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二人きり

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「じゃあ、そろそろ店変えよっか。」
「そうだな。」

その合図と共に小野さんがチラッと私の顔を見た。
視線がばっちり合いながら笑顔を見せる小野さんに半分気を許していた私。

今日は男性陣のおごりという事でチェックを済ませ、
店先で二手に分かれる高野組と小野組。
ユキと高野さんは私たちにヒラヒラと手を振りながら
夜の街へと消えていった。

残された小野さんと若干の距離はありつつも、
小野さんの歩くすぐ後ろをついていく私。



「…ごめんね、俺歩くの速かった?」
「え、あっごめんなさい!大丈夫です!」
「別に謝らなくていいよ。杏奈ちゃんってかわいいね。」

「っえ…そんな!全然!私よりユキのがずっと可愛いですよ。」
「そうかな?俺は杏奈ちゃんのが好みだけど。」
「っ…!」


私の目をまっすぐ見ながら小野さんがつぶやく。
そう言いながらだんだんと近づいてくる顔。

とっさに目をギュッと閉じた私に思わず吹き出す小野さん。


「っははっ!杏奈ちゃん本当可愛い!」
「…!!」


急に恥ずかしくなり目を開いて小野さんの胸を叩く。


「もぉ~っ!!からかわないでくださいよ!」


そんな私の両手をつかみ今度は抵抗する暇もない速さで
小野さんと私の唇が触れ合った。

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