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王子様のいない旅
3P
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燈馬くんの絵は、まるで白黒写真のよう。
木々の葉の細かい部分まで描いているのはもちろん、陰影がうまくて立体的に見える。
これに色を付けたら、一体どんな作品に仕上がるんだろうっ…。
そんな風に、あたしの胸が踊ってしまうほど。
「なに?覗き?」
「の…!覗いてなんかっ…!」
…覗いてけどっ!
でも、燈馬くんの描いている絵に心を動かされたのは事実だった。
「燈馬くん、絵…上手なんだねっ」
「いや、そんなことねーよ。だれでも描けるだろ?このくらいなら」
燈馬くんは、相変わらずの口調でそう言うけど、…なかなか描けないよ。
「それよりさー…」
「どうかした?」
「消しゴム持ってねぇ?」
「消しゴム?」
「ああ。さっき、使ってたら落としちまって、そのまま人に蹴られてどっかに行ったんだよ」
「…あ、それならちょっと待って」
あたしは、元いた場所に戻った。
そして、ペンケースを持って燈馬くんのとこへ。
「はいっ!」
燈馬くんに消しゴムを差し出す。
これは、あたしが普段使っている消しゴム。
消しカスはまとまるし、なにより滑らかに消せるから、役立っている。
「サンキュ。使ったら、すぐに返すから」
「いいよ、そのまま持ってても!あたし、2個持ってるからっ」
「2個…?」
首を傾げる燈馬くんに、あたしはもう1つの消しゴムを見せた。
「…なんだ。フツーの消しゴムじゃん」
「ぱっと見はね。でも、あたしにとっては大事な消しゴムなんだからっ」
あたしは、消しゴムのケースを少しズラした。
そこには、サッカーボールの絵と共に、様々な応援メッセージが書かれてある。
これは、花森中学の試験のとき、優馬くんからもらった…大切な大切な消しゴム。
すると、一瞬燈馬くんが目を見開けた。
「ちょっと見せて」
燈馬くんが手を出してきたので、あたしはその手に消しゴムを乗せた。
「この消しゴム…どこで?」
「優馬くんに、受験のときにもらったのっ」
「受験?花森の?」
「そう。あたし、試験当日に消しゴム持ってくるの忘れちゃって…」
あたしの話を聞いているのか聞いていないのか、真剣な表情で消しゴムを眺める燈馬くん。
「…燈馬くん?」
あたしが声をかけると、はっとしてあたしに消しゴムを返した。
「な…なんでもない」
それだけ言うと、燈馬くんはまた写生に取り掛かった。
「…できたっ!」
それから1時間ほどして、ようやく写生が完成した。
こっそりと燈馬くんを見に行くと、ちょうど燈馬くんも鉛筆を持つ手を止めたところだった。
「…なに?また覗き?」
「そ…そういうんじゃなくてっ。そろそろ時間だから…」
あたしの時計は、17時前を指していた。
ホテルには、18時までに帰るように先生たちから言われている。
「もうそんな時間?…わかった」
燈馬くんは立ち上がると、スケッチブックやペンケースをバッグにしまい始めた。
「…あ。これ、サンキュ。助かった」
燈馬くんから、貸していた消しゴムを手渡された。
そして、燈馬くんといっしょに千本鳥居をくぐりながら下りていった。
「あ!ほのかーっ!」
本殿のそばでは、描き終わったアミが待っていてくれていた。
「あ、そうそう。アミ、ちょっとお願いがあって…」
「お願い?」
不思議そうに首をかしげるアミ。
アミには、大事な審査をしてもらわなければならなかった。
あたしも燈馬くんの写生、どちらがうまいか。
あたしたちは、同時にスケッチブックをアミに見せる。
「…おおっ。これは、どちらもなかなかの大作…」
そうつぶやいて、腕を組んで考えるアミ。
「これ…、引き分けじゃダメなの?」
「ダメ…!どっちか選んで…!」
「え~…、困るなぁ。…でも、強いて言うなら――」
その夜。
「このあとちょっといい?」
夕食の時間が終わろうとするころ、後ろから声がしてあたしはビクッと肩を震わせた。
おそるおそる振り返ると、そこにいたのは燈馬くん。
燈馬くんに連れられて、ホテルの中庭へ。
――写生の勝負。
アミが選んだのは、燈馬くんだった。
負けたあたしは、相手の言うことに従わなければならない。
燈馬くんのことだから、無茶なことを言ってくるに決まっている。
そう思って、ずっとビクビクしていた。
「あ…あたしは、なにをすればいいのでしょう…?」
「…そうだな。じゃあ、まずはこれ買って」
燈馬くんは自動販売機の前で足を止めると、そこにあった炭酸飲料を指さす。
「…はい」
この炭酸、あたしも好きなんだよね。
そんなことを考えながら、言われたとおりに130円のその飲み物を買う。
「次はなにをしたら――」
「ジュース買ってもらったから、これでチャラな」
予想外の燈馬くんの言葉に、あたしはぽかんとしてしまった。
「そんなことでいいの?たったジュース1本で…?」
「ああ。べつに、ハナからあんたを困らせてやろうと思って勝負しかけたわけじゃないよ」
クスッと笑う燈馬くん。
どんな無理難題を言ってくるのかと思っていたから、こんなことであっさり終わって拍子抜けしてしまった。
優馬くんとは全然性格は違うけど、燈馬くんは燈馬くんでやさしい一面があることを知った。
「それに、いいものも見つけられたし」
「…いいもの?」
あたしの言葉に、燈馬くんは柔らかく微笑む。
「優馬の代わりに修学旅行なんて面倒くさいって思ってたけど、…きてよかった」
月明かりに照らされる燈馬くんの笑み。
それは、今までに見たことがないくらい穏やかなものだった。
燈馬くんも…こんな顔するんだ。
「じゃあ、おやすみ。ほのか」
そう言って、燈馬くんはあたしの頭の上にぽんっと手を乗せた。
「お…おやすみ」
燈馬くんが手を乗せた頭にそっと手を添えて、燈馬くんの背中にそうつぶやいた。
燈馬くんがいなくなってから、はっとした。
『ほのか』って言われた…?
前までは、『あんた』だったのに。
たしかにさっき、あたしを名前で呼んでくれたよね?
自分では気づいていなかったけど、あたしの胸が少しだけキュンとなった瞬間だった。
修学旅行最終日の3日目は、和菓子作り体験をした。
そして、京都駅でお土産を買って新幹線へ。
「はぁ~…。もう終わっちゃうのか~…」
新幹線の窓から、外を眺めるアミが呟いた。
「いいところだったね、京都」
「うん!また絶対きたい!」
あたしとアミは、顔を見合わせる。
「そういや、優馬は北海道に修学旅行中なんだっけ?」
小声でアミがあたしに話しかけてくる。
「うん。燈馬くんからはそう聞いてるけど」
「優馬、今頃なにしてるんだろうね?」
「燈馬くんなら連絡取ってるじゃないかな。ねぇ――」
と、後ろの座席に座る燈馬くんのほうを振り返った。
しかし、燈馬くんはすでに眠っていた。
周りが騒がしてくても、隣の座席の男友達がぶつかっても起きない。
たぶん、普段慣れない優馬くんのフリをしていたから、相当疲れているんだろう。
この新幹線の中だけは、ゆっくり寝かせてあげよう。
それから2日後。
星華の修学旅行を終えた優馬くんが、久々に花森に登校してきた。
優馬くんとは数日会えなかっただけなのに、なんだかすごく久しぶりに感じる。
「ただいま、ほのかちゃん」
そう言って、微笑む優馬くん。
でも、その優馬くんの笑顔はなに1つ変わらなくて…。
「おかえり、優馬くん」
あたしも、そう優馬くんに返した。
優馬くんの土産話はおもしろくて、北海道も行ったことがなかったから、とても新鮮に感じた。
でも、さすがに3日間も燈馬くんのフリは、思っていたよりも心身に応えたんだそう。
だから、同じ双子の燈馬くんもきっと、倍以上に疲れていたに違いない。
それから数日後。
美術の授業で、修学旅行のときに写生した絵に色を塗った。
「…これ、燈馬が描いたの?…やっぱりあいつ、俺と違って絵の才能あるなぁ」
燈馬くんが描いた千本鳥居の絵に、優馬くんは口をポカンと開けて感心していた。
「双子だったら、優馬もこれくらい描けるんじゃないの?」
「…いや、無理だって。俺…絵心ないからっ」
アミの問いかけに対して、苦笑いする優馬くん。
初めは、謙遜かなと思っていた。
しかし優馬くんのその言葉は、謙遜などではなかった。
「…優馬。もう、なにもしない方がいいんじゃないの…?」
アミの冷たい視線が、優馬くんの絵に刺さる。
「…ん~。でも、ここをもう少し色を濃くしたらっ…」
真剣な表情で、色を塗る優馬くん。
その表情は、写生をする燈馬くんと同じだった。
…ただ、絵は残念なものに。
線から色がはみ出たり、色と色が混ざって黒ずんだ色になっていたり…。
色を塗る前は、あんなに美しかった絵が、色を足していくうちに…どんどん悪い方へ変化していく。
「本当に、絵心ないんだね」
「だからそう言ったじゃんっ。俺なりには真剣にやってるんだけどなぁ…」
首を傾げる優馬くん。
同じ双子でも、こんなに得意不得意って別れるものなんだ…。
そこがすごく驚いた。
「アタシのよりダメじゃん。帰ったら、燈馬くんに謝ったら?」
クスクスと笑うアミ。
あたしは冗談だったとしても、真剣に塗った優馬くんの絵を笑うことなんてできない。
…けど、もしやり直せるなら。
この絵を、最後まで燈馬くんに仕上げてほしかったな…。
燈馬くんは、どんな風にこの絵に色をつけただろうか。
今となっては、もう叶わないことだけど…。
そんな燈馬くんの絵も見てみたかった。
木々の葉の細かい部分まで描いているのはもちろん、陰影がうまくて立体的に見える。
これに色を付けたら、一体どんな作品に仕上がるんだろうっ…。
そんな風に、あたしの胸が踊ってしまうほど。
「なに?覗き?」
「の…!覗いてなんかっ…!」
…覗いてけどっ!
でも、燈馬くんの描いている絵に心を動かされたのは事実だった。
「燈馬くん、絵…上手なんだねっ」
「いや、そんなことねーよ。だれでも描けるだろ?このくらいなら」
燈馬くんは、相変わらずの口調でそう言うけど、…なかなか描けないよ。
「それよりさー…」
「どうかした?」
「消しゴム持ってねぇ?」
「消しゴム?」
「ああ。さっき、使ってたら落としちまって、そのまま人に蹴られてどっかに行ったんだよ」
「…あ、それならちょっと待って」
あたしは、元いた場所に戻った。
そして、ペンケースを持って燈馬くんのとこへ。
「はいっ!」
燈馬くんに消しゴムを差し出す。
これは、あたしが普段使っている消しゴム。
消しカスはまとまるし、なにより滑らかに消せるから、役立っている。
「サンキュ。使ったら、すぐに返すから」
「いいよ、そのまま持ってても!あたし、2個持ってるからっ」
「2個…?」
首を傾げる燈馬くんに、あたしはもう1つの消しゴムを見せた。
「…なんだ。フツーの消しゴムじゃん」
「ぱっと見はね。でも、あたしにとっては大事な消しゴムなんだからっ」
あたしは、消しゴムのケースを少しズラした。
そこには、サッカーボールの絵と共に、様々な応援メッセージが書かれてある。
これは、花森中学の試験のとき、優馬くんからもらった…大切な大切な消しゴム。
すると、一瞬燈馬くんが目を見開けた。
「ちょっと見せて」
燈馬くんが手を出してきたので、あたしはその手に消しゴムを乗せた。
「この消しゴム…どこで?」
「優馬くんに、受験のときにもらったのっ」
「受験?花森の?」
「そう。あたし、試験当日に消しゴム持ってくるの忘れちゃって…」
あたしの話を聞いているのか聞いていないのか、真剣な表情で消しゴムを眺める燈馬くん。
「…燈馬くん?」
あたしが声をかけると、はっとしてあたしに消しゴムを返した。
「な…なんでもない」
それだけ言うと、燈馬くんはまた写生に取り掛かった。
「…できたっ!」
それから1時間ほどして、ようやく写生が完成した。
こっそりと燈馬くんを見に行くと、ちょうど燈馬くんも鉛筆を持つ手を止めたところだった。
「…なに?また覗き?」
「そ…そういうんじゃなくてっ。そろそろ時間だから…」
あたしの時計は、17時前を指していた。
ホテルには、18時までに帰るように先生たちから言われている。
「もうそんな時間?…わかった」
燈馬くんは立ち上がると、スケッチブックやペンケースをバッグにしまい始めた。
「…あ。これ、サンキュ。助かった」
燈馬くんから、貸していた消しゴムを手渡された。
そして、燈馬くんといっしょに千本鳥居をくぐりながら下りていった。
「あ!ほのかーっ!」
本殿のそばでは、描き終わったアミが待っていてくれていた。
「あ、そうそう。アミ、ちょっとお願いがあって…」
「お願い?」
不思議そうに首をかしげるアミ。
アミには、大事な審査をしてもらわなければならなかった。
あたしも燈馬くんの写生、どちらがうまいか。
あたしたちは、同時にスケッチブックをアミに見せる。
「…おおっ。これは、どちらもなかなかの大作…」
そうつぶやいて、腕を組んで考えるアミ。
「これ…、引き分けじゃダメなの?」
「ダメ…!どっちか選んで…!」
「え~…、困るなぁ。…でも、強いて言うなら――」
その夜。
「このあとちょっといい?」
夕食の時間が終わろうとするころ、後ろから声がしてあたしはビクッと肩を震わせた。
おそるおそる振り返ると、そこにいたのは燈馬くん。
燈馬くんに連れられて、ホテルの中庭へ。
――写生の勝負。
アミが選んだのは、燈馬くんだった。
負けたあたしは、相手の言うことに従わなければならない。
燈馬くんのことだから、無茶なことを言ってくるに決まっている。
そう思って、ずっとビクビクしていた。
「あ…あたしは、なにをすればいいのでしょう…?」
「…そうだな。じゃあ、まずはこれ買って」
燈馬くんは自動販売機の前で足を止めると、そこにあった炭酸飲料を指さす。
「…はい」
この炭酸、あたしも好きなんだよね。
そんなことを考えながら、言われたとおりに130円のその飲み物を買う。
「次はなにをしたら――」
「ジュース買ってもらったから、これでチャラな」
予想外の燈馬くんの言葉に、あたしはぽかんとしてしまった。
「そんなことでいいの?たったジュース1本で…?」
「ああ。べつに、ハナからあんたを困らせてやろうと思って勝負しかけたわけじゃないよ」
クスッと笑う燈馬くん。
どんな無理難題を言ってくるのかと思っていたから、こんなことであっさり終わって拍子抜けしてしまった。
優馬くんとは全然性格は違うけど、燈馬くんは燈馬くんでやさしい一面があることを知った。
「それに、いいものも見つけられたし」
「…いいもの?」
あたしの言葉に、燈馬くんは柔らかく微笑む。
「優馬の代わりに修学旅行なんて面倒くさいって思ってたけど、…きてよかった」
月明かりに照らされる燈馬くんの笑み。
それは、今までに見たことがないくらい穏やかなものだった。
燈馬くんも…こんな顔するんだ。
「じゃあ、おやすみ。ほのか」
そう言って、燈馬くんはあたしの頭の上にぽんっと手を乗せた。
「お…おやすみ」
燈馬くんが手を乗せた頭にそっと手を添えて、燈馬くんの背中にそうつぶやいた。
燈馬くんがいなくなってから、はっとした。
『ほのか』って言われた…?
前までは、『あんた』だったのに。
たしかにさっき、あたしを名前で呼んでくれたよね?
自分では気づいていなかったけど、あたしの胸が少しだけキュンとなった瞬間だった。
修学旅行最終日の3日目は、和菓子作り体験をした。
そして、京都駅でお土産を買って新幹線へ。
「はぁ~…。もう終わっちゃうのか~…」
新幹線の窓から、外を眺めるアミが呟いた。
「いいところだったね、京都」
「うん!また絶対きたい!」
あたしとアミは、顔を見合わせる。
「そういや、優馬は北海道に修学旅行中なんだっけ?」
小声でアミがあたしに話しかけてくる。
「うん。燈馬くんからはそう聞いてるけど」
「優馬、今頃なにしてるんだろうね?」
「燈馬くんなら連絡取ってるじゃないかな。ねぇ――」
と、後ろの座席に座る燈馬くんのほうを振り返った。
しかし、燈馬くんはすでに眠っていた。
周りが騒がしてくても、隣の座席の男友達がぶつかっても起きない。
たぶん、普段慣れない優馬くんのフリをしていたから、相当疲れているんだろう。
この新幹線の中だけは、ゆっくり寝かせてあげよう。
それから2日後。
星華の修学旅行を終えた優馬くんが、久々に花森に登校してきた。
優馬くんとは数日会えなかっただけなのに、なんだかすごく久しぶりに感じる。
「ただいま、ほのかちゃん」
そう言って、微笑む優馬くん。
でも、その優馬くんの笑顔はなに1つ変わらなくて…。
「おかえり、優馬くん」
あたしも、そう優馬くんに返した。
優馬くんの土産話はおもしろくて、北海道も行ったことがなかったから、とても新鮮に感じた。
でも、さすがに3日間も燈馬くんのフリは、思っていたよりも心身に応えたんだそう。
だから、同じ双子の燈馬くんもきっと、倍以上に疲れていたに違いない。
それから数日後。
美術の授業で、修学旅行のときに写生した絵に色を塗った。
「…これ、燈馬が描いたの?…やっぱりあいつ、俺と違って絵の才能あるなぁ」
燈馬くんが描いた千本鳥居の絵に、優馬くんは口をポカンと開けて感心していた。
「双子だったら、優馬もこれくらい描けるんじゃないの?」
「…いや、無理だって。俺…絵心ないからっ」
アミの問いかけに対して、苦笑いする優馬くん。
初めは、謙遜かなと思っていた。
しかし優馬くんのその言葉は、謙遜などではなかった。
「…優馬。もう、なにもしない方がいいんじゃないの…?」
アミの冷たい視線が、優馬くんの絵に刺さる。
「…ん~。でも、ここをもう少し色を濃くしたらっ…」
真剣な表情で、色を塗る優馬くん。
その表情は、写生をする燈馬くんと同じだった。
…ただ、絵は残念なものに。
線から色がはみ出たり、色と色が混ざって黒ずんだ色になっていたり…。
色を塗る前は、あんなに美しかった絵が、色を足していくうちに…どんどん悪い方へ変化していく。
「本当に、絵心ないんだね」
「だからそう言ったじゃんっ。俺なりには真剣にやってるんだけどなぁ…」
首を傾げる優馬くん。
同じ双子でも、こんなに得意不得意って別れるものなんだ…。
そこがすごく驚いた。
「アタシのよりダメじゃん。帰ったら、燈馬くんに謝ったら?」
クスクスと笑うアミ。
あたしは冗談だったとしても、真剣に塗った優馬くんの絵を笑うことなんてできない。
…けど、もしやり直せるなら。
この絵を、最後まで燈馬くんに仕上げてほしかったな…。
燈馬くんは、どんな風にこの絵に色をつけただろうか。
今となっては、もう叶わないことだけど…。
そんな燈馬くんの絵も見てみたかった。
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