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61 ベイビー・ドライバー◇-3

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『……え?どういう事?』

『──彼は此方へ向かっています、あの後すぐに彼らの手を逃れ、貴女を追いかけて来ています』

『本当!?無事……なんだよね?』

『そう思います、ですが彼を帝国の者達が追っています。彼を助けたいなら、すぐに向かった方がいいでしょう』

『でも……私といたら、お父様みたいに』

『だとしても、ここで二の足を踏んでいたら、二度と会えなくなりますよ』

『……相手は帝国なんだよ?それに七元徳とかいう人達もいるし、あの機海獣達を一人でどうにかなんて……』

『出来ますし、勝てますよ』

『どうしてそんなこと言えるの』

『貴女が特別な存在だからです、私達の子供だから特別、という意味だけでは無く、です。そしてオルキヌスはあの機海獣全員よりも、ずっと強い』

『……本当に?じゃあ何でお兄様はここに来るように……』

『私と会わせるためでしょうね。大丈夫です、貴女がそれを望みさえすれば。出来ない事はないでしょう。貴女自身を信じさえすれば』

『私が私を信じれば……』

『願うなら、求めなさい。そうすれば与えられるでしょう』

『…………やってみる』

『話の続きは……彼を連れて来てからですね』

 こう言う時は、何で言えばいいんだろう。

 そう思って、何故かすぐに浮かんで来た言葉。

『……行って、きます』

『……ええ、いってらっしゃい』

 私は、初めて親とそんな挨拶をした。

 多分、普通のことを。

 空間は白く光り、気がつくと私はオルキヌスの座席に戻っていた。

「オルキヌス!戻るよ!」

「◾︎◾︎◾︎◾︎──!」

 母の形見が輝き、明るく鮮やかな虹色の宝石へと変わる。

『お母様……?』

『その石を、オルキヌスに与えて下さい、抑えていた力を解放してくれるでしょう』

 頭に直接声が聞こえて、私は自然と宝石をオルキヌスの座席に空いた窪みに嵌めた。

「◾︎◾︎◾︎◾︎!」

 オルキヌスが高い鳴き声を上げ、光に包まれる。

「行こう!オルキヌス!」

 深海から凄まじい速度で泳ぎ、オルキヌス海面へと急いだ。

「待ってて……オード!今すぐに行くから!」
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