11 / 23
山ではぐれてしまったら
2P
しおりを挟む
5つ目のスタンプ台のところで、先生にそう声をかけられた。
スタンプを6つ集められなかったらいけないというわけではないけど、すべて集めた班にはちょっとした景品が用意されていた。
できることなら、その景品をゲットしたい。
だから、残り時間もあとわずかだけど、芽依たちは諦めていなかった。
わたしも、ここまできたのなら最後の1つを見つけたい。
だけど、地図を一切見せてもらえないから、わたしはただ3人のあとをついて行くしかなかった。
「先生、ヒントちょうだい~!」
芽依が甘えたように、先生にお願いする。
「…う~ん。それはちょっとできないけど、最後のスタンプはここからそう遠くないから、がんばったら今からでも間に合うかもよ!」
「ホント!?じゃあ、早く見つけなきゃ!」
「ありがとう、先生~!」
俄然やる気の出た3人は、地図とにらめっこしながら最後のスタンプ台を探すのだった。
その途中、偶然りっくんの班とすれ違う。
「しずくじゃんっ」
「…りっくん!」
りっくんに声をかけられ、思わず反応する。
「スタンプ、全部見つけられた?」
「ううん。最後の1つがまだで…」
という些細な会話でさえも、芽依はヤキモチを焼く。
「律希くんのところは、もう見つけたのっ?」
すぐさま、芽依が入ってきた。
「篠田さんも、しずくと同じ班だったんだ」
「もちろん!だって、あたしたち親友なんだからっ♪」
芽依が満面の笑みで腕を組んでくる。
りっくんに芽依とぎくしゃくしていることを悟られてはいけないと思って、わたしもなんとか笑ってみせる。
「俺たちの班はさっき全部揃って、今からコテージに戻るとこ。がんばって」
「ありがとう、律希くん!」
芽依は大きくりっくんに手を振り、りっくんの姿が見えなくなると、パッとわたしから腕を離した。
そして、何事もなかったかのように歩き出すのだった。
りっくんの班はスタンプを全部見つけたと話していたから、おそらく近くにあるはず…。
しかし、それと共に迫る時間。
3人の顔に、焦りの色が見え始める。
「…こうなったら、手分けして探すしかないねっ」
ぽつりと芽依が呟いた。
「しずく!」
後ろをついてきていたわたしのところにやってくる芽依。
「あたしたちはこっちの道を探すから、しずくは逆の道を探してくれない?もしスタンプ台を見つけたら、また戻ってきて」
そう言って、芽依が指差したほう…。
それは、木がうっそうと生い茂っていて、太陽の光があまり届かない薄暗い道だった。
これまでのハイキングコースはきれいに整備されていたけど、この道だけ雑草が好き放題に生えていて、『道』と呼べるのかどうかも怪しいところ。
だけど、ここは二手に別れている道だから、わたしにはこの道をたどって探してほしいと言う芽依。
パッと見て、こっちの道ではないような気はしたけど、時間も迫っているから、ここでもたもたするわけにもいかなかった。
「…じゃあ、わたしはこっちに行くね」
「ありがとう、しずく♪」
これまでの態度が嘘かのように、芽依はにっこりと笑ってくれて、わたしの手を握った。
まさか、こんな足場の悪い道を進むことになるとは思わなかった。
七分丈のズボンを履いてきてしまったせいで、素肌が見えているくるぶし辺りには、草木が擦れて細かな切り傷がいくつもできた。
一体、どこまで続いているのだろうか…。
10分ほど歩いて、そこで足を止めた。
やっぱり…おかしい。
先に進めば進むほど、人の手が加えられていない背丈の高い雑草が茂っているし、『野犬注意』なんていう壊れた看板も立っている。
絶対、こっちの道なんかじゃない。
そう思って、きた道を引き返そうとしたとき…。
頬に、冷たいなにかが当たった。
手をやると、それは水滴。
もしかしてと、木々で覆われた空を見上げようとしたら、一瞬のうちに大量の雨が降ってきた…!
「…夕立!?」
突然の雨に、わたしは必死に走った。
もともと草木が生い茂って薄暗い道だったから気づかなかったけど、空は黒い雨雲で覆い尽くされていた。
なんとか目に留まった大きな木の下に入って、わずかなスペースで雨宿りをすることに。
しかし、ここでふと思った…。
「あ…れ。ここって…どこ?」
辺りを見渡してみたけど、進んできたコースらしき道が見当たらない…!
どこもかしこも、背の高い草でうっそうとしていた。
探し回るにしても、まだ雨は止みそうにない。
リュックに入れていたスマホを見てみたけど、…ここは圏外だった。
つまり、コテージまでの経路を検索することもできないし、だれかと連絡を取ることすらできなかった。
雨は、一向に上がる気配がない。
スマホに表示された時間では、スタンプラリーの時間はとっくに終了していた。
だから、わたしがいないことにだれかが気づいてくれるはず。
そうして、きっと探しにきてくれるに違いない。
…だけど、こんなどこかもわからないような場所。
一体、だれが見つけてくれるというのだろうか。
芽依たちは、無事に帰れたかな。
ふと、芽依の顔が頭に浮かんだ。
わたしが、こっちの道をきて正解だったのかもしれない。
芽依は虫が大の苦手だから、こんな草まみれの道なんて通れなかったはず。
だから、わたしがきてよかった。
そう自分に言い聞かせて、孤独と不安で押し潰されそうな心を、なんとか励ますしかなかった。
スタンプラリーが終了して、1時間がたとうとしていた。
初めは、雨の湿気で蒸し暑いと思っていたものの、徐々に体が冷えてきて寒くなってきた。
太陽も傾き、もしかしたらこのまま夜まで見つけてもらえないんじゃ…。
そんな不安の波が押し寄せてきた。
雨は上がりつつあるけど、徐々に空が薄暗くなり始める。
思い描いていた最悪の事態が現実になるような気がして、わたしは恐怖で体が震えた。
「だれか…。だれかいませんか…!?」
わたしは、必死になって助けを呼んだ。
「道に迷いました!…助けてくださいっ!」
今出せる限りの力で、声を上げた。
どちらに進んでいいかもわからないわたしにとって、この場で声を上げることしかできない。
しかし、どれだけ叫んでも…返事が返ってくることはなかった。
わずかに残されていた希望は消え去り、わたしは絶望してその場にしゃがみ込む。
俯いて、目をつむった真っ暗な視界の中に、お父さんとお母さんの顔が浮かぶ。
「お父さん…、お母さんっ…」
涙声混じりで小さく呟く。
そして、次にふと頭に浮かんだのは…りっくんの顔。
「りっくん…りっくん…」
りっくんのことを思い浮かべるだけで、涙が溢れた。
だれにも見つけてもらえずに、もう二度とりっくんにも会えないんじゃないか…。
そんなことを考えていたから。
わたし、まだりっくんになにも伝えてないのに…。
『好き』って言えてないのに。
もし、願いが叶うなら――。
…今すぐにでも、りっくんに会いたい。
わたしは、そう心の中で呟いた。
――そのとき。
…カサカサッ
妙な音が、わたしの耳に入る。
驚いて目を向けると、茂みの草がわずかに揺れていた。
風で揺れているのではなく、その一箇所だけが不自然に動いている。
なにかがいるのは確かだった。
そういえばさっき…。
『野犬注意』と書かれた看板を見かけた。
…まさかっ。
わたしは恐怖で体が強張り、足に力が入らなかった。
逃げたいのに、その場にへたり込んでしまう。
茂みの揺れは徐々に大きくなり、なにかがこちらに近づいてきているのは明らかだった。
動けないわたしはゴクリとつばを飲み、ただその怪しげに動く茂みを見つめることしかできない。
…こわい。
逃げたい…!
そう思って、ギュッと目をつむり身構えた…そのとき!
「…しずくっ!!」
わたしを呼ぶ声が、雨上がりの静かな雑木林に響く。
その声に反応して、ゆっくりと目を開けると…。
そこには、わたしに駆け寄るりっくんの姿があった。
「り…、りっくん…!」
わたしは泣きながら、思わずりっくんに手を伸ばしていた。
「…しずく!こんなところで、なにしてんだよ…!」
「ごめん…。ごめんね…」
りっくんはその胸にわたしを抱き寄せると、両手を背中にまわしてギュッと抱きしめてくれた。
りっくんの匂い。
りっくんの息づかい。
りっくんの鼓動。
不安と恐怖で支配されていた心が、徐々にほぐれていくのがわかった。
スタンプを6つ集められなかったらいけないというわけではないけど、すべて集めた班にはちょっとした景品が用意されていた。
できることなら、その景品をゲットしたい。
だから、残り時間もあとわずかだけど、芽依たちは諦めていなかった。
わたしも、ここまできたのなら最後の1つを見つけたい。
だけど、地図を一切見せてもらえないから、わたしはただ3人のあとをついて行くしかなかった。
「先生、ヒントちょうだい~!」
芽依が甘えたように、先生にお願いする。
「…う~ん。それはちょっとできないけど、最後のスタンプはここからそう遠くないから、がんばったら今からでも間に合うかもよ!」
「ホント!?じゃあ、早く見つけなきゃ!」
「ありがとう、先生~!」
俄然やる気の出た3人は、地図とにらめっこしながら最後のスタンプ台を探すのだった。
その途中、偶然りっくんの班とすれ違う。
「しずくじゃんっ」
「…りっくん!」
りっくんに声をかけられ、思わず反応する。
「スタンプ、全部見つけられた?」
「ううん。最後の1つがまだで…」
という些細な会話でさえも、芽依はヤキモチを焼く。
「律希くんのところは、もう見つけたのっ?」
すぐさま、芽依が入ってきた。
「篠田さんも、しずくと同じ班だったんだ」
「もちろん!だって、あたしたち親友なんだからっ♪」
芽依が満面の笑みで腕を組んでくる。
りっくんに芽依とぎくしゃくしていることを悟られてはいけないと思って、わたしもなんとか笑ってみせる。
「俺たちの班はさっき全部揃って、今からコテージに戻るとこ。がんばって」
「ありがとう、律希くん!」
芽依は大きくりっくんに手を振り、りっくんの姿が見えなくなると、パッとわたしから腕を離した。
そして、何事もなかったかのように歩き出すのだった。
りっくんの班はスタンプを全部見つけたと話していたから、おそらく近くにあるはず…。
しかし、それと共に迫る時間。
3人の顔に、焦りの色が見え始める。
「…こうなったら、手分けして探すしかないねっ」
ぽつりと芽依が呟いた。
「しずく!」
後ろをついてきていたわたしのところにやってくる芽依。
「あたしたちはこっちの道を探すから、しずくは逆の道を探してくれない?もしスタンプ台を見つけたら、また戻ってきて」
そう言って、芽依が指差したほう…。
それは、木がうっそうと生い茂っていて、太陽の光があまり届かない薄暗い道だった。
これまでのハイキングコースはきれいに整備されていたけど、この道だけ雑草が好き放題に生えていて、『道』と呼べるのかどうかも怪しいところ。
だけど、ここは二手に別れている道だから、わたしにはこの道をたどって探してほしいと言う芽依。
パッと見て、こっちの道ではないような気はしたけど、時間も迫っているから、ここでもたもたするわけにもいかなかった。
「…じゃあ、わたしはこっちに行くね」
「ありがとう、しずく♪」
これまでの態度が嘘かのように、芽依はにっこりと笑ってくれて、わたしの手を握った。
まさか、こんな足場の悪い道を進むことになるとは思わなかった。
七分丈のズボンを履いてきてしまったせいで、素肌が見えているくるぶし辺りには、草木が擦れて細かな切り傷がいくつもできた。
一体、どこまで続いているのだろうか…。
10分ほど歩いて、そこで足を止めた。
やっぱり…おかしい。
先に進めば進むほど、人の手が加えられていない背丈の高い雑草が茂っているし、『野犬注意』なんていう壊れた看板も立っている。
絶対、こっちの道なんかじゃない。
そう思って、きた道を引き返そうとしたとき…。
頬に、冷たいなにかが当たった。
手をやると、それは水滴。
もしかしてと、木々で覆われた空を見上げようとしたら、一瞬のうちに大量の雨が降ってきた…!
「…夕立!?」
突然の雨に、わたしは必死に走った。
もともと草木が生い茂って薄暗い道だったから気づかなかったけど、空は黒い雨雲で覆い尽くされていた。
なんとか目に留まった大きな木の下に入って、わずかなスペースで雨宿りをすることに。
しかし、ここでふと思った…。
「あ…れ。ここって…どこ?」
辺りを見渡してみたけど、進んできたコースらしき道が見当たらない…!
どこもかしこも、背の高い草でうっそうとしていた。
探し回るにしても、まだ雨は止みそうにない。
リュックに入れていたスマホを見てみたけど、…ここは圏外だった。
つまり、コテージまでの経路を検索することもできないし、だれかと連絡を取ることすらできなかった。
雨は、一向に上がる気配がない。
スマホに表示された時間では、スタンプラリーの時間はとっくに終了していた。
だから、わたしがいないことにだれかが気づいてくれるはず。
そうして、きっと探しにきてくれるに違いない。
…だけど、こんなどこかもわからないような場所。
一体、だれが見つけてくれるというのだろうか。
芽依たちは、無事に帰れたかな。
ふと、芽依の顔が頭に浮かんだ。
わたしが、こっちの道をきて正解だったのかもしれない。
芽依は虫が大の苦手だから、こんな草まみれの道なんて通れなかったはず。
だから、わたしがきてよかった。
そう自分に言い聞かせて、孤独と不安で押し潰されそうな心を、なんとか励ますしかなかった。
スタンプラリーが終了して、1時間がたとうとしていた。
初めは、雨の湿気で蒸し暑いと思っていたものの、徐々に体が冷えてきて寒くなってきた。
太陽も傾き、もしかしたらこのまま夜まで見つけてもらえないんじゃ…。
そんな不安の波が押し寄せてきた。
雨は上がりつつあるけど、徐々に空が薄暗くなり始める。
思い描いていた最悪の事態が現実になるような気がして、わたしは恐怖で体が震えた。
「だれか…。だれかいませんか…!?」
わたしは、必死になって助けを呼んだ。
「道に迷いました!…助けてくださいっ!」
今出せる限りの力で、声を上げた。
どちらに進んでいいかもわからないわたしにとって、この場で声を上げることしかできない。
しかし、どれだけ叫んでも…返事が返ってくることはなかった。
わずかに残されていた希望は消え去り、わたしは絶望してその場にしゃがみ込む。
俯いて、目をつむった真っ暗な視界の中に、お父さんとお母さんの顔が浮かぶ。
「お父さん…、お母さんっ…」
涙声混じりで小さく呟く。
そして、次にふと頭に浮かんだのは…りっくんの顔。
「りっくん…りっくん…」
りっくんのことを思い浮かべるだけで、涙が溢れた。
だれにも見つけてもらえずに、もう二度とりっくんにも会えないんじゃないか…。
そんなことを考えていたから。
わたし、まだりっくんになにも伝えてないのに…。
『好き』って言えてないのに。
もし、願いが叶うなら――。
…今すぐにでも、りっくんに会いたい。
わたしは、そう心の中で呟いた。
――そのとき。
…カサカサッ
妙な音が、わたしの耳に入る。
驚いて目を向けると、茂みの草がわずかに揺れていた。
風で揺れているのではなく、その一箇所だけが不自然に動いている。
なにかがいるのは確かだった。
そういえばさっき…。
『野犬注意』と書かれた看板を見かけた。
…まさかっ。
わたしは恐怖で体が強張り、足に力が入らなかった。
逃げたいのに、その場にへたり込んでしまう。
茂みの揺れは徐々に大きくなり、なにかがこちらに近づいてきているのは明らかだった。
動けないわたしはゴクリとつばを飲み、ただその怪しげに動く茂みを見つめることしかできない。
…こわい。
逃げたい…!
そう思って、ギュッと目をつむり身構えた…そのとき!
「…しずくっ!!」
わたしを呼ぶ声が、雨上がりの静かな雑木林に響く。
その声に反応して、ゆっくりと目を開けると…。
そこには、わたしに駆け寄るりっくんの姿があった。
「り…、りっくん…!」
わたしは泣きながら、思わずりっくんに手を伸ばしていた。
「…しずく!こんなところで、なにしてんだよ…!」
「ごめん…。ごめんね…」
りっくんはその胸にわたしを抱き寄せると、両手を背中にまわしてギュッと抱きしめてくれた。
りっくんの匂い。
りっくんの息づかい。
りっくんの鼓動。
不安と恐怖で支配されていた心が、徐々にほぐれていくのがわかった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
元体操のお兄さんとキャンプ場で過ごし、筋肉と優しさに包まれた日――。
立坂雪花
恋愛
夏休み、小日向美和(35歳)は
小学一年生の娘、碧に
キャンプに連れて行ってほしいと
お願いされる。
キャンプなんて、したことないし……
と思いながらもネットで安心快適な
キャンプ場を調べ、必要なものをチェックしながら娘のために準備をし、出発する。
だが、当日簡単に立てられると思っていた
テントに四苦八苦していた。
そんな時に現れたのが、
元子育て番組の体操のお兄さんであり
全国のキャンプ場を巡り、
筋トレしている動画を撮るのが趣味の
加賀谷大地さん(32)で――。
もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
泉南佳那
恋愛
イケメンカリスマ美容師と内気で地味な書店員との、甘々溺愛ストーリーです!
どうぞお楽しみいただけますように。
〈あらすじ〉
加藤優紀は、現在、25歳の書店員。
東京の中心部ながら、昭和味たっぷりの裏町に位置する「高木書店」という名の本屋を、祖母とふたりで切り盛りしている。
彼女が高木書店で働きはじめたのは、3年ほど前から。
短大卒業後、不動産会社で営業事務をしていたが、同期の、親会社の重役令嬢からいじめに近い嫌がらせを受け、逃げるように会社を辞めた過去があった。
そのことは優紀の心に小さいながらも深い傷をつけた。
人付き合いを恐れるようになった優紀は、それ以来、つぶれかけの本屋で人の目につかない質素な生活に安んじていた。
一方、高木書店の目と鼻の先に、優紀の兄の幼なじみで、大企業の社長令息にしてカリスマ美容師の香坂玲伊が〈リインカネーション〉という総合ビューティーサロンを経営していた。
玲伊は優紀より4歳年上の29歳。
優紀も、兄とともに玲伊と一緒に遊んだ幼なじみであった。
店が近いこともあり、玲伊はしょっちゅう、優紀の本屋に顔を出していた。
子供のころから、かっこよくて優しかった玲伊は、優紀の初恋の人。
その気持ちは今もまったく変わっていなかったが、しがない書店員の自分が、カリスマ美容師にして御曹司の彼に釣り合うはずがないと、その恋心に蓋をしていた。
そんなある日、優紀は玲伊に「自分の店に来て」言われる。
優紀が〈リインカネーション〉を訪れると、人気のファッション誌『KALEN』の編集者が待っていた。
そして「シンデレラ・プロジェクト」のモデルをしてほしいと依頼される。
「シンデレラ・プロジェクト」とは、玲伊の店の1周年記念の企画で、〈リインカネーション〉のすべての施設を使い、2~3カ月でモデルの女性を美しく変身させ、それを雑誌の連載記事として掲載するというもの。
優紀は固辞したが、玲伊の熱心な誘いに負け、最終的に引き受けることとなる。
はじめての経験に戸惑いながらも、超一流の施術に心が満たされていく優紀。
そして、玲伊への恋心はいっそう募ってゆく。
玲伊はとても優しいが、それは親友の妹だから。
そんな切ない気持ちを抱えていた。
プロジェクトがはじまり、ひと月が過ぎた。
書店の仕事と〈リインカネーション〉の施術という二重生活に慣れてきた矢先、大問題が発生する。
突然、編集部に上層部から横やりが入り、優紀は「シンデレラ・プロジェクト」のモデルを下ろされることになった。
残念に思いながらも、やはり夢でしかなかったのだとあきらめる優紀だったが、そんなとき、玲伊から呼び出しを受けて……
ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?
春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。
しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。
美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……?
2021.08.13
二人の甘い夜は終わらない
藤谷藍
恋愛
*この作品の書籍化がアルファポリス社で現在進んでおります。正式に決定しますと6月13日にこの作品をウェブから引き下げとなりますので、よろしくご了承下さい*
年齢=恋人いない歴28年。多忙な花乃は、昔キッパリ振られているのに、初恋の彼がずっと忘れられない。いまだに彼を想い続けているそんな誕生日の夜、彼に面影がそっくりな男性と出会い、夢心地のまま酔った勢いで幸せな一夜を共に––––、なのに、初めての朝チュンでパニックになり、逃げ出してしまった。甘酸っぱい思い出のファーストラブ。幻の夢のようなセカンドラブ。優しい彼には逢うたびに心を持っていかれる。今も昔も、過剰なほど甘やかされるけど、この歳になって相変わらずな子供扱いも! そして極甘で強引な彼のペースに、花乃はみるみる絡め取られて……⁈ ちょっぴり個性派、花乃の初恋胸キュンラブです。
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。
だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。
車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。
あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。
イケメン御曹司、地味子へのストーカー始めました 〜マイナス余命1日〜
和泉杏咲
恋愛
表紙イラストは「帳カオル」様に描いていただきました……!眼福です(´ω`)
https://twitter.com/tobari_kaoru
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私は間も無く死ぬ。だから、彼に別れを告げたいのだ。それなのに……
なぜ、私だけがこんな目に遭うのか。
なぜ、私だけにこんなに執着するのか。
私は間も無く死んでしまう。
どうか、私のことは忘れて……。
だから私は、あえて言うの。
バイバイって。
死を覚悟した少女と、彼女を一途(?)に追いかけた少年の追いかけっこの終わりの始まりのお話。
<登場人物>
矢部雪穂:ガリ勉してエリート中学校に入学した努力少女。小説家志望
悠木 清:雪穂のクラスメイト。金持ち&ギフテッドと呼ばれるほどの天才奇人イケメン御曹司
山田:清に仕えるスーパー執事
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる