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とある女生徒の想い
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中学1年生のとき、同じクラスだった子が不登校になったと噂で聞いた。
仲が良かったというか、同じクラスだから、交流があったくらいで、
実を言えば、彼女のことが好きではなかった。
同じ小学校ではなかったけれど、席が隣になったことがきっかけで、
何人かと一緒にいることが多くなって、遊びに行くことも何度かあった。
可愛い子だと思ったけれど、それを鼻にかけることはないし、大人しいというか、根暗な感じもあったりして、
見た目だけなら、クラスの中で目立っている子たちとつるんでいそうなのに、
私たちのような、クラスのカースト下位と一緒にいることが合っている感じだ。
彼女と仲良くなりたいと思っていたし、
だから親睦を深めようと、休みの日に遊びに誘った。
何度か一緒に遊びに出かけたけれど、彼女は楽しそうではなかった。
楽そうに笑ってはいたけれど、それが嘘であることに、なんとなく気づいていたけれど、
気づかないふりをしていた。
雑貨屋にも行ったし、クレープも食べた。
お揃いのものも買ったし、クレープだってお互いのものを一口貰ったりして。
お揃いで買ったぬいぐるみのキーホルダーだって鞄につけて来てくれたし、
遊びに行こうと誘えば、「このお店、いいんじゃない?」と提案もしれくれていたから、
彼女も私と遊ぶことを、楽しみにしているのだと思っていた。
いや、思いたかったのかもしれない。
あるとき、駅で彼女と別れた後、家に帰る途中で妹から連絡が入った。
予約してある漫画を、本屋から貰ってきて欲しい、と。
お金は事前に払ってあるから、品物だけ貰ってくればいいらしい。
私も読みたいものだったから、駅前の本屋まで引き返した。
そこで、私は、彼女を見つけたのだ。
その本屋には、カフェスペースがある。
専門的なドリンクがあるわけではないが、ドリンクバーの料金で入ることができて、カップで出てくるタイプの自販機が並んでいる。
クッキーなどが買える自販機もあるので、セルフカフェみたいなものだ。
利用時間は1グループ2時間までとなっているが、
ドリンクバーを新たに購入すれば延長できるらしい。
利用したことはないけれど、書店スペースからガラスで仕切られているだけで、
そこで勉強している人や、本を読んだり、おしゃべりしている人が見えるので、
利用する人は、そこそこ多いらしい。
そのカフェで、彼女は大学生くらいの女の人と楽そうにお喋りをしていた。
あの女の人は、確かこの書店で働いているバイトだ。
何度かレジで会ったことがある。
私と一緒に街を歩いていた時とは、全く違う顔で笑っている。
その時、私に見せていた顔が、嘘なのだと理解した。
彼女は私に合わせてくれていただけで、楽しいわけではなかったのだ、と。
思い返して見れば、遊びに行こうと誘うのは、いつも私で、行く場所を決めるのも、
食べるものを決めるのも、私だった。
彼女が「このお店、いいんじゃない」と提案してくれたお店は、美味しいスイーツのお店で、フルーツジュースが美味しくて、
それも、私が好きなものだ。
そういえば、彼女は休み時間にチョコレートや飴を食べていることは多いけれど、
飲み物は、全部無糖だった。
水筒の中身は、緑茶や紅茶、ハーブティー。
学校の自販機では、いつも無糖のカフェオレや、お茶を買っている。
彼女と仲良くなりたいと思っていたけれど、
私ばかりが楽しくて、気を遣われて、彼女は付き合ってくれていただけ。
それ以来、彼女を遊びに誘うことは無くなった。
別の友達を誘って遊びに行くようになって、それを学校で話しても、彼女はなんとも思っていないようで、
むしろ、誘われなくなってホッとしているような雰囲気だった。
嫌われているとは感じていない。
でも、好かれているわけではないのもわかる。
ただ、同じクラスだから、一緒にいるだけ。
友達になりたかったのは、私だけだった。
ふざけるな、悔しい、寂しい、そんな感情は強かったけれど、
それでも、彼女に惹かれていたし、嫌いになることはできなかった。
だから、彼女を無視したりすることはできなくて、
仲良くしたいと思っていたけど。
彼女に、私は必要ではないのだ、と理解してしまったことが、つらい。
仲が良かったというか、同じクラスだから、交流があったくらいで、
実を言えば、彼女のことが好きではなかった。
同じ小学校ではなかったけれど、席が隣になったことがきっかけで、
何人かと一緒にいることが多くなって、遊びに行くことも何度かあった。
可愛い子だと思ったけれど、それを鼻にかけることはないし、大人しいというか、根暗な感じもあったりして、
見た目だけなら、クラスの中で目立っている子たちとつるんでいそうなのに、
私たちのような、クラスのカースト下位と一緒にいることが合っている感じだ。
彼女と仲良くなりたいと思っていたし、
だから親睦を深めようと、休みの日に遊びに誘った。
何度か一緒に遊びに出かけたけれど、彼女は楽しそうではなかった。
楽そうに笑ってはいたけれど、それが嘘であることに、なんとなく気づいていたけれど、
気づかないふりをしていた。
雑貨屋にも行ったし、クレープも食べた。
お揃いのものも買ったし、クレープだってお互いのものを一口貰ったりして。
お揃いで買ったぬいぐるみのキーホルダーだって鞄につけて来てくれたし、
遊びに行こうと誘えば、「このお店、いいんじゃない?」と提案もしれくれていたから、
彼女も私と遊ぶことを、楽しみにしているのだと思っていた。
いや、思いたかったのかもしれない。
あるとき、駅で彼女と別れた後、家に帰る途中で妹から連絡が入った。
予約してある漫画を、本屋から貰ってきて欲しい、と。
お金は事前に払ってあるから、品物だけ貰ってくればいいらしい。
私も読みたいものだったから、駅前の本屋まで引き返した。
そこで、私は、彼女を見つけたのだ。
その本屋には、カフェスペースがある。
専門的なドリンクがあるわけではないが、ドリンクバーの料金で入ることができて、カップで出てくるタイプの自販機が並んでいる。
クッキーなどが買える自販機もあるので、セルフカフェみたいなものだ。
利用時間は1グループ2時間までとなっているが、
ドリンクバーを新たに購入すれば延長できるらしい。
利用したことはないけれど、書店スペースからガラスで仕切られているだけで、
そこで勉強している人や、本を読んだり、おしゃべりしている人が見えるので、
利用する人は、そこそこ多いらしい。
そのカフェで、彼女は大学生くらいの女の人と楽そうにお喋りをしていた。
あの女の人は、確かこの書店で働いているバイトだ。
何度かレジで会ったことがある。
私と一緒に街を歩いていた時とは、全く違う顔で笑っている。
その時、私に見せていた顔が、嘘なのだと理解した。
彼女は私に合わせてくれていただけで、楽しいわけではなかったのだ、と。
思い返して見れば、遊びに行こうと誘うのは、いつも私で、行く場所を決めるのも、
食べるものを決めるのも、私だった。
彼女が「このお店、いいんじゃない」と提案してくれたお店は、美味しいスイーツのお店で、フルーツジュースが美味しくて、
それも、私が好きなものだ。
そういえば、彼女は休み時間にチョコレートや飴を食べていることは多いけれど、
飲み物は、全部無糖だった。
水筒の中身は、緑茶や紅茶、ハーブティー。
学校の自販機では、いつも無糖のカフェオレや、お茶を買っている。
彼女と仲良くなりたいと思っていたけれど、
私ばかりが楽しくて、気を遣われて、彼女は付き合ってくれていただけ。
それ以来、彼女を遊びに誘うことは無くなった。
別の友達を誘って遊びに行くようになって、それを学校で話しても、彼女はなんとも思っていないようで、
むしろ、誘われなくなってホッとしているような雰囲気だった。
嫌われているとは感じていない。
でも、好かれているわけではないのもわかる。
ただ、同じクラスだから、一緒にいるだけ。
友達になりたかったのは、私だけだった。
ふざけるな、悔しい、寂しい、そんな感情は強かったけれど、
それでも、彼女に惹かれていたし、嫌いになることはできなかった。
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彼女に、私は必要ではないのだ、と理解してしまったことが、つらい。
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