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快楽の牢獄
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「仰せの通りに、先生」
二人していたずらが上手くいった子供のように笑い合うと、深く唇を貪りあった。口づけがこんなにも気持ちいいものだとは今までスヴェンは知らなかったし、そもそもキスもセックスもあまり好きではなかった。元々性欲も薄いし、何より面倒だからだ。時間や労力に見合わない成果しか得られないのは非合理的でしかない。そう思っていた。しかし――。
「……っ、は、早く……」
ひっくり返され、高く上げさせられた薄い尻を大きな手が鷲掴む。露わにされた尻の谷間を巨大な熱が数度往復した。テオドアの熱に犯されるのは気持ちいい――。媚薬の抜け切らない身体と、理性を取り戻した意識にそれはもう刻み込まれてしまった。早く欲しくてたまらない。スヴェンは自らねだるように雄竿に充血した蕾を擦り付けた。
「よしよし、今、挿れてやるからな」
笑いを含んだ声とともに、熱い塊が中へと侵入し始める。媚肉を押し開く絶対的な質量に屈服するように、スヴェンは枕に顔を押し付けてくぐもった甘い声を漏らした。
「せんせ……」
テオドアは抱き潰すようにスヴェンの尻の上に乗り上げると、汗ばんだ背中や真っ赤に色づいた耳に口づけた。そのまま細かに腰を振られ、張り出した前立腺を先端にごつごつと小突かれる。強制的に快楽の高みへと放り出されるような浮遊感に不安すら覚え、目の前の枕にすがりついた。意識が快楽に酔う身体に追いつかない。身体だけがどこかに行ってしまいそうだ。気持ちいい、でも怖い――。
「声殺すなよ、せんせ」
「ひ、ああっ……!」
テオドアの太い腕が脇から差し入れられ、力任せに上半身を引き起こされた。ぐぽ、と巨大な肉杭が腹の奥まで突き刺さり、甘い電流がびりびりと全身を駆け抜けていく。怖い。気持ちいい。怖い……。首筋に口づけたテオドアの頭を指で探り、硬い髪に指を差し入れると、スヴェンは潤んだ目を背後に向けた。
「テオ……、テオドア……」
「今更だな。テオでいいぜ、先生。何だい」
「ああ、その……」
しばし目を彷徨わせて逡巡した後、思い切って口を開く。
「……抱き締めていてくれないか……?」
腕の中の細い身体がかっと熱くなった気がした。プライドの高いあの先生が羞恥を押し殺して俺におねだりしている――。テオドアは腹の底から燃え立ち、湧き上がる熱いものに小さく喉を鳴らして笑った。それは愉悦とも征服感とも愛情ともつかない、どれでもなく、どれでもあるような、いずれにせよ、腕の中の細い身体に思うさま叩きつけてやりたくなる嵐のような感情だった。
「じゃ、こうしよう」
「ンあああっ……!」
寝台に膝をついて座り込んだテオドアの上に、繋がったまま乗り上げさせられた。肉杭がさっきよりも更に深く体内に埋め込まれ、スヴェンは身を震わせた。だが、しっかりと腹に回されたテオドアの太い腕と、背中に感じる肉厚な身体が不安感を払拭させる。目を閉じ、テオドアの肩に頭をもたせかけて、ほう、と安堵の溜め息をついた。
「せんせ……」
「ああっ、あ……、あんっ……」
抱き締め、腕を交差させたまま、指で器用に胸の突起をぴんぴんと弾く。スヴェンは切ない甘さに細い身体を弓なりに反らせて感じ入った。薄い腹筋がひくひくとわななき、同時に体内の雄竿を媚肉が食い締める。首筋にテオドアの熱い溜め息がかかり、それすらもスヴェンを高ぶらせた。
「あっ、あっ、あっ、あっ……」
寝台をぎしぎしと揺らしながら大きく腰を突き上げる度に、スヴェンの口からひっきりなしに甘い声が漏れ始める。固くそそり立ったスヴェンの肉茎が律動にあわせてぶるんぶるんと上下し、シーツの上にぱたぱたと先走りを飛ばした。
「せんせ、ほら、自分でしごきな? 俺はこっちを可愛がってやるから」
「ん……」
そう言って勃起した乳首をつまんでやると、スヴェンは素直に頷いて己の屹立に手をかけた。上下する手は単調で、ただ漫然と幹を擦るだけの動きだった。胸の尖りを指で上下に弾き、奥を突き上げながら、テオドアはスヴェンの真っ赤な耳に口を寄せて囁いた。
「先っぽももっといじれよ。……そうだ、ザーメン出すその穴を指でぐりぐりしてみな」
「んっ、んんっ、んああっ……」
「穴がザーメン出したげにぱくぱくしてんなぁ? 空いてる手でタマも揉んでやれよ」
「あ、はぁっ……! あ、ああっ……」
細い指がテオドアの言葉どおりに赤く充血した鈴口をくじり、熟れた果物のような陰嚢を柔らかく転がし始めた。とろけた媚肉はひっきりなしに巨大な肉杭を食い締め、絶頂が近いことをテオドアに伝える。
「そうだ、裏スジ気持ちいいなぁ、先生……? さあ、最後は全体だ……」
片腕で細い身体を抱き締め直すと、空いた片手を屹立をしごくスヴェンの手の上に添えて共に上下させた。きゅんきゅんと媚肉が蠕動し、テオドアを更に奥へと引き込む動きを始める。全く、正直な身体だ。テオドアは手の動きを早めつつ、打ち込んだ肉杭をぎりぎりまで引き出した。
「そら、イッちまえ!」
「ひっ! ああああんっ……!」
ばちゅっ! と濡れた肉同士がぶつかる音と共に最奥まで一気に突き込むと、スヴェンの肉茎からびゅるびゅると白濁が勢いよく噴き上がった。肉茎を掴んだままの手や薄い腹、太腿にぼたぼたと落ちた白濁は、前ほどではないがやはり濃く、指でつまめそうなほどにどろどろとしていた。
「こりゃあまだまだ出さなきゃなぁ、せんせ」
目の前で指を広げて糸を引く精液を見せつけられると、スヴェンは荒い息をついたまま恥じらって顔を背けた。もう二度も射精したというのに、まだまだ身体に蓄積された欲は治りそうにない。こんな快楽を身に刻んでしまって、媚薬が抜け切ったとしても、果たして正常に戻れるのだろうか。一人この身体を持て余すのだろうか。心細くなって、我が身を抱くテオドアの太い腕をぎゅっと掴んだ。
「私は……」
背後を振り返り、絶頂の余韻を漂わせながらも不安げに瞳を揺らすスヴェンの表情。それはテオドアの心をむらむらと掻き立てた。こちらを向いた顎に手をやり、貪るように激しく口づける。いつに間にか甘さは消え、それはただの唾液でしかなかったが、それでも興奮が掻き立てられているという事実にまた興奮する。舌を絡ませながら筋張った首筋を優しく撫でた。掌の下でとくとくと激しく脈打つ拍動を感じる。唇の間にかかった銀糸をついばみながらテオドアが囁きかける。
「アンタが欲しいだけ付き合ってやるよ。報酬は俺が欲しいだけアンタを貰う。どうだ?」
スヴェンの目がじわりと潤み、ごまかすようにテオドアの頭に回した手をぐいと引き下げた。耳元に唇が寄せられ、濡れた声で囁き返される。
「なら、もっとイカせて……」
テオドアはくつくつと湧き上がる笑いをこぼす。その振動は繋がったままのスヴェンにも伝わり、熱い息を吐きながら淫蕩に笑った。
一旦肉杭を抜き去り、スヴェンを寝台に寝かせると、正面から抱いた。がつがつと腰を振りながら乳首や脇腹、太腿とそこかしこを撫で回し、乱れるスヴェンの声を飲み込むように深く口づけた。上からも下からも敏感な粘膜をこね回され、とろけるような多幸感に包まれる。スヴェンは何度も身を震わせ絶頂し、律動に合わせて触れてもいない屹立がどぷどぷと何度も精液を吐き出した。
「……ああ、……っは、……あ……」
度重なる絶頂にひくひくと身体をわななかせ、スヴェンは力なく掠れた声を漏らす。腰を掴んで固定し、小刻みに突き上げる動きが気持ちよくてたまらない。じんじんと痺れるような快感の中、一際強く中を突き上げられた時、散々精を吐き出して柔らかくなった肉茎から一条の液体がぴゅっとほとばしった。
「……や、……えっ、やだ……っ!」
腹を濡らした液体に、スヴェンは羞恥のあまり死にたくなった。あまりに気持ちよすぎて粗相してしまったのだ。テオドアが腰を動かす度に、ぴゅっ、ぴゅっ、と漏れ出る透明の体液を痺れた下半身では止めることができず、握りしめて止めようと手を伸ばす。しかしそれはテオドアによって阻まれてしまった。
「いいじゃねえか。女の潮噴きみてえで見てて面白え」
「わ、私は恥ずかしいっ……!」
「でも気持ちいいからこうなってんだろ? 俺は嬉しいぜ」
「し、しかし……っ、ああっ、や、あっ……!」
羞恥に顔を真っ赤に染めたスヴェンの伸ばされた腕を掴んだまま、そこを支点に腰を激しく動かした。どうもポイントがあるらしく、そこを上手く突くと潮を噴くと気付いたテオドアは、上手く腰を使って散々に潮を噴かせ、羞恥と絶頂に震えるスヴェンの表情を楽しんだ。
「はっ……、う、あ……」
身体の奥から絶頂しながら漏らすという、どうしようもなく下品で、卑猥で、最高に気持ちのいい快楽。スヴェンの中では背徳感と解放感が互いにせめぎ合い、それが却って言い知れぬ恍惚を生む。
「おもらし、気持ちよかったかい、せんせ」
「……きもち、い……」
顔を覗き込んだ髭面にスヴェンはとろけた顔で笑った。テオドアはその笑顔にごくりと喉を鳴らすと、その辺に脱ぎ散らかされた服で乱雑に体液を拭い、スヴェンの脚を抱えこんだ。
「じゃ、次は俺の番だな」
「あっ……!」
肩に抱えた脚を乗せたまま、スヴェンの身体を折り曲げると、体内を貫いた巨大な肉杭が結腸を抜けて先端が最奥にぬぽりとはまった。抱えられた細い太腿がぶるぶると痙攣し、スヴェンの顎が衝撃に跳ね上がる。
「あぁ……これマジ気持ちいい……」
敏感な亀頭をちゅうちゅうと吸われているような吸い付きと、全体にまといつく蠕動する熱い媚肉。抜き差しすると結腸の弁がエラをびらびらと擦り、雄膣の入り口が分厚い肉の輪で根元を食い締める。テオドアは息を乱しながら夢中になって腰を振った。
「あ、あ、テオ……、テオも、きもちいい……?」
そう訊くスヴェンの手がテオドアの燃えるような赤毛を掻き回した。指が頭皮を梳くだけで、ぞくぞくとテオドアの胸をざわめかせる。太い腕でスヴェンを抱き締め、汗ばんだ薄い胸と分厚い胸板がぴったりとくっつき合い、互いの鼓動の速さが一致する。まるで一つに溶け合ったような強烈な快感。
「めちゃくちゃ気持ちいい……。も、俺もイキそうだ……」
うわ言のように呟かれたテオドアの言葉に反応して、スヴェンは上にのしかかる分厚い巨体に手脚を巻き付けた。テオドアの魅力的な雄の匂いが鼻腔をくすぐり、ぞくぞくと媚肉がわななく。
「っ、そのまま、出して……っ!」
「う、あ……っ、イクぞっ……!」
互いに抱き締めあい、口づけあいながら、テオドアはばちゅばちゅといやらしい水音を立てて激しく腰を振り立てた。陰嚢がせり上がり、尿道を熱いものが駆け上がるのを察し、テオドアはスヴェンの最奥まで先端を突き入れると、全てを解き放った。
「ンっ! んんっ! ん、は、テオっ! テ、オ……っ!」
びゅるるっ! びゅるっ! びゅぶぶっ! 二発目にもかかわらず勢いよく噴き出した精液が腸壁にぶちまけられた。スヴェンは一気に快楽の高みへと放り出されたが、太い腕にしっかりと抱き締められ、分厚い身体にしがみつき、テオドアという錨に繋ぎとめられている安心感から今度は心置きなく絶頂に身を任せた。
硬直していた身体から力が抜け、二人は寝台の上で折り重なって荒い息を吐いた。心地の良い気だるさに包まれて、目が合うと小さく笑い合う。部屋の中の甘い匂いは消え去り、いやらしい雄の性臭だけが漂っていた。
二人していたずらが上手くいった子供のように笑い合うと、深く唇を貪りあった。口づけがこんなにも気持ちいいものだとは今までスヴェンは知らなかったし、そもそもキスもセックスもあまり好きではなかった。元々性欲も薄いし、何より面倒だからだ。時間や労力に見合わない成果しか得られないのは非合理的でしかない。そう思っていた。しかし――。
「……っ、は、早く……」
ひっくり返され、高く上げさせられた薄い尻を大きな手が鷲掴む。露わにされた尻の谷間を巨大な熱が数度往復した。テオドアの熱に犯されるのは気持ちいい――。媚薬の抜け切らない身体と、理性を取り戻した意識にそれはもう刻み込まれてしまった。早く欲しくてたまらない。スヴェンは自らねだるように雄竿に充血した蕾を擦り付けた。
「よしよし、今、挿れてやるからな」
笑いを含んだ声とともに、熱い塊が中へと侵入し始める。媚肉を押し開く絶対的な質量に屈服するように、スヴェンは枕に顔を押し付けてくぐもった甘い声を漏らした。
「せんせ……」
テオドアは抱き潰すようにスヴェンの尻の上に乗り上げると、汗ばんだ背中や真っ赤に色づいた耳に口づけた。そのまま細かに腰を振られ、張り出した前立腺を先端にごつごつと小突かれる。強制的に快楽の高みへと放り出されるような浮遊感に不安すら覚え、目の前の枕にすがりついた。意識が快楽に酔う身体に追いつかない。身体だけがどこかに行ってしまいそうだ。気持ちいい、でも怖い――。
「声殺すなよ、せんせ」
「ひ、ああっ……!」
テオドアの太い腕が脇から差し入れられ、力任せに上半身を引き起こされた。ぐぽ、と巨大な肉杭が腹の奥まで突き刺さり、甘い電流がびりびりと全身を駆け抜けていく。怖い。気持ちいい。怖い……。首筋に口づけたテオドアの頭を指で探り、硬い髪に指を差し入れると、スヴェンは潤んだ目を背後に向けた。
「テオ……、テオドア……」
「今更だな。テオでいいぜ、先生。何だい」
「ああ、その……」
しばし目を彷徨わせて逡巡した後、思い切って口を開く。
「……抱き締めていてくれないか……?」
腕の中の細い身体がかっと熱くなった気がした。プライドの高いあの先生が羞恥を押し殺して俺におねだりしている――。テオドアは腹の底から燃え立ち、湧き上がる熱いものに小さく喉を鳴らして笑った。それは愉悦とも征服感とも愛情ともつかない、どれでもなく、どれでもあるような、いずれにせよ、腕の中の細い身体に思うさま叩きつけてやりたくなる嵐のような感情だった。
「じゃ、こうしよう」
「ンあああっ……!」
寝台に膝をついて座り込んだテオドアの上に、繋がったまま乗り上げさせられた。肉杭がさっきよりも更に深く体内に埋め込まれ、スヴェンは身を震わせた。だが、しっかりと腹に回されたテオドアの太い腕と、背中に感じる肉厚な身体が不安感を払拭させる。目を閉じ、テオドアの肩に頭をもたせかけて、ほう、と安堵の溜め息をついた。
「せんせ……」
「ああっ、あ……、あんっ……」
抱き締め、腕を交差させたまま、指で器用に胸の突起をぴんぴんと弾く。スヴェンは切ない甘さに細い身体を弓なりに反らせて感じ入った。薄い腹筋がひくひくとわななき、同時に体内の雄竿を媚肉が食い締める。首筋にテオドアの熱い溜め息がかかり、それすらもスヴェンを高ぶらせた。
「あっ、あっ、あっ、あっ……」
寝台をぎしぎしと揺らしながら大きく腰を突き上げる度に、スヴェンの口からひっきりなしに甘い声が漏れ始める。固くそそり立ったスヴェンの肉茎が律動にあわせてぶるんぶるんと上下し、シーツの上にぱたぱたと先走りを飛ばした。
「せんせ、ほら、自分でしごきな? 俺はこっちを可愛がってやるから」
「ん……」
そう言って勃起した乳首をつまんでやると、スヴェンは素直に頷いて己の屹立に手をかけた。上下する手は単調で、ただ漫然と幹を擦るだけの動きだった。胸の尖りを指で上下に弾き、奥を突き上げながら、テオドアはスヴェンの真っ赤な耳に口を寄せて囁いた。
「先っぽももっといじれよ。……そうだ、ザーメン出すその穴を指でぐりぐりしてみな」
「んっ、んんっ、んああっ……」
「穴がザーメン出したげにぱくぱくしてんなぁ? 空いてる手でタマも揉んでやれよ」
「あ、はぁっ……! あ、ああっ……」
細い指がテオドアの言葉どおりに赤く充血した鈴口をくじり、熟れた果物のような陰嚢を柔らかく転がし始めた。とろけた媚肉はひっきりなしに巨大な肉杭を食い締め、絶頂が近いことをテオドアに伝える。
「そうだ、裏スジ気持ちいいなぁ、先生……? さあ、最後は全体だ……」
片腕で細い身体を抱き締め直すと、空いた片手を屹立をしごくスヴェンの手の上に添えて共に上下させた。きゅんきゅんと媚肉が蠕動し、テオドアを更に奥へと引き込む動きを始める。全く、正直な身体だ。テオドアは手の動きを早めつつ、打ち込んだ肉杭をぎりぎりまで引き出した。
「そら、イッちまえ!」
「ひっ! ああああんっ……!」
ばちゅっ! と濡れた肉同士がぶつかる音と共に最奥まで一気に突き込むと、スヴェンの肉茎からびゅるびゅると白濁が勢いよく噴き上がった。肉茎を掴んだままの手や薄い腹、太腿にぼたぼたと落ちた白濁は、前ほどではないがやはり濃く、指でつまめそうなほどにどろどろとしていた。
「こりゃあまだまだ出さなきゃなぁ、せんせ」
目の前で指を広げて糸を引く精液を見せつけられると、スヴェンは荒い息をついたまま恥じらって顔を背けた。もう二度も射精したというのに、まだまだ身体に蓄積された欲は治りそうにない。こんな快楽を身に刻んでしまって、媚薬が抜け切ったとしても、果たして正常に戻れるのだろうか。一人この身体を持て余すのだろうか。心細くなって、我が身を抱くテオドアの太い腕をぎゅっと掴んだ。
「私は……」
背後を振り返り、絶頂の余韻を漂わせながらも不安げに瞳を揺らすスヴェンの表情。それはテオドアの心をむらむらと掻き立てた。こちらを向いた顎に手をやり、貪るように激しく口づける。いつに間にか甘さは消え、それはただの唾液でしかなかったが、それでも興奮が掻き立てられているという事実にまた興奮する。舌を絡ませながら筋張った首筋を優しく撫でた。掌の下でとくとくと激しく脈打つ拍動を感じる。唇の間にかかった銀糸をついばみながらテオドアが囁きかける。
「アンタが欲しいだけ付き合ってやるよ。報酬は俺が欲しいだけアンタを貰う。どうだ?」
スヴェンの目がじわりと潤み、ごまかすようにテオドアの頭に回した手をぐいと引き下げた。耳元に唇が寄せられ、濡れた声で囁き返される。
「なら、もっとイカせて……」
テオドアはくつくつと湧き上がる笑いをこぼす。その振動は繋がったままのスヴェンにも伝わり、熱い息を吐きながら淫蕩に笑った。
一旦肉杭を抜き去り、スヴェンを寝台に寝かせると、正面から抱いた。がつがつと腰を振りながら乳首や脇腹、太腿とそこかしこを撫で回し、乱れるスヴェンの声を飲み込むように深く口づけた。上からも下からも敏感な粘膜をこね回され、とろけるような多幸感に包まれる。スヴェンは何度も身を震わせ絶頂し、律動に合わせて触れてもいない屹立がどぷどぷと何度も精液を吐き出した。
「……ああ、……っは、……あ……」
度重なる絶頂にひくひくと身体をわななかせ、スヴェンは力なく掠れた声を漏らす。腰を掴んで固定し、小刻みに突き上げる動きが気持ちよくてたまらない。じんじんと痺れるような快感の中、一際強く中を突き上げられた時、散々精を吐き出して柔らかくなった肉茎から一条の液体がぴゅっとほとばしった。
「……や、……えっ、やだ……っ!」
腹を濡らした液体に、スヴェンは羞恥のあまり死にたくなった。あまりに気持ちよすぎて粗相してしまったのだ。テオドアが腰を動かす度に、ぴゅっ、ぴゅっ、と漏れ出る透明の体液を痺れた下半身では止めることができず、握りしめて止めようと手を伸ばす。しかしそれはテオドアによって阻まれてしまった。
「いいじゃねえか。女の潮噴きみてえで見てて面白え」
「わ、私は恥ずかしいっ……!」
「でも気持ちいいからこうなってんだろ? 俺は嬉しいぜ」
「し、しかし……っ、ああっ、や、あっ……!」
羞恥に顔を真っ赤に染めたスヴェンの伸ばされた腕を掴んだまま、そこを支点に腰を激しく動かした。どうもポイントがあるらしく、そこを上手く突くと潮を噴くと気付いたテオドアは、上手く腰を使って散々に潮を噴かせ、羞恥と絶頂に震えるスヴェンの表情を楽しんだ。
「はっ……、う、あ……」
身体の奥から絶頂しながら漏らすという、どうしようもなく下品で、卑猥で、最高に気持ちのいい快楽。スヴェンの中では背徳感と解放感が互いにせめぎ合い、それが却って言い知れぬ恍惚を生む。
「おもらし、気持ちよかったかい、せんせ」
「……きもち、い……」
顔を覗き込んだ髭面にスヴェンはとろけた顔で笑った。テオドアはその笑顔にごくりと喉を鳴らすと、その辺に脱ぎ散らかされた服で乱雑に体液を拭い、スヴェンの脚を抱えこんだ。
「じゃ、次は俺の番だな」
「あっ……!」
肩に抱えた脚を乗せたまま、スヴェンの身体を折り曲げると、体内を貫いた巨大な肉杭が結腸を抜けて先端が最奥にぬぽりとはまった。抱えられた細い太腿がぶるぶると痙攣し、スヴェンの顎が衝撃に跳ね上がる。
「あぁ……これマジ気持ちいい……」
敏感な亀頭をちゅうちゅうと吸われているような吸い付きと、全体にまといつく蠕動する熱い媚肉。抜き差しすると結腸の弁がエラをびらびらと擦り、雄膣の入り口が分厚い肉の輪で根元を食い締める。テオドアは息を乱しながら夢中になって腰を振った。
「あ、あ、テオ……、テオも、きもちいい……?」
そう訊くスヴェンの手がテオドアの燃えるような赤毛を掻き回した。指が頭皮を梳くだけで、ぞくぞくとテオドアの胸をざわめかせる。太い腕でスヴェンを抱き締め、汗ばんだ薄い胸と分厚い胸板がぴったりとくっつき合い、互いの鼓動の速さが一致する。まるで一つに溶け合ったような強烈な快感。
「めちゃくちゃ気持ちいい……。も、俺もイキそうだ……」
うわ言のように呟かれたテオドアの言葉に反応して、スヴェンは上にのしかかる分厚い巨体に手脚を巻き付けた。テオドアの魅力的な雄の匂いが鼻腔をくすぐり、ぞくぞくと媚肉がわななく。
「っ、そのまま、出して……っ!」
「う、あ……っ、イクぞっ……!」
互いに抱き締めあい、口づけあいながら、テオドアはばちゅばちゅといやらしい水音を立てて激しく腰を振り立てた。陰嚢がせり上がり、尿道を熱いものが駆け上がるのを察し、テオドアはスヴェンの最奥まで先端を突き入れると、全てを解き放った。
「ンっ! んんっ! ん、は、テオっ! テ、オ……っ!」
びゅるるっ! びゅるっ! びゅぶぶっ! 二発目にもかかわらず勢いよく噴き出した精液が腸壁にぶちまけられた。スヴェンは一気に快楽の高みへと放り出されたが、太い腕にしっかりと抱き締められ、分厚い身体にしがみつき、テオドアという錨に繋ぎとめられている安心感から今度は心置きなく絶頂に身を任せた。
硬直していた身体から力が抜け、二人は寝台の上で折り重なって荒い息を吐いた。心地の良い気だるさに包まれて、目が合うと小さく笑い合う。部屋の中の甘い匂いは消え去り、いやらしい雄の性臭だけが漂っていた。
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