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幕末剣士、元いた時代へ
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宗治はまるでわたしのことなんて見えていないかのように、わたしの真横を通り過ぎると、一目散に都子姫のところへ駆けていった。
「そ…宗治?急にどうしたの…?」
突然宗治が走ってきたものだから、キョトンとした顔を見せる都子姫。
「私はいつも元気だけど、心配させるようなことでもあった…?」
「あっ…。いや、それは…」
言葉を濁す宗治。
宗治にとっては、都子姫とは久々の再会。
しかも、火事の現場から都子姫を助け出し、自分は死んでしまったとき以来に会うのだから、都子姫の姿を見て想いがあふれ出してしまってもおかしくない。
だけど、都子姫はそんなこととはつゆ知らず。
「もしかして、昨日お腹が痛くなったことを心配してくれていたの?」
「へ…?」
「だ~いじょうぶ。宗治ったら心配しすぎだよ。ちょっとお団子を食べすぎちゃったみたい」
都子姫は、恥ずかしそうに舌をペロッと出す。
「それにしても、こんな朝早くにどうしたの?私は目が覚めちゃったから、部屋から出てきたんだけど――」
と言う都子姫の視線が、ゆっくりとわたしに向けられた。
「…あら?あちらの方は?」
都子姫と目が合い、わたしはビクッとして背筋を正した。
…マズイ!
都子姫と顔が瓜二つのわたしの存在を知られちゃいけないのに、まさか…いきなりその本人に見つかるだなんて。
「え…えっと…、わたしは…」
慌ててしまって、とっさに適当な言い訳も思いつかない。
…と思っていたら。
「大変…!頭にケガをされているの!?」
目を見開けた都子姫は、なにもはかずに下りてくるとわたしのところまでやってきた。
「こんなに包帯をされて、痛々しい…。大丈夫ですか!?」
わたしの手を取り、心配そうに顔を覗き込む都子姫。
「…あ、は…はい。大したことは――」
「問題ありません、都子姫」
そこへ、宗治が割って入ってきた。
「…そうなの?ひどいケガをされているようだけど、…どうされたの?」
「先ほど、屋敷の外でこの者が行き倒れているの見つけて連れて参りました」
行き倒れって…、わたしのこと!?
そういう設定なのかな…?
「話を聞くと、どうやら虫にさされて顔半分が腫れたとのこと。決して病気やケガではございません」
いくら包帯を剥がされないためについた嘘だったとしても、…そんなめちゃくちゃな。
顔半分が腫れる虫さされなんて、だれも信じるはずがない。
――ところが。
「…虫さされで!?なんともおそろしい虫がいるのね…」
宗治の話に身震いする都子姫。
まさかとは思ったけど、…そのめちゃくちゃな嘘を信じていた!
「では、宗治はこの方を助けてあげたのね」
「はい!あまりにも不憫で見かねてしまったとはいえ、姫に無断で屋敷に入れてしまったこと…申し訳ございません!」
「宗治、謝る必要はないわ。せっかくだから、客間へ通してあげて」
「はっ!」
都子姫は宗治の返事を聞くと、にっこりと微笑んだ。
「これもなにかのご縁です。ゆっくりしていってくださいね」
「あ…、ありがとうございます」
わたしは、ぎこちなく頭を下げた。
どうしても変な動きになってしまう。
なぜなら、目の前にいるのはまるで鏡を映したような自分とそっくりな人。
違和感でしかない。
「…姫様、そこでなにをされているのですか!?」
「そのような格好で庭へ出ては、お召し物が汚れてしまいまする…!」
声がするほうを見ると、透渡殿から着物を着た女の人たちが驚いた様子でこちらを見ていた。
どうやらあの人たちは、都子姫の侍女のようだ。
「ごめんなさい。すぐに戻るわ」
都子姫は十二単の着物を引きずりながら、侍女たちのもとへ戻っていった。
「宗治が外で倒れている人を見つけたようなの。客間へ案内させるから、しばらくの間屋敷で休ませてあげて」
「宗治殿が連れて参ったのであれば、仕方ありませんな」
都子姫は遠くからわたしに会釈すると、侍女たちといっしょに屋敷の中へ入っていった。
「こんなよく知りもしないわたしをお屋敷に上げてくれるなんて、都子姫って優しい人だね」
「だろ?自らの位なんて関係なく、都子姫は分け隔てなくだれにでもお優しい方だ。だから、俺はそんな都子姫のことが好きなんだ」
今までに見たことのない宗治の穏やかな微笑み。
さっき、都子姫に再会したときに見せた潤んだ瞳もそうだったけど、本当に宗治は都子姫のことを一途に想っているんだ。
「こうして元の時代へ、しかも死ぬ前に戻ってきたんだから、今度こそ俺は姫と結ばれる!だからびぃ、俺が都子姫とうまくいくように協力しろよ?」
「…はいはい」
救い人の力があったからこそ戻ってこれたというのに、そんなわたしに感謝するどころか、宗治はわたしを使いっぱしりにしようとする。
自分が死んで、もう1人の幼なじみの壱さんと都子姫が結婚したことをタイムスリップした現代で知った宗治。
その未来を変えるために、宗治はこの時代へ戻ってきたようなもの。
時をこえても、都子姫を想い続けていた宗治。
強い想いが起こした奇跡だから、この世では結ばれてほしい。
そう思う反面――。
都子姫を見つめる宗治のまなざしや、都子姫の話をする宗治を見ていたら、胸が締めつけられるのはどうしてだろう…。
そのあと、わたしはお屋敷の客間に案内された。
「悪いが、びぃ。俺は仕事があるから、お前にかまってやれない」
「仕事って?」
「俺の仕事は、姫に仕えることだ。まぁ、用心棒みたいなものだな。きっと壱はすでに都子姫のそばにいるはずだ」
…そっか。
宗治はもともと都子姫に仕えていたんだよね。
壱さんといっしょに、都子姫の結婚相手にふさわしいかどうかを見極められるために。
自分がいなかったら都子姫が壱さんと結ばれる運命を知っているからこそ、本当は今すぐにでも都子姫のところへ行きたいはずだ。
たまたまいっしょにタイムスリップしてしまったわたしなんかに、宗治を止める権利なんてない。
「そっか。いってらっしゃい」
だから、ただ送り出すことしかできなかった。
「都子姫のご配慮で、屋敷の者にはびぃのことは伝わっているから心配ないが、くれぐれも包帯の下の顔は見られるなよっ」
「わかってるって。それよりも、早く都子姫のところへ行ってきたら?」
「そうだな。行ってくる」
わたしたちが今いる時の流れでは、宗治はずっとこっちの時代に存在していたことになっているようだ。
つまり、昨日までの宗治はいつも通り都子姫に仕えていた。
しかし、今ここにいる宗治は、現代からタイムスリップしてきた宗治。
久々に都子姫のそばにつけるからか、宗治の頬が少しだけ緩んでいるのがわかった。
現代では姿が消えてしまうため、わたしのそばにいないといけなかった宗治。
でも、こっちの時代ではそんな心配もないから身軽そうだ。
宗治の隣にいるのは、都子姫。
…わたしじゃないんだ。
常に宗治がいっしょにいることに初めは迷惑していたけど――。
いつもいるはずの宗治がいないと思うと、…なんだか無性に寂しく感じてしまった。
「失礼致します。朝食をお持ち致しました」
宗治が部屋を出ていってしばらくすると、お膳を持った人の影が障子に映った。
慌てて、崩していた足を正座に戻す。
「は…、はい!どうぞ」
わたしが返事をすると、障子が静かに開けられる。
会釈をして部屋に入ってきたのは、薄茶色の流れるようなきれいな髪を後ろで1つに束ねた男の人だった。
まるで絵に描いたような美形の顔立ちだったから、わたしは思わず見惚れてしまった。
「僕の顔になにかついていますか?」
「いえ…!なんでもありません…」
「そ…宗治?急にどうしたの…?」
突然宗治が走ってきたものだから、キョトンとした顔を見せる都子姫。
「私はいつも元気だけど、心配させるようなことでもあった…?」
「あっ…。いや、それは…」
言葉を濁す宗治。
宗治にとっては、都子姫とは久々の再会。
しかも、火事の現場から都子姫を助け出し、自分は死んでしまったとき以来に会うのだから、都子姫の姿を見て想いがあふれ出してしまってもおかしくない。
だけど、都子姫はそんなこととはつゆ知らず。
「もしかして、昨日お腹が痛くなったことを心配してくれていたの?」
「へ…?」
「だ~いじょうぶ。宗治ったら心配しすぎだよ。ちょっとお団子を食べすぎちゃったみたい」
都子姫は、恥ずかしそうに舌をペロッと出す。
「それにしても、こんな朝早くにどうしたの?私は目が覚めちゃったから、部屋から出てきたんだけど――」
と言う都子姫の視線が、ゆっくりとわたしに向けられた。
「…あら?あちらの方は?」
都子姫と目が合い、わたしはビクッとして背筋を正した。
…マズイ!
都子姫と顔が瓜二つのわたしの存在を知られちゃいけないのに、まさか…いきなりその本人に見つかるだなんて。
「え…えっと…、わたしは…」
慌ててしまって、とっさに適当な言い訳も思いつかない。
…と思っていたら。
「大変…!頭にケガをされているの!?」
目を見開けた都子姫は、なにもはかずに下りてくるとわたしのところまでやってきた。
「こんなに包帯をされて、痛々しい…。大丈夫ですか!?」
わたしの手を取り、心配そうに顔を覗き込む都子姫。
「…あ、は…はい。大したことは――」
「問題ありません、都子姫」
そこへ、宗治が割って入ってきた。
「…そうなの?ひどいケガをされているようだけど、…どうされたの?」
「先ほど、屋敷の外でこの者が行き倒れているの見つけて連れて参りました」
行き倒れって…、わたしのこと!?
そういう設定なのかな…?
「話を聞くと、どうやら虫にさされて顔半分が腫れたとのこと。決して病気やケガではございません」
いくら包帯を剥がされないためについた嘘だったとしても、…そんなめちゃくちゃな。
顔半分が腫れる虫さされなんて、だれも信じるはずがない。
――ところが。
「…虫さされで!?なんともおそろしい虫がいるのね…」
宗治の話に身震いする都子姫。
まさかとは思ったけど、…そのめちゃくちゃな嘘を信じていた!
「では、宗治はこの方を助けてあげたのね」
「はい!あまりにも不憫で見かねてしまったとはいえ、姫に無断で屋敷に入れてしまったこと…申し訳ございません!」
「宗治、謝る必要はないわ。せっかくだから、客間へ通してあげて」
「はっ!」
都子姫は宗治の返事を聞くと、にっこりと微笑んだ。
「これもなにかのご縁です。ゆっくりしていってくださいね」
「あ…、ありがとうございます」
わたしは、ぎこちなく頭を下げた。
どうしても変な動きになってしまう。
なぜなら、目の前にいるのはまるで鏡を映したような自分とそっくりな人。
違和感でしかない。
「…姫様、そこでなにをされているのですか!?」
「そのような格好で庭へ出ては、お召し物が汚れてしまいまする…!」
声がするほうを見ると、透渡殿から着物を着た女の人たちが驚いた様子でこちらを見ていた。
どうやらあの人たちは、都子姫の侍女のようだ。
「ごめんなさい。すぐに戻るわ」
都子姫は十二単の着物を引きずりながら、侍女たちのもとへ戻っていった。
「宗治が外で倒れている人を見つけたようなの。客間へ案内させるから、しばらくの間屋敷で休ませてあげて」
「宗治殿が連れて参ったのであれば、仕方ありませんな」
都子姫は遠くからわたしに会釈すると、侍女たちといっしょに屋敷の中へ入っていった。
「こんなよく知りもしないわたしをお屋敷に上げてくれるなんて、都子姫って優しい人だね」
「だろ?自らの位なんて関係なく、都子姫は分け隔てなくだれにでもお優しい方だ。だから、俺はそんな都子姫のことが好きなんだ」
今までに見たことのない宗治の穏やかな微笑み。
さっき、都子姫に再会したときに見せた潤んだ瞳もそうだったけど、本当に宗治は都子姫のことを一途に想っているんだ。
「こうして元の時代へ、しかも死ぬ前に戻ってきたんだから、今度こそ俺は姫と結ばれる!だからびぃ、俺が都子姫とうまくいくように協力しろよ?」
「…はいはい」
救い人の力があったからこそ戻ってこれたというのに、そんなわたしに感謝するどころか、宗治はわたしを使いっぱしりにしようとする。
自分が死んで、もう1人の幼なじみの壱さんと都子姫が結婚したことをタイムスリップした現代で知った宗治。
その未来を変えるために、宗治はこの時代へ戻ってきたようなもの。
時をこえても、都子姫を想い続けていた宗治。
強い想いが起こした奇跡だから、この世では結ばれてほしい。
そう思う反面――。
都子姫を見つめる宗治のまなざしや、都子姫の話をする宗治を見ていたら、胸が締めつけられるのはどうしてだろう…。
そのあと、わたしはお屋敷の客間に案内された。
「悪いが、びぃ。俺は仕事があるから、お前にかまってやれない」
「仕事って?」
「俺の仕事は、姫に仕えることだ。まぁ、用心棒みたいなものだな。きっと壱はすでに都子姫のそばにいるはずだ」
…そっか。
宗治はもともと都子姫に仕えていたんだよね。
壱さんといっしょに、都子姫の結婚相手にふさわしいかどうかを見極められるために。
自分がいなかったら都子姫が壱さんと結ばれる運命を知っているからこそ、本当は今すぐにでも都子姫のところへ行きたいはずだ。
たまたまいっしょにタイムスリップしてしまったわたしなんかに、宗治を止める権利なんてない。
「そっか。いってらっしゃい」
だから、ただ送り出すことしかできなかった。
「都子姫のご配慮で、屋敷の者にはびぃのことは伝わっているから心配ないが、くれぐれも包帯の下の顔は見られるなよっ」
「わかってるって。それよりも、早く都子姫のところへ行ってきたら?」
「そうだな。行ってくる」
わたしたちが今いる時の流れでは、宗治はずっとこっちの時代に存在していたことになっているようだ。
つまり、昨日までの宗治はいつも通り都子姫に仕えていた。
しかし、今ここにいる宗治は、現代からタイムスリップしてきた宗治。
久々に都子姫のそばにつけるからか、宗治の頬が少しだけ緩んでいるのがわかった。
現代では姿が消えてしまうため、わたしのそばにいないといけなかった宗治。
でも、こっちの時代ではそんな心配もないから身軽そうだ。
宗治の隣にいるのは、都子姫。
…わたしじゃないんだ。
常に宗治がいっしょにいることに初めは迷惑していたけど――。
いつもいるはずの宗治がいないと思うと、…なんだか無性に寂しく感じてしまった。
「失礼致します。朝食をお持ち致しました」
宗治が部屋を出ていってしばらくすると、お膳を持った人の影が障子に映った。
慌てて、崩していた足を正座に戻す。
「は…、はい!どうぞ」
わたしが返事をすると、障子が静かに開けられる。
会釈をして部屋に入ってきたのは、薄茶色の流れるようなきれいな髪を後ろで1つに束ねた男の人だった。
まるで絵に描いたような美形の顔立ちだったから、わたしは思わず見惚れてしまった。
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