21 / 41
本編
19話
しおりを挟む来た道とは反対方向に村を歩くと村の数が減っていつの間にか深い森に入った。
さっき通ってきた道とは違って太陽の光がたくさんの葉っぱに遮られて光が全く入ってこないから薄暗い。
それになんだか肌寒い。
雰囲気が何か出るって言ってる。
「ここからは魔物の数も量も多くなるから気をつけろよ。」
「分かった。でもどうやって気を付ければいいの??こんなに葉っぱとかがいっぱい生い茂ってると見えないだろうし。」
「大体は音で察知しろ。どう頑張って敵も葉や木の棒なんてもんを踏むから近づいてきた敵の方向と数はそれでわかるぞ。」
魔法とか使ってわかるようにしてくれる訳じゃないんだ。
なんとまぁしんどい世界。
「馴れてくれば特に困ることもねぇしいいぞ?」
「とりあえず頑張るけど…。」
「しっ。」
「…?」
急に話を遮られたけどなんだろう。
サクサクサクサク。
何かが葉っぱを踏みしめてる音がする。
サクサクサクサクサクサク。
「っ!!」
来た!!
ってあれ?
「なんだ、追いついた聖女くんじゃn…」
「勇者!!!!」
どん。
「来てる!!」
賢者の張った結界に何かが弾かれた!!
咄嗟に貼ってくれたのか。
ありがたや。
「ウルフだ。素早いが防御はそんなに高くないから当てりゃあ倒せる。」
「当てるの大変そうに見えるんだけど。」
「大丈夫だ。一応レベルも上がってるからそれに伴ってこれぐらいの速さなら対応できる。集中しろ。」
集中か。
敵はまた葉っぱで隠れてる。
音だ、音。
サクサク。
サクサク。
サクサクサク!!
「ここか!!」
このタイミングなら斬れる!!
「ぐぎゅぅ。」
よかった、間に合った。
ウルフの頭に思いっきり当たったけど血とかでないです消えてくだけだ。
それにしても狼って見たことないからわかんないけど相当怖い顔してたな。
牙はびっちり生えてて一本一本が鋭いし、目が普通の生き物がするような目じゃなかった。
ゲームの世界だからなのか眼球の全部が白くて薄く発光していた。
灰色の毛並みはThe狼みたいな感じだったけど。
「経験値稼ぎにはならないがスライムよりも倒しづらいからちょっと練習だ。」
「分かった。」
スライムよりも全然脅威に感じるのに上がらないのか。
でも最初の森でめっちゃ粘ったしそんなものなのかな。
サクサク…。
今度は右から来る。
サクサク。
あ!左にいるやつのほうが近い。
ザッザッザッ!!
「右のやつ走るのかよ!!」
「ぐるぅ」
左のも来る!!
私の腕頑張れぇぇぇ!!!!
「ぎゃん」
全力で振ったら先に右の敵に当たった。
次は左!間に合え!!
「ぐるぅ!!」
がん。
「ぐぎゃぁ」
どうにか剣が胴体に当たった。
危機一髪だー!!
「今のは一旦下がればもう少し落ち着いて対処できただろ。馬鹿正直にそのまま立ちっぱなしでいてどうすんだよ。」
「……確かに。」
もっと落ち着いて頭を働かせれば気がついた事だ。
戦うって難しいな。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説

とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のルナリス伯爵家にミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
疲れ切った現実から逃れるため、VRMMORPG「アナザーワールド・オンライン」に没頭する俺。自由度の高いこのゲームで憧れの料理人を選んだものの、気づけばゲーム内でも完全に負け組。戦闘職ではないこの料理人は、ゲームの中で目立つこともなく、ただ地味に日々を過ごしていた。
そんなある日、フレンドの誘いで参加したレベル上げ中に、運悪く出現したネームドモンスター「猛き猪」に遭遇。通常、戦うには3パーティ18人が必要な強敵で、俺たちのパーティはわずか6人。絶望的な状況で、肝心のアタッカーたちは早々に強制ログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク役クマサンとヒーラーのミコトさん、そして料理人の俺だけ。
逃げるよう促されるも、フレンドを見捨てられず、死を覚悟で猛き猪に包丁を振るうことに。すると、驚くべきことに料理スキルが猛き猪に通用し、しかも与えるダメージは並のアタッカーを遥かに超えていた。これを機に、負け組だった俺の新たな冒険が始まる。
猛き猪との戦いを経て、俺はクマサンとミコトさんと共にギルドを結成。さらに、ある出来事をきっかけにクマサンの正体を知り、その秘密に触れる。そして、クマサンとミコトさんと共にVチューバー活動を始めることになり、ゲーム内外で奇跡の連続が繰り広げられる。
リアルでは無職、ゲームでは負け組職業だった俺が、リアルでもゲームでも自らの力で奇跡を起こす――そんな物語がここに始まる。

(完結)お姉様の恋人をとってもいいでしょう?(全6話)
青空一夏
恋愛
私と姉はオマール男爵家の長女と次女で、姉は屋敷から出て、仕事をして暮していた。姉は昔から頭が良くて、お金を稼ぐことが上手い。今は会社を経営していて、羽振りが良かった。
オマール家で、お兄様が結婚して家督を継ぐと、私は実家に居づらくなった。だから、私は姉の家に転がりこんだのよ。
私は姉が羨ましかった。美人で仕事ができてお金が稼げる・・・姉の恋人を奪えば・・・
コメディタッチの、オチがあるお話です。※現代日本によく似た部分のある西洋風の爵位がある不思議異世界もの。現代機器あり。

公国の後継者として有望視されていたが無能者と烙印を押され、追放されたが、とんでもない隠れスキルで成り上がっていく。公国に戻る?いやだね!
秋田ノ介
ファンタジー
主人公のロスティは公国家の次男として生まれ、品行方正、学問や剣術が優秀で、非の打ち所がなく、後継者となることを有望視されていた。
『スキル無し』……それによりロスティは無能者としての烙印を押され、後継者どころか公国から追放されることとなった。ロスティはなんとかなけなしの金でスキルを買うのだが、ゴミスキルと呼ばれるものだった。何の役にも立たないスキルだったが、ロスティのとんでもない隠れスキルでゴミスキルが成長し、レアスキル級に大化けしてしまう。
ロスティは次々とスキルを替えては成長させ、より凄いスキルを手にしていき、徐々に成り上がっていく。一方、ロスティを追放した公国は衰退を始めた。成り上がったロスティを呼び戻そうとするが……絶対にお断りだ!!!!
小説家になろうにも掲載しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる