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乙女ゲーム編
鍛錬場での出会い
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Side イグニス
おれの学園での生活は昨年に比べて何もかもがすべて変わった…いや、昨年の途中から変わったんだ
サングイス公爵家子息、ルディヴィス様…高位貴族である彼がおれを苦しみから救い出し、初めての友になってくれたあの日から…夢を追い求めて努力する楽しさを知った
昔、父さんが笑ってくれたように、人を笑顔にできる商人になりたい…その願いを後押ししてくれたのがルディヴィスだ
今では母さんとの約束が本当に果たせるんじゃないかと思う程、おれの生活は充実している
バイゼル家からサングイス公爵家預かりになり、この学園の費用も出せないから退学するしかないと想ってたが、そうはならなかった
ルディヴィスが公爵様に掛け合って貴族科への転入と学費を工面してくださったから…
鍛錬という名の地獄から救い出して夢を叶えるきっかけをくれたのにそこまでしてもらうのはおかしいと、申し訳なくなって辞退しようとした時、ルディヴィスは言ってくれたんだ…
「施しを受けるのが嫌なら先行投資されてると思うといいよ、イグニスには商人の才能がある、それを活かすには貴族科で商売相手になる貴族を学ぶのも立派な勉強だから
それに……ぼくはイグニスと学校でも商品開発の話…したかったけど、イグニスはしたくない?
新商品生み出せたら学園祭とかにいい感じにねじ込んでみたりしたくない?」
いたずらを考える無邪気な子供のような笑顔でルディヴィスはおれの罪悪感すら癒してくれる…
レオンハルト殿下の婚約者候補のこの方が、未来の王妃になるなら…国はきっともっと幸せになるだろう…そんな気持ちになる
けど、サングイス公爵様は男同士の婚姻の珍しさと難しさ、男性しか跡取りと認められてない現状と公爵家の跡取りの関係から、現国王と王妃が婚姻した時と同じ様に中々王家に嫁がせるのが難しいのだと教えてくれた…
それに、ルディヴィスが少しでも不幸になる可能性が場所に嫁がせたくないのだと
面倒な重鎮も居る多いため、将来的にもしかしたらルディヴィスは国の為に婚約者候補を降ろされて公爵家に帰ってくるかもしれない…その時は支えてほしいと、そう言われてもちろんですって答えたのは当然だろう
もしもそうなったらおれはルディヴィスの手足となって支えるくらいの気持ちはある
そんな事もあり、命の恩人とまで言ってもいいルディヴィスとシャルティ嬢と一緒に学園に通えるのがこんなに嬉しい事だと実際今感じている
普通に学園生活が充実しているのは勿論、皆と学ぶ事が楽しく、成績が上がって2年からはSクラスにもなった
授業の合間にレオンハルト殿下や時期大司教となるマイズ様に商品の試作をお試ししてもらえるなんて事もある、これは学園でしか起こり得ないことだ
おれは将来、ルディヴィスに恩返しできる商人になる…その気持が溢れ、現在も開発中の魔具を教員にもしっかりと許可を貰ってから試作品を試したりしている
今開発してるのは魔法陣修正粉、魔法陣に使う紙はかなり高級品だ
失敗しても、それを紙を捨てずに複数回修正出来る魔法陣修正粉は、特に市街からの特待生が多い騎士科には欲しい人も多いはずと…何度も試作品を作り試している段階
今日も、結構長い昼休みに騎士科の特待生のみんなに試してもらおうと、鍛錬場に行った時…おれはある人物に出会った
「イグニス様、鍛錬お疲れ様です!これ、差し入れに作ったんです…何時も毎朝鍛錬頑張ってすごいなって想って…受け取って下さい!」
「……………君は…?」
透き通るほど美しい空色の瞳に、風になびく艷やかな髪…そして見惚れるほどの美貌…彼女は確か今代の聖女…ルチア様だ
おれの名前なんて覚えててくれるのか…?それに毎朝の鍛錬を見ていたと言うのか?一応貴族だが聖女様はこんなおれの努力を認めて…………
いや?鍛錬なんて昨年から全くしてない、デスクの上で商品の試作品を作るのを鍛錬と言うなら鍛錬だが…言わないな
聖女様は人違いされているのだろう、ここは生徒数もかなり多い、更には留学生もいる
確か騎士科にはイグニスト.バックウィルやネオイグニス.ヴァイドロルとか近しい名前の生徒も多いんだ…人違いもよくある、恥ずかしい事ではない
「ごめんな、それは受け取れない…人違いだよ、聖女様
ここで鍛錬してるのは確かネオイグニスくんかな?彼に渡しておくから安心してくれ
おれは商品開発で待ち合わせがあるからもう行くから、じゃあな」
「え?ネオ……?ちょっとイグニスくんっ!?まって、あたしとお話しないの!?」
Episode1 鍛錬場での出会い
………………………
バイゼル家で競歩をされられていた頃を超えるほど早足でおれは教室に戻る…
今、ついさっき、聖女様にイグニスくんって呼ばれた気がして何故か背筋が凍った
昨年度から商人として老若男女誰でも懐に入り込める商人の基本を学んでいたからこそ分かる…彼女は…聖女様はたちの悪いお客様の気配がする…!!!
しかも差し入れどう見ても手作りだ…こわい!知らない人からの手作りとかない…!
確実に人違いであると自己完結し、ネオイグニス男爵子息に聖女様から差し入れだよと全力で渡してきたら安心だと思いたい
似てねぇもんおれ達!ネオイグニス男爵子息はムキムキゴリラだ、おれは昨年から筋肉がマイルドになって細マッチョ、名前だけ近いが全然違う!
もしやレオンハルト殿下が怖いと言ってたのはこれか?と思いながら2学年の教室に入るとルディヴィスと目が合った、隣で微笑むシャルティ嬢とも目が合う…
「イグニス、顔真っ青だけど大丈夫か?変態にでも追われたのか?」
「まぁ、イグニス様、かっこいいから変態もほっておけなかったのかしら?大丈夫ですの?」
きょとんとこちらを見る二人を見てると…とても癒やされる…なんだろう癒される…
そんなに真っ青な顔してるのか、おいでおいでと二人に手招きされ心配された
座るように促され着席すると、おれが好きな紅茶をその場で淹れ始めるのだから最近の公爵家はすごい
ルディヴィスがコップと水担当、シャルティ嬢が加熱と茶葉担当…担当ってなんだよって思うが、魔法の使い方が斜め上に上手く、平和に対人と戦闘以外なら普通に私生活でも使っていい魔法の力であっという間に美味しい紅茶が完成し、それに合わせてヘルリが美味しい茶菓子を何処からか出してくれる手際の良い連携プレー
あの日、ルディヴィスがおれに飲ませてくれた経口補水液っていう飲み物の時もそうだが、何故か突拍子も無いのに嬉しくなる事をしてくれるんだ…
変態なんかに落ち込むなと励まされながらおいしい紅茶と茶菓子を楽しむと本当に先程の恐怖が薄れていった
聖女様を変態だとは言えず、知らないたちの悪いお客様になりそうな怖い女でしたと報告すると殿下やマイズ様も気になって集まって…
怖い女談義を可愛いしか出てこないシャルティ嬢の前でしながら、のほほんとお茶会する謎の展開になってしまったのだ
「私も怖い女だったりして?」
そう笑うシャルティ嬢は本当に可愛い、さっきの聖女様の笑顔と全然違う
一体何だったんだろう…聖女様…いや、あの知らない女…
あと、なんでルディヴィスと初めて助けられた日は初対面でも嫌だとか怖いとか思わなくて…経口補水液ってやつも手作りみたいなものなのに…なんで嬉しかったんだ…?
わかんねぇやと諦めおれは紅茶とお菓子美味いとおかわりした
おれの学園での生活は昨年に比べて何もかもがすべて変わった…いや、昨年の途中から変わったんだ
サングイス公爵家子息、ルディヴィス様…高位貴族である彼がおれを苦しみから救い出し、初めての友になってくれたあの日から…夢を追い求めて努力する楽しさを知った
昔、父さんが笑ってくれたように、人を笑顔にできる商人になりたい…その願いを後押ししてくれたのがルディヴィスだ
今では母さんとの約束が本当に果たせるんじゃないかと思う程、おれの生活は充実している
バイゼル家からサングイス公爵家預かりになり、この学園の費用も出せないから退学するしかないと想ってたが、そうはならなかった
ルディヴィスが公爵様に掛け合って貴族科への転入と学費を工面してくださったから…
鍛錬という名の地獄から救い出して夢を叶えるきっかけをくれたのにそこまでしてもらうのはおかしいと、申し訳なくなって辞退しようとした時、ルディヴィスは言ってくれたんだ…
「施しを受けるのが嫌なら先行投資されてると思うといいよ、イグニスには商人の才能がある、それを活かすには貴族科で商売相手になる貴族を学ぶのも立派な勉強だから
それに……ぼくはイグニスと学校でも商品開発の話…したかったけど、イグニスはしたくない?
新商品生み出せたら学園祭とかにいい感じにねじ込んでみたりしたくない?」
いたずらを考える無邪気な子供のような笑顔でルディヴィスはおれの罪悪感すら癒してくれる…
レオンハルト殿下の婚約者候補のこの方が、未来の王妃になるなら…国はきっともっと幸せになるだろう…そんな気持ちになる
けど、サングイス公爵様は男同士の婚姻の珍しさと難しさ、男性しか跡取りと認められてない現状と公爵家の跡取りの関係から、現国王と王妃が婚姻した時と同じ様に中々王家に嫁がせるのが難しいのだと教えてくれた…
それに、ルディヴィスが少しでも不幸になる可能性が場所に嫁がせたくないのだと
面倒な重鎮も居る多いため、将来的にもしかしたらルディヴィスは国の為に婚約者候補を降ろされて公爵家に帰ってくるかもしれない…その時は支えてほしいと、そう言われてもちろんですって答えたのは当然だろう
もしもそうなったらおれはルディヴィスの手足となって支えるくらいの気持ちはある
そんな事もあり、命の恩人とまで言ってもいいルディヴィスとシャルティ嬢と一緒に学園に通えるのがこんなに嬉しい事だと実際今感じている
普通に学園生活が充実しているのは勿論、皆と学ぶ事が楽しく、成績が上がって2年からはSクラスにもなった
授業の合間にレオンハルト殿下や時期大司教となるマイズ様に商品の試作をお試ししてもらえるなんて事もある、これは学園でしか起こり得ないことだ
おれは将来、ルディヴィスに恩返しできる商人になる…その気持が溢れ、現在も開発中の魔具を教員にもしっかりと許可を貰ってから試作品を試したりしている
今開発してるのは魔法陣修正粉、魔法陣に使う紙はかなり高級品だ
失敗しても、それを紙を捨てずに複数回修正出来る魔法陣修正粉は、特に市街からの特待生が多い騎士科には欲しい人も多いはずと…何度も試作品を作り試している段階
今日も、結構長い昼休みに騎士科の特待生のみんなに試してもらおうと、鍛錬場に行った時…おれはある人物に出会った
「イグニス様、鍛錬お疲れ様です!これ、差し入れに作ったんです…何時も毎朝鍛錬頑張ってすごいなって想って…受け取って下さい!」
「……………君は…?」
透き通るほど美しい空色の瞳に、風になびく艷やかな髪…そして見惚れるほどの美貌…彼女は確か今代の聖女…ルチア様だ
おれの名前なんて覚えててくれるのか…?それに毎朝の鍛錬を見ていたと言うのか?一応貴族だが聖女様はこんなおれの努力を認めて…………
いや?鍛錬なんて昨年から全くしてない、デスクの上で商品の試作品を作るのを鍛錬と言うなら鍛錬だが…言わないな
聖女様は人違いされているのだろう、ここは生徒数もかなり多い、更には留学生もいる
確か騎士科にはイグニスト.バックウィルやネオイグニス.ヴァイドロルとか近しい名前の生徒も多いんだ…人違いもよくある、恥ずかしい事ではない
「ごめんな、それは受け取れない…人違いだよ、聖女様
ここで鍛錬してるのは確かネオイグニスくんかな?彼に渡しておくから安心してくれ
おれは商品開発で待ち合わせがあるからもう行くから、じゃあな」
「え?ネオ……?ちょっとイグニスくんっ!?まって、あたしとお話しないの!?」
Episode1 鍛錬場での出会い
………………………
バイゼル家で競歩をされられていた頃を超えるほど早足でおれは教室に戻る…
今、ついさっき、聖女様にイグニスくんって呼ばれた気がして何故か背筋が凍った
昨年度から商人として老若男女誰でも懐に入り込める商人の基本を学んでいたからこそ分かる…彼女は…聖女様はたちの悪いお客様の気配がする…!!!
しかも差し入れどう見ても手作りだ…こわい!知らない人からの手作りとかない…!
確実に人違いであると自己完結し、ネオイグニス男爵子息に聖女様から差し入れだよと全力で渡してきたら安心だと思いたい
似てねぇもんおれ達!ネオイグニス男爵子息はムキムキゴリラだ、おれは昨年から筋肉がマイルドになって細マッチョ、名前だけ近いが全然違う!
もしやレオンハルト殿下が怖いと言ってたのはこれか?と思いながら2学年の教室に入るとルディヴィスと目が合った、隣で微笑むシャルティ嬢とも目が合う…
「イグニス、顔真っ青だけど大丈夫か?変態にでも追われたのか?」
「まぁ、イグニス様、かっこいいから変態もほっておけなかったのかしら?大丈夫ですの?」
きょとんとこちらを見る二人を見てると…とても癒やされる…なんだろう癒される…
そんなに真っ青な顔してるのか、おいでおいでと二人に手招きされ心配された
座るように促され着席すると、おれが好きな紅茶をその場で淹れ始めるのだから最近の公爵家はすごい
ルディヴィスがコップと水担当、シャルティ嬢が加熱と茶葉担当…担当ってなんだよって思うが、魔法の使い方が斜め上に上手く、平和に対人と戦闘以外なら普通に私生活でも使っていい魔法の力であっという間に美味しい紅茶が完成し、それに合わせてヘルリが美味しい茶菓子を何処からか出してくれる手際の良い連携プレー
あの日、ルディヴィスがおれに飲ませてくれた経口補水液っていう飲み物の時もそうだが、何故か突拍子も無いのに嬉しくなる事をしてくれるんだ…
変態なんかに落ち込むなと励まされながらおいしい紅茶と茶菓子を楽しむと本当に先程の恐怖が薄れていった
聖女様を変態だとは言えず、知らないたちの悪いお客様になりそうな怖い女でしたと報告すると殿下やマイズ様も気になって集まって…
怖い女談義を可愛いしか出てこないシャルティ嬢の前でしながら、のほほんとお茶会する謎の展開になってしまったのだ
「私も怖い女だったりして?」
そう笑うシャルティ嬢は本当に可愛い、さっきの聖女様の笑顔と全然違う
一体何だったんだろう…聖女様…いや、あの知らない女…
あと、なんでルディヴィスと初めて助けられた日は初対面でも嫌だとか怖いとか思わなくて…経口補水液ってやつも手作りみたいなものなのに…なんで嬉しかったんだ…?
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