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反撃編
積み重なる変化
しおりを挟むこの世界は…いや、この国は一応国王陛下が治める国、そして貴族という制度がある世界だ
貴族の爵位は前世の記憶と同じではある…その辺は乙女ゲームが舞台だから、それも関係しているとは思うが…
普通に考えて庶民は貴族に対して礼儀を持って接する
貴族であって爵位が上の者に対しては礼儀を持って接するのが普通…なのだが、桃香にはそれすらわからないらしい…
『この国を、みんなを救おうとするあたし、聖女に対してルディヴィス様は酷いの…平然と虐めとかしてくるんだよ?
マイケルくんも酷いって、そう思うよね…?』
そう言って自分に詰め寄って来ました!
と、今朝マイケルに報告を受けた…
最近になって実は侯爵家の人間なんです!って驚きの事実と共に、「ルディヴィス様含め、若い子が未来に向かって頑張ってる姿応援したいです」って最近は聖女が使う好感度アップ?の香水について調べてくれてたりする
現在、聖女に揺さぶりをかけ始めてから早1週間が過ぎている
徐々に徐々にエスカレートする桃香の行動に手応えを感じつつ、失態まではまだ足りない状況だ
あいつが何をしたいのか把握する為には好感度アップアイテムの出所についても知る必要があったから、マイケルの゙手助けは本当にありがたい
シャルティの護衛は聖女へ接触禁止令を出しているヘルリに任せた事で空いた時間を使って、夜会等に参加して色々情報を持ち帰ってくれる優しいマイケル…彼は三十路過ぎてるとは思えない程、イケメンで…服装を変えれば20代前半にも余裕でみえる
そんな超イケメンのマイケルを、桃香は攻略対象じゃないけど手中に収めたいと考えているようだ
「恐ろしくあの香水臭くて死にそうでしたけど、頑張って紳士な対応してきましたよ!はぐらかしてはぐらかして…
あれが妹で居たと思うとルディヴィス様…前世という世界で多分胃に穴が空いてたんじゃないですかね?あ、中々興味深い話も仕入れてきました!こちらをどうぞ!」
ちょっと正解まで言い当ててきて怖!と思いつつ、冗談を話しながら、マイケルから夜会で得た資料を受け取った
「夜会にいる聖女…か……マイケル辛い所、情報収集ありがとう…助かるよ」
「いえいえ、なんて事ありません
まさか夜会に本人が居るとは思いませんでしたよ」
おれもシャルティも日中のガーデンパーティーには参加するが、夜会は基本成人してから参加する…だからマイケルに怪しい商人とかの情報を得てもらうため、夜会に参加してもらったのだが…偶然聖女本人が居たのか…?
庶民の出、更には聖女という存在は普通の貴族の常識は通じないのかもしれない
マイケルに感謝を述べ、1人自室に籠もる
シャルティ達と一緒に見るのも一つの選択だが、前世の妹への対応はおれがすべき事だから…得られた事実から必要な部分をみんなと共有すればいい
そう思い、少しぶ厚めの資料を読む
最初の文から頭が痛くなるが読み進めるしかない…おれは前世の妹が聖女だという事実すら苦痛なのに、桃香の行動はやはり、おれの想像の斜め上を行くんだもの…
夜会での聖女の反応、聞き込みの結果
・聖女は一応正体を隠し夜会へ参加
しかし、夜会にて露出度のかなり高いドレスを身に纏い、見た目の可愛さで異性を誘惑、虜にしている様子が伺えた、見目のいい貴族へ積極的に話しかけている
・会場にお忍びで来ている第二王子の姿は無し、内緒で来ていると話す
・さらに聖女の発言から、レルム伯爵に内緒で夜会に参加している模様
・夜会参加、ドレス等の装飾品を手引きしているのはミッドレス男爵、ダマンタ侯爵と判明
・他にも複数貴族が聖女を手助けしている可能性大
・そのどれもが家族を聖女に救われている、異常なまでに聖女に心酔している様子もあり
・例の香水に関しては素晴らしい香りだと大絶賛
・例の香水に関して、取り扱い商人までは分からなかったがミッドレス男爵からの情報で一般に出回っていない事が判明、個人が作成している可能性もあるとの事
・夜会の会場で治癒する相手を探している様子もあり
異世界転生してまでなんで男漁りしてんだよあの女…資料を読んで感じたとりあえずの気持ちだ
これまでの様子とルイ王子の話通り、聖女に治癒された家族のいる貴族は聖女に心酔している傾向があるのは事実
それが好感度アップの香水効果が大きく反映したものなのか、治癒された事実がそうされてるのか…?
第二王子やレルム伯爵家にも内緒で夜会に参加する理由は聖光魔法を使う相手を探しているからなのか?てか、正体隠してるのに男漁りしてたら元も子もない気がするんだが?
駄目だ、前世で人の家に勝手に友人たち呼び込んで朝まで宅飲みして、後片付けを全部仕事前のおれに投げつけてきた事を思い出してしまった…
桃香に対して感じる感情が不快と嫌悪しかない
ズキリと痛みを感じ、自分の腕を見る
そう言えば…今日のコレ、そのままだったな
服を捲ると腕には火傷、赤く爛れ…水ぶくれができていた
今日も食堂で聖女からぶつかってくるって接触を受けて…わざと熱湯入れてきたのかって思う程熱いコーヒーを掛けられたんだっけ?
おれに付いている影に見せるように、暫くの間腕の火傷を見つめる
まだ足りない…この程度なら揉み消せてしまう…
けどさ…おれがもしも前世の兄じゃなかったらどうするんだよ?万が一おれじゃなかったら…
誰かを傷つける事が怖いって無いのか?桃香…
聖女、お前は大切なみんなに関わり合って欲しくない…乙女ゲームのヒロインだろうが知らねぇ、こっちに来ないで欲しい…
桃香の毒牙からみんなを守りたい…乙女ゲームの展開を変えるじゃ足りない…みんなには幸せになって欲しいんだ…
おれから大切なモノを奪わないでくれよ…お願いだから…………
おれの全身は桃香との接触で至る所に火傷と打撲痕がある、あえて治さずそのまま残している事…シャルティやレオンハルト殿下達には知らせていない
言ったら怒られそうだ…必要な事だとしても止めてっていわれそうだから…絶対言わない
桃香の事が解決したらこんな事しないから…今だけ許して欲しいんだ
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