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乙女ゲーム編

お祝い?

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この世界に転生して始めて魔法に触れた瞬間から感じたのは楽しい、面白いって気持ちだ
それは16歳になった今も変わらずこの魔法でおれの魔力で何ができるんだろって考えて新しい事に成功するととても嬉しい気持ちになる

前世で便利だったよなーでもこの世界あれないし、魔法で代用できないかな?と、そんなおれの趣味とも言える魔力の色んな活用法は時々父様や母様を驚かせて、シャルティをワクワクさせている感じだ

公爵家家の跡取りが料理、なんて思うかもしれないけどこれも父様達に野営とかする事もあるかもしれないしおれが楽しそうなら限度と節度をわきまえた上ならいいよって許可を貰っている
むしろ時々父様達も参加したり、レオンハルト殿下達も参加したりもするんだ



そう、まるで今日みたいに…………




おれとシャルティの為に中庭に近い位置に建てられた多目的キッチン&ダイニングみたいな建物にて、全員がワクワクした表情で集まった


「今日はフルーツケーキを作ります
おれが生地作るんでシャルティはオーブンに魔力流して火力調整、ヘルリとマイケルは生クリーム、レオンハルト殿下達はフルーツをいい感じにカットしといてくださいね」

「楽しそうだな?わかった、で?なんのお祝いなんだ?ルディヴィス」


言えない、聖女様と素敵な恋おめでとう!新しい門出を祝ってお祝いだなんて…今日きっと3人の誰かは聖女様とデートに行くだろう…いや、むしろ3人で聖女様誘っていくかもしれないとか思ってたのに…
何故全員うちの庭に居るんだろうな?わかんねぇよおれ…
しかし、他人の恋路の気配を感じたからと言っておめでとうなんて普通に言えない…茶化してるみたいに取られたら辛い


「ヘルリの復帰祝いと、マイケルのマイケル祝い?」


咄嗟に思いついた事を口に出してた
ヘルリの復帰祝いだけで良かったのに余計な事まで言ってたわ…とそれに気付いたのはマイズとイグニスがマイケルのマイケル祝いって何?って笑い始めたからだ
おれが一番聞きたい!!そんな噂のマイケルは腕まくりをして自称美しい筋肉を公開しながら、生クリームを泡立てる時間までヘルリと待機しつつお茶を飲んでいる…うん、見た目だけは本当に攻略対象者なんだよなぁマイケル…


本来は新たな恋おめでとうって気持ちを込めてのケーキでお祝いだ、なんの祝い?って聞かれて素直に言ったらまずい気がした…悪役令嬢サイドの人間がそこに絡んではいけないそんな気分

皆が新たな恋を楽しみながらデートとか行かなくていいの?って思いつつ今日は聖女様忙しかったのかもしれないと思い直し普通に皆で料理するこの日を楽しむ事にした


魔法の良いところ、想像を組み立ててコントロールできれば自分の属性でありとあらゆることが出来てしまう
ここは乙女ゲームの世界だから食べ物も日用品も知ってる名前だし使用方法も一緒だ、しかし魔法がメインで電化製品は無い、だから魔力を代用する

前世の記憶で泡だて器とか知ってるからこの世界でのお菓子作りと少し違った方法で色々できて楽しい
公爵家の跡取りっていう自分で料理しない立場のおれでも料理が趣味になりそうになってしまうのも仕方ない


水属性と闇属性を駆使して卵を卵白にしていく
鋭利にも鈍器にも形を変えれる闇属性魔法はとても便利だし自由に動かせる
まるで泡だて器な見た目にして回転させればおれがミキサーみたいなものだ
マイズ曰く、闇属性は戦闘でかなり優秀な部類に入るのに泡だて特化みたいな使い方してるの面白すぎるって言ってた…そんなに面白い!?


暇そうなレオンハルト殿下に粉を振るって下さいって言ったら粉まみれになりながらちゃんと手伝ってくれたり、闇魔法で果物の皮を器用に剥いてくマイズがバナナの剥き方で悩むイグニスを見て美少女みたいな可憐な中性微笑で笑ってたり…
魔導オーブンの火力調整は難しい為、プロの料理人達しか出来ない筈なのに練習したらできましたわってほぼマスターしたシャルティの精密な炎魔法にサングイス公爵家以外の皆が驚いたり…

ちょっとした事で笑いながら皆で料理するのは楽しい
普通貴族だったら絶対にしない、はしたないとか高貴な身分に相応しくないとか…そんな理由でさせてもらえない可能性もある
けど、ここにいる皆との秘密、父様からもバレないようにこっそりと…内密にやるならそれは、ただの趣味だよと許可を貰えてるおれたちだから体験できること
ちゃんと以前から参加してるレオンハルト殿下とマイズには自己責任ですよ、自己責任!って念を押している



普通の貴族は体験できない楽しい時間、おれにとっては学校でやった調理実習みたいな時間…

そんな時間はあっという間に過ぎて、完成した綺麗なケーキを囲んでヘルリ復帰おめでとうって、マイケルはマイケルだねおめでとう?って…皆でお祝いして食べたケーキは本当に美味しかった



こんな日があと何回出来るかわからない、今日が最後だったかもしれない…それでもシャルティが不幸にならなくて、全員が幸せになれる未来をおれは信じたい











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