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陽動編
お茶会日和 中編
しおりを挟む前世の知識的にお茶会とは
主に女性が主役とも言える、イブニングドレスで着飾って社交と噂と流行りの話で盛り上がる素晴らしい午後のひととき…そんなイメージがあったが、おれがこの世界に転生して男でもそれなりに茶会を開くことを学んだ
主に、レオンハルト殿下の婚約者候補になった時、リジャール王妃から
男でも王妃になれる時代、お茶会だって男女関係なく開くし、隣国では女性でも爵位を継ぎ領地を治めているという話はとても興味深い話だった事を今でもしっかり覚えている
「過去には男性は茶会に時々呼ばれるだけでした、しかし今現在、男性が茶会を開いて悪いと言うことはありません
それこそルディヴィスが主催し、レオンハルトを是非とも呼んであげて欲しい…
あの子を大切に思えば思う程、本当に肩の力を抜ける場面を多くは与えられないのです…できればあの子の憩いの場になってくれませんか…?」
そう、悲しそうに言う姿は国を支える国母としての責務も大きい中、男でも一人の母として我が子を愛したい母の悩みを打ち明けてくれたのだろうって今ならわかる
あの頃の幼いおれは、社畜が混ざり合っている途中だったから王妃様も社畜なのか…時間がないって辛いよな…任せとけ!息抜きにお茶会くらい開いてやるよ!とか考えていたっけな…
イグニスの「おかわり!」って元気な声で、思い出に浸ってた状態から現実に引き戻される…
お茶会でおかわりってなんだよ!?とイグニスを見ると、どうやらサングイス公爵家お抱えのシェフ作のプリンもどきが相当美味しかったみたいだったようでおかわりしていた…よそのお家じゃやっちゃ駄目だよイグニス!
……………元気なイグニスを見つつ、なんで昔の事を思い出してたんだろ…ってよく考えると、おれの主催するお茶会いつも野郎ばっかりの男子会な事に気付いてしまったのだ
いつも、シャルティ以外にとんでもなく可愛いマイズが居るけど、圧倒的に女子の居ないお茶会を繰り返している
ペトラ母様やシャルティ主催はもちろん女性メインな訳だが、おれが主催すると乙女ゲームの攻略対象者+一般的な野郎の友達…うん、むさ苦しい気がする
男子会も楽しいんだよ!ケーキの代わりにチキンもどきナゲットが出るけど!
しかし今日は違う…改めて考えると本日は女性陣がいる!!だから会話が華やかなのか!?なんか雰囲気がうふふ♡ほほほ♡みたいな…いつもと違うお茶会になっている気がするのか!?
男子会じゃないのもいいな…これはこれで楽しい…心が躍る
「まぁ!このクッキーとてもおいしいですわ!それにすごくいい香り…シャルティ様、これはどちらのお店の商品ですの?」
「そのクッキー、実はお義兄様とイグニスが共同開発中のクッキーなんです、生地に紅茶とナッツが練り込んであるとか…」
ほら、聞いてご覧よマイケル、ヘルリ!シャルティはいつも可愛いけど、女子の会話も可愛いんだけど!?クッキーで盛り上がってるよ!?優雅でございましてよ!?
男子会なお茶会だとイケメンが華やいでる以外は、優雅?な男の集い…ケーキやクッキーよりも軽食をメインに出してるから物凄く新鮮に感じる…
おれが作ったカトラリーセットを可愛いね綺麗だねって使いながらお茶会楽しんでくれるのが嬉しい
てか、女子ってやっぱり可愛いよな…まぁ、リジャール王妃やマイズレベルも中性的でも可愛いし、綺麗だと思うけど…
今日のお茶会開始から、隣に座ってるおれの手を時々握りながらニコニコしているレオンハルト殿下…殿下は女子可愛いとか思わないのかな?
なんやかんやあって、婚約者になって陽動とはいえキスはしたし…このまま行くとおれ、次期王太子妃ポジになりそうだけど、本気で野郎だよ?胸も揉む所無いよ?股間におんなじ物付いてるけど受け入れられるのか?
微笑みだけは王妃様直伝に社畜の営業スマイルを足した感じだからそこそこイケてるはずだけどさ
元々が乙女ゲームな事もあるから余計に大丈夫?眼科いく?って思ってしまうんだ
そんなおれの気持ちは全く知らないと言うようにイケメンスマイルを振りまく彼はとてもご機嫌なようだった
「気兼ね無く過ごせるこの茶会、やっぱり好きだな」
って爽やかに笑うから…嬉しいしか思えなくなるんだよ
もさもさ先輩を挟んでガルロ先輩とマイズが何かを話したり、おれと共同開発しているクッキーが女子に公表で嬉しいってネオイグニスくんと肩を組んで喜ぶイグニス、公爵家ってこんな所なんだと驚きと緊張でほっぺいっぱいにケーキを詰め込んでしまった1年生の後輩くん達…
ラッジ先生達はマイケルからサングイス公爵領で作ってるワインを飲んでいたり、女子同士のお洒落な可愛い話で微笑むシャルティと可愛い女子の皆さんが笑いあってたり…
それぞれが各々優しい日差しの差し込む中庭でまったりとお茶会の時を過ごす
段々と気温が上がるに連れて、提供する菓子や飲み物も冷たい物を選べるようにしたりと変化を付けていくが、本番はこれからだ
暫し、テーブルに用意された菓子を食べつつ談笑した所でヘルリとマイケルが大きな机を中庭に運び込んできた
それは普通のご自宅には無いであろう巨大なピザ窯
幼い頃覚えたての魔法で作ったピザ窯をリニューアルした自身の作品!
窯の中が更に見えやすくエンタメ感が溢れた逸品に仕上がった自慢の窯でシャルティの素晴らしい炎魔法を披露するんだから!
シャルティと一緒に準備をする中、ピザ窯を知ってるいつものメンバーは普通に早く食べたいとニコニコしているが、知らない人達はえ???って顔をしているのに…
モサモサ先輩だけ、何故か泣きそうな顔をしているのが不思議だった…
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