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見ているのに見ていない、続いてるようで続いていない感じ
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暗闇の中で眼を閉じる。見えているのは無。聞こえているのは自分がたてている静かな寝息と枕の沈む音。心臓が穏やかに鼓動するのを感じながら意識を少しずつ、少しずつ底の方へと落としていく。指先から力が水のように流れて、暗闇の中に溶けていく。頭の中は空っぽに、言葉も、景色も、人も、動物も、全て外の暗闇に追い出そう。大丈夫、日が昇り、柔らかい光がこの空間に漂う時には全て戻ってくる。今、扉をすり抜けて無音で近づいてくるのは、幻想、妄想、理想、記憶が無造作に混ざり合ったもの。それは、口から、鼻から、耳から、毛穴から入り、空っぽになった脳内へ侵入する。大丈夫、悪いものではありません。意識が完全に覚醒する時にはもう跡形もなく消滅しますから。もう、意識が深淵のさらに底へ沈んでいますね。わた…はもう…きます。
そ…では…いゆ…を…
前で、見覚えのある女が、先に五つの短い真っ直ぐで、曲がるものをつけた上下の四つの真っ直ぐで、曲がるものを上下左右に動かしながら、クルクルと動いている。何か湧き上がるものを感じる色の、ひらひらしたものを纏っている。何かが聞こえる。それは、色々な音が繋がっていて、息がうまく出来なくなるような感じで流れている。女の周りには、沢山、二つの薄色の薄く平たいものをつけた何かがが上下左右に動いている。周りを見ると、悪いものや嫌なものをどうでもよく感じさせる色が広く塗られていた。再び前の女を見た。女が動くのをやめた。そして、下の方の、二つの曲がるものを前後に動かしながらこちらの方へ近づいてきた。二つの薄色の薄く平たいものをつけた何かはいつの間にか消えていた。周りに塗られていた色もいつの間にか、悪いものや嫌なものを感じさせる色に塗り替えられていた。女の上の方の、五つの短い真っ直ぐで、曲がるものには、何もかも透き通らせてしまいそうな感じのする、薄い何かが握られていた。女はそれをこちらに向けて、今度はさっきよりも息がうまく出来なくなるような感じで下の方の、二つの曲がるものを前後に動かす。薄い何かの先が、柔らかく、弾みのあるものに当たる。どんどん沈んでいく。女の纏っているものと同じ色に、嫌な感じの色が混ざった感じの、ドロドロとした気持ちの悪いものが沢山出てくる。すると、周りがぐにゃぐにゃと回るような感じで曲がり出した。
気付けば、何も感じないような色の、柔らかくて優しいものに乗っていた。それは、触る事が出来そうで、触る事が出来なさそうな何かが当たると、何もないかのように流されていく。前から同じものがやってきた。ぶつかると、大きくなった。右からも左からもやってきて、ぶつかり、どんどん大きくなった。すると、前から見覚えのある男が下の方の、下の方の、二つの曲がるものを前後に動かして近づいてくる。
「やあ、久しぶりだね」
男は、一番上にある曲線がクルっと回って繋がったもののようなものの、下の方に付いている厚みのある、柔らかそうなものから、違う音が繋がった音を出した。男の、一番上にある曲線がクルッと回って繋がったもののようなものには曲線が沢山沈んでいた。それをずっと見ていると、なんだか、無いものを有るようにしたい感じになってくる。
「元気かい?君が元気にやっているのなら××××はそれで満足だよ。」
男は、また違う音が繋がった音を出した。今度は少し、聞こえるようで、聞こえないような音が入っていた。その音は、遠くにあるけれども、近くにあった、そんなものの感じがする。
「それじゃあ、そろそろ行くよ、これからも元気でな。」
男は半分回り、下の方の、二つの曲がるものを前後に動かす。なぜか、男に下の方の、二つの曲がるものを止めてほしいと感じるも、男は周りの色と同じような色になりながら消えていった。すると、柔らかくて、優しいものは、いきなり触る事が出来ないようになった。どんどんと下に行く。触る事が出来そうで、触る事が出来なさそうな何かが強く流れる。下の、平で固そうなものにぶつかりそうになる。すると、何も無くなった。
閉じた瞼の裏に、暖かみのある色が映される。瞼を開くと、部屋の中には柔らかく、新鮮な光が漂っていた。朝になったのだ。夢を見ていた気がする。映像が記憶の隅にマッチの火のように小さく、弱々しく居座っている。それを無理矢理再生しようとすると、痒いところに手の届かない感覚が襲ってくる。それでも再生しようと頑張っていると、とうとう映像が記憶の隅から完全に消えてしまい、もどかしささえなくなった。
結局、夢は夢、どんなに楽しくても、どんなに苦しくても、どんなに嬉しくても、どんなに悲しくても、現実への持ち込みは出来ない。例え、夢を覚えていても、それは覚えている気がしているだけだ。実際は消えかかっている映像を頼りに、想像力を発揮して似たような記憶を作っているだけ。夢は、脈絡がなく、不可逆が可逆であったりする世界。そんなものが現実の、整合性があり、一貫性のある世界に持ち込まれてしまえば、世界がひっくり返ったまま、永遠に戻らなくなってしまうだろう。現実が夢に侵食される。それ程までに現実というのは整合性がある分、一貫性がある分、脆弱な世界である事を忘れないように。
そ…では…いゆ…を…
前で、見覚えのある女が、先に五つの短い真っ直ぐで、曲がるものをつけた上下の四つの真っ直ぐで、曲がるものを上下左右に動かしながら、クルクルと動いている。何か湧き上がるものを感じる色の、ひらひらしたものを纏っている。何かが聞こえる。それは、色々な音が繋がっていて、息がうまく出来なくなるような感じで流れている。女の周りには、沢山、二つの薄色の薄く平たいものをつけた何かがが上下左右に動いている。周りを見ると、悪いものや嫌なものをどうでもよく感じさせる色が広く塗られていた。再び前の女を見た。女が動くのをやめた。そして、下の方の、二つの曲がるものを前後に動かしながらこちらの方へ近づいてきた。二つの薄色の薄く平たいものをつけた何かはいつの間にか消えていた。周りに塗られていた色もいつの間にか、悪いものや嫌なものを感じさせる色に塗り替えられていた。女の上の方の、五つの短い真っ直ぐで、曲がるものには、何もかも透き通らせてしまいそうな感じのする、薄い何かが握られていた。女はそれをこちらに向けて、今度はさっきよりも息がうまく出来なくなるような感じで下の方の、二つの曲がるものを前後に動かす。薄い何かの先が、柔らかく、弾みのあるものに当たる。どんどん沈んでいく。女の纏っているものと同じ色に、嫌な感じの色が混ざった感じの、ドロドロとした気持ちの悪いものが沢山出てくる。すると、周りがぐにゃぐにゃと回るような感じで曲がり出した。
気付けば、何も感じないような色の、柔らかくて優しいものに乗っていた。それは、触る事が出来そうで、触る事が出来なさそうな何かが当たると、何もないかのように流されていく。前から同じものがやってきた。ぶつかると、大きくなった。右からも左からもやってきて、ぶつかり、どんどん大きくなった。すると、前から見覚えのある男が下の方の、下の方の、二つの曲がるものを前後に動かして近づいてくる。
「やあ、久しぶりだね」
男は、一番上にある曲線がクルっと回って繋がったもののようなものの、下の方に付いている厚みのある、柔らかそうなものから、違う音が繋がった音を出した。男の、一番上にある曲線がクルッと回って繋がったもののようなものには曲線が沢山沈んでいた。それをずっと見ていると、なんだか、無いものを有るようにしたい感じになってくる。
「元気かい?君が元気にやっているのなら××××はそれで満足だよ。」
男は、また違う音が繋がった音を出した。今度は少し、聞こえるようで、聞こえないような音が入っていた。その音は、遠くにあるけれども、近くにあった、そんなものの感じがする。
「それじゃあ、そろそろ行くよ、これからも元気でな。」
男は半分回り、下の方の、二つの曲がるものを前後に動かす。なぜか、男に下の方の、二つの曲がるものを止めてほしいと感じるも、男は周りの色と同じような色になりながら消えていった。すると、柔らかくて、優しいものは、いきなり触る事が出来ないようになった。どんどんと下に行く。触る事が出来そうで、触る事が出来なさそうな何かが強く流れる。下の、平で固そうなものにぶつかりそうになる。すると、何も無くなった。
閉じた瞼の裏に、暖かみのある色が映される。瞼を開くと、部屋の中には柔らかく、新鮮な光が漂っていた。朝になったのだ。夢を見ていた気がする。映像が記憶の隅にマッチの火のように小さく、弱々しく居座っている。それを無理矢理再生しようとすると、痒いところに手の届かない感覚が襲ってくる。それでも再生しようと頑張っていると、とうとう映像が記憶の隅から完全に消えてしまい、もどかしささえなくなった。
結局、夢は夢、どんなに楽しくても、どんなに苦しくても、どんなに嬉しくても、どんなに悲しくても、現実への持ち込みは出来ない。例え、夢を覚えていても、それは覚えている気がしているだけだ。実際は消えかかっている映像を頼りに、想像力を発揮して似たような記憶を作っているだけ。夢は、脈絡がなく、不可逆が可逆であったりする世界。そんなものが現実の、整合性があり、一貫性のある世界に持ち込まれてしまえば、世界がひっくり返ったまま、永遠に戻らなくなってしまうだろう。現実が夢に侵食される。それ程までに現実というのは整合性がある分、一貫性がある分、脆弱な世界である事を忘れないように。
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