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陽動編
負けない心
しおりを挟むラッジ先生やレオンハルト殿下達みんなに聖女の本性を引き出す、おれの生前の妹か確認するための陽動作戦の計画を話した
レオンハルト殿下が物凄く乗り気で毎日聖女の前でキス任せろ!ってはしゃいでマイズに頭を叩かれてたけど…仲がいいから不敬にならないいい例を見れたと思う
ラッジ先生も保険医の先生も、それで聖女の化けの皮が剥がれるなら証拠にもなり、対応もしやすいと許可をくださり、その方向で作戦を遂行することに決まった
聖女の前で乙女ゲームの交流イベントを男のおれが的確にこなし、見せつける…聖女がどんな反応をするか見ものだ
そんな感じに話をしていた直後、ヘルリが父様を連れて学園に到着したと報告を受けた
そうだ…父様にも許可を…というか状況を説明しないと不味い…!キスの件もそうだけど一応保護者が出てくるレベルの事件だった今日!
幸いマイズの癒しのおかげでおれもシャルティも怪我もなく無事である事が少しだけ救いだろう
足早に息を切らしながら「二人とも大丈夫か!?」と保健室に来てくださった父様とヘルリに今日、合同魔法演習で起きたシャルティの暴走…聖女の行動について詳しく記録映像を込みで報告する
それに、記録映像にも残ってるから言い逃れ出来ない火傷の件、ここでシャルティの炎がおれを盛大に焼いたなんて言って心配をかけるのは得策じゃないから、ふわっとおれも火傷はしたけどマイズのおかげで全然平気でしたって、報告も忘れない
あと、前世については…父様の息子じゃない精神年齢になってしまう為、少し濁しながら報告した
「そんな事があったんだね…ひとまず無事で何よりだ
だが、また聖女様か…以前あったヘルリの件、あの時も泣いてばかりで自分の非を認めない、話しが通じない子だとは思ったが…今回、可愛いシャルティにまで手を出した可能性は許し難いね
しかし確かにシャルティを暴走させた証拠には至らないのも事実…聖女という特殊な存在がここまでとは、困ったものだね…」
「父様…だからこそ、聖女の本性を暴きたいんです…平和的な方法で…
あの、その為に…イグニスやマイズと仲のいい雰囲気を出したり、レオンハルト殿下とキ、キ…キスとか学園でしたくて…許可頂けますでしょうか…?」
おれは一応レオンハルト殿下の婚約者、次期王太子妃だ、他の女性…?いや男性と親密な感じに仲良くするのは世間体的に不味い
ついでに公然の前でレオンハルト殿下とキスするのも羞恥が足りない、貞操云々と言われそうな案件でもある
王家の影が常に記録を取っていてるため王家に誤解は生まれないが、世間体的は微妙だ
聖女に王家の影を付けられれば良いが、そうも行かない異世界の権利とプライバシー関係…やはりおれに付いた影に記録してもらうのがベスト
父様は少し驚き、考えると舌を入れないキスなら大丈夫だろうって許可をくれた
舌…舌入れるのはさすがに考えて無かったですよ!?!
みんなには言えなかったが、生前彼女は居たものの仕事が忙しくエッチな事やキスも殆どしていない…恋愛関係については初心者なんです!おれ!!
昔からキスしたいって言ってたレオンハルト殿下が本当に嬉しそうにしててなんか怖いっ、イケメン過ぎて怖い
お手柔らかにして欲しい…全面的に…!
大体の方向性は決まったとその日はそのまま解散する事になった
前世のクソ妹が分かるアクセサリーについては完成次第作戦に取り込むという感じで
……………………
……………
………
「おかえりなさい旦那様、二人とも…今日は大変だったわね…ヘルリ連絡ご苦労さまでした」
詳細を話しつつ、サングイス公爵家へ戻るとお腹がかなり大きくなったペトラ母様が出迎えてくれた
父様と再婚してかなり月日が経ってからの母様の妊娠…まだお若い見た目だけど、この国での出産適齢期的にはギリギリだ
あまり無理をしないで欲しい、身体を大切にして欲しいって心から思う…聖女の事も無駄な心配を掛けてしまうから心苦しかった
「母様、心配かけてしまいすいません…お身体は大丈夫ですか?」
「私もあんなに酷い魔力暴走なんて一度もした事が無かったから焦ってしまって…ご迷惑をお掛けしました…」
「ふふ、迷惑だなんて言わないの、大丈夫…大丈だからね、大切な子供を心配しない親は居ないのよ?
二人が無事で良かった…お腹の赤ちゃん達も心配しちゃったかもしれないわね…ただいまって言ってあげて?…ね?」
母様はおれとシャルティの手を取り大きくなったお腹に当てて、触らせてくれる
撫でてみるともの凄く動いたりはしない…でも新しい命が宿ってるって分かる不思議な感覚に、これは赤ちゃんから無意識に放出されてる未熟な魔力なんだとわかった
なんとなく、火を含んだ光と闇…そんな気がする…
「ただいま、未来の弟妹…心配かけちゃってごめんね」
シャルティもおれと一緒にお腹に挨拶をする
絶対に可愛いってまだ生まれてないのに思えるのが不思議だねって互いに微笑みながら
この新しい家族の為にも、乙女ゲームのサングイス公爵家ではあり得なかった新しい命の為にも…おれは聖女に、乙女ゲームの強制力に負けちゃいけないんだ
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