私の世界

るい

文字の大きさ
上 下
12 / 12
とある女生徒の想い

8

しおりを挟む
結果として、私はスマホを没収された。
1学期の期末テストの成績が、中間テストより下がってしまったのだ。
 
今までは、未成年向けのフィルターが入っている、普通のスマホだったのだが、
GPSのついた、お子様ケータイになってしまった。
 
私から連絡ができるのは、両親と姉の3人だけで、メッセージを送ることもできない。
 
前に使っていたものは、名義が父だったこともあり、
父がサブとして使うことなった。
 
高校受験が終わったら返してくれるらしい。
 
 
このことで、親と大喧嘩になったが、
私の将来のことを踏まえて、進学とか金銭的なこととかも含めて全部話し合って、
最終的には、私も納得した。
 
 
不満はあったが、どこかホッとした。
これで、あのくだらないメッセージのやり取りに時間を使わなくて済むのだ、と。
 
全てを親のせいにして、逃げることができるのだ、と。
 
 
クラスの友人にことの顛末を話したら、微妙な顔をされたが、特に関係性が変わることはなかった。
もちろん、表面上は、だが。
 
彼女たちが、スマホの中で私をどう言っているのか、は何となくわかっていたが、気づかないふりをしていたし、
いわゆる、クラスの裏サイトで何を言われているかも知っていたが。
 
私にはそれを見ることができないので、知らないふりができた。
 
むしろ、それらを少し遠くから見ることができたためなのか、他人事のように感じる。
彼女たちが私を悪く言っているのは、ネットの中だけで、現実世界では普通だった。
 
何というか。
馬鹿らしいと感じてしまったのだ。
 
何で、こんな人たちとの関係を保つために、あんなに頑張っていたのだろうか。
それこそ、無駄な努力であった。
 
 
クラスの裏サイトで、自分がひどい事を言われている事を知っていても、
それを直に見ていないので、どうでもいいというか、むしろ現実世界での彼女たちの態度を面白いとすら感じてしまった。
 
 
その後、成績は戻った。
いや、以前よりも勉強が楽しくなって、2学期の期末テストでは学年1位になった。
 
そのことでも、裏サイトでは悪口のオンパレードだったらしいが、私は見ていなかったので、知らぬことでいられた。
 
私は志望校に見事合格して、中学を卒業し、高校に入って心から楽しいと思える学校生活を送った。
 
 
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...