら、という慎重さ。輝宗は政宗に比べたらあまりすごくはないかもしれないが、もしかしたら輝宗に転生した方が天下統一は楽だったかもしれないな。
「では、父上。私達は先に食事を取ります」
「うむ。わかった」
飯を急いでかっこみ、また万全の準備をする。戦ではゆっくり飯を食ったら死ぬぞ! いや、マジだ。
その夜のこと、輝宗により夜襲作戦が実行された。政宗・成実軍が進軍し、後ろから小十郎・景頼軍で挟み打ちだ。しかし、先に輝宗の本陣を相馬氏に攻められたようで、別動隊の俺らは本陣までものすごい勢いで戻った。
はてさて。翌々日の朝にはなった。だが、援軍が来る気配はなかった。どういうことかと首を傾げていた。蘆名氏が援軍を送らないとなると、かなり困ったことにはなる。どうしようか。なぜ援軍が来ないのか! まっまく意味のわからないものだ。
「若様!」
「小十郎か。どうした?」
「蘆名からの書状が届きました!」
「誠か! して、内容は?」
「援軍要請の書状に対し、非常に無礼な内容だというお怒りの書状でございます」
「なんと! 蘆名が先の書状を無礼と? 援軍はどうなるか?」
「それが、実現のしようがないかと思われます」
「何!? 実現が無理だと!」
「さようでございます」
援軍が来ない。これはまずい。伊達政宗の初陣を勝利に飾ることは無理ということになる。となると、歴史が大きく変わるから、奥州すら統一出来ないかもしれない。
「小十郎! 何とかしようがないのか?」
「これは謝罪の書状を書き、直ちに送らなくてはいけないでしょう......」
「また書状を? 何日かかると思っている!」
「忍者を起用し、直ぐさま送ってはどうでしょう?」
「足りん! まだ足りん! 蘆名に謝罪の書状を送るにしても、援軍が来るのはまだ先だ。どうすれば良いのか!」
「これはもう、援軍無しに戦って勝利するしかないです」
「うむ。悲しきかな、それしかない! 皆にその旨を伝えよ!」
「承知しました」
こうして、蘆名の援軍という望みは絶たれた。我々伊達家は、何としてでも勝たねばなるまい。
今思えば、かなり無礼極まる書状だったな。図に乗った書き方だったことも認める。無礼でも歴史は早々変わるわけがないと過信した俺が間違っていたのは火を見るように明らかである。この場を借りて、謝罪しようと思う。申し訳ございませんでした......。
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