16 / 48
15:急行
しおりを挟む
男から聞いた情報を元に、ライナスはすぐに役割を割り振った。カーティスを、馬で近くの騎士団の待機所へ向かわせ、フィルをダルネルが待っているという家に向かわせる。そして、少し離れて待機していたエルシーにも声をかけた。
「エルシー、大丈夫ですか? 今しばらく辛抱してくださいね。なるべく早くあなただけでも城に戻れるようにしますから」
今の段階でも既にエルシーだけで城に戻ることもできた。ただ、もしダルネルがまだ城にいた場合、戻ってきたところで鉢合わせしてしまう可能性を考慮して、この場に留まって騎士団を待つしかないと判断したのだ。
「殿下、お気遣いありがとうございます。私は大丈夫です」
「ありがとう」
表に極力出さないようにしているようだが、ライナスからはいつもよりも焦りを感じた。おそらく、連絡役がダルネルの元に戻らないことで、計画の失敗を悟られてしまうことや、その後、ダルネルが自死か逃亡を選んでしまうことを警戒しているのだろう。一刻も早く、ダルネルの身柄確保が必要なのだ。
「……殿下こそ、フィル様と一緒にダルネル様の身柄確保に行きたかったですよね」
「この人員では、これが最善ですよ」
「私のスキルを使って、馬で移動できればよかったのに……」
何もできずに荷物になっている自分に悔しくなって、言葉が口をついて出る。エルシーのスキルでは、エルシーとライナスが動けても、馬を走らせることはできない。馬も一緒に時間が止まってしまうからだ。今こそ、時間を止めて、ダルネルの動きを封じるべきなのに。時間を止めたとて、ここから歩きで向かうのはあまりにも無謀な話だった。
「今日は、エルシーがいたおかげで、あの二人があんなにも早く迷いなく敵を処理できたんです。十分、役に立っています。守らなければいけないものが近くにあれば、誰でも普通はそちらに気を取られてしまいますからね」
「……気を遣わせてしまいました。ありがとうございます、殿下」
エルシーは苦笑して、ライナスに礼を告げた。
しばらくすると、馬が駆けてくる音が聞こえ、カーティスが騎士団を連れて戻ってきた。現場の処理が始まり、エルシーの護衛をする人員も確保できた。
「殿下、お気をつけて」
「えぇ。エルシーも」
ライナスはエルシーの護衛を任せた男に声をかけてから、騎士団から借りた馬に乗る。そのままカーティスと共に、フィルを追いかけた。
エルシーはそれを見送ってから、馬車に乗り込む。馬車は城に向かってゆっくりと進み始めた。
◇
フィルは一足先に、ダルネルの家についていた。この家は、ダルネルの身辺調査をするために何度か部下が訪れた場所だった。報告によれば、住んでいるのは、ダルネルと雇われた使用人だけだといい、ここ数日も特に異常はなかった。こんなに王城から近い場所で計画の相談が行われていたとは、完全にこちらの調査不足だ。
スキルを使って、外から中の様子を探る。声などは聞こえず、人の動く音もしない。音を立てないよう、玄関の取手に手をかけると、鍵はかかっていなかった。
警戒しながら、扉を開けて中に入る。ランプもなく、暗い家の中を、壁を伝って歩いていく。フィルの鼻先に、血の匂いが漂ってきた。匂いを頼りに、ドアが開いたままの部屋を覗く。
ダルネル・ラブキンが、血溜まりの中にうつ伏せで倒れていた。床に散らばった紙を踏みつけながら、急いで駆け寄り、首筋に手を当てる。脈がない。蘇生も難しいだろうと、フィルは手を離して周りを観察した。
近くに、血がついたままの短剣が落ちている。武器屋であれば、どこでも売っていそうな、よくある代物だ。傷口を押さえているのと反対側の手は、イーゼルに向かって伸ばされていた。
フィルは、現場を荒らさないよう、一旦家の外に出て、ライナスたちの到着を待つことにした。
◇
ライナスとカーティスは会話もしないで、必死に馬を駆る。
「殿下、そろそろ目的地です!」
「わかった!」
スピードを緩めて、目を凝らすと、周辺の家より一回り大きい家の前でフィルが立っている。馬を止めて降りると、フィルがライナスに向かって首を振った。
「……遅かったか」
「はい。家の中をご覧になりますか?」
「あぁ」
フィルに案内され、部屋の中を見回す。倒れたダルネル、近くに落ちた短剣。一見しただけでは、自殺のように見える。
「うお、すごい部屋だな。自殺ですかねぇ……?」
「どうかな。この体勢と、血の跡だと……自分で胸を刺してから、あちらに動こうとしたということなのか?」
「そのようです。イーゼルには、ユージン殿下の絵が」
「絵の近くで死にたいのなら、最初からそこでやればいい。妙だな……」
「他殺の線も考えた方が良さそうですね」
フィルもカーティスの言葉に頷く。
「カーティスはここに残れ。私たちは王城に戻り、医者と騎士を手配する。フィル、王城に着き次第、すぐに動け」
「かしこまりました!」
「仰せのままに」
「私は、トレイシーと情報の共有して、ダルネルの今日の行動について調べる」
カーティスをおいて、二人で王城に向かう。すでに日付が変わり、夜がかなり深まっている。話が聞ける使用人がどれだけいるか、あまり期待はできなさそうだ。
王城に着くと、フィルと別れ、執務室に向かう。トレイシーは、案の定、夜会から戻る主人を待っていたらしく、仕事の手を止め、立ち上がった。
「殿下、やっと戻られたのですね」
「あぁ。私たちの乗った馬車が襲われたよ」
「……でしょうね。じゃなければ、ここまで帰りは遅くならないでしょう」
執務室の奥の自分の机に向かいながら、トレイシーにここまでの経緯を話して聞かせる。
「ユージン付きの使用人で話せそうなものを呼んでくれ」
「わかりました」
トレイシーが部屋を後にする。何気なく外を見ると、エルシーを乗せた馬車がちょうど入り口についたところだった。王城の使用人が出迎えている。表情までは確認できないが、無事に着いてよかったと安心した。
ライナスは一人、考えを巡らせる。ダルネルが自殺ではなく、他殺の場合、誰かが口封じに殺したということになる。すなわち、ダルネルの思惑を裏で支援していた人物がいたということだ。ダルネルが死んでも、その人物がまた狙ってくる可能性がある。思わず、ため息が溢れた。
「エルシー、大丈夫ですか? 今しばらく辛抱してくださいね。なるべく早くあなただけでも城に戻れるようにしますから」
今の段階でも既にエルシーだけで城に戻ることもできた。ただ、もしダルネルがまだ城にいた場合、戻ってきたところで鉢合わせしてしまう可能性を考慮して、この場に留まって騎士団を待つしかないと判断したのだ。
「殿下、お気遣いありがとうございます。私は大丈夫です」
「ありがとう」
表に極力出さないようにしているようだが、ライナスからはいつもよりも焦りを感じた。おそらく、連絡役がダルネルの元に戻らないことで、計画の失敗を悟られてしまうことや、その後、ダルネルが自死か逃亡を選んでしまうことを警戒しているのだろう。一刻も早く、ダルネルの身柄確保が必要なのだ。
「……殿下こそ、フィル様と一緒にダルネル様の身柄確保に行きたかったですよね」
「この人員では、これが最善ですよ」
「私のスキルを使って、馬で移動できればよかったのに……」
何もできずに荷物になっている自分に悔しくなって、言葉が口をついて出る。エルシーのスキルでは、エルシーとライナスが動けても、馬を走らせることはできない。馬も一緒に時間が止まってしまうからだ。今こそ、時間を止めて、ダルネルの動きを封じるべきなのに。時間を止めたとて、ここから歩きで向かうのはあまりにも無謀な話だった。
「今日は、エルシーがいたおかげで、あの二人があんなにも早く迷いなく敵を処理できたんです。十分、役に立っています。守らなければいけないものが近くにあれば、誰でも普通はそちらに気を取られてしまいますからね」
「……気を遣わせてしまいました。ありがとうございます、殿下」
エルシーは苦笑して、ライナスに礼を告げた。
しばらくすると、馬が駆けてくる音が聞こえ、カーティスが騎士団を連れて戻ってきた。現場の処理が始まり、エルシーの護衛をする人員も確保できた。
「殿下、お気をつけて」
「えぇ。エルシーも」
ライナスはエルシーの護衛を任せた男に声をかけてから、騎士団から借りた馬に乗る。そのままカーティスと共に、フィルを追いかけた。
エルシーはそれを見送ってから、馬車に乗り込む。馬車は城に向かってゆっくりと進み始めた。
◇
フィルは一足先に、ダルネルの家についていた。この家は、ダルネルの身辺調査をするために何度か部下が訪れた場所だった。報告によれば、住んでいるのは、ダルネルと雇われた使用人だけだといい、ここ数日も特に異常はなかった。こんなに王城から近い場所で計画の相談が行われていたとは、完全にこちらの調査不足だ。
スキルを使って、外から中の様子を探る。声などは聞こえず、人の動く音もしない。音を立てないよう、玄関の取手に手をかけると、鍵はかかっていなかった。
警戒しながら、扉を開けて中に入る。ランプもなく、暗い家の中を、壁を伝って歩いていく。フィルの鼻先に、血の匂いが漂ってきた。匂いを頼りに、ドアが開いたままの部屋を覗く。
ダルネル・ラブキンが、血溜まりの中にうつ伏せで倒れていた。床に散らばった紙を踏みつけながら、急いで駆け寄り、首筋に手を当てる。脈がない。蘇生も難しいだろうと、フィルは手を離して周りを観察した。
近くに、血がついたままの短剣が落ちている。武器屋であれば、どこでも売っていそうな、よくある代物だ。傷口を押さえているのと反対側の手は、イーゼルに向かって伸ばされていた。
フィルは、現場を荒らさないよう、一旦家の外に出て、ライナスたちの到着を待つことにした。
◇
ライナスとカーティスは会話もしないで、必死に馬を駆る。
「殿下、そろそろ目的地です!」
「わかった!」
スピードを緩めて、目を凝らすと、周辺の家より一回り大きい家の前でフィルが立っている。馬を止めて降りると、フィルがライナスに向かって首を振った。
「……遅かったか」
「はい。家の中をご覧になりますか?」
「あぁ」
フィルに案内され、部屋の中を見回す。倒れたダルネル、近くに落ちた短剣。一見しただけでは、自殺のように見える。
「うお、すごい部屋だな。自殺ですかねぇ……?」
「どうかな。この体勢と、血の跡だと……自分で胸を刺してから、あちらに動こうとしたということなのか?」
「そのようです。イーゼルには、ユージン殿下の絵が」
「絵の近くで死にたいのなら、最初からそこでやればいい。妙だな……」
「他殺の線も考えた方が良さそうですね」
フィルもカーティスの言葉に頷く。
「カーティスはここに残れ。私たちは王城に戻り、医者と騎士を手配する。フィル、王城に着き次第、すぐに動け」
「かしこまりました!」
「仰せのままに」
「私は、トレイシーと情報の共有して、ダルネルの今日の行動について調べる」
カーティスをおいて、二人で王城に向かう。すでに日付が変わり、夜がかなり深まっている。話が聞ける使用人がどれだけいるか、あまり期待はできなさそうだ。
王城に着くと、フィルと別れ、執務室に向かう。トレイシーは、案の定、夜会から戻る主人を待っていたらしく、仕事の手を止め、立ち上がった。
「殿下、やっと戻られたのですね」
「あぁ。私たちの乗った馬車が襲われたよ」
「……でしょうね。じゃなければ、ここまで帰りは遅くならないでしょう」
執務室の奥の自分の机に向かいながら、トレイシーにここまでの経緯を話して聞かせる。
「ユージン付きの使用人で話せそうなものを呼んでくれ」
「わかりました」
トレイシーが部屋を後にする。何気なく外を見ると、エルシーを乗せた馬車がちょうど入り口についたところだった。王城の使用人が出迎えている。表情までは確認できないが、無事に着いてよかったと安心した。
ライナスは一人、考えを巡らせる。ダルネルが自殺ではなく、他殺の場合、誰かが口封じに殺したということになる。すなわち、ダルネルの思惑を裏で支援していた人物がいたということだ。ダルネルが死んでも、その人物がまた狙ってくる可能性がある。思わず、ため息が溢れた。
0
お読みいただき、ありがとうございます。
少しでも面白い、続きが読みたいと思っていただけましたら、お気に入りに追加を押して貰えると、大きなモチベーションになりますので応援よろしくお願いします。
少しでも面白い、続きが読みたいと思っていただけましたら、お気に入りに追加を押して貰えると、大きなモチベーションになりますので応援よろしくお願いします。
お気に入りに追加
78
あなたにおすすめの小説

盲目王子の策略から逃げ切るのは、至難の業かもしれない
当麻月菜
恋愛
生まれた時から雪花の紋章を持つノアは、王族と結婚しなければいけない運命だった。
だがしかし、攫われるようにお城の一室で向き合った王太子は、ノアに向けてこう言った。
「はっ、誰がこんな醜女を妻にするか」
こっちだって、初対面でいきなり自分を醜女呼ばわりする男なんて願い下げだ!!
───ということで、この茶番は終わりにな……らなかった。
「ならば、私がこのお嬢さんと結婚したいです」
そう言ってノアを求めたのは、盲目の為に王位継承権を剥奪されたもう一人の王子様だった。
ただ、この王子の見た目の美しさと薄幸さと善人キャラに騙されてはいけない。
彼は相当な策士で、ノアに無自覚ながらぞっこん惚れていた。
一目惚れした少女を絶対に逃さないと決めた盲目王子と、キノコをこよなく愛する魔力ゼロ少女の恋の攻防戦。
※但し、他人から見たら無自覚にイチャイチャしているだけ。
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス

悪役令嬢は皇帝の溺愛を受けて宮入りする~夜も放さないなんて言わないで~
sweetheart
恋愛
公爵令嬢のリラ・スフィンクスは、婚約者である第一王子セトから婚約破棄を言い渡される。
ショックを受けたリラだったが、彼女はある夜会に出席した際、皇帝陛下である、に見初められてしまう。
そのまま後宮へと入ることになったリラは、皇帝の寵愛を受けるようになるが……。
リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした。今度こそ幸せになります!!〜
ゆずき
恋愛
公爵家の御令嬢クレハは、18歳の誕生日に何者かに殺害されてしまう。そんなクレハを救ったのは、神を自称する青年(長身イケメン)だった。
イケメン神様の力で10年前の世界に戻されてしまったクレハ。そこから運命の軌道修正を図る。犯人を返り討ちにできるくらい、強くなればいいじゃないか!! そう思ったクレハは、神様からは魔法を、クレハに一目惚れした王太子からは武術の手ほどきを受ける。クレハの強化トレーニングが始まった。
8歳の子供の姿に戻ってしまった少女と、お人好しな神様。そんな2人が主人公の異世界恋愛ファンタジー小説です。
※メインではありませんが、ストーリーにBL的要素が含まれます。少しでもそのような描写が苦手な方はご注意下さい。
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中

むにゃむにゃしてたら私にだけ冷たい幼馴染と結婚してました~お飾り妻のはずですが溺愛しすぎじゃないですか⁉~
景華
恋愛
「シリウス・カルバン……むにゃむにゃ……私と結婚、してぇ……むにゃむにゃ」
「……は?」
そんな寝言のせいで、すれ違っていた二人が結婚することに!?
精霊が作りし国ローザニア王国。
セレンシア・ピエラ伯爵令嬢には、国家機密扱いとなるほどの秘密があった。
【寝言の強制実行】。
彼女の寝言で発せられた言葉は絶対だ。
精霊の加護を持つ王太子ですらパシリに使ってしまうほどの強制力。
そしてそんな【寝言の強制実行】のせいで結婚してしまった相手は、彼女の幼馴染で公爵令息にして副騎士団長のシリウス・カルバン。
セレンシアを元々愛してしまったがゆえに彼女の前でだけクールに装ってしまうようになっていたシリウスは、この結婚を機に自分の本当の思いを素直に出していくことを決意し自分の思うがままに溺愛しはじめるが、セレンシアはそれを寝言のせいでおかしくなっているのだと勘違いをしたまま。
それどころか、自分の寝言のせいで結婚してしまっては申し訳ないからと、3年間白い結婚をして離縁しようとまで言い出す始末。
自分の思いを信じてもらえないシリウスは、彼女の【寝言の強制実行】の力を消し去るため、どこかにいるであろう魔法使いを探し出す──!!
大人になるにつれて離れてしまった心と身体の距離が少しずつ縮まって、絡まった糸が解けていく。
すれ違っていた二人の両片思い勘違い恋愛ファンタジー!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる