私の世界

るい

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とある女生徒の想い

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彼女が不登校になったと知ったのは、かなり早い時期だった。
担任と揉めていることは有名だったし、その間も彼女は学校へ来ていなかったから。
 
本当なら、その時点で彼女に連絡をするべきだったのだと思う。
 
ただ、心配という気持ちよりも、嘲る気持ちや興味の方が強くて、なんとなく連絡しづらかったのだ。
正直なところ、クラスは違ってもたまに話をする関係だったのに、噂を聞くまで何も知らなかったことが腹立たしかったから。
 
 
彼女に連絡したのは、2ヶ月ほど経ってからだった。
気になっていたのは本当だけど、同じクラスの友人たちに「連絡先、知ってるんでしょ。色々聞いてみてよ」と言われたからだった。
昼休みに、彼女たちと一緒に文面を考えて、送った。
 
すぐに返信が来て、
フリースクールに在籍したこと、中学卒業試験を受けるために自宅で勉強すること、
さらに通信制高校に進学して、高校卒業資格を取って、大学へ進学するつもりでいる、と教えられた。
 
最後に「私にはこの方法が合っているみたい」とあって、それを見ていた他の人たちも、面白がっていた分、腹が立ったようだ。
 
 
不登校になったという時点で、人生の堕落者になったというイメージを持っていたけれど、
彼女の文面からは、そんな雰囲気は微塵も感じなくて、むしろ生き生きとしているようだった。
 
 
「学校に来れなくなったくせに、何言ってるんだか」
「強がっているだけでしょ」
「どうせ、無理よ」
 
 
そんな言葉を聞きながら、「ああ、彼女なら、できるのだろうな」と思った。
 
 
あの日、本屋のカフェで見た彼女の笑顔が頭に浮かぶ。
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