七夕の奇跡 －元カレＶｅｒ．ー

新たな出会いを求めて

「本当にかっこよかったらあたしが狙っていい？」
「え…ユキ、高野さんはいいの？」
「んー。まぁキープってことで。
　かっこいいけど、彼は優しすぎるからね～。」
「そうなのね…。」


どこまでも貪欲なユキを見習いつつ、
どんな人がくるのだろうと不安でいっぱいの私。
今日は仕事もどこか上の空だった。



午後五時。終業のチャイムが鳴る。
定時で帰るサラリーマンを見送りつつ私たちも帰り支度を始めた。


いつも受付の下に隠している小さなかばんを手に
ユキと二人で女子更衣室へ向かう。
それなりに化粧や髪型を直しながら
少しだけ香水をつけなおしたのをユキは見逃さなかった。



「なんだ～♪杏奈意外と今日は乗り気なんじゃん？」
「そ、そんなんじゃないよっ！」


隠れてしていたわけではないのに急に恥ずかしくなる私。
そんな私をみてさらにユキは続ける。


「…よし！今日は杏奈の彼氏を作る日ね！
　高野さんに期待するしかない！私も協力するから。」
「え、ちょっと待ってよ！私、そんなつもりじゃ…。」
「いいの！言葉ではそう言っても態度にでちゃってるんだから。
　かわいいなぁ、杏奈は。」
「もう…本当にそんなんじゃないんだってば！」


なぜか妙に張り切っているユキにたじろぎつつ、
高野さんと待ち合わせをしていた居酒屋に二人で向かった。