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夢ではなく異世界転移

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《訂正しました》
2話と3話を一つとして纏めました。
この3話は、新しい話となります。
よろしくお願いします。
________








この世界には神様が存在するらしいことは、一般常識からもわかる。
マレビトに特別な能力を与える神様らしいが……カイリはその神様に会わずに異世界転移した、ごく稀なマレビトらしい。

えっと、確か日本の神様はアマテラス様?だっけ。ラノベか小説かなんかで読んだ気がするんですけども、僕は信仰心がないので名前が間違っていても気にしない。
日本でも信仰心がなかったので、この世界に神様が存在することがわかっても、こちらの世界に来たからと言って、信仰するつもりもありません。僕は神様に直接会ってないし、存在してると言われてもねえ……ピンとこないんですよ。

ああ、ちなみにこの世界は3165821079というらしい。……はい?名前ではなく、数字ですけど…いいのか、それで。まあ、異世界の名前など、どうでもいいですけどね。
所謂剣と魔法、モンスターが存在する、ファンタジーの世界だとか。太陽が2つ、月が3つずつある。1日は24時間、1周間は7日、4週間で1ヶ月、12ヶ月で1年でこれは地球と同じなんだとか。
種族は人族、エルフ族、ドワーフ族、獣人族、竜人族、魔人族がいる。
大陸は4つあり、カイリが転移したこの場所は、とある人族の国ととある魔人族がの国が戦争をしていた地域で、周辺には山々が多く、幾つかの集落と村が存在していたんだとか。
戦争のせいで集落や村は引っ越しをしており、この周辺にいたのは戦争に参加していたとある国の人族ととある国の魔人族とモンスターだけだったらしい。
とある人族の国ととある魔神族の国は幾度となく戦争を繰り返しているんだとか。
今回『メテオシャワー』で全滅してしまったので、その痛手でしばらくは戦争はしないだろう。けれども、また戦争をするはずなので、それまでの猶予は早くても3年だろうと。その前にここから移動したほうがいいだろうと。
何故か一般常識からそんなことを教えてもらった。……一般常識だよね?


一般常識からここから移動したほうがいいと教えてもらったけれども、すぐに移動するつもりはない。
初日早々に、戦場真っ只中に放り込まれて死にそうなったんですから。
というか、厳密に言えば死んだらしいんですけどね。いったいいつ装備したのか不思議だけれども、右手の薬指にはめている身代わりの指輪の効力が3回から2回に減っていたので。

この世界の恐ろしさは、身をもって体験済みなんです。…慎重にもなりますよ。
命は儚く、物騒な世界だと身をもって知っていますからね。

戦場真っ只中に放り込まれて死んだ経験は、トラウマになり今でもカイリを苦しめている。

モンスターの大群に囲まれ、武装した軍団もただただ恐怖でしかなかった。
突如現れたカイリに気がついても、敵だと判断されたらしく、無防備なカイリに殺意を向けて襲いかかってきた。
全てが敵で誰も守ってくれなかった。

『メテオシャワー』をポチッと押して、辺り一面クレーターにし、殲滅したことにも悔いはないし、罪悪感もない。
何せカイリも殺されそうになったのだから。いや、殺されたんでしたね。
『シークレットマイルーム』の緊急避難対応があり、その場では死なずに済んだけれど、恐らく出血多量によるショック死。ふらふらとベッドに倒れて意識を失い……死亡。その後、身代わりの指輪が効力を発動したと思われる。そのことには感謝している。

けれども、異世界転移したこと事態に憤りを感じている。
能力は有り難いけれども、そんな能力いらないから日本に帰して欲しいと今でも思うし、異世界転移など経験したくなかったというのが、カイリの正直な気持ちである。

もし、この異世界転移が誰かの思惑や仕業なら、絶対に許さない!
ぼっこぼっこにしてやる、それが神であろうとも。いや、神なら余計に許さないかも知れない。
カイリの人生をメチャクチャにしたのだから!
必ず償わせるつもりです!と意気込んでいるカイリだけども、実際にぼっこぼっこにできる《ステータス》ではない。カイリの《ステータス》は平凡な一般人らしい。むむう、現実は厳しいようだ。反対に返り討ちに合うのがオチである。

ステータスは幸運以外はどれも良いとは言えない。
つーか、幸運がAと高いのに、何故戦争真っ只中に放り込まれたのか……アレで幸運が高いとは納得できませんよね。まったく。
生命も魔力も防御もDだったのは、最低のEでないだけ良かったと喜ぶべきなのかな。何せ攻撃は最低のEだったのだから!
運動神経が良くない自覚があるカイリ。そして、喧嘩はしたことがなく争い事は好きではないので、攻撃がEなのもなんとなく納得できる。

ただ、困ったことに、この世界はゲームのようにレベルがない……レベリングできないというのは、一生ステータスが変わらないということになる。なんという非道、まさにクソゲーである。
まあ、ないのなら仕方ないけども……無いものねだりをしても意味がないと諦め気分ともいう。
けれども、異世界転移して、初日に一回死んでるのは納得いかないんですが!
あんな経験は二度とゴメンである。



この世界の恐ろしさは身をもって経験済みなので、一般常識にここから移動したほうがいいと教えられても慎重になってしまうのは当然だろう。
幸いなことにカイリには『シークレットマイルーム』がある。夢だと思って過ごした数日は日本と同じ、普段と変わらない生活をしていた。『シークレットマイルーム』はそれを可能にしてくれる。
ここが異世界だろうと人がすることに変わりはない。普通に生活することが、今のカイリにとっては大事なこと。

カイリに戦闘系のスキルはなく、攻撃力も最低レベルなのだ。
さすがに、異世界で生活していくのに、何も準備せずにウロウロしたくありません。
お助けアイテムのスマホには、それをカバーする能力があるはず。
心の休息をしながら、とりあえずはお助けアイテムのスマホを片手にのんびりと引きこもり生活をしようと思う。……引きこもりではなく、これは準備期間です。

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