妄想女子の青春記。

こつぶ

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第一章 これ、私の完敗じゃね?

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キーンコーン―――…


五限の終わりを知らせるチャイムが鳴ったと同時に、
私たちはいつもの場所へと足を運んだ。


「はぁ…。」
「どした?そんな大きなため息ついて。幸せ逃げるぞ。」


そう言って親友、成尾沙織(通称さおちゃん)は、
私の背中をドンと音がする勢いで叩いた。


「いったいなぁ…はぁ…。」
「え?いつもと返し違うじゃん、何?話なら聞くよ?」


神妙な面持ちの私、中村新菜(にいな)は落ち込んでいる訳をさおちゃんに話した。


「今日さ…一回も優羽先輩見てないじゃん…?マジ泣けるわ…。」
「は?そんな事?心配して損した。」
「はぁ…優羽先輩…どこにいるのーっっ!!」


私の言う【優羽先輩】とは、一つ上の佐々木優羽(ゆう)。
部活が同じで一目惚れした相手だ。
この時の私の日課といえば、一日に一回優羽先輩を見つけて
ニヤニヤしながら脳内にそのイケメンを焼き付けるという
何ともストーカーちっくで気持ち悪いことを趣味として、
中学校生活を楽しんでいた。
けれど、今週はテスト週間の為、部活が休みとなり
優羽先輩を学校で見つけることがいつもより困難になっていたのだ。
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