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初デートをしてみたら
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…ゴロゴロ
空が唸っている。
わたしは、布団の中にくるまって耳を塞ぐ。
だけど、それでも聞こえる雷の音。
わたしは、小さい頃から雷が大の苦手だった。
それは、今でも変わらない。
いつもなら気にしないフリをして寝ようとするのだけれど、今日はりっくんといっしょだから、意識してなかなか眠れない…!
そのせいか、雷の音がやたらと耳に入ってくる。
…こわいっ。
早く…止まないかな。
そう心の中で念じていた――そのとき。
「…しずく」
真っ暗な部屋の中。
落ち着いた声が、静かに響く。
ゆっくりと布団から顔を出すと、りっくんがわたしのベッドのすぐそばにいた。
「雷…、今もまだこわいんだな」
「う…うん。でも、大丈夫だから」
「なんも大丈夫じゃねぇよ。だって、しずく…震えてる」
りっくんがわたしの肩に手を添える。
「りっくんは、もう寝て?明日、お昼から撮影があるんでしょ…?」
「ああ。でも…」
そう小さく呟いたりっくんが、わたしの前髪を優しくかき上げる。
「怖がって震えてるしずくがそばにいるのに、放っておけるわけないだろ」
暗闇に慣れた目が、りっくんの表情を捉える。
りっくんは、愛おしそうにわたしを見つめていた。
「さっき、『なにもしない』って言ったけど…。こんなしずく見たら、なにもしないなんてことできない」
そう言って、上体を起こしたりっくんが、わたしが横になるベッドのふちに足をかける。
「今日だけは、こうさせて」
首筋に伝わるりっくんの吐息。
熱いくらいに背中に感じるりっくんの体温。
なんとりっくんは、震えるわたしを包み込むように、後ろから抱きしめてくれた。
逃げ場のない狭いベッドに、りっくんと2人きり。
恥ずかしい…。
でも、雷がこわいっ……。
そう思っていたんだけど――。
「大丈夫。俺がそばにいる」
徐々に体の震えが治まってきて…。
りっくんの体温に包まれ安心したわたしは、いつの間に眠ってしまっていた。
次の日。
カーテンから漏れる陽の光で、ゆっくりと重いまぶたを開ける。
…なぜだか、身動きが取れない。
そう思っていたら、わたしを抱きかかえるようにして、りっくんがすぐそばで気持ちよさそうな寝息を立てていた。
そうだっ…。
昨日、雷を怖がるわたしのために、りっくんがいっしょの布団で寝てくれたんだった。
「う~ん…」と言って、まだ夢の中にいるりっくんの寝顔がかわいくて…。
思わず、その頬にキスしてしまった。
まさか、自分からキスしてしまうなんてっ…!
恥ずかしいけど、りっくんは寝ていて気づいていないから…いいよねっ。
そう思っていたら――。
「…なに、今のキス。かわいすぎるんだけど」
パチッとりっくんの目が開いて、にこりとわたしに微笑んだ。
「りっ…りりりり…りっくん!起きてたの…!?」
「うん、今さっき。しずくのキスで目が覚めた」
そんな…白雪姫じゃないんだから。
「ねぇ、もう1回して?」
「し…しないよ!」
「なんで?さっきはしてくれたのに?」
「あれは…、りっくんの寝顔がかわいかったから…つい――」
その瞬間、りっくんに唇を重ねられた。
驚いて目を見開くと、りっくんはしてやったりというふうに笑っている。
「しずくがかわいかったから、ついキスしちゃった」
いたずらっぽく笑うりっくん。
不意打ちでキスするなんて…ずるいよ。
わたしの彼氏は、クールなんだけど…。
こういうところはかわいくて、『ダメ』とは言えずに許してしまうんだ。
空が唸っている。
わたしは、布団の中にくるまって耳を塞ぐ。
だけど、それでも聞こえる雷の音。
わたしは、小さい頃から雷が大の苦手だった。
それは、今でも変わらない。
いつもなら気にしないフリをして寝ようとするのだけれど、今日はりっくんといっしょだから、意識してなかなか眠れない…!
そのせいか、雷の音がやたらと耳に入ってくる。
…こわいっ。
早く…止まないかな。
そう心の中で念じていた――そのとき。
「…しずく」
真っ暗な部屋の中。
落ち着いた声が、静かに響く。
ゆっくりと布団から顔を出すと、りっくんがわたしのベッドのすぐそばにいた。
「雷…、今もまだこわいんだな」
「う…うん。でも、大丈夫だから」
「なんも大丈夫じゃねぇよ。だって、しずく…震えてる」
りっくんがわたしの肩に手を添える。
「りっくんは、もう寝て?明日、お昼から撮影があるんでしょ…?」
「ああ。でも…」
そう小さく呟いたりっくんが、わたしの前髪を優しくかき上げる。
「怖がって震えてるしずくがそばにいるのに、放っておけるわけないだろ」
暗闇に慣れた目が、りっくんの表情を捉える。
りっくんは、愛おしそうにわたしを見つめていた。
「さっき、『なにもしない』って言ったけど…。こんなしずく見たら、なにもしないなんてことできない」
そう言って、上体を起こしたりっくんが、わたしが横になるベッドのふちに足をかける。
「今日だけは、こうさせて」
首筋に伝わるりっくんの吐息。
熱いくらいに背中に感じるりっくんの体温。
なんとりっくんは、震えるわたしを包み込むように、後ろから抱きしめてくれた。
逃げ場のない狭いベッドに、りっくんと2人きり。
恥ずかしい…。
でも、雷がこわいっ……。
そう思っていたんだけど――。
「大丈夫。俺がそばにいる」
徐々に体の震えが治まってきて…。
りっくんの体温に包まれ安心したわたしは、いつの間に眠ってしまっていた。
次の日。
カーテンから漏れる陽の光で、ゆっくりと重いまぶたを開ける。
…なぜだか、身動きが取れない。
そう思っていたら、わたしを抱きかかえるようにして、りっくんがすぐそばで気持ちよさそうな寝息を立てていた。
そうだっ…。
昨日、雷を怖がるわたしのために、りっくんがいっしょの布団で寝てくれたんだった。
「う~ん…」と言って、まだ夢の中にいるりっくんの寝顔がかわいくて…。
思わず、その頬にキスしてしまった。
まさか、自分からキスしてしまうなんてっ…!
恥ずかしいけど、りっくんは寝ていて気づいていないから…いいよねっ。
そう思っていたら――。
「…なに、今のキス。かわいすぎるんだけど」
パチッとりっくんの目が開いて、にこりとわたしに微笑んだ。
「りっ…りりりり…りっくん!起きてたの…!?」
「うん、今さっき。しずくのキスで目が覚めた」
そんな…白雪姫じゃないんだから。
「ねぇ、もう1回して?」
「し…しないよ!」
「なんで?さっきはしてくれたのに?」
「あれは…、りっくんの寝顔がかわいかったから…つい――」
その瞬間、りっくんに唇を重ねられた。
驚いて目を見開くと、りっくんはしてやったりというふうに笑っている。
「しずくがかわいかったから、ついキスしちゃった」
いたずらっぽく笑うりっくん。
不意打ちでキスするなんて…ずるいよ。
わたしの彼氏は、クールなんだけど…。
こういうところはかわいくて、『ダメ』とは言えずに許してしまうんだ。
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