68 / 171
乙女ゲーム編
影のつく存在
しおりを挟む放課後、各々サングイス公爵家へと集合するまでに、レオンハルト殿下達は一応聖女へも違和感を持たれない為、出来立ての映像記録魔石を着用し、接触を図ってもらう
これまでのプライバシーギリギリ音声記録からも、聖女はまだおれが前世の記憶を持ち、シャルティを悪役令嬢にしない為に動いていると気付いていない
おれはどこから出てきたかわからないモブでありバグだと思われてるのは都合がよかった
サングイス公爵家の応接室にて
「最初に少しいいか?面倒な事になっているのは変わらないが、ある意味朗報…だ、聖女に会いに行ったら弟に自分が相手するので兄上は居なくていいですと言われてしまったよ
普段から仲が良い訳でもないが、ジェイスが若干、神に見えた…いや、聖女と親密になりそうな事態的には良くないんだがな」
「私も同じような状況に出くわしましたよ?大司教の孫でしか無い存在が聖女と親密になるのはおかしいと…そういえばレオンハルト、あなたの弟って独占欲がかなりある性格してましたよね?」
この国の宰相である父様を交え、力だけは本物の聖女から偽りの罪で断罪されないための話し合いが始まると直ぐ、レオンハルト殿下達は今日あった事を教えてくれた
第二王子ジェイス殿下…おれの乙女ゲームの記憶では全く覚えが無いレオンハルト殿下の腹違いの弟…
そのジェイス殿下はかなり執着と独占欲を持っているらしく、母を救い見た目は本当に可愛らしい聖女を気に入って今日、学園でほぼずっと共にいたらしい…
会いに来てくれたレオンハルト殿下達に聖女は喜んでいたが、ジェイス殿下がそれを許さず…といった感じに聖女と会話もせずに戻ってきたらしい
調査のためとはいえ、聖女へ接触をしたくもないのにしてきた彼らにとっては交流しなくてもいい理由になり朗報だが、聖女の動向をみれなくなるといった点では悲報だ
「ふむ…レオンハルト殿下達と聖女様と接触をする機会が無くなった場合、次はジェイス殿下に聖女は虐められると訴えるのが普通だろうね…
ルディヴィスから聞いたが、映像記録の魔石を各々着用するのだろう?
もしも、聖女様が物を奪われた、虐められたと表現した場合に、その映像はある程度有効な無実の証明となる
必ず複数で行動し、同様の記録内容で時間と場所が証明できるようにすれば万が一の抵抗も可能性だ
私からも国王陛下へ話は入れてある…現状では被害妄想が酷いとしか言えないが、今後聖女様という存在が何をするのか、証拠と共に情報があれば対応をしてくれる」
レオンハルト殿下が国王陛下や王妃様に色々言ってたおかげで父様の話も一応スムーズに進んだと言えるか…
第二王子という自分に強い好意を寄せてくれる存在を手に入れた聖女が考えそうな事も考えないといけない
シャルティを…みんなを守るためにはどうする事が最適か、これから記録魔石を持ち生活しても、おれたちだけの映像記録では捏造したと言われてもおかしくない…それをどうするか…
………………おれがずっと考えていた作戦が実際にできるかどうか…そこで大きくその点は変わる
「……………レオンハルト殿下…王家の影は王家以外の者にも付けることはできますか…?」
「……………?王家以外の存在に影を付けることは出来ない…王家と王家に連なる者に…後は王家に嫁ぐ婚約者には行動や貞操を確認するため付けることもあるが…ルディヴィス…一体何を聞きたいんだ………?…………まさか…」
おれはレオンハルト殿下の返答にコクリと頷く
聖女が言っていた録音の台詞からモブである悪役令嬢の兄がバグとして邪魔をしていると考えている節があった
シャルティが悪役令嬢として仕事をしないのもバグがあるから、それが原因かもしれないと…
そんなバグであるおれに聖女のヘイトが向いてくれれば前世の乙女ゲーム知識を活用して、何かしら作戦を追加で練れるかもしれない
シャルティを非難の目や罵倒から守ってあげれるかもしれない…そして王家の影にも映像記録と目視でおれの行動は決して聖女を害しておらず、無実であることを証明することができるかもしれない…
次期王妃となる立場の存在が示した、王家の影からも無実と言われる確かな証拠であれば…例え聖女がどんな手を使って来ても、こちら側の無実を証明できるのではないかと
「父様…このような場で言うのはおかしいかもしれません、ですがシャルティを確実に守り、サングイス公爵家を…ここに居る皆を守る為にも…王家の影をつけて頂ける存在に…
おれをレオンハルト殿下の婚約者候補から婚約者へと推薦下さいませんか…?レオンハルト殿下、おれをあなたの婚約者に迎え入れてくれませんか…?」
おれの言葉に沈黙が広がる、それは驚きや驚愕からだろう…
レオンハルト殿下の婚約者候補となってから何年経過しているのか…レオンハルト殿下が求めて実現した婚約者候補…しかし、男の王妃の珍しさから話が進まなかった以上に、この話は父様が拒否を示していたから進まなかった事が大きいのを知っている
公爵家の跡取りが居なくなるからじゃない、幼い頃のレオンハルト殿下を知っているからこそ…王家を取り巻く状況におれを差し出したくなかった事も実は知っているんだ
「おれはサングイス公爵家の゙みんなも、レオンハルト殿下達みんなも大切で守りたい……おれは聖女が想定していない存在なんです…聖女様に対抗する確実な証拠を得ることもできる、敵視されるのがおれだけで済むようにもなる
だから……………」
おれは影のつく存在になりたいんだ
3,382
お気に入りに追加
6,947
あなたにおすすめの小説

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

【完結】僕の異世界転生先は卵で生まれて捨てられた竜でした
エウラ
BL
どうしてこうなったのか。
僕は今、卵の中。ここに生まれる前の記憶がある。
なんとなく異世界転生したんだと思うけど、捨てられたっぽい?
孵る前に死んじゃうよ!と思ったら誰かに助けられたみたい。
僕、頑張って大きくなって恩返しするからね!
天然記念物的な竜に転生した僕が、助けて育ててくれたエルフなお兄さんと旅をしながらのんびり過ごす話になる予定。
突発的に書き出したので先は分かりませんが短い予定です。
不定期投稿です。
本編完結で、番外編を更新予定です。不定期です。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる