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反撃編

大切だからこそ

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Side マイズ




聖女の正体が判明した歓迎会前日、私はルイ王子とある取引をしていた
その件について、歓迎会終了後に親友であるレオンハルトには表面上だけつたえたが同じく親友のルディヴィスには言えずにいる

いや、言うことがまだ出来ない…と言うべきか…



何故、王子と取引をする事になったか…それは私の見た目も話し方も何もかもがとんでもなく好きだと、歓迎会前に呼び出されて…
ルイ王子に推し?として崇拝していいですかと、謎の全肯定される状況があった
そこで、少し気になっていた乙女ゲームでの自分が今とどう違うか、その在り方を教えて貰ったのかそもそものきっかけだ



ルイ王子は少し言いにくそうに教えてくれた…乙女ゲームでのマイズ.エースメイスという存在は、例えるなら蛾のような存在だったと
光の聖女、ヒロインである乙女に自身の闇の力を照らす光を貰い、光に群がる蛾のように狂気じみた忠誠を誓い始める内面を持った男…
光属性で無いことを嘆き、女好きで自分の寂しさを他者に依存することで解消するような男…
依存した相手に対して深く闇のような愛情を注ぐ美しい男だという事実



それが乙女ゲームでの私だった


今の私と全然違う…ルディヴィスに出会い自分の闇属性を受け入れた私とは似ても似つかない…知らない私

ルイ王子に今の…闇を受け入れた私の子どもの頃の話を聞きたいとせがまれ、ルディヴィスと出会った日の事、ピザとピザ窯を初めて知った時のこと、ルディヴィスと過ごす時間が何よりも好きである事…レオンハルトとルディヴィス2人と親友同士であることを話した
その話を聞いてルイ王子はまるで自分の事のように嬉しそうに…楽しそうに聞いてくれたが、私がルディヴィスへ思いを寄せているって事を知ると…悲しい顔をしたのだ



「マイズさんはルディヴィスさんが大好きなんですね?うん、うん…!!すごくピュアでいい…!最高!
………………でも、彼はレオンハルト殿下の婚約者でしたよね?あの………マイズさん物凄く言いにくい事、言ってもいいですか?

たぶん、聖女ではなく現状ルディヴィスさんがマイズさんにとってのヒロイン枠なのだとしたら…その気持ちはそのまま置いておくとバッドエンドに向かいます………
レオンハルト殿下とヒロインを奪い合い、闇落ちするエピソードがマイズさんルートには用意されてるんです…あの乙女ゲーム、制作陣の性癖が歪んでるから…このまま好きな気持ちでいたらマイズさん、破滅しちゃうかも…っ!!!」



そう早口で、ルイ王子は楽しそうな顔から絶望したような表情になりつつ語る
乙女ゲームでは自分が相手に依存している事に気付いていないマイズは、ヒロインを奪われるかもしれないと…知らず知らずの内に闇の魔法を暴走させ、ヒロインと心中しようとするエピソードなどがあるらしい
一人の相手を皆が好きになる場合、誰かと結ばれれば残りは敗者だと…捨てられたと…暴走する

ここは乙女ゲームじゃない、私は私であって乙女ゲームのマイズじゃない…
しかし、ルディヴィスへ思いを寄せていると話す私の表情は乙女ゲームのマイズによく似ていて不安になったとルイ王子はボロボロ泣きながら教えてくれた

ルディヴィスと違って何度も何度も好きなキャラの部分は特に念入りに、乙女ゲームを全てのルート攻略した事があるルイ王子だからこそ…
乙女ゲームで見えるスチル?での表情差分で印象に残った部分を覚えているのだと言う

私の場合、自分でも気付いていなかったが依存している相手について奪われるかもしれないと考えた時に瞳が黒く濁るそうだ


ちがう、私はそんな感情を持ち合わせていない!!依存など、みんなと平和に過ごすことが好きなのにそんな事を奪う奪われるなど考えた事はない!
そう…反論したかった…
けど、ルイ王子の話を聞いて心に浮かんだのは深く闇のような愛情って部分が他人事に聞こえない事…知らず知らずの内に依存しているという無意識の感情が無いと自信を持って言えない自分がいる…



ルディヴィスが言っていた、時々強制力があるのだと…どの程度なのかわからない…でもヘルリやシャルティには強制力が発動してしまった事がある…だから怖いと…
もしも、私に対する強制力がルディヴィスへの依存だったら?私はルディヴィスの幸せをどの様な形になっても祝えるのだろうか…?

私はルディヴィスにこれ以上思いを寄せてはいけない
彼を大切に思うなら私は今のままの関係ではいけないんだ…



「ルイ王子、貴方は私の事が推し?なんですよね…何でも協力してあげたい…その言葉に嘘はないですか?
推し、それは好きとある意味同義ですか?」

「んぇっ?内容にもよりますけど、何でも推しの為なら課金したい強めの意思はあります…よ?
好き………好きかって言われたらマイズさん抱いて!!って気持ちはあります…はい…」



私はルイ王子に取引を持ち掛けた
私の中に私の知らない依存と狂気に満ちたマイズという存在がいるかもしれないえ…それを確かめる為にもルイ王子に協力して欲しいと



「ルディヴィスへの気持ちは失恋したと割り切ります、…依存以前に取引で恋愛的に好きになれるかわかりませんが、好き好きと好意を素直見せてくれるルイ王子ともっと仲良くなりたいのは本音です…だから…協力して下さいませんか?」


「ふぉおわぁっ!!!!!勿論いいですよ!?!?え、推し眩しいっーー!!!尊いーー!!!」




ルイ王子と交わした取引は2つ

1つ目は私と婚約者候補関係となり、親密な関係になった上で私にルイ王子への依存の色が見えるようになるか、乙女ゲームのマイズに近しい行動を起こすのか、強制力がどのタイミングで出る可能性があるかを観察して欲しい事

2つ目はイグニスと調査中のルディヴィスが作った品に宿る聖光魔法に似た力…その真実を彼と同じ異世界転生者であるルイ王子にも調査を手伝って欲しいと言う事


申し訳ない気持ちもあるが、私には守りたい物が沢山あるんです…まだ出会って間もないけどルイ王子だって不幸になってほしくない気持ちは本当、…だから…




「あの…本当にいいんですか?マイズさん…僕的にはまじでドストライク過ぎて美しいマイズさんとなら偽りでも全然物凄く嬉しいんですけど、なんか申し訳ないっていうか…
マイズさんがルディヴィスさんの事…失恋したとかいっても本当に好きだってわかるから…ゲーム抜きに考えると…なんか…」

「…………いいんです、こちらこそ隣国の王子相手におかしな取引を持ち掛けてしまいすいません
報酬…と言ってはなんですが、婚約者候補同士で認められてるキスもハグも沢山しましょうね?」

「うぐぅっ!!!!打算的ーって思っても嬉しい!依存も僕相手なら万が一しても全然オッケーなんで!マイズさんになら監禁されても全然平気です!これからよろしくお願いします!!」




今回の件は偽りではない
わが国と隣国で結ばれる正式な物になる
互いに打算的な契約とも言える取引…端から見たら酷いものだろう…
しかし、これでいい…これでいいんです











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