ショートショート集「どうしてこうなった高校」

テストの点数がほしくて闇取引した結果

　一学期の国語の期末テストで赤点だったため、僕は再テストを控えていた。
　しかしどうにも漢字をうまく覚えられない。
　赤点をかわすため僕は、最終手段に出た。

　僕は高校近くの雑貨屋の裏にいた。
　そこには国語の谷口先生がいる。
「何を忘れないようにしてほしいんだ？」
「高校1年生の一学期に習った漢字です」
　僕は2万円を、谷口先生に差し出す。 
　僕は黒いマッサージチェアー的なものに寝かされ、頭にカーキ色のヘルメットのようなものを被される。ヘルメットはたくさんのコードで機械につなげられていて、作動するなり僕の頭に凄まじい刺激を与えた。頭蓋骨が砕けそうなぐらい痛かった。

「一学期に習った漢字の9割を記憶に刻み込んだ。その読み方と書き方は、一生忘れずに済むぞ」
　谷口先生が少し僕に微笑みかけた。しかしすぐにシリアスな顔で、こう付け加えた。
「ただしこの夏休みは2万円分、この雑貨屋でビシバシ働いてもらうよ」