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現実編
戸惑い
しおりを挟むレオンハルト殿下の婚約者となったルディヴィス.サングイス公爵子息は幼い頃から婚約者候補として研鑽を重ね、この度婚約者となったが王太子妃教育をほぼ終了できるレベルの学力がある
そんな噂がおれの知らない所で出ていた事に気付いたのは、王太子妃教育として王宮に出入りするようになり、リジャール様とお茶会をする機会が生まれてからだ
なんと、レオンハルト殿下…幼い頃からやってた婚約者候補との交流で、王太子妃教育の大半をおれにさせていたのだ
一緒に勉強したいとなんやかんや色々学んできたが、そう言えば王宮で流行っているテキストだと色々プレゼントあったっけ…シャルティには一個下だから来年からなとか言って…
あれ、王太子妃教育のテキストだったのかよ…!!!
そんな驚きと事前にさせられていた王太子妃教育が門外不出とかじゃなかった奇跡に怯えつつ、婚約者としての地盤を固める為にも、目の前で優雅にお茶を飲む中性的な美しさが素晴らしいリジャール様と本日は交流会中だ
「ルディヴィス、あの子を…レオンハルトを怒らないでやってね?
昔、育児を間違えてしまったかもしれない…そう思っていたんだ…でも、あなたの額に傷を作ってしまったあの事件…その時、あなたの言葉に胸を打たれて、婚約者候補にあなたを望んだ日からあの子は変わった
あんなに幼い頃から色々計画してたみたいなだけど悪気は無いんだよ?…最終的に、その計画のおかげで本当に素晴らしい子に成長しているのも確かだから…」
「……………そ、それは…わかりますが…何年も候補のままだったので驚いてしまって…一言相談が欲しかったですね」
「ふふ、きっと素直に言ったら逃げられるとでも思ったのかもしれないね…でも、これからはきっとなんでも相談してくると思うよ?
…………ねぇ、ルディヴィス…私は、あなたがあの子の婚約者として、ここでこうして話を出来ることが何よりも嬉しい、ここは私とあなたしか居ないから正直に言ってもいいかな?
聖女様の事も聞いています、あたなの従者にした事も、シャルティ嬢にした事も…公には出来ない不確かな音声の事も…
その事実を踏まえても、踏まえる前からも…私、リジャールはレオンハルトの母としてあなた達の味方に着きます…あまり力にはなってあげることは出来ないけど、あなた達を私は信じています」
真っ直ぐにおれを見つめ、心強い言葉をくれるリジャール様はレオンハルト殿下の母だとわかる優しい目をしていた
この国の王妃様が味方に付いてくれる…素晴らしく心強い…けど、それ以上に聖女様は厄介だ
隣国から嫁いできたリジャール様はこの国に後ろ盾が少ない…国王陛下も今回の事を知っているが公平な判断を迫られる立場の為に、自由に動くことは出来ない
虚言を疑われる聖女様だが、唯一無二の力に変わりは無く、第二王子の母を救った事により、奇跡の乙女として認知されつつある…
その後ろ盾として名乗りを上げたのは古くから影響の大きい第二、第三王子派の貴族…
政治的なやりとりはまだ子供のおれにはわからないが面倒な事なのはわかる
父様が言うように今は証拠を集める事が大切…
聖女が直接おれに接触し、虚言で害を生む証拠が欲しい…けど、レオンハルト殿下の婚約者になってからもまだ学園では1年生の生徒を使った噂程度の物しか現れていない
今はレオンハルト殿下や攻略対象であるみんなと仲が良い姿を見せつけ、モブのクセにふざけるなと、バグを許せないと聖女が暴走するであろう日を待つのみ
こちらから接触してはいけない、おれの行動は全て影に記録されるのだから
リジャール様との交流会、その中で少し気になる事もあった…
昔からシャルティやペトラ母様に対して不義の子等という、王家が撤回しても出てきたあの根も葉もない噂…それはレルム伯爵の意思では無いかも知れないという情報があった事…
おれがシャルティと家族になる前、シャルティ達を冷遇し追い詰めた事は直前二人に聞いた為、事実だと言うことはわかる
でも…その後の噂については出所の確証が取れていないと言う…さらにその後聖女を保護する事になったのもレルム伯爵の意思とは違う可能性があると言うのだ
この国には乙女ゲームの世界以前に、広く大きく、数多くの人が住む…前世で学んだ現代とも、中世の貴族とはまた違った法があり、魔法という存在があるため貴族噂は元を辿るのが難しい…不義の子については噂の出どころを考えてもレルム伯爵だとずっと思っていたのに…その背後には何か居るのだろうか…?
ヘルリに対して聖女が行った魔力の行使…あの時、サングイス公爵家に謝罪しに来たレルム伯爵のことを思い出す
真っ青な顔で理由すら話さず泣く聖女を咎めていた伯爵を………
乙女ゲームの全てを知ってるわけじゃない、それでもわかるのは、ここは学園も存在する人も殆どが乙女ゲームで見たもので構成された世界…
でも…………おれの前に起きていること、理解できない事を考えると…どう考えてもゲームだけに留まらない現実があるって思うんだ
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